遠山キンジの独白 作:緋色
空から来た女の子
セグウェイには
爆弾魔と言われる武偵殺しの手口だ。
爆弾魔は目立ちたいとか、自分が相手にされてないから強制的にでも自分を見ろという欲求を持ってるとされるが、そんな奴が俺を狙うなや。
なんか恨みでも買ったか?心当たりが多すぎてわからない。
武偵殺しは逮捕されたと聞いているが模倣犯か?いや、今はそこはどうでもいい。
爆弾魔は脅迫する場合はより人の多い場所で爆破したがるものだ。巻き込む事を考えるなら人の多い地域へ誘導するだろうし、俺だけが狙いなら多少の融通は利くはず。
被害を最小限に抑えるなら向かうべきは空き地島か?あそこ風力発電用の風車以外は何もないからな。とりあえず次の角を右に『次の角を左に曲がりやがれです』
やっぱそうなるよな!
セグウェイの最高速度は時速19キロ、対する自転車を本気で漕いだ場合の最高速度は時速40キロ前後かな?感覚的に。
爆弾さえどうにか出来れば逃げ切る事は可能な範囲か?
セグウェイが改造されててそれ以上の速度が出るなら意味ないか。
となると人の多い地域に入る前に自転車を乗り捨てて、爆破の勢いで逃げるのがベターな選択か?
爆破の勢いで跳ぶのは初めてだが失敗しなけりゃ何とかなるだろう。失敗した時の事は考えないポジティブだポジティブになれキンジ。
むしろ爆弾避けるためにジャンプした所で狙い撃ちされる方が怖い。しかし全力で漕いでると銃使えんからセグウェイどうにも出来んし――詰んだな。
とりあえず全力で漕ぎながら次善策で空き地とか海に突っ込めば自転車喪失と俺の怪我だけで済むかもしれない。うまくセグウェイを巻き込めるかがポイントだな。
交通状況を全力で把握し、減速しないように障害物を避けて走る。
そんな中、前方の建物の上から飛び降りる人影が視界の隅に入る。
飛び降りてから展開したのはパラグライダー?
「そこの馬鹿!さっさと頭下げなさいよ!」
アニメ声でそう言い放った少女は、銃撃でセグウェイを破壊する。
すげぇ。
不安定なパラグライダーで双銃で全弾命中とか俺でも無理だぞ。
それは置いといて、セグウェイの銃撃に怯えなくてもよくなったから、あとはサドル引き抜いて捨てれば被害最小限で済ませられるな。
「ありがとう!この自転車には爆弾がついてるから離れてろ!後はなんとかする!」
一番近いのは校庭か。ど真ん中で爆発させれば被害者は出ないだろう。
「なんとかするって何するのよ!」
「頑張る」
さて、とりあえず校庭に向かっていくが予想通り誰もいないようだ。
これから始業式だし予想が当たって良かったぜ。
――なぜか着いて来てる少女を除けば。
「離れてろっつたろ!?」
「武偵憲章1条!『仲間を信じ仲間を助けよ』――行くわよ!」
仲間でもないし俺の事信じてませんよね?
もしかしてヤケ起こしてると思われてるの?迷惑なんだけど。
一度距離を取って、パラグライダーで逆さ吊りになって正面からこっちに向かってくる。
あれですれ違い様に
ここでクエスチョン
全力で漕いでいる自転車の正面からバラグライダーですれ違う様に人を攫う場合どうなるか?
答え
相対速度で肉体に大ダメージが入る。
原理としてはクロスカウンターみたいな感じだ。物体Aの質量x物体Aの速度+物体Bの質量x物体Bの速度=威力なのだから当然だが。
自分が相手に与えるダメージは後ろに飛ぶことで緩和するつもりだったが、相手からのダメージを計算していなかったのが敗因である。
たぶん女子にはダメージは入ってないと思うが、俺の胸部に女子の頭突きが入った上に爆風で吹き飛ばされたら意識がとんでも仕方のない事であろう。
目が覚める。
感覚的には2分くらい落ちていたようだ。というかここどこだ?動けん。
「――ん」
視界一杯に女の子がいた。
「!!!!!!?!!???」
落ち着け俺。たぶん敵じゃねえ。一旦、目を閉じて深呼吸する。
ゆっくり目を開けてもう一度確認する。
呼吸心拍に異常は無し気絶してるだけだと思われる。
匂いを確認すると血液特有の鉄分の臭いはしない。硝煙とクチナシの香りがする。クチナシはこの子の香りみたいだ。とりあえず緊急事態ではなさそう。
狭い上に馬乗りにされてるから動けないみたいだな。
少し周りを確認すると、どうも隙間から体育で使うマットやハードルが見える事から体育倉庫の跳び箱の中みたいだ。
――どんな奇跡があったら跳び箱の中に納まるんだ?
それは置いといて改めて見るとピンクブロンドのツインテールがとても可愛らしい女の子だ。
サイズから140cm超えてるぐらいだし、成長具合から中等部――もしかしたら最近始まった小学生のインターン?流石にそんな子供があそこまでの胆力無いだろうし中等部かな。
守備範囲外だな。
なんか顔にヒラヒラしたのが当たると思ったら名札かこれ。
武偵校では人の顔や特徴、名前を覚えるというスキルを身に着ける訓練として4月前半に名札を付けて過ごす決まりがあり、これはそれだろう。
神崎・H・アリア?
ミドルネームありとは珍しい。海外の血が入ってるのか?
それは兎も角なぜ顔に当たる位置に名札が?
そう思って視線を下げると思いっきり服が捲れ上がっており、ブラが丸出しだった。
これ寄せて上げる
ぺったんこがぺったんこ過ぎてブラ早いんじゃないか?いや余計なお世話か。
「この変態――!」
「…あ」
観察に気を取られすぎて少女がどう思うかを考えてなかった。
というか目が覚めて混乱してるのか思いっきり殴ってくるな!そもそも馬乗りになってるお前が客観的には変態やろがい。
「このチカン!恩知らず!人でなし!」
「誰が人外だ!人間だボケ!」
「どこにキレてんのよ変態!」
ギャーギャー騒いでたのが悪かったのか、急に跳び箱越しに衝撃を受ける。
「まだいたのね!?」
「『いた』って何がだ?」
この体勢だと外の様子がわからない。というかはよどけ。
「武偵殺しの玩具よ!7台いる。撃ち負けるから協力しなさい!」
背中越しに衝撃を感じたからわからんかったが、さっきのがまた来たらしい。
それはそうとして跳び箱って防弾性だったんだな。知らんかったわ。
「ならまず退けよ」
自転車漕いでる時なら兎も角、2台くらいなら素でも破壊出来ると思うが7台はキツイかな。
さて、どうするか。この子撃ち合うのに夢中で退く気0っぽいし全部任せるべきか?
「――あ」
撃ち合うのに集中してるせいか。跳び箱の隙間から覗いて撃ってるからかは知らないが意識が完全に戦闘にいってるらしく胸を顔に押し当ててくる。
小さくても柔らかい感触。水まんじゅうみたいなものが押し当てられている。
これは血流が――
――こない
そういえば俺は巨乳派だしロリは守備範囲外なんだよな…。
白雪やマキリにちょくちょく押し当てられてるからボリュームがないと物足りないというか。
包み込まれたいというか。
「音が止んだが終わったのか?」
「射程圏外に追っ払っただけよ。すぐ来るわ」
あれで追っ払うだけなら、もう自分がどうにかするしかないのでは?
しょうがない。危機的な状況で年下相手に任せっぱなしでは男が廃る。
子供を守るのが格好いい男だ。
「オーケー。ちょっと我慢してくれ」
「はにゃ!?」
お姫様抱っこと呼ばれる抱き方で、アリアを抱えてから跳び箱の中から飛び出す。
これはカッコいいお兄ちゃんポイントではないか?自己暗示的にも。
同年代や年上の女性がいる時は普通にヒスる事も多いが、
ようやく跳び箱から出れた。
ぐいっと伸びをしてから、考える。
年下に任せっ放しだと体罰フルコースだろうし、頑張るか。
「それじゃ後はお兄ちゃんに任せなさい」
「は?お兄ちゃん?頭おかしいの?」
――ドクンッ
やっぱ年下からのお兄ちゃん呼びが一番掛かりが早い気がする。
シスコンなのか俺?
「実はお兄ちゃんは強いんだぜ」
そう言いながら体育倉庫から出たらセグウェイに囲まれていた。
――見える。
照準はすべて俺の頭部。
必殺の銃撃だ。
だが、正確に頭だけ狙うなら避けやすい事この上ない。こういう時に恐いのは複数個所を狙った攻撃だ。
一点狙いの正確な射撃なんて実戦じゃあまり恐くない。むしろ狙いが適当な素人の方が怖い。
スウェーのように頭を動かしフルバーストで
何時かは素で全破壊出来るようになりたいものである。
「凄い…。あいつ何者なの…。あ――」
ドヤ顔で振り返ったらなんか再度跳び箱に収まっていた。
あれー?ここで驚いたり感謝するリアクションじゃないの?
近づいたらギンっと睨まれた。なぜ?
「恩になんか着ないわよ。あんな玩具あたし一人でも何とか出来た!これは本当よ!」
カチャカチャやってるのを見るにスカートのホックが壊れてたらしい。
爆風で壊れたのか?仕方ないベルト貸すか。
「それに今のでさっきの件を有耶無耶にしようたってそうはいかないから!アレは強制猥褻!歴とした犯罪よ!」
「…客観的には人の上に馬乗りになってたアリアちゃんが、それしてたことになると思うよ?」
自分のベルトを引き抜いて跳び箱に収めると、案外すんなりベルトを使った。
意外と素直だな。
「あとお兄ちゃんは今年で高校2年――小学生に興味はないんだ。5年――いや8年後にまたチャレンジしてくれ」
「それどういう意味!?」
どういう意味って。低年齢に興味がないだけですが。
お兄ちゃんモードなので余計に性欲でないし。
でもこういう事年下に言うと何故かキレられるんだよなあ。
表情で何かを察したのか怒りが湧き上がってるようだ。
「こんなヤツ…助けるんじゃなかった…!」
これは失敗したか?大噴火するぞこれ。
「あたしは
――え?
こいつ
ってそれどころじゃねえ!?
銃を抜いてぶっ放す癇癪起こす危険人物は制圧しないと。
距離を詰めて組付き銃を無効化する。
頭に血が上ってるのか乱射するからすぐに弾切れになる
襟首を掴まれ、そのまま投げられる。
あのまま制圧するつもりだったが想定よりも強い!
あの状態から投げれるとかそこら辺のAランクでも難しいぞ?
銃に格闘技、戦闘特化タイプか?
ただ自分みたいな怪人特有のオーラは感じないからスペックが高いだけだな。いわゆる人間の範囲だ。いや俺も人間ですけどね?
「あたしは犯罪者を逃したことは一度も無い!あれ?」
「忘れ物かい?戦闘前にはちゃんと用意しときなよ」
「あんたいつの間に盗ってるのよ!?」
弾倉をさっきの揉み合い中にスり取っておいて良かったわ。飛び道具の無効化は最優先事項だからな。
「ゴメンよ」
そう言って適当に弾倉を投げ捨てる。
声にならない批判のようだが地団駄踏んでると同い年に見えない。やっぱ年下では?
今度取り出したのは日本刀か、こっちも双剣な辺り両利きなのかな?銃と違って刀剣はナイフみたいな短刀でも無い限り片手で扱うと威力が半減以下なのに、握力ゴリラなのかな?
もっとも弾倉を抜き取った後にばら撒いておいた銃弾を踏んですっ転ばなければ見れたかもしれない。
これ以上は面倒だから逃げよう。
「待ちなさい!」
頭に血が上っているのか冷静さを保っていられてないアリアに対して、こっちはクールダウンに入り始めているとはいえヒステリアモード。
対テロ機動隊ぐらいからなら逃げ切れるさ。
これが俺、遠山キンジと後に『緋弾のアリア』として世界中の犯罪者を震え上がらせる鬼武偵、神崎・H・アリアとの硝煙のニオイにまみれた最低最悪の出会いだった。
「でっかい風穴あけてやるんだからぁ!」
おー、こえー。
クラスが違うならほっといたら勝手に風化するだろう(フラグ)。
100人のFBI捜査官から逃げきれるってのが原作ですけど
そいつらの凄さわからねえなと思ったので実戦に投入される機動隊にしました
原作何巻まで読んだ?
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読んでない
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1~10
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11~20
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21~30
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31~39