遠山キンジの独白 作:緋色
こっちだとどうしようかなあと考えてます
早とちり
星伽白雪は、大和撫子だ。
つやつやした黒髪ロングの、おしとやかで慎ましい、古き良き日本の乙女。
炊事・洗濯が上手で誰にでも優しい良妻賢母のタマゴなのだ。
――基本的には
「アリアはキンちゃんのこと、遊びのつもりだよ!絶対そうだよ!」
何を勘違いしてるのか知らんけど、
「何の話か知らんが落ち着け白雪。俺は真剣だ」
仕事は真面目にやらんと死ぬからな。
いろんな意味で。
「真剣!?そんな!?私に勇気がなかったからキンちゃんは外にっていうか内に女を…」
ん?これアリアと付き合ってると勘違いされてんのかこれ?
「それ以上勇敢になられても困るわよ」
「キ、キンちゃんと恋仲になったからっていい気になるなこの毒婦!」
そう言いながらアリアに斬り掛かる白雪。
やっべえ考えてたら反応遅れた。
しかし、アリアは咄嗟にパシッと真剣白刃取りをする。
すげぇ。
刀との角度とタイミング合わせなければ真っ二つになるから普通は避ければいいのに敢えて取るとは!
「バーリトゥードね!」
白雪は刀を取られると思ったのかあの体勢からバックドロップのように反り返り頭から床に叩きつけようとするが、ふわりとアリアは飛んで銃を構え、斬り掛かる白雪と鍔迫り合いをする。
ちょうど膠着状態だし、警備が向かって来ている音もするし、ここで二人共押さえるか。
矢指で二人の目潰しをして武器を取り上げて転がす。そのまま二人の肩を抱いて座らせた所で
「動くな!」
警備の武偵が到着したようだ。
「あー、大した事じゃないよ。痴話喧嘩」
やり合ってるところ見られたら面倒ごとに発展するから先に抑えられてて良かったな。
「またあなたですか!扉とか切り裂かれてるのは大した事ですが?襲撃ですよね?」
俺に確認する風だが先日、アリアが暴れてたことで真っ先に犯人扱いされるアリア。
信用ねえなあ。まあ前科が前科だから当たり前か。
「それは――」
白雪が何か話しかけたが余計なこと喋られても困るので人差し指で口を封じる。
傍目から見たらアレな奴だが仕方ない。
「家主だから問題ない。すぐに直すしね」
「はぁー。あんまり問題ばかり起こすなら出てって貰いますからね!ここ賃貸ですし」
持ち主は俺なんですが、いや気持ちはわかるけど。
面倒ごとにはかかわりたくないのかさっさと退散した警備の評価を内心下げつつ、ざっくりと扉をはめ込んで直してから話を戻すことにする。
扉の本格的な修理は明日やる。
「邪魔者はいなくなったから話を戻すとして、まず白雪。俺とこのチンチクリン「風穴」とはそういうんじゃない」
「ホント…?」
「本当。仕事上のパートナーって奴で犯罪捜査の協力してただけだ」
「ならなんでキンちゃんの部屋で?」
「夕飯時に押しかけてきたから知らん」
よく考えたら俺の部屋でやる意味ないな?
まあ、他に聞かれない範囲で話せる場所も少ないから別におかしくないが。
「これの言う通り捜査で話してただけよ。勝手に作って食べだしたんだから私は悪くないわ」
確かに無礼かもしれんけど、勝手に人ん家に入り込んでるやつに言われたくないんですが。
「この料理はキンちゃんが?」
「白雪帰ってくるとはいえ、今日来ないと思ってたしな。自炊くらいはする」
「そんな!ちゃんと連絡してくれれば作りに来たのに!」
「あぁ、うん。今度からそうするよ」
古い家――伝統を重んじる星伽は厨房は男子禁制だと判断してるのか、俺が厨房にいることを良しとしないみたいである。
前に普通に手伝おうとしたらすごい困ってたので、それ以来任せられる時は任せるようにしている。
……そういやあの時の料理の完成品に使ってない食材多かったような?隠し味だったからバレたくなかったのか?
そんなわけで無理してでも来るので呼び難いし、白雪に任せた後は妙にヒスりやすい気がする。
やっぱ好みど真ん中なんだろうか?確かに家庭的な黒髪ロングは好きだが、どっちかと言えば年上趣味なのだが。カナとか。
「キンちゃんはアリアとそういう事してないよね?」
「なにを?」
「キ、キスとか」
……キスか。
そんなことはした覚え――してたわ。ヒスるために飛行機で。
「――した――のね」
どうこたえるか悩んでいたところ、白雪には見破られたのか呟いた瞳孔が、すーっ、とかっぴらいていく。みるみる内に表情を失いホラー映画真っ青の顔で言う。
――怖っ!?
「そ、そ――――そういうことは、したけど!」
反対側ではアリアが、なんでかご起立なさった。
そして寄りも上がりもしない偽装胸を、思いっきり張ってみせる。
「で、でも、だ、だ、だ、大丈夫だったのよ!」
大丈夫?虫歯でも移ったのか心配してんのか?
「昨日分かったんだけど! こ、ここ、こ」
「子供は出来てなかったから!」
何を言っとるんだこいつは
しかし効果はあったようで
「私まだAまでしかしてな――」
――どて
「白雪ー!?Aが何か知らんけど、アリアとそういう行為はしてない!!勘違いしてるぞ!?」
魂が抜けたように倒れた白雪に駆け寄り、脈拍と呼吸を確認する。
気絶しただけのようだ。
「なに言ってるのよこの無責任男!」
「お前こそなに言ってんの!?そういう行為してねーだろ!」
「とぼける気!?あんた無理矢理キスしたじゃない!あたしあの後結構悩んだのよ!?」
「それは謝るが子供関係ねーだろ!」
この噛み合わん感じなんか致命的に前提情報が違うんじゃ?
「…一応、確認するけど子供どー作るのか知ってるのか?」
「知ってるわよ!キスすると子供が出来るってお父様が言ってたもの!」
こいつ箱入り娘だったのか?いやでも武偵校に行ってるし違うな。
イギリスって学校とかで性教育しないのか?
日本だと中学の保健体育かなんかでやるし、武偵――特に女子なら性犯罪に付いても学ぶはずなんだが?
人工呼吸とか救護知識も一通り必修のはずなんだがそこで変に思わなかったのだろうか。
思わなかったんだろうなあ。
「……幼稚園児」
「どういう意味!?」
ギャーギャー騒ぐアリアは置いといて、とりあえず白雪をベッドに寝かしておく。怪我とかが原因じゃねえから問題ないはずだが転がしておくよりかはマシだろう。
下手に勘違いとけてなかったら面倒だしな。
「いろいろあるけど今日は帰ってくれマジで」
「なんでよ!」
「状況が悪化すると面倒くさい。というか子供の作り方は自分で調べてくれ幼稚園児」
「あんたが教えなさいよ!」
「…………………………………………………………そういう意識ないんだろうけど。急にドスケベワード出されると反応に困るな」
「え?!」
「男が教えると問題しかないし、まず自分で調べてくれ頼む。なんならCVRに教練して貰え」
「わかったわよ!」
肩を怒らせながら去っていくアリアを見送ってから、白雪の容態を確認しようとベッドを覗いたら――誰もいない。
「うっそだろおい」
きれいに整えられてるから自分の意思で去ったようだが、これ絶対ややこしいことになるだろうな。
白雪の料理はキンちゃんが基準なのでどんどん隠し味が増えてます
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31~39