遠山キンジの独白 作:緋色
「ごめんなさい。待った?」
「時間ぴったりですよ。マキリさん」
ブラドを逮捕したがタイマンで勝てねえなと深く実感し、アレより強いらしいイ・ウーのトップとの対戦を見据えて実力を上げる必要性がある。
そんなわけで
「それじゃ行きましょうか」
「どこに?」
「デート――よ」
……?
……!マキリさんがデレた!?
と浮かれたいのも山々だが、マキリさんが現れた時から遠巻きに監視してるのがいる。
クロメーテルしてからそういうのに敏感になってるとはいえ、なんか面倒くさい事に巻き込まれてないでしょうか。
「エスコートお願いね」
「いいですけども」
適当にウィンドウショッピングとかで店を冷やかしつつ、追跡者の人数を割り出す。
「やっぱ中国産ですかね?」
「そっちも好きじゃないけど。特に米製って嫌いなのよね。国産がいいわ」
硝子とかの反射で姿を確認すると見た感じは東洋系のアジア人っぽいが。日系の工作員と言ったところか?
「じゃあこの辺の化粧品とかいいと思いますよ。国内メーカーですし。店員さん。ちょっと彼女に教えてあげてくれません?」
「どのように……え、すっぴんなんですか?勿体無いですね」
「別にいらないもの」
「ちゃんと整えれば彼氏さんをもっと好きにさせれますよ。それでは説明させていただきますね」
CVRやってたから全部説明できるけどそれすると不自然だしな。店員に任せた方が無難だろう。そんな感じで話についてけない感じを出しつつ周囲の観察と思考を続ける。
CIAは父の件に絡んでる以上好きではないが、そもそも絡む気もない。……のだが、なんでか俺の方に殺気向けてる感じがする。なんだ?モテない奴の僻みか?
「彼氏さん彼氏さん」
「……ん?あ、俺か。なんです?」
「会心の出来です」
薄化粧した姿は浮いたように美しかった。チークでシュッとさせた分、内側にハイライトを入れてふっくら感と柔らかさを、唇にはリップが塗られていて桜の果実のように桜色にぽってりと膨らんでいる。
「普段化粧しないの勿体無いと思ってましたけど。――綺麗ですね」
「そう?」
「そうですよ!ホント勿体無いんです!彼氏さんも気に入ったようですし一式いかがです?」
「あー払いますんで、袋詰めお願いします」
「お買い上げありがとうございます」
マキリさんが店員さんにイラっと来たのを察して話を切り上げるためにさっさと買う事で終わらせる。
コンパクトに収まる荷物で良かったけれども。
「こういうのが趣味なの?」
「嫌いではないですけど。次、カラオケでも行きますか」
「歌うの苦手なんだけど」
適当なカラオケ店に入り、そのまま裏口まで突っ走って非常階段で屋上まで向かい、上から逆に監視する。
「で、誰なんですアレ」
「CIAの末端よ。最近、公安0課との情報共有で会って以降、付き纏ってきて来て鬱陶しいのよね」
「うん?……仕事の標的とかじゃなく?」
「使いパシリレベルであれは日本に害はなさそうなんだけど、懐柔しやすそうに見えたのか食事だのなんだの言いながら私の行く先々に現れるのよ。アレ。おかげで仕事がやりにくいし。いい加減処分しようと思って」
「……一応パイプ役なんじゃなんですかアレ」
「さあ?上に確認したらあっさり許可取れたわよ?事故死の予定があるって」
これCIA関係なくマキリさんに惚れたのかあいつ。
で、CIAの権力使ってマキリさんストーキングして上から切られたという感じか?どーしようもねーなおい。
「俺、今日は修行的な相談のつもりだったんですが」
「あら、二人っきりで秘密の相談がしたいって――思わせぶりね」
ぷくーっと頬を膨らませてるマキリさんには悪いが急にかわいくなるのやめて欲しい。
「適当なところで別れたらアレは君を追うでしょうし。そうする仕掛けもあるわ。それを仕留めるわ。逃がさないようにだけして」
仕掛け?
「……いいですけど。殺すなら手伝いませんよ?」
「その時は
「さいでっか。じゃ一旦普通にカラオケ店から出て別れて挟み撃ちにしますか」
「そうね」
適当に逃げ道と人通りの少ない道を設定し、了承が得れたのでカラオケ店に戻り、迷惑料を払ってから普通に店から出る。
「じゃあこれで」
「忘れ物よ」
それっぽく別れようとしたところで、マキリさんに呼び止められたので振り返ったら
ちゅっ
長いまつ毛の眼を閉じたマキリさんが唇をつけてきた。
やられた――今まで桜ちゃんにお兄ちゃんと言わせることでなってたが、今回は二人っきりだ。こういう事も想定すべきだった。
永遠にも思える10秒が経ったところで――なったことを確信したらしく、ふわりと離れる。
「じゃあね」
サフラワーの香りを残し、そのまま離れるマキリさん。
いなくなった所でどこからともなく放たれる殺気。ああうん。仕掛けってこれか。
バレバレの追跡は兎も角戦闘能力はそれなりにあるらしい。高く見積もっても強襲科Aランクと言ったところだが。ヒステリアモードの敵ではない。
が、人目がなくなったら即襲ってきそうだ。
「さーて行くか」
暢気を装って指定した場所へと向かう。
角を曲がった所で早足に動き、顔だけ半分振り返ってニヤッとした笑みで角を曲がった男に見えるようにする。
目が合った瞬間に頭に血が上ったのか、走り出した男を背にこっちも振り切らないように時折、煽るような動きを交ぜて誘導する。
おいおい人通りが少なくなったら即発砲してきやがった!?人いるんだぞおい!?
「
「
幸いサイレンサーで音を抑制してるから通報はされてないだろうけど、これマキリさん来る前に制圧しとかんと事故るんじゃ?
仕方ねえやるか。
昔、兄さんと爺ちゃんが宴会芸でやった銃弾で銃弾を弾く曲芸、
よく見るマキリさんの
銃口とトリガーを視認し、発射ラインとタイミングを合わせて発砲する曲芸だ。
俺の頭を狙う銃弾に合わせてベレッタを発砲し、銃弾同士が空中で火花を上げ双方の銃弾がコンクリートの壁をわずかに削る。
「WHAT!?」
「銃刀法違反と殺人未遂の現行犯で逮捕だコノヤロー」
ぎょっとしてる
通報したり逃げる
「あら倒しちゃったの?」
「生きてますよ。銃出して周りに被害でそうだったんで制圧しました」
「そう」
報告聞きながらどこかに電話しすぐに警察の護送車が到着し連れ去っていく。
用意が良すぎて逆に怖いなこれ。
「あれどうなるんです?」
「さあ…ね。邪魔なのがいなくなったってすっきりしたし、ご褒美ぐらい上げてもいいわ」
追及するなって事かね。
「それじゃあ――」
回らない寿司を奢って貰った。
美味しかったけど、マキリさんは修行に関してはあてにならんことだけはわかった。
次回から4巻入ろうかな……
化粧の事調べてみたけどわけわからねえ
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