遠山キンジの独白 作:緋色
必ず、かの邪智暴虐を行う者を除かなければならぬと決意した。
クロメーテルには性癖はわからぬ。だが、カナXクロメーテルの同人誌を出したイ・ウー屋を仕留めねばならぬとここに決意したのだ。
「で、なにか言いわk――遺言があるなら聞きますが?」
「処刑不可避!?理子りんはナース服で売ってただけだから中身知らなかったの!クロちゃん信じて!?」
そんなわけで売り子をしていた理子をとっ捕まえて正座させている。
「そもそも実在人物を題材に勝手に本にするのがアウトですが?表紙に堂々と載せといてよく言えましたねえ…。おかげで色々聞かれて面倒だったんですけど」
酒に酔った高天原教諭に呼び出しされてルームシェアやってる教師共の酌させられたと思ったらなぜか汚部屋の掃除する羽目になり報酬で爆笑しながらカナXクロメーテルの同人誌渡された気持ちがわかるか?――わかってたまるか。
「一応名前は捩ってるからだいじょーぶだよ」
「中身知らないんじゃなかったんですか?」
「あ゛」
「反省してないので石でも抱かせますか」
「石抱き!?え?冗談だよね?ねえ!?」
石抱
江戸時代に行われた拷問。後手に緊縛し、十露盤板と呼ばれる三角形の木を並べた台の上に正座させ太ももの上に石を載せる。
足の感覚がなくなり数日立てなくなる。下手なやり方したら足がなくなる。
「
「クロちゃん先生も動かせんの!?」
「え?動かせはしないけど取引は一応できるので」
男子生徒を女装させてる女教師というスキャンダルで。
教師共は理不尽だが会話は通じると信じたい。――通じねえかもなぁ。
「てか、ガチじゃん!理子りんM寄りだけど甘めじゃないと嫌だよ!?主犯とか洗いざらい吐くから!見逃して!」
「土下座に躊躇いがないな。で、誰?」
「クロちゃんとよくいる藤原ちゃんだよ!」
「あの
携帯を取り上げられて電源を切られる。
……後が怖いがまあ惨事にはならないと信じたい。
「本人が持ってきて見せてくれましたよ。外に持ち出すことは禁止してたんですが――」
「あー、同好の士にひっそり見せるタイプだもんね。内容も健全だし」
お姉様と呼ばせる内容って健全なのだろうか?少女漫画チックではあった気がするが。
「それはそれで後で〆るとしまして」
「えーっと主犯はきょーちゃんで協力者はあたしとジャンヌだよ」
「ジャンヌですか?先ほど自信満々にラクg―トテモミル二タエナイ絵をドヤ顔で出したので無関係と判断しましたが――それはそれとして勝手に変装してた事もあったのでついでに沈めておきましたが」
「あ~…ベタとトーンと枠線しかしてないから…。さっき?」
「理子りんより先に見つけたので問いただしました。今頃テニス部の部室で寝てるんじゃないですか?」
そう言いながら売り子として騎士のコスプレしているジャンヌとナース理子の写真を見せる。
写真がなぜか出回ってたのでイ・ウー屋の理子とジャンヌの特定は容易ではあった。問題はこの黒髪リボンが全く持って不明な事である。どっかで見た気がするんだが……?
「ジャンヌはテニス部だったからすぐに見つかったのかー」
「それよりもきょーちゃんって誰です?この――ある事匂わせてる本描いたバカ野郎な事しかわかりませんが」
「――クロちゃんって生えてるの?」
「はえ……?写真写り?」
「あ、知らないならいーの。でもうーん。きょーちゃんをクロちゃんと会わせるのはなぁ。クロちゃんが危ないし――」
「ジャンヌもそうでしたけど仲間意識というより私の身を案じてるのどういう事ですかね?」
「だってきょーちゃんだし、漫画書くのも無理を強いてくるんだよ~」
なんなんだよきょーちゃん。
会話通じないタイプか?というか面倒くさくなってきたな……。
「ねえ理子。教えて?理子。知ってる事全部ね。理子。いいでしょ?」
耳元でお願い攻撃をしてみる。
何度も何度もお願いすることで顔が真っ赤になり洗いざらい吐かせる呼蕩の応用である。
「あ、やめ、耳が溶け……。わかったわかったから!?理子りんノーマルだから!?」
「なら大丈夫ですよ。人間みんなノーマルから始まってますから」
「なにする気!?」
「私CVRの女帝らしいですよ――何を想像したんです?」
「(そういえばクロちゃんⅡ種でそっち得意にしてるんだっけか……。ごめんきょーちゃん!でもきょーちゃんだしいいよね?)」
小声でなんか言ってるけどどういう認識なんだろう?
なぜかSNSを教えられた(確認してる間に逃げられた)ので、片手間にクロメーテルで登録しておく。
SNSでの特定は割と簡単だったのだがこれから接触するのが難しいだろう。下手に逃げられても面倒だし。
どうすっかねえ。
一旦、帰ってからプロファイリングをして作戦練る事にする。
8月の日差しが暑いのでアイスでも買って帰るか……。そろそろクロメーテル辞めたいし。
「クロメーテル様!買い物ですか?」
そう思ってコンビニに寄ったわけなのだが――なんかいる。
「熱いからアイス買いにね。麒麟ちゃんはデート?」
「デ!?」
「お姉さまとコンビニデートです」
「単なる買い物!」
えーと確かCVRの
「そ、CVRに入る気無いならちゃんと線引きしないとハニトラで引きずり込まれるよ?」
「え?いや!?入りませんからね!?」
「興味ありそうね……。それはいいとしてさっきから覗いてるのは知り合いかしら?」
「興味ありませんって!?――覗き?」
なんかいる方向を軽く指差す。
その方向を見て外に出て戦闘態勢に入った日野を置いといて棒アイスの会計を済ませる。
「なんでこんなところにいる夾竹桃!?」
――夾竹桃?
あー、そういえばそんなのいたな。ジャンヌの友達ぐらいであんまり印象なかったわ。
きょーちゃんって夾竹桃の事か。
――左手の手袋からみて爪に毒を仕込むタイプかな?服にもだいぶ仕込みがありそうだな。
「司法取引よ。更生して社会復帰の途中扱いだから逮捕したらあなたが犯罪者ね」
「ぐ……」
大体は知ってるがクロメーテルが知ってる事はおかしいかな?
「何かあったの?」
「前に逮捕したのですが司法取引で出てきたみたいですわね。お気を付けください毒を使います」
「それは見ればわかりますね」
なんか面倒なことになったがさっさとケリつけたいし、逃げられても困るか。
「ちょうどよかった。夾竹桃さん。ちょっとお話したいことがあるのですが」
「私にはないわね」
「これでも?」
そう言って取り出すのは同人誌。
火野は顔を赤くして、キリンは目を丸くしてる。
あ、こいつらに見せる意味なかったな。
「これがコミケとやらで売られてたんですよクリスチーヌさん」
「私が描いたものね」
「なんでこんなことを?」
「趣味」
……ああ、うん。そう言い切られるとなんも言えねえわ。
「趣味なのは勝手だけど個人推定されるようなもの作られると迷惑なんですが」
「あら、そんな事言ってもいいのかしら?
「…いや自認男で男として育てられたって1ミリも隠してないんだが…」
それに上位層には普通に男だと認識された上で面白がられて気に入られてるっぽいし去年の戦姉とか。
「嘘ね」
「信用ないなー……。それは置いといてナマモノ?同人誌出してんじゃねぇよ。モチーフなら兎も角モロだから迷惑なんだよ」
「そう」
夾竹桃は興味ないのかつまらなさそうに煙管を消し手袋を外す。
「で、どうする気?」
「筆を折らせる」
普通に殴ろうかと思ったがCVRの子がいる前で拳出すとイメージが崩れるとかで泣かれるしどうするか。
「ライカちゃん。逃がさないように見張ってなさい」
「は、はい――ってアイス片手に戦う気ですか!?無茶ですよ!私が代わりにやります!」
「あ、そうだった。――でもこれあるならいけるか――な!」
瞬きの間に距離を詰めてきたので左手の爪が当たらないように腕を掴んで拘束し、棒アイスを口に咥えさせる。
……姐御の不意打ちに対する警戒がいいように働いたな。
あの人指先で抉ってくるから当然指への警戒度が必然的に上がるから毒の爪に対しても即座に対応できた。
「不意打ち。あまり力は強くないですね。左手の毒の爪。服にもいろいろ装備してますが口にも毒仕込んでそうですね。おっと動いちゃダメですよ?」
何する気と眼で問いかけられたからこう答える。
「こういうのが一番効くでしょって罰があるからそれやらせましょうかね?麒麟ちゃん。藤原ちゃん呼んで」
「わかりましたの!」
後日、本人が登場する同人誌を事細かく描かされた二人はモチーフと言い張れるぐらいには変える事を誓ったという。
カナXクロメーテルは燃やされました
……俺は土壇場で一気に何書いてんだろうか?
次回6巻始めたいです