遠山キンジの独白 作:緋色
「……」
「あ、キーくん!目が覚めたんだね!」
「……」
「キーくん?え?ちょっと待ってまだ心の準備が!」
「失礼します。……失礼しました」
「待って!?違うから多分違うから!寝息立ててるし!」
「でしょうね。入院してると聞いて一応見に来ましたけど……先輩は全力出した後は眠くなって寝るんですよね。抱き着くとなると相当疲労が溜まった眠り方ですね」
「キーくんの
「匂い嗅いでるだけですね。しばらく離しませんから――諦めて下さい」
「そう言いながらなに広げて――おにぎりとみそ汁?」
「先輩曰く食ったら回復するんじゃね?とのことで脳に栄養が足りてないのか、しばらく夢現ですけど食べさせたら回復早いんですよ」
「なるほどー。え?この状態で食べさせるの?」
「いやなら半日ぐらい抱き枕コースですけど」
「半日はきついかなーって」
「じゃあ諦めて下さい」
「……ホントに寝ながら食べてる。――慣れてるの?」
「ここまで起きそうにないのは初めてですけど。何があったのか知りませんけどそれだけ激戦だったんでしょう」
「……うん。キーくんは凄かった」
「………………そういえば神崎先輩がいると聞いてたんですが」
「さっき帰ったよ。顔真っ赤にしてたし抱き着かれてたんじゃないかな?」
「……ですか。早ければ一時間後ぐらいに目覚めると思うので。いつか刺されるぞと伝えといてください」
「え?このまま放置するの!?」
「では、ごゆっくり」
「ちょっと待って!?――ホントに帰ったよ。理子りんこのまま生殺し!?」
……目が覚めるとなぜか理子がいた。
プルプル震えながら「キーくんの馬鹿!」といって逃げたので俺が悪いんだろうけど、なぜベッドに潜り込んでた?
辺りを見回すと見知らぬ部屋で部屋に置いてあるものからして、武偵病院だと思われる。
窓の外の地理情報が見知ったものだし。
おそらくぶっ倒れて入院してたんだろうがそれにしては身体が軽い。怪我も長時間寝てたようで身体がバキバキしてるがそれぐらいだ。
なんかおにぎりとみそ汁のゴミがあるし、寝てる間に桜ちゃん来てたのか?
口の中の状況的に3時間前ぐらいになんか食ってる感じだし。あ、メモある。
『後で訓練に付き合ってもらいますからね!』――よし。見なかったことにしよう。
とりあえず起きたわけなのでナースコール押してみる。
なんかドタバタしてる通話後ナースが来るまで軽くストレッチして、到着したナースになんで動けてるんです?と困惑されながら医者の検査受けるためにつれてかれた。
ブラド戦後にぶっ倒れた後にほぼ死亡状態だったらしい。
植物状態になってたとかなんとか。
まあ失敗したら普通に死ぬし脳に15分ぐらい血液が行かないと死ぬらしいので一か八かの賭けではあった――まあ動けてるからヨシ。
習得できたのか運が良かったのか知らんので二度とやらんけども。
二度と目覚めないかもしれないとか医者に脅されてたらしく、特に問題なさそうと退院する際には戻ってきた理子にホントに大丈夫らしいと泣かれた。
それはそれとして殴られた。――なぜだ?死にかけたからか?
退院後は上役である
簡単に説明するとブラドの一件は永久に他言無用、その代わりここ一カ月の違法行為はお咎めなしとの事だ。
もっとも現場検証だかなんだかで、確認の為とかで紅鳴館とかランドマークタワーの現場に行く羽目になったが。――俺だけ。
元とはいえ警察として活動してた俺と他国の貴族、元犯罪者?じゃ扱い違うとはいえ理不尽だと思う。
ブラドに関してだが、長野のレベル5拘置所――詳しく知らないが人外専門の牢屋がある施設――に移送されるらしい。
剣が刺さってるうちに魔臓とやらを摘出し再生能力に制限をかけた処置を行い魔封じをして、と頑丈なのを逆手にとって割と非人道的なレベルな封印されてるそうだが、そうでもしないと逃げるとか。――マジでなんで勝てたんだろうか?
7課の警視正曰く、あの日勝てたのは俺らが強かったのではなく運が良かっただけとの事。
ブラドには何もかもが不利になる運命になるとかいうかなり凶悪な呪いが掛かっていたらしい。
……それであそこまで苦戦してたって何もなかったら即死してたのでは……?
特に理子はデュランダルに溜まってた力と十字架ネックレスが奇跡的な反応で物凄い力が増幅したとか何とかで強く釘を刺されてたらしい。
危うく十字架ネックレスを没収されかけたとかでぷりぷり怒っていた。
それは兎も角、ブラドに掛かっていた懸賞金については理子に一任した。
もっとも理子は「いらない」とのことでアリアも法廷の証言があればいいらしく受け取らず、俺も先ほどまでの話を聞いた以上勝った気がしないし、トドメ刺したのは理子なので辞退することにした。
入院費は理子がお詫びとして払ってくれたので良しとする。
もっとも一日ぐらい寝てただけで、治療の方は
ブラド戦で得たものと言えば
・ブラドの指のミイラx2
・紅鳴館の執事服とメイド服
・警察から返ってきたデュランダル
ぐらいである。
デュランダルとメイド服は後でジャンヌへの報酬(そのためにパクったし)として渡すとして、指のミイラどうするかな?
ポケットに入れっぱなしで忘れてたんだが持ってたら呪われないかなこれ?
任務帰りだからと言って特に代わり映えのしない授業を受けた後、
「キンジ!」
アリアは、ばぁーんっと指ピストルで俺を撃つような仕草をしながらウィンクしてきた。
カワイイけど何だ。いやにテンション高いな?
「弁護士から電話があったの!理子の証言を使えば――差戻審が確実になるって!いま、理子が台場でママの弁護士に会ってるんだって!あたしも行ってくるわ!」
差戻審とはこの場合証拠等に問題があるので最高裁から高等裁判所にもう一度裁判をやり直せと命じる制度だ。
そうなるとアリアの母親・神崎かなえさんが無罪判決を勝ちとるチャンスが増えることになる。
「よかったなアリア」
喜ぶアリアには悪いがある程度解決したようなものだし、イ・ウーに関してはモチベーションの差が大きくなるだろう。共同であたる事件がいち段落したらそのまま疎遠になることもザラな世界だ。
このままいい感じに終わるといいが――気になることはいっぱいあるし。
そうはいかないんだろうなあ。
思ってたより前半上手く書けなかった……
夢現描写難しいなこれ