遠山キンジの独白   作:緋色

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荒れ狂う

「そこまで!」

 

 関教官の判定が出たようなので倒して拘束した生徒を解放する。

 

「一本も取れなかったなぁ」

「10人抜きとかやべぇよ」

「もう数で攻めるか?」

「やってみろや。返り討ちにしてやるよ」

 

 適当に言い返した後、久々のリベンジとして関教官に喧嘩売ってズタボロにされる。

 

「……あいついつか殺す」

「荒れてるね~遠山君」

「不知火か。呼び捨てでいいんだけど」

「逆に敬語の方が楽なんだよね」

「ふーん?そういうもんか?」

 

 個人の勝手だし強制する気はないが。

 

特殊捜査研究科(CVR)戦姉(あね)が出来たんだって?遠山君手が早すぎて強襲科(アサルト)でも有名になってるよ。()()()()()()()()だっけ?武藤君もキレてたし」

「別に手出ししてねえよ。あと武藤はなんでキレてんだよ」

「あんな美人の彼女欲しいってさ」

「彼女ではないなぁ。戦姉(あね)ではあるが」

 

 そう。なんか知らんが学生同士での育成システムである戦姉弟(アミカ)制度に勝手に登録されていた。

 正確にはCVRの初芽先輩の戦長姉(あね)、CVRでの活動以外一切が不明のクロメーテル戦次姉(あね)戦末弟(おとうと)の俺という意味の分からん登録がされていた。

 クロメーテルとして指導を受けてる時に初芽先輩が周りにクロメーテルを戦妹(いもうと)として紹介しまくり、普段の姿で食堂でかち合った時に周りに戦弟(おとうと)として紹介するという嫌がらせをされたせいでいつの間にかそんな関係だと公式化されてしまったのだ。

 学校側への登録は誰がやったんだろうか?クロ―メーテルとしての免許を勝手に作られてたりガバガバじゃねえか。教務科(マスターズ)に呼び出し食らって爆笑するCVRの先生にクロメーテルの免許渡された時は反射的に免許へし折ったぞ。

 その後免許紛失の咎で教務科(マスターズ)体罰フルコース食らった上に予想してたのか予備渡されたけども。

 

「CVRの戦弟(おとうと)って何してるんだい?強襲科(アサルト)としても強くなってるみたいだけど?」

「なにって……」

 

 化粧とか変装とか戦闘とかかな?

 メイクを学べとか言われて自分で化粧できるよう仕込まれたり、クロメーテルに変装時にオーデコロン(石鹸みたいな清潔感ある香り)を付けて男の匂いを消したりとか、女装がバレないような戦闘とか。いつもの動きだとウィッグが取れるのでウィッグが取れないように動きの無駄を削り、緩慢ともいえるような素早さのない最善手を打ち続けるようなそんな感じの修行とか。

 なんかすべてが役に立ってるのが腹立つな。あの先輩、忍者属性持ってるのか普通に強いんだよな…。

 

「戦力がいるとかで戦闘に引きずり出されてるんだよね。運転手やら執事とかやらされたりしたけど。最近だとワザと攫われた先輩追跡してアジトを強襲とか」

「大変そうだね。架橋生(アクロス)は両立できてるの?Sランクともなると特秘任務が多いみたいだけど」

「両立は一応できてるけどSランクで使い勝手がいいと思われてるのか。いろいろやらされ過ぎなんだよ。あと一ヶ月の我慢だけど」

 

 流石に疲労困憊で一回倒れてから、なし崩し的に始まった関係をずるずる長引かされたくもないので交渉であと一か月ほどで戦姉弟(アミカ)終了の契約になっている。

 ちなみに特秘任務の半分以上はクロメーテルとしてCVRでの授業である。特秘扱いしてまでやらせることか?教務科(マスターズ)は何考えてるんだか。

 クロメーテルの正体がバレたら折檻らしい。入学してから月一で受けてるんだがなあ。

 

 

 

 

「八百万の神々に代わり泥棒猫を八百万回誅殺します!」

 

 CVRから変装を解くための先輩の隠れ家の一つ(セーフハウス)への帰り道にスイッチの入ってた白雪に襲撃を受けた。

 

「何の話?」

「クロメーテルさんはキンちゃんと仲がいいそうですね…。占でもとても近い存在と出るほどに…」

 

 本人だから近いというか同一なんだがなぁ。…女装に気付いてなくてよかったがなんか複雑だな。

 まあ事情は分かった。クロメーテルと俺が出来ているという謎の噂を真に受けて襲撃に来たといった所だろう。

 浮気相手を制裁しに行くヘラタイプだったのか。そして俺は浮気する男だと思われていたのか。

 

「俺は遠山と付き合ってないが――というか遠山と星伽は付き合ってるのでは?」

「付き合って――お付き合い出来たら私の方が近い関係になっていたんだよー!」

「……そうか」

 

 俺達って付き合ってなかったのか…。

 ちょくちょく一緒に昼飯食べたり、休日に遊びに行ったりしてたけどあれで付き合ってないんだ…。なんとなく暗黙の了解みたいな感じで付き合ってるものと思ってたから地味にショックだ…。

 たぶん過去一番のダメージかもしれん。ちょっと泣きそう。

 

「天ッ!誅ッ!」

「あらら」

 

 振り下ろしからの薙ぎ払い、電柱ぐらいなら普通に切り倒せる実力者の殺意の高い攻撃だ。鬼道術の使い手だから実物の刀よりも超能力の稼働領域を含めて大きく避ける必要がある。炎を纏った剣に炙られたくはない。

 つまり疲れる。普段の姿だと荒っぽく制圧も可能だがバレる可能性を考えると斬られながら抑え込むのも難しいし。

 なら騙すか。都合のいい感じに。

 

「遠山君はあなたと付き合ってる前提で話してたよ?キスしたいって言ってた」

「キッ!?」

「なのに付き合ってないとはどういうことです?」

「え?キンちゃんと付き合って…?え?でも告白もされてないし」

 

 あ、そこがポイントなのか。

 

「告白されたかったのか?幼馴染なのが不利に働いてたな」

「でもどうしたら――」

「嫌われてるの?」

「そんなわけありません!」

「なら問題ないな。次のデートに覚悟して行きなさい。そしてキスしろ。きっとできるぞ」

 

 本人の意見だし。

 

「はい!ありがとうございます!先輩!」

 

 納得したのかどこかに去っていった。

 やれやれだ。

 

 そして迷惑メールの如く大量のメールが届いていた。

 なんで文字数制限ギリギリまで書いて何通も送ってくるんだ?




人並みのキンちゃん

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