遠山キンジの独白 作:緋色
3と被ってるけどまあ住み分けはできてるからいいや
イントネーションから中国からの留学生かな。しかし、アルコール…消毒液じゃないな。度数からして酒のニオイがする。しかも結構上等な酒じゃないか?
「…呑んでんのか?酒臭いぞガキんちょ」
「ガキ違うネ! ココは昨日でもう14歳ネ!。文句言われる筋合いは無いし、キンチテストする前に呑むほど愚かじゃないネ」
「ガキじゃねえか」
…評価されてんのか舐められてるのか舐められてるだけかな。やる気満々みたいだし酒臭いのはニオイ対策か?とりあえず
「中国では知らんが日本では呑むな。……成長しなくなるぞ?」
「
ふらふらり……千鳥足で倒れるような動作――これは!?
側転を繋げながら飛びかかってきた!
その動作に合わせて取り押さえようとした俺の手に、ココの足がにゅるんと絡みついてくる。
マズ!?
背中に廻り込もうとする動きを潰すように倒れ込むように地面に叩きつけようとするが、手加減していたせいかにゅるんと離れて距離を取られる。
「酔拳――酔八仙拳だったか?酔っ払ったかのような動作で攻撃をかわしたり、相手を油断させた隙に攻撃したりする――実際にお目にかかるのは初めてだな」
「きひっ。キンチ思てたよりやるネ。姫から離れたから狙い目だと思たが――いい値になるね」
「……なんか年下に値踏みされること多いなあ」
今日は武偵高の悪習 『水投げ』の日だ。
元々、「始業式の日には誰が誰に水をかけてもいい」という一風変わったケンカ祭りが武偵高では「徒手でなら誰が誰にケンカをふっかけてもいい」というルールの真・ケンカ祭りと伝播してしまったのだ。
仕掛けてきたのはその辺を踏まえてだろうが、目的は別かな――テストとか言ってたし。
ざっと手合わせしただけだがココの格闘センスはアリアと同じかそれ以上に思える。
中国では、強襲型武偵の育成カリキュラムが日本とはかなり違うらしく個人に何かの素質を見出したなら、武偵高ではそればかり叩き込むのだ。
拳銃なら拳銃。ナイフならナイフ。他の事はやらせない。そうやって、それぞれの技を極めた秀才を育て上げる。
幼い頃から訓練してきたエキスパートはそれ特化で食いつなぐしかないため大概は大成しないが大成すれば相当な富を稼げるとも聞く。
政治的な思惑が強いんだろうが相手する側としてはたまったもんじゃねえな。
「で、カカとか言ったか」
「違うネ。
「失礼噛みました」
「絶対ワザとネ」
「噛みまみた」
「ワザとじゃない!?」
「君
「当然ネ」
自己肯定感高いなこいつ。
それにしても
神奈川時代の中華街にそんな奴いたような……まあどうでもいいか。
「
「……俺どういう風に見られてんの?報酬提示してる分どっかのツインテよりはマシだけど要求ほぼ同じじゃねえか」
「ム?おかしネ。
「強いの間違いじゃないか?」
それを聞くとココはニヤリと笑う。
「きひっ。
「ばれてーら」
幼児体系で年下なのもあるから攻撃しにくいのもあるが、なんか無駄にアリアを意識してしまっている。
それでいて動きは全然違うから脳が結構バグってる。
最初のやり取りで捕縛できなかったのもそれが大きい。
「
「それ!カンフー映画!だけ!かと思って!いたな!」
蹴りからの突きを掴んで止めたら即座に関節破壊に切り替えてくる。即座に手放して取り押さえるために動こうとしたらにゅるんと逃げられ、死角から打たれる。
大振りで払って距離を取らせたが――体格がちっこいからパワー不足(※アリアは例外)ではあるが組技に繋げようとする意図と躊躇いのなさから考えると速度と身軽さで絞殺すタイプのようだ。
下手に組み付かれたら死ぬなこれ。逆に思いっきり殴れんしどうすっか……。面倒そうだから逃げてもいいんだが年下や後輩に負ける下負け扱いになると、今後狙い目だからと襲撃が増えるだろうし。
あ、そういえばアレがあったな相手が即座に逃げ出す嫌がらせが。
「一応警告するけど酷いことするからな?逃げてもいいよ?」
「はん!
「そうかい。じゃ遠慮なく」
手を大きく広げ打たれながらも抱き着いて――思いっきり頬擦りをする。
「にゃーもう可愛いにゃぁ」
猫なで声をかき消すように路地裏にココの悲鳴が響き渡る。
大きく暴れだしたところで離すと顔を真っ赤にして距離を取られる。
「なにするネ!?
「可愛がっていいって言ったろ?よくわかって無さそうだから体験させてあげました」
「キンチ0点!
ココは思いっきり舌出してから角の向こうに姿を消した。
やっぱ効くなぁこれ。
アリアが
ちょっと今回の件は気になるな。
ココの言ってた姫って誰の事だ?俺の周りで姫と言えそうなのはあまりいないが……。
リアル貴族のアリアも一応姫に分類される。が、それと中国が繋がらない。というかあいつはあいつ自身が狙われそうな気がする。
理子は格闘のベースが中国拳法だしそっちか?でも没落貴族だし姫では無いか?
となると白雪?――こっちは割と別行動するから姫から離れるという表現にはならん気もする。
……消去法でレキ……か?
敵が近いとか言ってたし。
ダメだ何もわからねえ。
とりあえずなんか狙われているならそれなりに動く必要がある。
怪しいのは留学生か……。
いくつか伝手使って調べてみるか。
『宛先:弟子s
件名:修行
校長が学校に招く人材とか厄事に決まってるんでバレないように留学生の背後洗っておけ。
きっと厄介事に巻き込まれるからちょうどいい修行になるだろb 』
「送信っと☆」
まああの二人が動いてるって事で動きがおとなしくなればベスト。逆に襲われる事態になっても逃げ足と生存能力は1学期の敗北以降はさらに鍛えてるらしいので最悪の事態にはならんだろう。
パレードが終わったらしいレキが再び着いてくるようになったが、もうそこは諦める。
レキはスカート等にまったく頓着しないが、先日の件以降ヒステリア的な意味で意識するようになって危険なので階段等では前を歩かせている。
それが良くなかったのか階段でいきなりレキが立ち止まり、視線は俺たちが今降りている階段の踊り場に上がってきつつある何者かの影に向けられている。
敵か?
レキの背中にぶつかりそうになった俺も、急停止しようとするがどしっと後ろからハイマキが膝裏に追突してきて、膝がカクンと折れてしまった。
……ハイマキを先頭にすべきだったか?
俺は歩みを止めきれず、階段の途中で振り返ったレキを押すように階段を降りざるを得ない。レキを転倒から守ろうその細い両肩を抱くように掴んでレキも俺に押されつつ、後ろ向きのまま階段を降り、踊り場の壁際に背中をつけた。
……この体勢俺が強引にレキを押さえつけて、何かしようとしてるような状況になってねえか?
「悪い足がもつれた。(ぺちゃ)怪我無い……か?」
途中で下り階段の方から何かが落ちるような音がして猛烈ないやな予感に振り返ると。
クレープ・・・が、 落ちてるな。それも小型のももまんがついたももまんクレープ。
そんなけったいなクレープ食べてそうなのは一人しか思い浮かばない。
ももまんクレープを歩きながら食べていた姿勢のまま、石化したと思われる神崎・H・アリアがいた!
アリアは元々大きな目をまんまるに見開いて、俺がレキを壁際に押しつけて抱いている姿をバッチリ目撃してる。
……ふむ。これ殴られるパターンだな!?
ココは14歳になったばかりだから中学2年か――でも4は高1なんだよな……
どっちに絡ませよう?
ココ
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お兄ちゃん
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大哥
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キンチ