遠山キンジの独白   作:緋色

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聖書よく知らねえから適切なところがわからん
何処抜き出せばいいんだ


Gの血族

 煙管を燻らせつつ武偵高の対岸、火力発電所の敷地に立っていた。

 経緯としては大した理由ではなく、武偵高のある学園島や空き地島では増援や教務科(マスターズ)なんかの敵対すると面倒くさいのが出張ってきやすいがこの辺りなら来たことがわかりやすいが交通事情によって到着まで時間がかかるためG3が降り立つ可能性が高いという賭けでしかない。

 仕掛けるなら今日だろうという賭けだったのだが……。

 かなめが抜き足差し足忍び足で姿を消したので何となく追跡()けていた所、向かった先がここだったわけだ。

 下見と思しき行動を見て、確定として急いで準備したわけだが……。

 

「なんでいるのカナ姉」

 

 クレーンに座り込む様にいるカナ姉は臨戦態勢なのかサソリの尾(スコルピオ)を持っている。

 見るたびに高い所にいるなぁ。低所恐怖症なのかな?

 

「創世記4章9節 主はカインに言われた『あなたの弟アベルは、どこにいるのか』彼は言った『知りません。私は弟の番人でしょうか』」

「……ん?なんの事?」

「今日はGⅢ(ジーサード)に呼ばれてきただけよ。武偵としてね」

 

 ……。

 

「……へー。カナ姉は俺からの連絡無視する癖にG3(それ)とは連絡してたんだ~」

 

 それを聞いて気まずくなったのか微妙に目を背けるカナ姉。

 確信犯かよ。

 

「私の行動に不満があるの?」

「べっつにぃ~?下に行くほどかわいいとはよく聞くしぃ~?」

 

 不 満 は な い。

 

 辺り一帯を調べ終わったのかかなめがなんでいるの!?的に隠れて見てくるのを感じるが知ったこっちゃないので無視する。

 それよりも――

 

「本当に来るのかよ……『コードB、準備しとけ』」

 

 徐々にかかってきたヒステリアモードの視界では常人では見分ける事も難しいであろう空に現れた()()の姿を捉えていた。

 光学迷彩の理屈は知らんが誤差0%なんぞあり得ない。そこにある事が見えにくいだけで物理的にあるなら、物理的に見えやすくすればいい。

 発煙筒を起動し、ヒステリアモードの投擲力でビル5階分の高さにいる()()に満遍なく当たる様に投げる。

 発煙筒の煙が飛行機?に当たって輪郭がはっきりと見える。

 光学迷彩が頑張って誤魔化そうとしても物理的に遮られる煙の軌道をを誤魔化すのには限界がある。

 不自然に煙が見えない屋根にぶつかったように大きく形を変えて

 

 ――ダァーン

 

 遠くから対物(アンチマテリアル)ライフルの銃声が響く。

 人に使うよりかは本来の使い方であろう。一応武偵は殺人禁止だし。

 ……あまり価値のない安い頭も下げる意味はあったようである。

 正直、身内同士できっちり話し合いたいから、邪魔な部下を遠ざけて欲しいという自分本位な願いに協力してくれるとは思ってもいなかった。

 あとで何か要求されそうな気もするがまあ許容範囲だろう。多分。気に食わなかったら無視すればいいし。

 何処に当たったのかはここからだとわからないが、飛行機?は高度をまっすぐに下へと降下し、アンチマテリアルライフルの射角に入らない場所でハッチを開く。

 

『豪快な歓迎だな!対迎撃砲が破壊された!これより無力化の為、豪快に出撃する!』

『ああん。もう。明らかな誘いの乗っちゃダメじゃない!?フォローに出るわ!』

 

 と二人の科学武装(パワードスーツ)と思われる装備をした二人が狙撃したレキの方向へと向かう。

 移動手段である飛行機?を破壊する火力があるならそれを破壊しに行くのは正しい。帰れなくなる可能性があるからな。

 

《元とはいえ、米軍の精鋭なら火砲に対応するように動くはずだ。目の前に獲物がいて大将と同レベルの戦力ならば対応できる大将の負担を減らすためにも動くだろう》

 

 あっちにはアリアとエルもいるから元米軍の精鋭兵を相手するとしても互角――時間稼ぎはできるだろう。

 

『!魔力!』

『ツクモ!あれをサードに近づけてはいけない!』

『わかってる!』

 

 と狐耳と銀髪の二人が反対方向の白雪とジャンヌがいる方向へと向かう。

 

《本来、魔術師(ステルス)に対応できるのは魔術師(ステルス)だけだ。どこかの魔術師(ステルス)だろうと戦いを挑んで勝利するような例外を除けばな。……いやなんでもない。魔力を放てば自分たちの管轄だと動くだろう。役割分担がしっかりしているなら余計そう考えるはずだ》

 

 全員光学迷彩を纏って見えにくい事が難点だが、想定通り全員がバラバラに動いたようだ。

 こうもしっかりとジャンヌの思い通りに分断できるのは想定外である。

 


 

 夜中に作戦会議としてワトソンとデュランダル(+おまけ)と情報共有を一応していた。

 

『かなめに聞かれるんじゃないか?』

「寝かしつけて熟睡してるよ。少なくとも1時間は起きないね」

 

 寝てる最中にベットに運んでついでに落としておいたのでしばらくは問題ないだろう。

 緊急時用の使い捨ての飛ばし携帯を使っているのですぐにバレることもないだろう。

 回線も弄ってるし。

 

『こんな情報何処で手に入れたんだい?』

「アングラ系の伝手でな。信憑性はそこそこあると思うがね」

 

 公安の伝手もだがワトソンに聞いたら兵の情報も出してくれたのはありがたいことである。

 ダブルチェックとして本隊の兵数は大体割れたとも言っていい。

 

「本題として俺はG3とは話しておきたいことがある。というわけで他の連中を引き離しておきたいわけだ。一応一族の秘密的な事になるだろうしな。俺は別にバレてもいいけど。困るのかなめだし」

 

 女に弱い事なぞ周知の事実だろうけど、弱体化するかなめの体質はバレると面倒くさいだろう。

 GⅢにそういう気配はあまり感じられないが。部下を引き離して秘密にしておくは重要な行為だろう。

 

『急に明日に来るであろうGⅢを捉える策を練ろなど無茶ではないか?』

「安心しろ。別に期待してない」

『……私に出来ないと思っているな?』

「え?当たり前だろ?」

 

 エルと大雑把に作戦を練って一応オカルト系武偵を攫ってた人間としてそっち方面の補強をしてもらう程度の予定なので、正直期待はしていない。

 というか邪魔になりそうかなと思っているので目標でも与えて動きをコントロールしたい感じである。

 

「ジャンヌに求めてるのは――こいつは捕らえてくれ」

 

 そう言って指し示したのは隠し撮りと思しき思考を読み取る超能力者(ステルスロジー)

 

「詳しくは不明だが思考を読む能力者らしい。捕らえればG3を逃がしたとしても次の戦闘で活かせる可能性が高い。この手の能力者は高い値が付くし損はないだろう」

『……貴様、売るつもりか?』

「……え?……あーうん?そういうのもありか?伝手ねえから考えてもなかった」

 

 というかデュランダル(+おまけ)が捕らえるなんて想像もできないかったし。

 

『写真で見る限り結構美人だが。毒牙に掛けるつもりかい?それならボクは不参加になるよ?』

「俺が引き出したいのはG3を嵌めるネタだが――まあ毒牙か?尋問(アゴトリ)は別に得意じゃないしな」

 

 エルが妙に不機嫌になった気がするが無視する。

 

「G3との殴り合いの舞台作るためだ。良くも悪くもそのぶつかり合いがなければ何も終わらねえ――俺が決着(ケリ)をつける。そのための相談だ。その前に雑魚に体力消耗したくねえし」

 

『ならばこういうのはどうだ?――』

 


 

 あのジャンヌの策がうまくいくとは驚きである。

 いや古のジャンヌダルクも格上に攻め込む攻撃的な策には天性のものがあったらしい。あいつ守勢じゃなく攻勢に蹴り込む感じで使う方が有能というわけだ。

 使い方をミスっていたとは、想像だにしていなかった。思い返せば格上の白雪攫うまでの工作は結構うまくいっていたので気付けなかった俺がバカなだけか。

 気持ち悪いぐらいうまく分散された部下を横目にジジジ……と空中――光学迷彩された飛行機?の上から厳めしいペインティングとサングラスのようなHMD(ヘッドマウントディスプレイ)で仁王立ちしたGⅢ(ジーサード)が姿を現す。

 現代的な甲冑(プロテクター)からして、あれがあいつの戦装束なのだろう。

 

「け、美しくねえぜ。カナ。お前の条理予知(コグニス)通りってわけか?」

「私のはただの推理よ。この結果になるのは半信半疑だったわ」

「どうだか……。アンガスこっから先は音声撮るな」

『了解しました。お呼びの際は無線機をお使いください』

 

 どうもカナ姉とG3は何らかの協力関係にあると見た方がいいのか。

 流石にG3だけでなくカナ姉まで敵に回るのは面倒くさすぎるぞ。

 

「……カナ姉はG3(そっち)につく感じか?そんなに三男が可愛いんですかコノヤロー」

「私は無所属。――FEWの戦いの一つを見に来ただけよ」

 

 適当に探りを入れたらわけのわからない事を言われた……FEWって何のことだよ。

 またなんか変な事に巻き込まれてんのか俺?

 いやそれは今はどうでもいいか。

 

「そんなクソどうでもいい事は後でいいか?」

「……どうでもいい?」

 

 少々イラついた様子のカナ姉の機嫌が理解できないが

 

「カナ姉に相談したかったのは

1.ロスアラモスが父さんの遺伝子で弟妹が作ってるし後継が作られる前に研究を潰しておきたい

2.弟妹を爺ちゃんにどう紹介するか

話しとくなんてそんな所か」

 

「え?」

 

「え?じゃないが。一応、家長はカナ姉なんだから遠山家の方針決めるのは長子でしょ。……俺は兄弟妹(きょうだい)と思っているけど……。カナはどう思ってんの?」

 

「……そうね。私は複雑な思いよ。認めるには――罪深い」

 

 何かを諦観するようなカナ姉だが……まあそうなるよな。

 俺は比較的宗教観が薄いし特に気にしないがG3とかなめ――人工天才(ジニオン)という存在は優生学を元にした宗教的冒涜ともいえる。

 ローマ武偵校に留学していたカナ姉への影響も推して図るべきだろう。

 できちまったものはしょうがねえが後に続く前に潰すという俺とは違って、二人を認めることは難しい可能性も結構あった。

 ――だから早めに意見のすり合わせをしたかったのにホントいやな事である。

 

「はん。くだらねえな」

 

 そのやり取りを一蹴してG3は笑う。

 

「『G()()()()』が揃ったならもっと話すことがあるだろ」

 

 G3は見えない(はしけ)を渡る様にこっちを歩いてくる。

 

「もっとも使えねえやつは切るぜ。今はキンジとフォースが怪しい所だ」

「あぁ。そういう感じか?あんまり俺をがっかりさせんなよ愚弟」

 

 G3の話をいくつか聞いておいて思っていたことがある。

 優秀であることが前提の人工天才(ジニオン)の期待のハードルがどの程度なのかという事だ。

 この手の優秀な奴は弱者――明らかな下に対して優しいのはよくある事だが人工天才(ジニオン)同士――同レベルと設定された相手への期待はどうなのか。

 IQが20違うと会話にならないと言われるように本当の意味で自分と同じくらいの相手などいないであろう。あの様子だと自分より上との本格的な敵対も無さそうである。

 正確には自分との同類との格上との関わりか。

 幼少期に親子の特訓等で培われる経験――それがない。

 だから俺やかなめへの評価がパラメータでしか見てないためそういう事が言えるのだろう。

 ……別の目的もバレバレだが、まあそうなるか。

 

「待って!バスカ―ビルは敵じゃないし、協力も出来るよ!」

「フォース!お前は本当に使えねえな!俺のオーダーはなんだ?」

「――!おに、キンジとアリアを連れて戻ること。生死は問わない……!」

「覚えてんじゃねえか。で?お前がいまするべき事は?」

 

 蛇に睨まれた蛙のように動きを止めたかなめはギギギ……と壊れたブリキのようにこっちを向く。

 

「!……っか……」

「……別にお前は悪くないぞ。妹が敵対するなんて普通の事だ。反抗期ってやつだな」

 

 流石にかなめ戦で手札見せた後にG3とやり合うなんて面倒臭いがまあなんとかなるだろう。たぶん。

 ふぅー。っと煙を吐き出してから咥えていた喧嘩煙管の持ち手を変える。

 G3とかなめ。どっちが動いても対応できるつもりだったのだが――

 

「おい、フォース。さっさと黙らせろ」

「……ぶな……」

「なんだフォース」

「――()()()()()()()()()()()

 

 謎のブチギレを見せたかなめはガシャガシャと殻が割れる様に姿を現した小型のノズルを点火させ爆発的な力でかなめがジーサードに飛び掛かった。

 

え?なんで!?




FEW――極東戦役(Far East Warfare)

なおキンちゃんは正式名称記憶してないしアリアの殻金盗んだ相手がいるから取り戻すくらいにしか考えてない為、戦争自体にあまり興味はない
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