遠山キンジの独白   作:緋色

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三連休だとリズム崩れて逆にキツイ


予言

「理子。なんか勘違いされてるから誤解を…どうした?」

「はにゃ!?いやなんでもないよキーくん!」

 

 それはなんかある言い草だろ。緊急時に抱き寄せたら思考止まるのか?まあ急な動きだし、止まってもおかしくないか。

 さて、なんかさっきより明らかに白雪のボルテージが上がってるけどなんか理由あるのか?

 

「ふふーん。誰だか知らないけどキーくんとのデートを邪魔するなんて馬に蹴られちゃうよ?」

「デートではない」

 

 わざとらしくレディースみたいにガンを垂れる理子に対し、極道の妻みたいな視線を返しつつ、刀を一振りして雨水を払う白雪。

 

「私は超能力捜査研究科(SSR)の星伽白雪。あなたこそ誰ですか。神聖な学舎で相合い傘なんてうらやま、じゃない、ハレンチな。キンちゃんが嫌がってるの分からないんですか。今すぐ離れなさい。今のひと薙ぎは警告です」

「警告で首を狙うな」

 

 ところどころ本音漏れてるし。

 あと二人は知り合いじゃなかったのか。まあ別のクラスで所属科も違うから知り合う機会もないか。理子は知ってて揶揄ってる様だけど。

 

「なんでぇー?遠山キーくんと峰りこりんは、彼氏・彼女なんだよぉ 相合い傘するぐらい、あったりまえじゃーん」

「いつ俺がお前の彼氏になった?」

「ふ、ふふ。峰さん、取り消すんなら今のうちだよ」

 

 白雪は、ひく、ひく、と十字みたいな血管を浮かせたこめかみを震わせつつ、敵に少し余裕のあるところを見せたいのか目を閉じて苦笑いしている。

 

「私とキンちゃんは婚約を済ませてますので」

「え?マジで?」

 

 ぱちくりと目を見開いて聞いてくる理子に対して何と答えるべきか……。面倒くさいからありのまま答えるか。

 

「婚約かは知らんけど18歳になったら結婚することになってる――らしい。ま、その前に愛想尽かされそうな気もするが――そうでもなければ結婚するはず」

 

 頻繁にブチギレるアレが俺の方向に向いたら愛想尽かされるだろうなとは思っている。

 それ以前になんでキレてるのかわからん事の方が多いが。

 

「ふーん?つまりキーくんはあまり乗り気じゃないと?じゃあ理子りんにもチャンスあるね!キーくんが好きな事なんでもしてあげちゃうし」

「なんでそこで腕を組む?」

「こ、ここ、この!3匹目(どろぼうネコ)の分際で!行きますよ!キンちゃんは渡さない!」

「わかりやすい挑発に乗るなよ。あと3匹目ってなんだ?」

 

 白雪はブルブル震える日本刀で理子を指し

 

「来な。りっこりこにしてやんよ」

 

 戦闘狂のケがある理子は、にやーと好戦的な笑みを浮かべて構える。

 喧嘩の流れだな。もう止めるのも面倒くさくなってきた。

 

「殺すなよー」

 

 それだけ言って退避することに決める。

 戦闘力はどっちも高いが飛び道具がある分理子が有利か?伏せ札の超能力(ステルス)考えると白雪の方が強そうだが。

 バッ――と白雪が唐傘を投げ捨て、刀を八相に持ち変え

 

「くふっ!」

 

 それを見た理子は傘を盾のように突き出し、相手の視界を塞ぎ、パァンッ!いきなり自分の足元に撃ち込まれた銃弾に踏み出そうとしていた白雪の足が止まる。

 傘に銃を仕込んでいたらしい。

 傘を地面に転がした理子は、敵の背後に回り込みながら――ぶわあっと白雪のスカートをめくった。

 ――なんで?

 

「――きゃあっ!」

 

 と日本刀を放り投げ、その場にしゃがみ込んでしまう白雪。

 日本刀は俺の方に飛んできたので真剣白刃取りで止める。人がいる方向に投げるあたり戦闘経験低いんだろうか?それとも事故死狙われてる?

 

「おおー!ゆきちゃん黒だぁ~『白雪』なのに矛盾してるよ!」

 

 理子は自分を追いかけるように転がってきた傘をキャッチしてパンパン手を叩く。

 別に下着の色が黒だろうと赤だろうと矛盾はしてないと思うが、なんか戦闘の雰囲気失せてるからいいか。

 

「じゃーねキーくん!明日の会議(デート)の場所と時間あとでメールするねー!」

 

 ちゅ!☆

 投げキッスなんかをして、理子はスキップしながら逃げていってしまった。逃げ足早いなあいつ。

 一方で白雪は耳まで真っ赤にした顔を両手で覆い、ひんっ、ひんっ、と泣きじゃくっている。

 

「ひうっ、ひぃんっ、し、死なせてくださいっ!せ、生徒の模範たる、生徒会長の私が、ひんっ、神聖な学舎で、こんなはしたないクロパンツを、えうっ、コッソリはいてるのを暴露されたからには、もうお嫁に行けません! キンちゃんのところにお嫁に行けませんっ!ひぇぅう!」

「……俺ん家来るときいつも黒下着だろ」

 

 黒以外着てるのかは知らんが、こいつの恥ポイントがわからねえ。はしたない自覚あるなら直せよ。

 あれか?日頃のストレスでこっそり発散するエロゲイベントか?NTR発生してないよな?今度調べておいて犯人いたら殺そう。あと学校で発散させるのやめさせんと。

 立てなくなったらしいので仕方なく背負って(おっぱいやわらけえ…)寮まで送ろうとしたが、なぜだか知らんが救護科(アンビュラス)に連れていけという。

 この時間は確か小夜鳴が講義してるらしいから近付きたくないんだが仕方ないか。

 やけに人の少ない救護科(アンビュラス)棟の10階。応急室とか書かれてる授業用の部屋についたけど人の気配がない。勝手に私物化してるのかな?この学校結構そういう部屋多いし。

 

「ここでいいのか?」

「う、うん」

 

 俺の確認に少々上の空気味に答える白雪。なんか企んでるなこいつ?

 白雪は俺に背負われたまま扉のノブを掴んで…?なんかノブが赤くなってないか?溶けてる?

 

「あ、あれ。開かないよ出られないね。困ったね」

 

 そう言いながら俺の背中から降りる白雪。

 やっぱ動けたのか。それは兎も角。

 

「……壊したな?」

「ち、違うよ?」

 

 疑わしいのでじっと目を見つめてみたら、多少目が泳いだ後、見つめ返してきた。

 ……頬が紅潮し始めてるし意味ないなこれ。

 

「そういやなんで迎えに?いつもならメールとかで一報入れるよな?」

 

 このままでは埒が明かなそうなのであいてるベッドに腰かけて聞く。

 隣に座るのはまだ想定できたが、なぜ靴を脱いで正座する。そういう作法の時は正式な話か?

 

「あ、はい。キンちゃんさまにお伝えしなければならないことが2つあるの!」

 

 2つもあるのか。

 

「はいっ! えっと、1つめは私、キンちゃんのことを調べ――じゃない、占いました」

 

 俺のスケジュールを知ってて、情報科の前で待ち伏せしてたんだから調べてるだろうな。クロメーテルの事もあってスケジュールある程度秘密にしてるし。偶に追跡し(つけ)てるし。

 

「そしたらその…ちょっと、普通じゃない結果が出ちゃって…」

「すでに俺の日々は微塵も普通じゃないけどな」

「キンちゃんは『狼と鬼と幽霊に会う』って出たの。それも近いうちに…」

 

 狼と鬼と幽霊?

 狼は日本じゃ野生は絶滅してるし、鬼や幽霊は超能力者(ステルスロジー)の領分だが、襲われる可能性があるって事か?となると狼もそれに準じる存在か?うーん占いとか基本情報があいまいだからはっきりわからねえが頭に入れておこう。

 

「その警告は心に留めておく。で、2つめは?」

「…その…私、今夜からしばらく星伽に帰ります。このあいだの『魔剣(デュランダル)』がらみで禁止事項を破っちゃったお詫びもあるんだけど、星伽でも何だかいろいろあったみたいなの。だから…1か月ぐらい行ってきます」

「そうか。気を付けろよ」

 

 お詫びより星伽のゴタゴタの方が重要そうだが、それは俺には関係ないか。

 しかし鬼やら幽霊が出るのに白雪の手を借りれないのは痛いな。なんか考えとかねえと。塩盛っとけばいいかな?

 

「私からのお話は以上です」

「なんか面倒事の予感がするなあ」

 

 ゴロンと寝っ転がって、ちょうどいい位置にあるので勝手に白雪の膝を使わせてもらう。

 

「キ、キンちゃんさま!?」

 寝っ転がりながらなんとなく手を伸ばして白雪の頬をなでる。

 

「なにを焦ってんのか知らんが……白雪ぐらいだよ俺の事をちゃんと好きなのは」

「キンちゃんさま!」

 

 なんかハートが飛んでるように見えるが気のせいか? 

 

「でもキンちゃんの周りには泥棒猫が多いし…」

「…誰の事言ってるのか知らんけど、そういう関係じゃないっての」

 

 そんなに信用ないのかな俺。そういや菊代も頻繁に浮気疑ってきたな?信用なかったわ。白雪が安心できる要素無かったかも。

 

「まず陽菜はなぜか忠義を俺に見出してるだろ?」

「忠義だけじゃないと思うけど…。陽菜ちゃんはいいの」

 

 いいのか…なにが?

 

「次に桜ちゃんだが。自己研鑽が目的だし最終的に俺より強くなりたいらしいぞ?」

「桜ちゃんも別にいいよ。問題はどろぼうネコ!」

 

 どろぼ……あ、理子と――アリアもか。

 

「理子は今度の仕事で俺をうまく使いたいらしい。別に色仕掛けなんぞせずとも仕事はするちゅーに」

 

 CVRにいるせいか色仕掛けしてくる相手はなんか企んでるなと信用ポイントは下がっている。次の会議で真面目じゃなかったら手伝う価値なしとして足抜けするつもりだ。

 

「そうなの?」

「あとは俺をおちょくるのが楽しいのかもな。愉快犯的なところがあるし」

 

 爆弾魔の時もだが目立ちたい願望と見つかりたくない願望が入り混じってんだよなあいつ。何かから逃げてるのか。聞き出すのは無理そうだな。踏み込んだら絶対逃げる。

 

「あとはアリアだが、個人的に調べてた内容が合致して手を組んでるだけだな。裁判の証拠探しみたいな?」

「つまり仕事『だけ』の関係なんだよね?」

「そうだな」

 

 なんで「だけ」を強調したのかは知らんが間違ってないし別にいいか。

 

「だから気にせんでいいよ。正直仕事は男と組みたいんだけどな」

 

 ヒステリアモードにあんまりなりたくないし。でも卒業後はマキリさんの部下だしそういうわけにもいかんのか。

 

「キンちゃん。――クロメーテルとはどんな関係?なんで教えてくれないの?」

 

 和風ホラーみたいに陰を落として顔を覗き込まないでくれない?怖いから。

 

「縁を断ち切りたい関係」

 

 存在なかったことにならねえかなアレ。

 

「何かあったの?」

「お互いに存在を抹消したいと思ってるだけだ」

 

 物は言いようである。

 

「そっか。クロメーテルさんにはキンちゃんに近づかないように言っとくね」

「言われなくても必要でもなければ近寄らんから安心しろ」

 

 納得したのか機嫌が直ったようだ。

 

 

 

 その後、据え膳だか既成事実だか言い始めた白雪をノックアウトするのにだいぶ時間がかかってしまった。20HITってやればできるもんだな。




暗殺教室のHITってなんやろなあれ

鬼戦盛る?

  • 盛らない
  • 盛れ(戦力)
  • 盛れ(鬼)
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