遠山キンジの独白 作:緋色
朱幇は紅幇っぽい
どっちも中国マフィアなんで概要しか知りませんけど
特秘任務
武偵の任務には守秘義務契約が盛り込まれてる事も多いが、これは別格で成功しようがしまいが任務の内容を話すことが禁じられてるタイプの仕事である。
例外は裁判で詰められる時ぐらいか。まあその時点で武偵としては終わりに等しいので考えるのは無駄だが。
任務の特性上、数日で終わるものだったら何も説明せずに消えるのもありなのだがどれくらいの日数がかかるのかもわからないとなるとある程度の説明せずに消えるのは面倒なことになりかねない場合が多い。
特に良くも悪くも目立つ俺だと特に。
「キーくんが任務ぅー?手伝いいるぅー?」
第2女子寮1011号室――理子の部屋に報告に来ていた。
電話で報告すればいいと思っていたら『HELPだよー!』と言ってたから来てみたのだが……部屋に通されると揮発系の異臭と奥に関わると面倒くさそうな人物が見える。
「別にいらん。指名依頼の
「うー。そうなんだけれどもー。冬が近いからって逃げ遅れたんだよー……」
「助けてくれ、理子も桃子も藤原も――誰も私に絵を任せてくれないのだっ。人物どころか背景もだッ!枠線とべた塗りだけは、もうイヤだ……!
疲れ果ててる理子とジャンヌは片方はぐでーっと片方は悲劇のヒロインみたいな動きでソファーに沈む。
「――2人とも2徹ぐらいでだらしないわよ」
「そうですの!3日ぐらいなら気合で耐えてくださいまし!」
「パフォーマンス維持できないなら休ませたれ、スケジュール管理できないならそっちの方が問題だろ」
「遠山様。ココは女子寮ですし修羅場です!TSしてから出直してください!」
「CVRのクロメーテルの付き人とオタク女が漫画書いてるのか知らんが――ブラック労働は訴えられたら負けるんだからほどほどにしとけ。ジャンヌは好きにこき使っていいけど。理子が潰れると困るから」
後ろから『トオヤマ!?』と聞こえるが無視する。労働環境の改善は自分らでやれとしか言いようがない。
「まあ違法じゃなさそうだからどうでもいいけど。――
「りょーかい。修羅場終わってからうごくよー…」
「うむ。こっちは任せるといい」
なぜかジャンヌも乗ってきたのが不安だが、女臭さとインクの臭いがヤバかったので換気する環境だけ作ってから部屋から出る。
ぐったりしてたが数日すれば復活するだろうしほっといてもいいだろう。
窓から投げキッスで見送ってくれた理子に苦笑いしつつ、アリアのいるらしい喫茶店に行く道すがら。レキに電話で
呼吸音しか聞こえないが恐らく同意したことだろう――たぶん。
本当は面と向かって話した方がいいのだろうが任務とやらで近畿の滋賀だか京都だかの山奥にいるらしい。知らないところでしれっと任務をやってるので予定が合わない時は合わないんだよな。
どうでもいい事を考えつつ、武偵女子御用達みたいになってるカフェ・ヴィルドシートに入ると
「あ、遠山キンジ……先輩」
心の中で呼び捨てにしてるっぽい間宮と共にアリアがいた。
「で、いつ帰り?」
理子が拡散したから知っているのか、上司のつもりかエスプレッソ片手にカッコつけつつ聞いてくる。
どうも後輩に『デキる女の私』を演出したいのだろうが、いつもの暴君貴族仕草だとしか思われてないぞそれ。
「期間は不明だが
「わかってるわ。あんたがいないとまとめるのに苦労しそうだけど――あたしはあんたを束縛しないわ。単位もギリギリみたいだしね。ただ、
「ん。一大事だしな」
正直、中国に巣食う秘密結社である
規模は不明だが中国司法や行政にも嚙んでいる相手に香港のトップである諸葛を討てば今後、中華系から延々と追い回されるのは目に見えている。中国での仕事は不可能に近くなるだろう――今のところ中国へ行く予定は
ポンポンとアリアの頭を撫でたら後輩に見られてる事に気付いて大噴火したことを除けばおおむね問題なく報告できただろう。
最後に女子寮前の温室にいるという白雪の元へ向かうと……
「ご指名おめでとうございます!お仕事頑張ってきてくださいね!キンちゃん!」
任務の話を聞いた白雪が、気になったのか手慣れた様子でネクタイを直してくれた。
「ああ、明日には
「お任せください。キンちゃん。かなめちゃんにはまだ教えておきたいことは多いから――」
何を考えてるのか知らないが頬を染めつつ何を考えてるのかくねくねしてる白雪だが――気が合うのかかなめとはうまくいっているらしい。
女子力だか嫁力だかで大和撫子として米国式妹を指導する必要があると判断したのか最近だとよくキッチンだので料理や家事を教えつつ、お互いにアップデートしているらしく、かなめのモテ度が上がっていると陽菜には余計な報告をされている。
いいのか悪いのかは知らない。
準備があると別れて――ありとあらゆる情報から遠山キンジの行方は不明となった。
某日某時刻――
「はぁ?」
理解不能な言葉に対する言葉に聞き取れなかったと解釈したのか先ほどよりゆっくりはっきりと言葉を紡ぐ。
「伊藤マキリは外患誘致罪により処理することになった」
「聞こえてるよ。聞いたうえで理解できねえんだよ」
公安0課――いや解体決定したから旧0課の土御門補佐の言葉に反応して返す。
「どっかの外交官をキレて殺したなら――処刑されるのもやむなしとはいえやりそうなのでわからんでもないが――外患誘致?あの姐御が?排外主義寄りの姐御がどこと組んでそんなことするんだよ。んな事するわけねぇだろ。まだ政治家殺そうと企んだテロ準備の方があり得るわ」
俺のキレ気味の台詞に周りのエージェントが反応して取り押さえようかと警戒レベルが上がっているのを土御門補佐が片手で軽く抑える動きをして――
「まあ少しでも関わりあるならそうなるだろうね」
とあっけからんと言い切った。
「新政権は八方美人なくせに内弁慶のきらいがあってねぇ……。0課を解体するだけでは飽き足らず他所から目を付けられてる人物が非常に邪魔に感じているようなのだよ」
ため息を吐いた土御門補佐の言葉からして――姐御――伊藤マキリは公安で対外防諜のスパイ狩りを任務にしていた。前与党の私兵と批判していて活動を疎ましく思っていた新政府は政争の関係ではなく外交的にいい顔するために動いたと……?
顔が引きつっていくのを自覚するがそれがどう見えたのか知らないが土御門補佐は一瞥して
「これでも公務員だからね上が命令を発したのならたとえ無駄だとしても動かなくてはならなくてね。八式・九式には悪い事をしたよ」
「……」
「どうやら海外に高跳びしたようでね。公安0課が探し出して伊藤マキリ君には消えて貰う。これは決定事項だ」
ブチッ
「……冤罪って事か?ふざけてんのか?」
アンリベール号にイ・ウーによるアリアの母の件――そして今回の件
何もかもが気に食わない。
血流が集まっていくのを感じつつ、俺の怒気に我慢ならなくなったのか周囲からも殺気が溢れ出し始めた。
とりあえず脱出した後、元凶であろう政治家のピックアップと逃亡生活から犯行方法までありとあらゆる経験と知識を引っ張り出して――
「……おい。それは伊藤マキリという人物がいなくなればいいのか?」
「そうだね。死んだという事実があればいいだろう」
「……死体を日本で確認することは?」
「うちは名簿や顔写真も残ってないよ。状況証拠とあとは
「俺の扱いはどうなってる?」
「武装検事を目指して犯罪者を討つ武装検事の息子だね。上は武装検事をたいそう気に入ってるそうだよ。エリートだからね」
……なるほど。そういう事かよ!
「ところで
そう言って渡されたのは姐御の写真に『前田ひとみ』の名前が入ったパスポート。
「彼女は日本政府が信用できないようでね。説得は困難を極めるだろうし各国を渡って
これは――過去最悪に疲れそうな話だ。
あの政権時代の話なんでごく一部除いて上も下もはめっちゃ苦労してそうだなと思う
考えるだけで頭痛いネタがいっぱいだぜw