倉敷 アイという少女   作:白ノ宮

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03自体実際はもっと早く描き終わってたんですが、思ってたよりも評価が高くて出すのを日和ってました。


03

ルビー side

 

ホームルームが終わってクラスメイトと会話していたその時、教室に知らない先生が来た。

 

「星野ちゃん、ちょっとこっちへおいで」

「はい、なんですかー?」

 

素直に先生の元へ寄ると、先生は小声で衝撃的な言葉を呟いた。

 

「君のお兄さんが倒れちまったようでね。保健室で今眠ってるから、行くか行かないかは自由d」

「行ってきますっ!」

「あー...、廊下は走るなってのに...」

 

一秒でも早く保健室に着くように全身全霊で廊下を走る。

 

(もしも、お兄ちゃんまで死んじゃったら...絶対ヤダっ!!)

 

私は兄の無事を祈りながら新しい学び舎の廊下を走り続ける。

 

実際の時間はそんなに経っていないのだろうが、それでも保健室に着くまでの時間はとてつもなく長く感じた。こうしている間にもどうなってしまうかわからないのに。

 

保険室の扉を勢いのまま開いて中に駆け込んだ。

 

「お兄ちゃん、大丈夫っ!?」

 

お兄ちゃんの横たわるベッドのそばに一人の女の子がいる。お兄ちゃんのクラスの人かな?

 

そっちにも声をかけようとしたけど、その子を見て私の中で色々なものが凍り付いた。

 

振り返ったその子は十数年前にストーカーに殺害された星野アイ、私達兄妹のママだったのだ。

 

「え...嘘...なんでなんでっ!!!」

 

何かの冗談かと思った。

だって死んじゃって二度と会えないって思っていた大切な人にもう一度会えたのだから。

 

でも、湧き出てくるものは暖かい気持ちより薄ら寒いものだった。

 

目の前にいるのは確かに星野アイそのもので、でも完璧なまでに...生前の状態をそのままコピーした人間に恐怖以外の感情を持てという方が無茶な話だ。

 

(怖いっ!怖いよっ!!)

 

その得体の知れない星野アイのコピーは眠っているアクアの手を握っている。ルビーからすればそれが兄を奪う謎の存在に見えた。

 

立ち向かいたいのに後ずさり、腰が抜ける。意思とは別に生存本能が体を支配する。

 

(ママッ!お願い、お兄ちゃんを助けてッ!!)

 

得体の知れない存在に怯える少女の願いが届いたのか、それとも単なる偶然か。

 

その少女の兄はスッと目が覚めてバッと飛び起きた。

 

 

複合視点

 

 

(手が暖かい...これは一体...)

 

意識がはっきりしないが自分が何故横たわっているのか記憶を掘り起こす。

 

(あの時、アイと言葉を交わしてそのまま...ッ!?)

 

脳が体に命令したのは飛び起きる事だった。

 

すると握られていた手が離れていってひんやりとした空気が手に触れて、心なしか寂しさを感じさせた。

 

「うわっ、びっくりしたなー」

 

起きたばかりのアクアの横から聞き慣れた声が聞こえてそちらを見るとアイが少し目を見開いていた。

 

しかし、すぐに表情を微笑みに変えて

 

「おはよう、アクア♪」

 

気絶をして幾分かマシになったアクアに追撃がグサリと突き刺さる。

 

あの時、アイがナイフで突き刺されたようなものを複数箇所受けたような衝撃がアクアの身に走った。

 

(俺は...そうか。死んでしまったのか、はは...それなら納得だ。アイが目の前にいて...も...ッ!?)

 

アクアが照れ隠しにアイから視線を外すとその先にルビーが青い顔をして地べたに座り込んでいた。赤い瞳からはとめどなく涙が溢れており、アクアは反射的にベッドから降りてルビーを抱きしめた。

 

「お兄ちゃ...ッ!この人誰なのっ....!」

 

泣きながらルビーがアクアに問う。

 

そんな我が妹の様子を見てここはあの世ではなく現世なのだとアクアは確信できた。

 

ならば、今自分の後ろにいるのは誰なのか。

 

「わからない、だが、俺がルビーを守る。だから大丈夫だ」

「うぅっ....」

 

アクアはルビーの頭を撫でて落ち着かせながら首だけを回して、瞳の黒い星を輝かせながらアイの姿をした人間に向けて警戒した。

 

「お前は...誰だっ!?」

 

濃密な憎悪や殺意すらも込められた視線を受けた少女はわざとらしいため息をついて、やれやれと肩を竦めた。

 

「さっき自己紹介したのに...。人の名前はしっかり覚えないと失礼だよ。まあ初対面だからいいけどさ。...私の名前は倉敷 アイ。陽東高校一年B組所属の15歳。改めてよろしくね?アクアくん♪」

 

「倉...敷...?」

 

「そっ!多分だけど君の考えている人物とは別の人物だと思うんだけど?そこの所どうなの?」

 

この人は他人の空似...その事実を受け止めたアクアは自分のやらかした彼女への行いに激しく反省するとともに、これからどうしたものかと偏差値70の頭脳を高速回転させ始めた。

 

保健室は今、微妙な空気感になっている。

 

「ほらほら、元気になったんならさっさと戻りな」

 

しかし、保健医はサボりを許さなかった。

 




ここから曇らせ要素が立ち消えます。そんな気がする。元々微曇らせだから仕方ないといえば仕方ないんですけども。
脳破壊のタグ自体は私もよくわかってないです。だって脳破壊ってN◯Rに使われる単語ですよね?

倉敷アイもとい倉敷藍についてはもう一つの作品で超短編04にお話が入ってます。この話とは何ら関係ないですが、そちらもどうぞ。
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