遠山キンジの独白 作:緋色
縁者という事で遠山キンジの名は使わない方がいいだろう。Sランクという事で知ってる奴は知ってるくらいには有名だし姿も知られてる可能性もある。
出来ればかけ離れた姿に化けた方がいいだろう。
つまりどうすればいいかというと。
「どうだいクロメーテルさん。これから一杯?」
「明日の資料作らなければならないんで遠慮します。あと臭いので近寄らないで下さい」
――クロメーテルに化ければいい。
しばらくブランク空いたせいで女装自体がなんか恥ずかしいが背に腹は代えられない。
なぜスカートなんか穿いているんだろうか…。いやズボンだとバレやすいと理由もあるが。顔の印象を誤魔化すための眼鏡もいらなかった気がする潜入だと邪魔。
男の時だと聞き込みですら苦労するのにクロメーテルに化ければ男女問わず上手くいきやすいのはなぜなんだろう。
男としての魅力がないせいなのか?ちょっと凹む。
「いやちゃんとファブってるよ!?」
そう言えば昨日臭うから嫌とか言ったっけ?
めげないなこの人。
「鼻がいいので加減考えないで付ける人が臭くてしょうがないんですよね…」
「ファブり過ぎッて事!?」
ちょくちょくナンパしてくるアホを追い返して適当に資料を纏める。
現在、船の所有会社に社員として潜入している。偽の経歴書用意すんのが一番面倒だったが、プロに依頼したら意外と何とかなるものらしい。
「クロメーテルさん相変わらずキツイですねぇ。男に愛想よくしたらどうですか?」
「極秘資料でも見せてくれるなら考えますが」
「産業スパイ?」
「いえ武偵です」
「クロメーテルさんって冗談下手だよね~」
なんで信じて貰えないんだろうか。
人事、庶務、法務、企画。
あちこち回らせられる中(窓口業務はストーカーされた時の話したら拒否が通った)で耳が早いというかなんで知っているんだ?と思うような情報通は見つかるものだ。今話してるこの人がそうだ。
普通にバレてるっぽいから明かしたのだがなぜか冗談扱いされている。どっちだろう?
「あっちこっちで人気だよねぇ。クロメーテルさん自分の部署にいれようとバチバチしてるよ」
「探しもの見つけたら即辞めるんですが」
クロメーテルは最初はやっかみも割と多いのだが、多少過ごすとなぜかポンコツ扱いされてやっかみが減っていく謎の特性があるらしく、捜査がしやすくなる。
仕事をミスしたわけではないのだが、素で女性割引が適応されるとか思ってなかったり、多目的トイレしか使わなかったり細かい所でポンコツ扱いされるみたいだ。
やるなら思考からなりきれというが無理なものは無理である。
「あ、やっぱり?うちの会社ヤバいからねえ」
「まあこんな私をねじ込むこの会社はだいぶヤバいですが」
この会社に入る時は人事権持っているおじさんに居酒屋で酌してやるから飯奢れ、と近づいて就活上手くいってないんですよと愚痴っただけで簡単に
こんなあからさまなハニトラに引っ掛かるとか、この会社は別の意味でヤバいのかもしれない。
「ちょっと前の海難事故で困ってるみたいだからね~。転職考えた方がいいかな」
「早めに逃げた方がいいとは思いますね」
「やっぱり?インターンにそんな事言われるなんてねえ。もしかして入社諦める感じ?」
「ちょっと関わっただけでヤバそうな話ばかり聞こえますからねえ。泥船ですよ」
半月ちょっとインターンとして働いてみて、法務や事故対応班などを調べてわかった事はこいつら碌でもないの一言である。
見舞金ばら撒いての乗客に依頼するとか贈賄罪、信用毀損罪、名誉毀損あたりが該当するか?
船自体に構造的欠陥が発覚し、運航をやめて買い替え等をするより、事故で船を沈めて保険金を受け取るために闇組織に秘密裏に依頼していたようだ。これを割り出すのが一番時間が掛かった。
兄がいたのも被害者の生存を多くして評判の悪化を最小限にしたかったかららしい。
過剰なネガキャンは後ろめたさの裏返しだったのだろうか。素直に船買い替えた方が将来的に得だったろうに。この情報を使えば会社は潰れるだろうからどうでもいいけど。
「そういえば今からでも武偵取れないか考えてるみたいだよ」
「今は売れ残りしかいないと思いますが…」
会社に入ってから知ったのだが武偵の需要は結構高いみたいだ。例えば船の乗務員に武偵を雇って普段は船内作業をして貰い、いざという時対応させるとかそういう話も出てるらしい。
聞いた話じゃ銀行などだと荒事に慣れてる武偵などの武力を持っていそうな相手に取引とかする場合は雇っている武偵に対応させるらしいし、業務する警備員みたいなものが近いのだろうか。
学警武偵とかいるし、治安の悪さは根源的治療しない限り直らないだろうが。対処療法にはなるだろう。
ここで入手した情報を使えば会社は潰れるだろうからどうでもいいけど。
思ってたより簡単に資料が手に入って逆に困惑してるが、楽な分は気楽だしいいや。
依頼した闇組織は向こう側から構造的欠陥やらを盾に接触したようで、脅迫みたいなもんだと思うが当事者としては気が気でなかったのだろう。手掛かりはほぼないが一つだけ判明した名は
イ・ウー
何の名前かコードか知らんが、兄を探すための手掛かりになるかもしれない。
まあ、証拠は掴んだんだ記者にでも流して復讐優先するか――兄さんが生きてる以上復讐を優先する意味もないし、保険会社と交渉して金を取るか。
辞表を出して約2週間、インターン終了した。
その間に保険会社に話を通して辞めると同時に保険会社が立ち入り調査する方向性で話は決着したので明日から会社は大変な事になるだろう。
いくつか証拠のコピーは渡しているが実物押さえてから報酬を支払うそうだ。踏み倒されない様に気をつけよう。
女装を止めれて晴れやかな気分だ。イ・ウーとか調べなきゃならん話はいくらでもあるが今はこの晴れやかな気分を楽し「ねぇ。あなた何処に消えてたの?」
耳元で聞き覚えのある声とサフラワーのような香りがした。
マキリさんだ。
しれっと手首も掴まれてるし、詰んだなこれ。
「ちょっと私的な捜査をしてまして…」
「その捜査で上役の私に話が来たのよね」
上役?
まだ入ってないはずだが。何ならあれ以来気まずいから顔合わせないで二か月以上経過してるし流れてるかと思っていたのだが。
「なして?公安が出てくる案件じゃないでしょ?」
イベント会社の海難事故偽造とか公安というか警察の仕事だし。
「特I級国家機密を探ろうとしたからよ。心当たりあるでしょ?」
「特I級国家機密?あのイベント会社がそんな事に関わってるとは思えんのだが」
「イ・ウー」
「――あーそれかー」
イ・ウーに関しては裏取りが十分でないから、保険会社には言ってない。なのになぜ公安にバレた?
そういやネカフェでイ・ウーについて軽く検索したけど何もでなかったなー。そっからか?
「機密の関係で口封じしないと、いけない、の」
あかんギア上げて来てる。
殺される前に話逸らしてから機密漏らさない事を保証しないと。
「いやー。久しぶりの再会でそんな物騒な話よしません?顔ぐらい合わせましょ?」
「…そうね」
あっさりと離されて覗き込むように回り込んできた。
…ん?なんか怒ってる?
「久しぶりね。私からの連絡を無視するとはいい度胸ね」
「え?連絡無視は――あ」
そういえば気分が死んでた時に着拒してたな。そのまますっかり忘れていた。
「心当たりがある顔ね」
「イヤイヤイヤイヤ今回は偶然ミスしただけなので許して下さいごめんなさい」
この後、地獄の鬼ごっこの後に死の淵を見た。
メガネーテルさんを想像したらスレンダーななっちーになるんだけど
あと伊藤マキリさんのスメルで思ったけど描写の無い桜ちゃんのスメルが桜ってのは安直かな…?
原作何巻まで読んだ?
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読んでない
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