遠山キンジの独白 作:緋色
無課金ユーザーにつられてすいませんでした
オルクス
『太陽の船』とやらが自壊した後に水上警備に救助されたわけだがカジノ襲撃犯の一味じゃないかと勘違いされること半日、なぜか胡散臭いおっさんが出てきて解放されたと思えば呪いでアリアの寿命があと半日だから助けに行くことになった。
片道分の燃料しかないオルクスで向かう先は北緯43度19分、東経155度03分。太平洋
一応帰りの燃料がないって事なので防衛省に四月のハイジャックの責任取って迎えに来いと脅したが――まあ迎えは来ないだろうな。千島列島が近い政治的に面倒くさい海域だし。
北海道に移動してから船で移動すればいいんじゃないかと思ったが船の当てなどないし、ロシアが活発化してるとの事で他の方法は近付く前に拿捕されかねんらしい。帰りの事は気が滅入るので考えず10時間近く狭いオルクスに揺られてパトラの元へ向かう。
パトラ
・クレオパトラの子孫(自称クレオパトラ7世の生まれ変わり)
・元イ・ウーのNo2
・エジプトを支配してから世界征服をしようと企んでいる
・曰くピラミッド型の建物があると無尽蔵に魔力が使える推定G25――世界最強の
何というかスペック盛り過ぎである。
これで元とはいえイ・ウーのNo2である
「勝てる見込みは高く見積もっても10%以下か?0じゃないなら勝てるな。勝てなくても最悪アリア攫って逃げればいいし」
「そんなに簡単じゃないけどね――最悪キンちゃんだけでも逃がすから」
「最悪の想定なら俺がパトラ口説き落とす事想定した方がまだ現実的だな」
適当に答えたら白雪からなんかパトラ殺すと殺気を振りまき始めたが――選択肢ミスったか?
兄さんが
着くまでなんとなく手持無沙汰のに眺める砂時計は、パトラから兄へと渡され――なぜかレキから渡されたタイムリミットを示す砂時計だ。
逆算するとパトラを斃しアリアを治療する時間は30分も無さそうだ。
オルクスがたどり着いた先は――
「アンベリール号?」
シロナガスクジラに囲まれた船は去年の12月 浦賀沖で沈没し兄さんが失踪したその客船がサルベージされて、この太平洋上に幽霊船のように浮いていた。
喫水線は沈みそうな程に低く、タンカーのようにも見えるその甲板には舌打ちしたくなることに、巨大なピラミッドが増設されていた。かなり改装されているけどあれ沈まないのか?
あれはパトラが造った、『無限魔力』の魔法陣に違いない。
しかし、あのピラミッドを破壊するには爆撃機か何かが必要だろう。当然そんなものは持ち合わせていない。無理言ってでも防衛省動かすべきだったか……?
ピラミッドはその天辺だけがガラス製で、その中を陽光にキラキラと輝かせている。
浮上して近づくと、 アンベリール号はその前方に砂でできた陸のような部分を増設していた。もう、船とはいえない形状だな。島かな?
そこに漂着するように接舷し乗り込むが――10mはありそうなパトラの座像が出迎える。
「これ…かなりアレンジされてるけど、古代エジプトのアブシンベル神殿を模してるよ。すごい…全部、魔力で造ってる。クジラ達も魔力で呼び寄せてるみたい。魚雷か何かで攻撃された時の盾にしようとしてるんだよ、きっと」
無限魔力のパトラ
自分の像作ってるの自己顕示欲たけーな。
こういうタイプは自尊心擽れば即落ちするイメージあるが。
やっぱ兄さん嗾ければよかったかな?
観光がてらいくつか写真撮っておく。白雪と共にイエーイと(白雪は緊張で固まってたが)ツーショット撮ったあたりで若干船が揺れる。
やっぱ見られてたか。監視カメラとか盗聴機のような物理的な監視の気配はないが――オカルト的な監視されてるのかな?
それを白雪先生に聞いてみると
「道に撒かれてる砂を踏んで動くことで感知してるんだと思う。それでキンちゃんがここを行ったり来たりしてるから煽られてると感じてるのかも」
「手段はオカルトだけど物理的な感知なんだな?これ戦闘とかで生かされると不意打ち難しそうだな?」
「耳を澄ますようなもので神経研ぎ澄ませないといけないし、逆に近くにいるなら同時に使うのは難しいと思う」
ふーん。と聞き流しながらピラミッドにブラドナイフを刺して壊れないかなと試してみるも特に影響もなく、パトラの像に刺してみると崩れ落ちた。
同時に威嚇するようにクジラの吼え声――声?が威嚇するように響き渡る。
「……これ宣戦布告と捉えられた?」
「みたいだね。――ピラミッドの中にアリアとパトラを感じる」
……なんで強力な魔女であるパトラは兎も角アリアまで感知出来てるんだろう?
少し疑問に思ったがとりあえず中に進むことにする。
――ピラミッドの中へ。
分かれ道だらけの迷路みたいな通路には上に向かう正しい階段が火で示されていた。どうやらパトラは招き入れるつもりらしい。となると正面から戦い自分の強さを見せつけたいといった所か?
その相手は――イ・ウーのメンバーかプロフェシオン
奴にとって戦果を挙げてプロフェシオンの後釜に収まることが目的か?
ピラミッド内部を上った先には巨大な扉が俺たちの前に現れた。鳥や蛇で描いた
「キンちゃん。ここだよ。 ここにパトラがいる。アリアも!」
白雪は、そう言いながら初っぱなから、頭にかけていた白いリボンを解いた。
ジャンヌ戦の時に見た。それは白雪が普段その強すぎる魔力を抑えるためにつけている封じ布だ。
「魔王退治――いや逮捕だな。白雪――俺が注意引いてる間に討て。アリアの呪いの時間も白雪の消耗も避けるにはそれが一番いい」
ブラドナイフみたいな裏技は魔力0の俺には問題ないらしいが、女子は多少魔力を持つ人が多いらしくアリアも魔力持ちの為、最後の手段の博打以外で使えば死ぬ可能性もあるとの事。
となると時間制限上、パトラを降して解かせるか白雪に解呪に専念させるしかない。
白雪もそれがわかっているのかこくんと頷く。
巨大な扉は、触れてもいないのにぎぎぎぎぎぎ…と、重い音を立てて開いていき
そこは何もかもが、 黄金でできた広間だった。
豪華な絨毯が敷かれた床石も、室内を取り囲む石柱も、奥に据えられた巨大なスフィンクス像も、全てが眩いばかりの黄金でできている。
どうりで下から見たとき、光り輝いて見えたわけだ。スフィンクスの手元というか足元にアリアを収めたあの黄金櫃が見える。
キンキラキンで見えにくかったが。
「成金趣味か?金一色なの趣味が悪いぞ?」
「王に相応しい調度品よ。無礼ぢゃぞトオヤマキンジ」
宝石をちりばめた黄金の玉座に座っていたパトラは――玉座の手すりに置いたでかい水晶玉を持ち上げくるる、と指の上で回してみせた。
「……なにゆえ、聖なる『王の間』に入れてやったか分かるか? 極東の愚民ども」
「自慢だろ?」
「けちをつけられたくないのぢゃ。妾はイ・ウーの連中に妬まれておるでの。ブラドを呪い倒したにもかかわらず、奴らは妾の力を認めなんだ。ブラドはこのアリアが仲間と共に倒したものだなどと云いおる。群れるなど弱い生き物の習性ぢゃというのに。ともあれ、そのアリアを仲間ごと倒してやれば奴らの溜飲も下がろう」
――それは単純にあんたが自分の下に着くメリット提示できずに我儘だけ言ってるからに聞こえるが。
「イ・ウーの次の王はアリアではない。 妾ぢゃ! 『教授』も妾がアリアの一味を斃し、アリアの命を握って話せば王位を譲るに違いないぢゃろ」
……ふむ。自分の都合のいい事しか見えなくなってる確証バイアスっぽいな。
自分の仮説や信念を検証しようとするような場合に自分を支持する情報ばかりを集め、反対意見を無視・軽視する傾向、認知バイアスでここにパトラはそこに王は自分だという思考が混ざって面倒なことになってるらしい。
なら予想してない方向から殴って思考をかき乱すのが一番手っ取り早いが――
「妾は、常に先を見て動く。 今回も、イ・ウーの女王となった後の事を考えて動いておる。 妾はのう――」
立ち上がったパトラは玉座の前方にある黄金の階段を降りて、カツン。ハイヒールのサンダルを慣らし仁王立ちする。
「男は、キライぢゃ」
うん?
「ヘンな気分になる。 女王になったら、側近は美女で固めたい。ぢゃから、後で使う予定の女は殺さずに呪い封じておいたのぢゃ。 戦えば相性の悪そうな
……じゃあ俺ヤバそうだな?
兄貴の伝手があれば最悪生き残れそうか?
「日本の魔女。お前も容姿が優れておるでの。力次第では妾の
パトラは、心の底から憎々しげな視線を放ってきた。
あ、ヤバイなんか言わねえと死ぬ。
「お義姉ちゃーん質問いいかー?」
「駄m――まて妾を何と呼んだ!?」
何か言ってるがガン無視して命を懸けた綱渡りの質問を重ねる。
「兄さんとの結婚式いつ上げるんだー?」
「けっk○×△◇※●▼×△――何を言うとるんぢゃ!?」
途中何言ってるのかわからんが動揺は引き出せた。
あんぐりとこっちを見ていた白雪にだけ見えるようにハンドシグナルを出してアリアを救助させに向かわs――待てなんでパトラのいる方向に向かう?
どっちにしろ時間稼ぎしないといけねえから関係ないけどさあ。
「兄さんの彼女だろ?ならお義姉ちゃんだろ?あ、お義姉さんが良かった?」
「なんでそうなる!?」
「一生、兄さんを傍に置きたいってもう結婚じゃん。昨日キスしてたし。添い遂げる気満々だなって。じゃあ俺のお義姉ちゃんだろ?」
「はぁ?――あ!違うカナを傍に置くのは側仕えとしてで――」
「ならなんで一生?伴侶じゃん。で、兄さんのどういうとこに惚れたの?見たところ何度かキスしてたみたいだし――子供ができたら抱っこさせてくださいお義姉さん!」
「まだそんな予定はない!そういうのは世界取ってから」
「まだ?つまり予定あるんだ。兄さんやることやってんなあ……」
「しとらんわ!」
「結婚して籍入れたら遠山パトラになんの?それともクレオ=キンイチ?」
「クレ?――クレオパトラで一つの名ぢゃ!古代ギリシア語で「父の栄光」をあらわすクレオパトロスの女性形ぢゃからの」
「じゃあクレオパトロス=キンイチ?――呼び難!遠山パトラがいいと思いますよお義姉ちゃん!」
「さっきからお義姉ちゃんと呼ぶんぢゃない!」
相手に絶妙に口出したくなる話題を言葉尻を捉えて飛躍した結論と共に話の方向性を維持したままあっちこっちに話題を飛ばす。大げさに動いて自分に注目させるのもポイントだ。
「む?巫女がいない!」
当然破綻するので時間が稼げても少ししかないがその少しで十分だ。
「星伽候天流――緋炫毘!」
パトラの後ろにまで迫っていた白雪がデュランダルに火を付け斬りかかる。
パトラの相手は任せてアリアを救助しに行くか!
クレオパトラの姓調べてもよくわからんかった。
どうも父方母方の名前や家が混在してるっぽくよくわからにゃい