遠山キンジの独白 作:緋色
護衛というのは神経をすり減らすものだ。
些細な見落としが最悪の結末になりかねないため、神経を尖らせる必要がある。
そんなんだと持たない為、交替制にしたりですり減らした神経を回復させる必要がある。
つまり、ストレスケアってのも重要になってくる。
というわけで
「白雪ー。耳かき頼める?」
「すぐ用意するね!」
こういうのが効く。
「あんた自分でやりなさいよ」
「自分でやるよりやって貰いたいじゃん?」
夜中にちょっとした物音で飛び起きるアリアの過敏反応のストレス緩和が目的って言っても逆ギレするだろうし、なんで白雪が俺の世話することでストレス緩和してるのかはよくわからんし。
「締める時は締めればいいんだよ。ほら隙ある方が近寄ってきそうじゃん?」
「そうかもしれないけど…」
「緩急つけてくるもんだし、こっちも緩急つけて誘い込まなきゃ」
相手の情報ほぼないから出たとこ勝負にしかならんし。どうしようもない。
「さっきからなんの話です?」
「優先順位の話かな?」
準備ができたようなのでウェルカム!してる白雪の膝にごろんとする。
あー。耳がすっきりするんじゃー。
「こいつが無防備なの見てると気負ってるのが馬鹿らしくなるわね」
「先輩はあれなので仕方ないですが、神崎先輩は少々過敏では?」
「あんたはアレに毒され過ぎよ。護衛対象にあれされてる護衛ってダメでしょ」
「……締める時は締めるので?」
「普段ゆっるゆるすぎるのがダメだって事よ」
「それは――そうですね」
「お前らそんな風に思ってたの?」
それより超小声でシフクとかイイと呟いてる白雪と交代して耳かきを始める。キレイにしてるからすることないな。軽く掃除するだけでいいか。
「あ、キンちゃん様。奥にぃ!」
「紛らわしい声出すのやめてくんない?」
「キンジはバンドの練習してていいのか?」
「今はアリアと桜ちゃんが護衛してるから問題ない。つってもあんまり練習には参加出来そうにないから勘弁な」
アドシアードで比較的負担の少ないとはいえアル=カタのバックミュージック――バンドやる事になっている。
アル=カタとはイタリア語の
観客に魅せるものだしチアリーディングに含まれるのかもしれんが、武器持参だから別物じゃね?とも思ってしまう。まあ、武偵校のわけわからんイメージ戦略だから詳しくは知らんけど。
最終日の護衛どうするのか問題はあるが、白雪もチアやる事でカバーする方針だ。
白雪はチアやる事を嫌がっていたが、桜ちゃんが何か吹き込んだ結果、やる気になった。別にチアコス好きでもないんだけど。いや嫌いでもないけど。
「思うんだけどこれ曲CDでも流してやる振りじゃダメなん?」
「真面目にやらないと体罰フルコースだよ?」
「あれくっそ辛いよな。しばらく動けなくなるし」
「キンジは頻繁に受けてたからいいけど。俺は死ぬ自信あるぞあれ」
「遠山君よく生きてるよね…」
「あれ個人の限界見極めてギリギリ死ぬぐらいの勢いでやるから、参考にしない方が良いぞ?」
「結局、死ぬのかよ」
雑談しつつも、経験者の指導のもとで練習していた。
一通りは雰囲気で弾いてみたが、これちゃんと弾けるようになるまで厳しくないか?
部屋だと騒音トラブルになるし自主練も厳しそうだなぁ。護衛もあるし。まあ公害にならない範囲だからいいか。
バンド終わりに白雪の所へ向かう。
白雪はバレー部、園芸部、手芸部の部長で生徒会長でもある。
なんでそんなに掛け持ちしてんだろうか……?園芸部と手芸部は活動が少ないから問題ないのかもしれんがスケジュール知った時は軽く引いたぞ?
女子しかいない生徒会とバレー部の時は女子陣に護衛させているが、逆に男がいても問題ない園芸部や手芸部の時は護衛として参加している。
生徒会に行った後に手芸部に移動する予定だ。
「ごきげんよう」
「――ごきげんよう?」
途中でえらい美人に声掛けられたが誰だろ?
どっかで見た気がするんだが?
「武偵校は身体鍛えるとか潜入のためにスポーツ齧ってるぐらいだから緩めだけど、掛け持ちしすぎじゃない?任されたからって拒否していいんだぞ?」
「花嫁修業は私も楽しんでるからね」
「ならいいんだけど」
花嫁修業ってなんだっけ?
そう考えながら警戒半分で手持無沙汰なので刺繍を習っている。
なんで魔除けの刺繡って面倒くさい形をしてるものが多いんだろう……?
「これ俺が縫って効果あるの?乙女がやらないと効果ないオチだったりしない?」
乙女というか清らかなタイプじゃないと効果ないイメージはある。
「ちゃんと形があっているならないよりかはマシなくらい?」
「気休めにはなるってやつか」
「気づかないくらい弱い呪いくらいなら十分避けられるよ?」
「お守りぐらいの立ち位置だな」
気づかないくらいの呪いって存在してないのでは?
呪術学とか知らないからよくわからないけど。
「キンちゃんが強力なのが欲しいのなら時間かかるけど作ってあげようか?」
「んー。どれくらいかかる?」
「ちゃんとしたのだと一ヶ月くらいかな」
「アドシアード終わってるから微妙だな……」
一番仕掛けてくる可能性が高いのはアドシアード中か終わって気が緩む所だろうし、間に合わないな。
「先輩真面目に警護してます?」
「してるぞ?教室に入ってから廊下を通り過ぎたのは5人でこっちを気にかけてる様子があったのは一人だな。アリアだけど」
「廊下見えないですけど、そこまでわかるんですか?」
「隠しカメラ設置してるし」
ほれっと置いていたモニターを見せる。
「いつの間に……」
「気づいてないようなら護衛厳しいぞー?」
「精進します」
警戒はしてるが間接的にどこからか監視されてるようなそういった感覚は常に付きまとっている。
変に付きまとわれたクロメーテルの嫌な経験が生かされているあたり、護衛向いてるんだろうけどカチコミの方が気楽だね。
「桜ちゃんも刺繍しなよ。マルチタスク的に警戒出来ないとやってけないぞー。練習練習」
「わかりました」
そう言いながらもぎこちなく刺繍を始める桜ちゃん。
ギクシャクしてるなあ。だらけきってるこっちと違って力配分がわかってないようだ。
まあ慣れるしかないからなんも言えないけど。
「こっちの横糸に通して――もうちょっと右。そこね。ここから上に縫っていくと」
「あ、綺麗に線が引けますね」
相性がいいのか、桜ちゃんの女子力が上がっていってる気がする。
世話好きな白雪と真面目な桜ちゃんが組み合わせることで親子か姉妹みたいな空間になってる。ほっこりするね。
短編纏めた感じになっちゃいました
魔剣ちゃんどういう手を使うか考え中
原作何巻まで読んだ?
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読んでない
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1~10
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11~20
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21~30
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31~39