遠山キンジの独白 作:緋色
あの後、G3がそのまま海に堕ちたり、海に墜落した飛行機の無線機を使って遭難信号を放った結果米軍に拘束されて秘匿処刑されそうになったりとまあ碌な事にならなかったわけだが。
何故だか知らんが無事に東京に戻る事ができた。
米軍艦船の中で脱走からのガバガバなスパイアクションみたいなことをやる羽目になったのに、賓客対応として
それで今は
「で、兄さん。いつ結婚すんの?結婚式にかなめは参列すると思うけどG3はよくわかんねえんだよなあ。とっ捕まえて参加させようか?どこいんのか知らんけど何とかなるやろ」
色々あって自宅に戻って電話していた。
『お前は本当に我儘だな……。……少なくともFEWの間は主力の一人であるパトラを引きはがすことは無理だろう。下手な事をすれば
「ソウナンダー」
『何が言いたい』
「別に何も」
……パトラと付き合ってる時点で思いっきり義に背いてると思うんだが、兄さんの義の方向性がわからねえ。
一応、法的な裁きが終わってる元犯罪者?共と違ってパトラは現役のテロリストやってるんだがな……。エジプトから欧州に進撃して暴れてるらしいし。
何とか戦争は裏の争いでしかないから
逆に
『それでG3とG4――かなめの事は――どう思った?』
「え?弟と妹だろ?前にも言った通り研究所とかその辺は潰しておきたいけど」
『そうか』
?
なんかおかしなことを言ったか?
『キンジだからこそ。いい落とし所で終わったんだろう。俺ではそうはならん』
そういうもんだろうか?
『正直な話をすると。――二人の存在には俺は戸惑っている。急に現れた存在を何の葛藤もなく兄弟だと呑み込むのに時間がかかりそうだ』
言われてみれば、そりゃそうだとしか言いようがないな。
急に知らない人が兄弟なんですと言って近づいてきて信用するかというと――信用できないだろうな。
『弟そっくりの別の弟など頭がバグりそうだ』
「あー」
コーカソイド系の血でも入っているのか俺より若干骨格がいいG3はそれ以外はそっくりみたいだしな。俺からすると顔似てるなあくらいだけど兄さんからしたらほぼ同じ顔の別人がいるわけか――ホラーかな?
『ぶつかったり共同生活したわけでもないからな――キンジが信用しているのなら信用しておこう。――二人との交流は少しずつ歩み寄る事にする』
「カナ姉なら一発で仲良くなれんじゃね?」
『カナの名を出すな!』
ツーツーツー
叫び声と共に切られた。
兄さんはカナ姉の存在が恥ずかしいと思ってるからなあ。その割には頻繁にしてるし――よくわからん。
ため息一つをついて『
内容は生存報告のつもりかスポーツカイトしてるG3とビーチバレーしてる女共という生存報告とどっかのレストランで厚み5cmあろうかというステーキを10万はするワインで頬張りながらカナと俺に当ててのメッセージのようだ。
カナには『ダメ兄貴のキンジをよろしく頼むぜ。俺の手には負えねえよ』とお前はどの立場で何言ってんだよと言う内容で、
『おい見てるか兄貴。Dランクのバカのくせに、よくも
部下の前で見栄張る必要があるからか大変だな。自分でも無理あるとは思ってるのか声少しブレてるし。
『また遊びに行くぜ、東京によ。来んなっつっても行くからな。「緋弾のアリア」を賭けて、改めてもっぺん闘ろうぜ』
殻金の問題と安全的な運用するんだったらアリアをG3の保護下にしてしまうのも手ではある。というか規模に対して手が足りねえんだよな。なんか周りが俺頼りでちゃんとやってないし。
あとカメラ越しとはいえ、人にフォークを向けんな。行儀悪い。
『――とりあえず今回は、これにて一件落着だ。あとは……
と言うジーサードの声を最後に、ビデオレターは終わり
「素直じゃねえやつだな……」
なるほどお人好しで部下に好かれるわけだ。
家庭事情は一応一件落着な形になった。
「終わった……。何もかも……」
が、俺の方はそうでもなかった。
「たかがテストだろ。ほら終わったらさっさと出ていけ」
「へーい」
米軍関係でごたごたしていたため学力テストに出ることができず――長期任務者用の追試を受けさせられていたのが今日である。色々口止めの為にか司法取引(なんか知らんが米軍試作機が盗まれたことになっているらしい)と外交がウンタラとお偉いさんの下をたらい回しに説教されて学校に戻ったらすぐにテストという過密スケジュールだった。
感覚的には8割は解けたと思うが一応武装検事を目指してる身としてはバカ学校扱いの武偵校の通常テストは9割以上は取っておきたいものである。
公安でもいいけど0課は最近の
少なくとも大学出てた方が潰しがきくだろう。今の政権がこの時点で信用できねえからしばらく合法的に距離を置くべきだろう。――なんで俺が説教されなきゃいけねえんだよクソが。
学生は勉強しろという説教もあったし――最近は勉強時間あんま取れなかったしな。大学受験は東大が安牌だろうから進路的にはそれに向けた勉強をしないと拙い気もする。
「キンジ」
歩いているとアニメ声が聞こえたので見てみると、待ち伏せしていたのかアリアが待っていた。
「その様子だと元気そうね」
「今日は流石に疲れてんだけど?」
無視して帰ってもいいのだが、米軍の件でアリアとエル・ワトソンが動いていたらしくアリアが日本側に圧力をかけてエルがアメリカにリバティーメイソンの人脈をかけて工作をしけていたらしい。
かなめは公式にはG3に粛清されて死亡らしいがあいつ今日は妹'sでカラオケに行ってると愛妹弁当とやらを朝に渡してきたので公式の信用性って何だろうなって思う。
――アリアは兎も角エルはなんでそこまで組織使って俺に協力してくれるんだろうか。後からなんか吹っ掛けてきそうで怖いぞ。
考えながら何となく並んで歩いて行く。
「褒めてあげようと思ったの。G3との戦闘のこと。ワトソンが言ってたけどRランク武偵だったそうじゃない」
「慣れ的な意味で俺の方が上だったしな。次はどうなる事やら」
また来る事匂わせてたがすぐ会えそうな気がすんだよな。
正直あのレベルとの喧嘩なんて何度もしたくないので来なくていいが。種バレたらそれはそれでウザそうだし。
「あたしとレキとワトソンは軍人を二人とも逃がしちゃったし、あんたとの人質交換に使っちゃったけど白雪とジャンヌはロシア系の娘を捕らえてたのよ?」
「……あー、そいつは悪かったな。俺も米軍に捕まったのは予想外だった」
衛星で監視されてたんだからどうしようもねえ話である。
つーか、ロカ捕らえてたのか。いつものポンコツ発揮して逃げられたとばかり思ってた。
「理子がすぐに追跡して窓口にならなかったらどうなっていた事やら――処刑されかけてたらしいわね」
「転ばぬ先の杖ってやつだな」
あの後、交渉に行くとかよくやってくれたものである。
元々、戦況によってカバーに入る予定だったのに臨機応変に対応している。この柔軟な対応は理子じゃないと無理だろうな。
「あんたはG3の撃退――強制排除に成功した。これは明確な勝利だわ。G3は
そういやG3を味方にしろとかそういう話だったな。全く覚えてなかったが。
なんで味方になってるのかもよくわからんが。兄さんの話的に俺だからと言うよくわからん理由な気もする。
「というわけであんたにご褒美を上げるわ」
「別に褒美はいらんけど」
ネコみたいに可愛く笑うアリアがどういう認識かはわからないが9割家庭事情に巻き込んだだけだし、残り1割はなんとか戦争絡みだから――ん?褒美出すのは筋が通ってるのか?
よくわからんな。
「何がいい?ほら好きなこと頼みなさいよ」
「聞けよ。褒美の押し売りなら弾代が乏しいからそれで頼む」
今回の件完全にボランティアにしかなってないから赤字なんだよな……。
依頼受けて稼ぐことも出来なかったし、真面目に金欠が見えていたりする。
「お小遣いはあげないからね」
……。だから困ってるんだがな。
バスカ―ビル名目の口座作り、そこに仕事の報酬が入るようにしてそこから装備費の名目で引き出せるようにシステムでも作るか?白雪は割とお局気質なんで揉める可能性が大きそうだし。アリアの
「……じゃあ特にないな」
「モノ以外でも、もっと他に何か……あたしに……その……あ・る・で・しょ!?」
なぜか鼻息荒く餌を見つけた猫みたいな感じで興奮してるが――なんだ?
……ああ、そうか。ここ最近かなめに構ってばっかで
かなめ来てから妹の座が脅かされて不満だと。
「でも、でも一定程度までよ。場所が場所だし。ほら早く!敵前逃亡は校則違反よッ」
なんで急かしてんだこいつ?
急に言われても思い浮かばねえが――あ、そうだ。
「アリア」
「にゃ、なに?――きゃぁ!?」
とりあえず抱きしめてみた。
ちっこくて可愛らしい顔は見えないがピッキーンと固まって、首筋が赤く染まってるから顔が真っ赤になっているだろう。
……ぬくぬくした湯たんぽみたいでなんか眠くなってきた。
これ持って帰って寝ようかな。もうすぐ12月で寒いからちょうどいいだろう。
「はい!アウトぉー!」
と何処からともなくかなめと間宮が湧いてきて俺とアリアを引き離しにかかる。
「お兄ちゃんにその気がなくてもアリアは一線超えたらアニマルになるタイプだと思うからこれ以上はダメ!絶対!」
「野良猫に近いと思うがそこまで言うか?」
「うん!お兄ちゃんわかってないね!」
何がだ。
アリアの方を見てみると間宮に「緊急事態ィィ!?」と保健室の方に運ばれていっている。
固まってるのが解けてないようである。確かに問題だな。
「よくわからんけどわかったから。帰るぞ
「うん
かなめは楽し気にウィンクして
「今日はお兄ちゃんの大好きなカレーだよ」
とりあえず家族扱いする不審者
次回からはだいぶオリジナルかな
ふわっとしたプロットしかないですがとりあえず一般校はなしでしょうね……