遠山キンジの独白   作:緋色

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白雪は優等生でやばい所は原作武藤とか見る限りほぼバレてないんじゃないんですかねえ
教師にはバレてる気がしますけど


護衛するなら

 2年B組の担任で尋問科(ダギュラ)の教諭綴先生が、室内でも真っ黒なコートを羽織って黒い革張りのイスで編み上げブーツの足を組んでいた。この人マフィア的な座り方めっちゃ似合うな。

 

「なぜ呼ばれたのかわかるかぁ?」

 

 破った英字が書かれた紙に草を巻いてつばで留めた後、火をつけた自作煙草を吸いながら綴は言った。

 煙草そんな風に作るんか。知らんかった。

 

「まだキスまでしかしてません」

 

 妙にヒスい光景だったせいか変な台詞が出た。

 これは俺悪くないと思う。

 

「それは聞いてねぇ。ていうか清い交際してんなお前ぇ。ホントに男かぁ?」

「まだ結婚できる年齢じゃねーので」

「ある意味誠実だなぁ。タラシまくってる癖によぉ」

「慕われているけど好かれてはないんじゃないですかね?ちょくちょくボロクソに言われますし」

「……まーいいや。本題に入るぞぉ」

 

 なんか面倒だから諦めた感じだな。

 本題は白雪のそっくりさん?の事だろう。しかしよく知らんしな。

 

「星伽ぃー。護衛付けろって言ったよなぁ。なんか出た以上実害が出てるので護衛を付けなさい。これは命令です」

 

 ふーっと吐く煙草――じゃねーな。なんか非合法ではないが法規制されてない煙の臭いがする。そんなもん生徒の前で吸うなや。

 

「護衛?」

「んー?諜報科(レザド)魔剣(デュランダル)が星伽を狙ってる可能性が高いってレポートを出した。超能力捜査研究科(SSR)だって似たような予言をした。そんで出たのが星伽に化けた奴――恐らく魔剣(デュランダル)だ」

 

 デュランダル?

 フランスの叙事詩『ローランの歌』に登場する英雄・ローランが持つ聖剣だったか(ゲーム知識)

 黄金の柄の中には聖遺物(歯とか髪とか)が入っておりどんなものでも斬れる剣だとか。

 

「アホなこと考えてる顔してるが超偵ばかり攫う誘拐魔だ。周知メールくらい読め」

「うわちゃ!?」

 

 ジュッと急に根性焼きをされる。

 一瞬だったから火傷はしてないようだが根性焼きなんてするかフツー!?

 

「思い出しましたけど。実在が疑われてる上に賞金掛かって無いならあまり興味無いもので忘れてましたよ」

 

 最近は趣味と実益を兼ねた賞金稼ぎ(バウンティハント)の優先度が低いとはいえ、一通り確認してるが超能力関係の犯罪者は賞金が掛かりにくいのかあまり見ない。裏サイトだと別だが。

 というかテロリストぐらいしか賞金首にならないのでは?有名な超能力者というか魔女のテロリストは賞金首になってるらしいが。異名だけで詳細不明なのやる気ねーだろとは思う。

 

「それで出たのが星伽に化けた誰かだ。星伽ぃー。実害出てるんだから護衛雇ぇ。遠山にでもやらせとけ」

「キンちゃんに!?」

 

 そこそんな驚く事か?

 同棲とかブツブツ言い始めたので一旦無視して話を続ける。

 

「護衛するのは構いませんけど、同性の護衛いないと厳しいですよ?魔剣(デュランダル)も女でしょうし」

「お前ならどっちもやれるやろ」

 

 確かにクロメーテル化ならやれない事はないっちゃないけど。

 個人的に嫌だし。

 

「あっちは戦いにくいんで。あと四六時中なってると周りにバレますし」

「あっち?なってる?」

 

 トリップから戻ったのか余計なことが気になってる白雪は後で誤魔化しとこう。

 

「そらそうか。なら探さんとなぁ」

 

 そう言いながらギラリと上を睨む綴がグロック18を抜いたところで

 

「その依頼私がするわ!」

 

 上からなんか降ってきた。

 

「わにゃ!?」

 

 そしてそのまま綴にネコづかみされて持ち上げられるのは――アリア?なんでダクトから?疑問に思う間もなくだんっと壁際に投げ捨てられた。

 

「んー?なにこれぇ?」

 

 アリアの顔をしゃがんでのぞき込んだ綴は、アリアの頬を引っ張って「痛いわよ!」という抗議を無視して

 

「なんだぁ。こないだのハイジャックの片割れじゃん」

 

 こき、こき、となんか薄ら笑いを浮かべながらナナメ上を見つつ首を鳴らした。 

 

「神崎・H・アリア。ガバメントの二丁拳銃に小太刀の二刀流。二つ名は『双剣双銃(カドラ)』。欧州で活躍したSランク武偵。 でも―アンタの手柄、書類上ではみんなロンドン武偵局が自分らの業績にしてるなぁ。協調性が無いせいだ。マヌケぇ」

 

 綴はアリアのツインテールの根本を片方つかんで顔を確かめながら、ペラペラとプロファイルを語り出した。さっきの頬を抓ってたのは変装か確かめてたのかな?殺気も収まってるし。

 

「い、イタイわよっ。それにあたしはマヌケじゃない。 貴族は自分の手柄を自慢しない。たとえそれを人が自分の手柄だと吹聴していても、否定しないものなのっ!」

 

 アリアは綴にも怯まず、犬歯をむいて答えているが、むしろ貴族なら手柄の横取りに関しては苦情入れるべきでは?

 

「ヘー。損なご身分だねぇ。アタシは平民でよかったぁー。そういえば欠点……アンタ、およ「そそ、それは弱点じゃないわ! 浮き輪があれば大丈夫だもんっ!」

 

 それは大丈夫とは言わない。

 まあアリアは海外育ちだし、義務教育で泳げるように指導されてる日本とは違うだろうし泳げない事はあり得ることだな。

 ――こいつ海上任務とかも普通に出てたの度胸あるな。

 

「でぇー? どういう意味? 『ボディーガードをやる』ってのは」

 

 黒いおかっぱ頭を向けた綴の前で、 アリアは勢いよく立ち上がった。

 

「言った通りよ。白雪のボディーガード、24時間体制、あたしが無償で引き受けるわ!」

 

 ――なんで?

 

「……星伽。なんか知らないけど、Sランクの武偵が無料で護衛してくれるらしいよ?」

 

 黒いコートの裾を揺らして振り返った綴に、白雪は、

 

「い……いやです! アリアがいつも一緒だなんて、けがらわしい!」

 

 ぱっつん前髪の下の眉毛をつり上げ、予想通りのリアクションを見せた。

 

「白雪の気持ちもわかるが戦力的には護衛はありだと思うぞ?チビ「風穴」で敵戦力が化けれないだろうし、俺が護衛難しい場所も結構あるしな。性別的に」

「そうかもしれないけど……」

「あと言い忘れてたけどキスで子供ができると思ってるお子様だから問題も起きようがない」

「あ、あんたなんでばらすの!?ちゃんと勘違いだって学習したわよ!?」

 

 ツボに入ったのか笑い転げる綴を横目に苦情を言うけどお前が悪いからな?

 

「く、そ、それなら安心だね。ぷひゅっ」

「あんたも笑うな!」

「よし。誤解は解けたな」

「なにもよくない!」 

 

 うがーっと怒るアリアはカルシウムが足りてないんだろうか?

 牛乳でも飲ますか?

 

「蟠り無くしたんだから文句言うな。別に白雪から被害受けてるわけでもないしいいだろ」

「受けてるわよ!」

 

 ――ん?

 

「最近、あたしが1人だとあちこちでドアの前に気配がしたり、物陰から見張られてるカンジがしたり、電話が盗聴されてるみたいに断線したり、一般校区でも渡り廊下から水がかけられたり、どこからともなく吹き矢が飛んできたり、落とし穴に落とされたり!」

 

 なんだそれ?

 と思って白雪を見てみると困ったような顔をしてる。

 心当たりがあるのとないのが混ざってるような感じだ。

 

「『泥棒ネコ!』って書かれた手紙が送られてきたり。ネコのイラストつきで」

 

 それは白雪だな。たぶんやる。

 

「今日なんか女子更衣室のロッカーを開けたらピアノ線が仕掛けてあったのよ!あたしが身体的な理由によって――ロッカーの奥に潜り込まないと服を取れないのが分かってて、首の位置に仕掛けてあったんだから!」

 

 そんな凶悪なトラップ、強襲科の3年か諜報科じゃないと習わないようなヤツだぞ。Sランクだと授業内容が厳しくなるので凶悪トラップ対処もやらされるから知ってるけど。少なくとも白雪は習わん。

 白雪はやるなら直接攻撃だろうし。

 

「それ白雪じゃないな?」

「うん。心当たりないよ。他にも吹き矢とか落とし穴とかも」

 

 確かに他にも被害が出そうなのは白雪的にもおかしいか。あとで他のも説教するけど。

 

「は?じゃあ誰がやったのよ!?」

魔剣(デュランダル)じゃね?狙われる心当たりある?」

「――あるわね。あたしの事おちょくってるんでしょう。分断させようとしてるって事はあたしには来てほしくないってわけね」

 

 心当たりがあったらしい。

 まあ敵対してるなら都合いいか?無償だと言ってるし味方に付けといたほうがいいだろう。

 

「白雪。まあいろいろあるけどいったん置いといて護衛依頼するべきだな。俺も今回の護衛に雇いたいのが1()()いるし、ちょうどいいだろ」

「キンちゃんがそういうのなら……」

 

 何とか納得してくれたようだ。

 

「話はまとまったようだなぁ。それじゃ遠山の家で護衛されなさい。以上」

 

 にやにや眺めていた綴が勝手に話を纏める。

 

 ――なんで俺ん家?




ドキドキ同棲編開始

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