1話でもしもカフカが入隊を断っていたら?   作:刀持ちの烏

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11:第3試験の前に

「なんで防衛隊のスーツなしで車を軽々持てるのよ・・・」

 四ノ宮は目を見開いて驚く。あっ、とさっきまでしていたことに気づいた彼は、すぐさま重そうなフリをする。市川と古金も、ため息をついていた。

「まあ、こんな歳でも身体は鍛えてるんだ。そりゃ・・・もうキツいぐらい」

 日比野は、フリをしつつも適当に話をはぐらかした。実際、特訓をやっているから鍛えてはいる。

「賠償は払ってもらいますからね〜‼︎」

 日比野と古金は、そう捨て台詞をはきながら帰っていった。なお、弁償してもらうと言ったが、車体にはほとんど傷はついていなかった。

 呆気に取られながら四ノ宮らは見送ったいた。

「あの男、なかなか面白いやつね」

 彼女は、さっきより落ち着いたらしく面白そうな笑みを浮かべていた。

「まあ、車投げたのは許せませんけどね・・・確かに凄い人ですよ。先輩は」

「そういえば、あなたもここの受験生なの?」

 市川は、首を縦に振って言った。

「ええ、あなたの方こそ、四ノ宮さんでしたっけ。もしかして四ノ宮長官の娘さん」

 彼女は、少し不機嫌そうな顔をする。

「親と比べたり特別扱いされるのは嫌いだけど、まあそうね。私は四ノ宮イサオの娘よ」

 彼は興味深そうにする。あのヒーローと呼ばれた男の1人娘か。どんな人物か気になるな。

「親子共々防衛隊ですか。なかなか凄いですね」

「タメでいいわよ。さっき言ってたみたいに特別扱いされるのは嫌いだし」

「わかった」

 2人は、雑談を交わしながら会場の入り口に入っていった。守備隊も含めてもたくさんの人数がいた。こんなところで先輩が変身したら本当にひとたまりも無いだろう。

 そして、更衣室に入る為、2人は一旦別れる。その際に市川はこう言った。

「そういえば、言い忘れてましたけど、僕の先輩は面白いだけで判断しない方がいいですよ」

 彼女は、意味をいまいち理解できなかった。

 

 

 

 その3日後、立川複合基地では保科と亜白が合格者の整理をしていた。

「今回はええ人ばっかりのようですね」

 保科の問いかけに、亜白はコクリと頷く。今回の試験では脱落者がまだ10人程度しかおらず、また期待の新星というのも多かった。

「そう、今見てる市川ってやつ、モンスタースイーパーで怪獣のこと学んどったんだから、怪獣のことよく知っとるんですよ」

 亜白の手が止まった。

「モンスタースイーパー・・・」

 心なしか、彼女はまるで夢でも見てるかのように目を光らせている。保科は不思議そうに聞く。

「なんか、モンスタースイーパーに気になることでも?」

 亜白は、ハッと正気に戻るとコクリと頷く。

「この、モンスタースイーパーには私の昔からの幼馴染がいてな、それで少し気になったんだ」

「ふ〜ん、幼馴染ですか」

 彼は少し考える。

「それは男ですか、それとも女ですか?」

「男、だったな。3歳年上の」

 彼は何かを察したような顔になった。上官なのであえて口に出さないでおくが、おそらく隊長はその幼馴染のことが少し気になってるんだろう。保科は、別の話題にする事にした。

「さっきも言っとりましたが、今回は期待できる人材が多いんですね。例えば、この四ノ宮キコルってやつはまあ、名字からわかる様にあの長官の娘でして、飛び級制度がない日本で特別な事例として、筑波討伐大学を18歳で卒業しています」

 彼はまた別の書類を指さす。

「あと、この古橋イハルも今後に期待されとります。彼は、八王子討伐高専を主席で卒業したエリートで、なんと中学生から学習して入学したってんのだから驚きですね」

「なんか、彼とは前に会ったことがあるな」

 亜白は思い出した表情になる。

「ええ、隊長は一回彼のこと助けたことがあるみたいですね。本人も、それが理由で防衛隊目指したって言っとりましたから」

「誇りに思うな」

 突然ドアが叩かれた。保科はすぐにドアを開ける。

「は〜い」

 ドアの前には、会議の時にいた小此木が立っていた。

「一応、次の会合が再来週にあるらしくて、それの準備を手伝ってほしいんですが・・・」

「ええよ」

 保科は、亜白にありがとうございました。と言って執務室を出た。

 

 

 

「いや〜、まさかSSSCがこんな組織とは思えんかったわ」

「まあ、最初からこのような感じではなかったんですけどね。こうなったのは怪獣8号が出始めてからのことで」

 保科は、ふむと興味深げな顔をした。

 SSSC、もとい特殊怪獣特別抑制委員会は、7号対策委員会の名前を変更した組織で、さっき言った7号のような、特殊な識別怪獣に対応するために存在している。

 7号対策委員会の際はある程度真っ当だったみたいだが、議長である鳴海が8号を知ると、急に上層部にバレない様に怪獣8号を味方にして協力すると言い出したのである。その理由は、人間と同じような体の構造を持っているということである。と、いうか間接の位置とか曲がり方とかも人間と同じであり、普通に見た目以外の点で考えれば結構会話できそうである。あくまで、考察段階だからなんともいえないが、とうの鳴海は、人語を話せると信じて疑わなかったようで、8号との対話の準備すら進めている。もっとも、防衛隊の最強装備は、No.s、識別怪獣兵器だが、今の科学力を持ってしても、既存の識別怪獣の半分までしか能力を引き出せない。それに、現在で稼働が可能とされているのは関東地方、関西地方を合わせても4つしかなく、8号が戦力に加わったならかなりの戦力になるはずであった。あとは問題点だが、1番課題となるのは上層部の反応である。特に現在防衛隊長官を務める四ノ宮イサオは、妻であるヒカリを怪獣6号討伐作戦時に失っている。そんな彼が怪獣をそのまま戦力化と言うのに納得できるか。少なくとも難しい気はする。

「ていうか、どうやって上層部にバレないようにするんでしょうかね?」

 小此木が頭に疑問符を浮かべる。

「今のところは、上よりも先に動くしかないって言っとったな。そういや、君はこの部隊の人なんか」

 保科は不快感を感じさせない態度で聞く。

「はい、ここでオペレーターとして勤務しております」

「オペレーターか、相当戦術とか知ってるんやな」

 防衛隊でのオペレーターとは、戦力の増援だけでなく戦術上の指示も出したりするから、ある程度戦闘方法を学ぶ必要がある。

「ええ、まあ少しかじっただけではありますけどね」

「むしろ学んだだけ上出来だと思うがな。新人なんやから、ちょっとやそっとの失敗で気に病むな」

「ええ、そうですね」

 彼女も、明るい顔になった。

 それからしばらく、2人は雑談しながら廊下を歩いていた。一定の場所で小此木は立ち止まる。

「あっ、ここが私の部屋です。ここで整理しましょう」

 彼女はドアを指さす。

「ん、ここやな」

 保科は、扉をゆっくりと開けた。

 




1日早く書けました‼︎
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