遠山キンジの独白 作:緋色
「キンちゃんは……火って、好き?」
珍しく憂鬱そうな白雪に
「火?そりゃ――」
……。
なんて言ったんだっけ?
「んあ?」
なんか変な声が出た。
「あ、目が覚めましたか先輩!」
「なんか頭痛いんだけど、襲撃?」
襲撃なら敵意だの殺意だの感じなかったような?
ソファから身体を起こすと荒れた部屋が見える。
マジで襲撃か?
「襲撃というか暴走というか…。電話を受けた白雪先輩が浴室に突入しようとしまして、それを止めようとしたアリア先輩と揉めて吹っ飛んだリモコンを避けた先輩が体勢崩して――」
なんだそのダサい理由…。
でも思い出した風呂入っている時に騒がしくなったから飛び出して、飛んできたものを避けた所でこけて気絶したってところか。だっせえ。
「アリア先輩が先輩のおちn――を見て先輩を殴り倒した後、怒った白雪先輩と大喧嘩になって追い出されました」
「まじか――まじか」
よく見たら部屋が荒れてんな…。よく起きなかったな俺?
…これ俺が悪いんか?襲撃かと思って慌てて飛び出したのは悪いけど事故じゃん。
アリアの戦力無くなると護衛としてずっと張り付いてないといけなくなるし、自由度下がるから準備や反撃の幅が狭まる。
あれ?普通にヤバくない?
アリアは裁判関係で
判断がつかないな。一旦、置いとくか。
「警備の人に頭下げたの私なんですからね!大変でしたよ!」
「それは悪いことしたけど起こせばよかったでしょ」
「裸で倒れてる先輩とか言い訳できるわけないじゃないですか!?」
「なんの言い訳だよ。――そういやなんで服着てんだ俺?」
慌てて飛び出したからタオル腰に巻いただけだったはずだが、なぜか服を着ている。
寝る時用の甚平だけど。――白雪の好みなので他意はない。
「白雪先輩が着せてました」
「…まあ、白雪ならいいか」
桜ちゃんいなかったら理由付けて襲われてたと思うけどそういうのはなさそうだ。
それはそれとして、桜ちゃんはさっきからなんで目を逸らしてんだ?
――見たの?
「あ、キンちゃん目を覚ましたんだ。大丈夫?痛みはない?」
白雪がタオルに包んだ冷却材を持ってきたのでありがたく使わせてもらう。
「多少の痛みはあるけど問題ない。すぐ治る範囲だ」
「タフですね……」
「今夜は璃々の粒子が濃いから術が使えなくてごめんね」
「それは天候が悪いから謝らんでいい」
ひんやり効果で頭が冴えてきたな。
「そもそも白雪はなんで突入しようとしたんだ?」
「キンちゃんから電話がきて、すぐに風呂場に来てって」
「俺のケータイそこ置いてるよね?」
「あ」
「あ、じゃないが」
「ほっへたひっはらにゃいてー」
「おームニムニ」
白雪のほっぺたを一通りムニムニしながら考える。
これマズいなっと。
「護衛計画見直さないとな」
「そうですね。アリア先輩も解任されましたし」
「そこよりも白雪が簡単に騙されるという事がバレたのがマズい」
モチベーションの差があるとはいえ、護衛の分断を図ってきたあたり、向こうはやる気満々だという事だ。
そして俺から電話が来た――声真似か合成音声か知らんが俺の声を出せるのなら白雪を操れると向こうにバレただろう。俺も知らんかったがここは対策するしかない。
「対策自体は簡単だ。白雪ケータイ貸して」
「え、貸すのはちょっと…」
「別に画像とか見ないし、着信設定弄るだけだから」
「それなら…」
まず着信を確認し、最後の着信が非通知なのを確認してから、ケータイの設定を非通知着信を拒否に設定する。
非通知でも発信源確認できるがそこら辺は警察ぐらいにならんと合法的に調べられないから置いておく。
ついでにケータイを軽く調べるが盗聴器仕掛けられてはいないな。
「非通知が掛かってこなくなったから。一応電話帳全部確認して知らん番号ないか見ておいて」
「わかりました」
あと、メールの転送設定で俺のケータイに転送するように設定しておいた。
「次に俺は話すときは対面で話す事を徹底するから基本的に電話越しには会話しない」
「声真似対策ですか」
「無条件で暴走するとバレた以上ケータイでの連絡は基本しないほうがいいだろうしな」
部屋の中に盗聴器の気配などはないし、学校帰りに毎日調べてるから部屋になんか仕掛けられた様子はない。
となると部屋の外から監視してるのか?
よくあるパターンだと隣接する部屋の壁に機械を設置して盗み見聞きとかだが、隣接する連中がいるからそれもないか?
どっから行動見られてるんだろうか?
「そうなると活動が制限されませんか?」
「そうだね。学校ではぐれた場合は
「束縛系彼氏…?」
「桜ちゃんなんか言った?」
「いえ何も」
何もないって顔じゃないけどそこはいいか。面倒そうだし。
「十個でも百個でもいくらでもつけていいよ!」
「先輩だけの問題じゃなかった」
「百個は多すぎかなあ。あと桜ちゃんあとでお仕置きな」
「!?」
!?じゃないが。
いろいろルールを決めた後の就寝時間。
桜ちゃんと白雪は同じ部屋で寝ているので一人うつらうつらしてると天井裏に気配がする。
「師匠。夜分に失礼仕る」
「陽菜か」
天井裏からの報告は忍者っぽいからという理由で気に入ってるらしい陽菜のようだ。
「…敵は知り合いに化ける。確認するから降りてこい」
「本物でござるよ?」
「声真似がうまい敵だ。はよ降りてこい」
「は」
降りてきて忍者座り――時代劇でいうと、忍者が仕える殿の前に現れて膝をついて座っているようなあれ――をする陽菜。徹底してるなー。
首筋から頬にかけて撫でるように触って「ひゃわ!?」
「変な声出すな。報告は?」
「独自に調べたところ。建物内に不審者の報告は師匠がうろついていた事ぐらいしかなかったでござる」
「だれが不審者だ」
「警備の話でござる。あとは師匠の女が部屋を外から伺っていたとか。アリア殿が女子寮に戻っていったとか。――警備での評判はすこぶる悪いのであまり問題を起こすのは拙いかと」
「問題起こしてんの俺じゃなくて同居人なんだけどな…」
俺はやられたらやり返すタイプなので問題を自分から起こすことはあまりないのだが、信用ないなあ。
それはそれとして、アリアは流石に女子寮に戻るか。
警備の部屋に居座ってるんじゃないかと思ったが、そういうわけでもなかったようだな。
「近隣の部屋がこの部屋を盗聴してないか確認してくれ。盗聴の可能性がないなら遠隔から監視出来そうなところを調べてくれ」
「御意」
そう言って天井裏へと飛び上がってから去っていく。
――天井板嵌め直してから去れよあのアホめ。
盗聴アプリってのがあるんすよね
キンちゃんと白雪はガラケーみたいですけど
桜ちゃんは確かiPhoneだったはず
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