遠山キンジの独白 作:緋色
色々、調べつつマカオの闇夜を駆けていた。
ざっくり調べた限り合法の出資で違法寄りなさっきのカジノは箱を所有しててカジノを貸して別組織が運営しているとかでアングラから合法的に金を得ている感じである。白を切り通せば訴えにくい立ち位置を維持している感じだ。
手早く儲かるクスリとかに手を出すのは厳禁らしく、ヤクザである必要性はないような気がする。クリーン化しているのか合法という立場を崩したくないらしい。
菊代らしいと言えば菊代らしい。
さっきの脅しだか何だかわからないなにかがあったので心配していたが、思ってよりは闇落ちしてないようである。
いや病みには落ちてたか?
なんか白雪が白雪だから微妙に誤解していたが、かなめの件でアリア達も若干ヤバい感じになってたし……。もしかしたら俺そういう才能があったのだろうか?女の子には笑顔が似合うと思うから心の底からいらない才能だな。
執着心の増大化とかそんな事になる事した覚えはないのだが……。
くだらない事を考えながら指定された場所へと赴くと。
闇夜のビルの隙間、紫煙を燻らせながらそいつはいた。
「で、何かつかめたのかクロちゃーん」
こいつ殺したろか。
ニヤニヤしながらからかってくるのは獅堂というゴリラだ。姐御の件聞かされたときに少しあいさつした程度なのだが、なんか自分のチームに入れたいようである面倒臭い。
一応、四式の姐御の上である三式で別に組んでるわけではないのだが、適当に夜の街ぶらついてチンピラから情報と服をカツアゲして、成り代わって上へ上へと潰してる最中に声を掛けられただけである。
速攻勝負だったのだが獅堂曰く重要な話との事で中断してわけだが……。
「今化けてねえんだからクロちゃん言うなゴリラ。あんたに邪魔されたせいで成果は今んところねえな。雑魚組織の幹部まですぐに引っ張り出せたけど大した情報持ってなかったから酒ぶっかけて裸で転がしてるよ。今潜入してる方を狙わせた方が早いかもな。アホボスは今頃接待だろうし後々脅してくる方が捜査には使えそうだし」
「おいおい。そんなんで見つけられるのかよ」
「網に掛かれば上々だけど。姐御はクロのこと知ってるし接触してくる可能性の方が高いかなって。逆に逃げるかは……半々かな?やっぱ自信ねえわ」
いろいろ突貫でやってる博打捜査だしな。正直空振る可能性の方が高いだろうし。
「で、あんたは何でマカオに?」
「別件の捜査で面白いもん見かけたからな。いやー先んじて知らなかったら気付かなかったぜ」
「……情報源何処だ?」
「おいおい。身内の洗い直し命じられたばっかなんだぜ?」
「俺は公僕じゃねえんだが」
「だから粛清はなしになったそうだぜ。優秀な戦妹がいてよかったな」
知らんわそんなもん。
だが、知ってる理由は大体把握した。姐御に雇われることが多かったから政府から敵視されるリストに入れるか洗われたと。迷惑すぎる。
そして俺、個人だと念のために粛清されかけていたとかふざけてるなまったく。
「……用がねえんだったら調べ物の続きしてえんだが?」
「どーせ、成果ねえだろうからこっち手伝え」
「なんでおっさんを上司にしないといけねえんだよ。むさくるしい」
「正直だなぁ。だから気に入られてんのか?」
「知らん」
逃亡したら追いかけられそうだな。しかし面倒ごとに巻き込まれたくないしな。天秤的には逃げる一択だな。
よし逃げるか。
――ヒュン
っと、殺気と共に風切り音がしたので大きく避けると上から降ってきたそれはコンクリートを砕いた。
細い鎖の先に金属の塊――流星錘――さっきの女か!?
ヒュンと張った鎖を引き戻した先にいたのは、チャイナドレスの女。
カジノの時とは違うのは流星錘を振り回している完全な戦闘態勢と言った所か。
『避げただか――だが、逃がさねえべ』
広東語と長沙語が混ざったような独特のなまりが酷いから細部はよくわからないが、たぶん訳すとこんな感じだと思う。
「なんだ?現地の彼女か?」
「違うとわかってて言ってるでしょアンタ」
へらへら笑う獅堂は手伝う気がないらしい。まあお互い邪魔し合うだろうし
『日本人だな?――あの女を追っがげで探したんだどもみっがらねえ。そのひだりゃの刺青!あの女と同じ位置!おぞろい!おなぁ組織のもんだな!?』
そういや潜入用にタトゥーシール張ってて隠すの忘れてたな。
どこで見つかったのか知らんが相手するの面倒くさい。
「
『あの女の顔砕いだら、そのあどは誰にも見向きざれねえなるんだろなっで』
『それ俺関係なくない?』
『顔がいおどごもぎらいだ』
見境なしかよ。
会話をする気がなくなったのか流星錘を振り回して攻撃してくる。
流星錘――日本で言う分銅鎖(鎖鎌の鎌なしみたいな武器)に似た武器で投擲、締め、遠心力による殴打を行う武器だ。
すなわち最大攻撃力はコンクリートを破壊するほどの破壊力を持つ!
人の頭がスイカ割になるような最大の一撃を避けて接近しようとすると即座に捕えようと鎖が縦横無尽に襲い掛かってくるのを脱力で一瞬にして地面と一体化することで避けて転がる様に距離をとろうとして引き寄せた方とは反対の端の錘を振り下ろされたので慌てて起き上がって回避する。
銃弾よりかは遅いとはいえ、ヒステリアモード抜きだと結構厳しいくらいには上手い相手である。
どーすっかな。キンジだとバレねえように普段の装備無しで、カツアゲして奪った銃も
肝心のヒステリアモードだが――相手は顔は整ってるわけでもなく野暮ったいかなって程度でまあ普通。体型は鍛えているから引き締まってはいる――チャイナドレスとはいえガード固めというかズボン穿いてんなこいつ。
……駄目だ趣味じゃなくて興奮できねえ。
後ろで爆笑してるのはおっさんだし……。
これがヒステリアモード封じか。
普段は妹か美少女とか美女が周りにいるか、敵対者も美女とかが多かったからヒステリアモードに事前になったり戦闘中になる事も容易かったが。状況が状況だとこうなるのか。
『寄らぜねぇだ』
影をしようと殺気照射して位置誤認を試みるが、やはりヒステリアモード時の瞬発力が出せず一瞬見失ったくらいで誤認させるまでには至らなかった。
これ相手の反応速度を逆算して緩急付けないと成功しないようである。
GⅢ相手にうまくいったのは体感倍率が予測しやかったのが大きいのか。
うーん勝てなくはないのだが――腕一本犠牲にする価値があるかと言えば答えはNOだ。
寄らせずされど逃がさず動きで体勢崩してから最大の一撃を振り下ろしてくるため比較的体勢が整って受けに集中しないとできない万旗は論外だし。というかヒステリアモードじゃねえとできねえし。無理に受けて腕一本壊すのも今後に差し支えるしどうするか。
鎖を掴もうとする動きには即座に反応して逆に縛り上げようとしてくるし、達人相手は面倒くさすぎる。
『うねうねして避けんでねーわ!』
『お前こそグネグネ動かしてんじゃねえ!』
しかし埒が明かねえのも確か。あえて片腕だけ捕まえさせて動きを制限させるか……?
想定パターンを10ほど考えつつ被害最小バターンはと考えていると。
PIPIPIPI
携帯電話の電源切ってなかった。
見ると一度も使われていない緊急用の番号から掛けられていた。
ので出ることにした。
「なんd[クロメーテル様!ようやく繋がりました!]五月蠅い今忙しいから用件を言え」
『余裕だっでいいだいがぁ!』
なぜか攻撃は激しくなったが隙が大きくなったので避けに専念しながら話を聞く。
[おおおおおお落ち着いて聞いてください]
「お前が落ち着け。用件だけ言え」
[ボスが女の指に刺されて殺されましたぁ!]
……ほう?
敵が興奮できる相手である保証はない
妹が周りにいる保証もない
中途半端が中途半端だと一番対応に困るんじゃねえかと思ったらこうなった
なんだこれ?