遠山キンジの独白 作:緋色
あれからいろいろあった。
警察からの事情聴取やマスコミの取材(これは全部アリアに押し付けて逃げた)、防衛省に哨戒できてねえのかと苦情言いに行ったり。
まあ、いろいろあった。
それで今は――
「えー、皆々様。ハイジャック解決とか後輩の事件解決祝いとかいろいろありますが、いろいろ感謝してるのと反省文書きたくないので――肉食えや!」
「「「ごちになりまーす」」」
政府から口止め料を十二分に貰ったので俺の奢りでBBQをしていた。どっかの店でやろうかと思ったが人数多いのと、BBQしたいなという唐突な欲求により広場借りてBBQをすることになった。思ってたより調達が面倒だったので二度目はやらないが。
そんな事を考えているとアリアに話しかけられる。
「あんたなんでボロボロなのよ?事件の後の検査では特にダメージなかったわよね?」
『武偵殺し』逃がしたので拷問されたからです。
あと事件後も普通にダメージ残ってたぞ。なぜかキレたアリアにタコ殴りにされたから目立たなかっただけで。
「あー、北斗神拳の使い手と戦っただけだ」
「北斗神拳?」
「指先一つでダウンさせるめっちゃ強い奴」
「あんたあの後でも活動してたの?タフね」
「そーかねぇ?」
何度も襲われてるせいで頑丈になってる気もするから間違いではないのかな?
「それにしても――こんな風に騒がしく食べるとか想像もしてなかったわ」
「まあ普通はあんまりしないな」
反省文書きたくないから奢りで誤魔化してるだけだし。
なぜかアリアは憧憬を含んだ目でみんなを見ているが何かあったんだろうか。
「悪くないわね」
「そうか」
……。
なんだこの空気。
こいつ皿になんも載ってないな。よし
「おらハイジャックのヒロイン?だ。崇め奉れ!」
「ちょっと!?」
面倒だったので適当な人ごみに押し付ける。
なんか歓迎されてるしいいだろう。
あといつの間にか関係なくタダ飯食いに来たのも紛れ込んでるが、片付け手伝わせることでチャラにしよう。
「おうキンジ!今日は気前がいいな!」
「うるせーぞ武藤。俺だって出すときゃ出すよ。後輩もいるしな」
「お前わかりやすいなあ……」
「うるせー。おら野菜食え野菜」
「おいいいぃぃぃ!?キャベツばっか載せるな!?今日は肉食うつもりだったんだぞ!?」
「おめーら、こいつが野菜食ってる間に肉食いつくしてしまえ」
「鬼かてめえ!?こん畜生!」
ペースを上げるノリのいい武偵生徒達に負けじと、キャベツをかっこんで肉を取りに行く武藤。
盛り上げ役のお調子者がいないのは寂しいが、全体的に盛り上がってるようで何よりである。
適当に練り歩きながらしれッと交ざってるやつに片付け手伝えと声かけて回っていたところで
「本日はお招きいただきありがとうございます」
「今日は無礼講だから好きに食べな」
「御馳走になります」
そう言って頭を下げるのは…誰だっけ?どっかで見たような気がするが、武偵校の制服着てないので少なくとも武偵じゃなさそうだが。というか招いたっけ?
話したことあるなら覚えているだろうがと脳内で検索していると
「ののか。変な事されてない?」
「失礼だよ。お姉ちゃん。すいません姉が無礼で」
「礼儀は期待してないから別にいい」
警戒してる間宮が割り込んできて、ようやく思い出した。
間宮の妹だったか、病室で見た記憶が少しあったのだろう。逆によく朧気に記憶あったな。
招いた云々はアリア経由で誘われたとかそんなんだろう。
「五感を奪う毒だったらしいが治ったのか?」
五感を奪う毒というのも凄いが、2年の潜伏期間があるのが意味わからない。病原菌なのかと思ったけど陽菜の説明だと化学式で表される毒らしい。
どういうこっちゃねん。
「問題なく解毒できてるよ!」
「――だそうだが?」
「今日は念のため再検査しましたが、五体満足に健康のお墨付きを得てます」
「なら良かった」
弟子のやらかした事ではないが、後腐れなく恨みが残ってないのはいいことである。
――あ、そうだ。
「夾竹桃の逮捕。大儀であった」
「――なんで偉そうなんですか」
「?あー、こういうのがいいかと思ったが」
陽菜が懐古主義だから慣れてたけど対応としては間違ってたな。
あと俺は気にしないけど気に入らないからって敵愾心隠せや。
わかりやすいから不意打ちバレバレな点で直さなくてもいいけども。
どうするかなと考えていると黒髪ロングな子が割り込んでくる。
「あかりさん。こっちがよく焼けてますよ」
「ありがと
「しの?佐々木志乃?」
「はい。そうですが……」
嫌そうなのを隠して普通に対応しようとしてくる。
なんか嫌われることしたっけ?
「白雪から
頭の先からつま先までざっくり眺める。黒髪の大和撫子系統で白雪と似てるが――
胸元と靴先に隠しカメラ。確か1円玉より小さいデジカメで無線で動画容量が溜まったら逐次クラウドにアップロードするらしい。
「――なるほど白雪の
あいつ変なこと教えて毒すのやめるように説教せんと。でも何度かやってもやめねえからな……。
「ん?白雪の
「違います」
「お兄ちゃんと呼んでもいいぜ」
「お断りします」
「そうか残念」
雰囲気的には粉雪に似てるなあ。経験上、俺の事を好きにならないタイプなので、比較的仲良くしたいタイプではある。
「あかり先輩に佐々木先輩。遠山先輩は嫌ってる相手の方が楽しみますから、普通に対応した方が後々、楽ですよ」
「桜ちゃんは俺の事どう思ってるの?否定はしないけど」
ため息をついて忠告してくるのは珍しく武偵校の制服を着ている桜ちゃんである。
陽菜はこの機に食い溜めする気なのか結構食べてるようだ。
「まあ褒めに来ただけだから気にすんな」
「褒めにですか?」
「俺の想定だと全滅だったからな。死人一人出ず逮捕できたのは快挙だ。大儀であったと褒めたわけだ」
桜ちゃんには夾竹桃が逮捕不可が確定した時には、速やかに0課のおっさんに連絡するように言っておいたし、追撃の手筈も一応整えておいた。
それが無駄になったのはいいことではある。
褒めた結果か緊張が弛緩するのを感じる。そういうのを隠せない時点で未熟なんだが、言うだけ野暮か。
「師匠。間宮殿へ優しいでござるな…。弟子は某ですぞ」
「自分から毒ガスに突っ込んで負けるとかどう褒めろと?」
――スッ
「別に正座しなくていいぞ?」
「お叱りはしっかり受けるべきかと」
「……じゃあ、説教するけど。戦闘レポートは読んだが、まずビルとビルの間にワイヤー張ってる事に気が付いたのにどうして共有しない?それで予備戦力の桜ちゃん呼んで2vs1にするだけでも有利に進めたよな?時間稼いで袋叩きにするのも手だろ。次に毒ガス。防毒効果あるからって突っ込むんじゃねえ。粘膜吸収型なら目が潰れてたぞ?最後に発信機つけれたのは良かったが、毒撃ち込まれてるのは戦死判定だろ。――ほぼ全員戦死してるから目立たんだけで大問題だぞ」
「うぅ……」
まったく。
言い過ぎたかな?
「頼らずに仕留めようとした判断自体は間違いじゃないから、リスクヘッジはしっかりとれ」
「御意」
陽菜はこれでいいか。それはそれとして
「なんで桜ちゃんも正座を?」
「怒られる心当たりがありますので……」
「……なら言うけど。予備戦力である以上、メインの一年らに任せるのはいいとしてそいつらが負けてからの追跡がばれたとはいえ一人で挑むな。他のアホにも言えるけど毒使い相手に対策してなさすぎ、左手の毒手を防ぐために手錠で封じれたのはいいが毒ガスで普通に返り討ちにされてるし。ここは足止めか追いかけさせて包囲が理想かな」
「……ですね」
「判断自体はそこまで悪くないし実力差がありすぎただけだな」
えーっと、今こいつらに必要なのは……。
「各自反省を生かして
「「「「「はい」」」」」
あれ?なんか返事が多い。アリアから説教されてるだろうから自分の弟子系列だけに言ったつもりだったのだが、全体に言ってると思ったのだろうか?面倒だし訂正しなくていいや。
さっさと本題に入る。
「さて、一応参加メンバー全員いるな?これ、逮捕した犯罪者の賞金申請書類な。自分で出さんと賞金貰えんぞ?締め切り明日までだし。書いて
なんとなく陽菜に確認したら賞金の事話題に出てなかったとの事だったので、桜ちゃんは兎も角、陽菜はまた困窮しそうなのでこうやって先回りしとく。
「賞金首かどうかはちゃんと確認しとけよな」
そういって功労者の間宮に渡すが。
「いりません」
「お前の感情は知らん。報酬はきちんと分配しろってだけだ。お前が貰わんのは勝手だが貰える報酬を自分勝手な判断で貰わんのは亀裂が入る。――いらんのなら、うちの子に全額押し付けとけ」
「し、師匠某は別に――」
「学費払うのも厳しい状況じゃなかったら言わんが?」
「――はい」
ばらされたくなかったのかガックリしてる陽菜は兎も角、金と聞いて多少目の色が変わるやつをチェックしておく。金で雇えるのはアドバンテージだからな。
「話し合いはそっちでしな。んじゃ」
そういって押し付けてから、俺も肉食いにもd――全部食われてる!?
逮捕はできましたが全滅判定なので褒めることじゃないと思ってます
原作何巻まで読んだ?
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読んでない
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1~10
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11~20
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21~30
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