その頃、四ノ宮は2体のロボットと対峙していた。彼女は長官である父と、今は亡き元第2部隊隊長である母から怪獣の動きについては学んでいたことと、まだ動きが単調だったことから、少なくとも善戦していた。彼女は小銃を構えて突撃してくるロボットに発砲する。
「これで2体目‼︎」
真正面からフルオートの5.56mm弾をくらったロボットは、耐えられずに機能を停止する。
しかし、今度は空中からもう一体が飛びかかってきた。彼女はフルオートのまま銃口を上に振り上げる。ロボットは空中で揉んだら打って落下する。そして、彼女は落ちたところに数発発射した。敵はもう動かなそうだった。
「ふう、これで一区切りね」
四ノ宮は、手で汗を拭い安堵した。そのため、彼女は後方から迫ってくるロボットに気づかなかった。
「えっ、また」
彼女はまた打とうと銃を構える。しかし、今度は言葉を失った。なんと先程倒したロボットが再び蘇ってるではないか。驚いた隙をつかれ、攻撃をくらいそうになるが、彼女は受け身の体制をとって、かろうじて避けることに成功した。彼女は小銃を再び持つと敵の脚部関節に連射した。少なくともこれで動けないはずだ。
後方でドタバタといった音が聞こえた。
一方、市川と古橋の二人は、先程現れた、顔が半壊している3体のロボットに追い回されていた。先程とは違い、ビルを這い回ったりとやけに以前よりも生物的な動きをしていたため、慣れずにかなり苦戦していた。
「なんだよこいつ、ここまでくらって撃破判定になってないのかよ」
そう言って古橋は敵に向かって小銃を放つ。そのうちの一体に効果があったらしく、バランスを崩して掴んでいたビルから落ちていった。
だが、まだ2体いる。その2体は協力して二人に挑むらしく、片方ずつ横から迫って来た。
彼らは乱射して応戦するが、次に落ちた個体が参戦してしまった。囲まれて万事休すと言った所であろう。
「伏せて‼︎」
銃撃音が聞こえた。彼らと同じ96式による攻撃だ。この弾丸はロボットの膝や腰に命中し、ロボット達の動きを鈍らせる。
なるほど、関節を狙ったわけか、そう思い古橋は心の底で感嘆する。顔面に攻撃をくらって耐えられるのであれば、エンジンや関節部分を攻撃するしかないのだが、エンジンは、はってある装甲のためになかなかの耐久力がある。ならば、関節に集中するのは必然と言えた。
二人は、負けていられないと感じたため、彼女の真似をして銃口を敵の関節に向けて発砲した。
結果、2体とも立ち上がれずに足掻いていた。飛び道具もないし面倒だからこのままでいいだろう。
四ノ宮は2人に聞く。
「大丈夫、怪我あったら応急処置はするけど?」
「ああ、助かったよ四ノ宮。おかげで怪我はない」
市川はニコッと微笑んだ。
四ノ宮も負けじと返す。
「それはよかった。おかげでこっちも心置きなくやれるわ」
「おい、ちょっと」
古橋は2人の間に入り込む。
「ここは協力してやらないか?ロボットの異常の原因がよく分からない以上、まとまって動かないと危険だろ」
2人も同意するように頷いた。
「そうね。ここは共同で行くとしましょう」
四ノ宮を含め3人はこの場所を後にした。
「一体どうなっとるんや?」
保科は通話機越しでオペレーターに聞く。ここは演習場の待機室。彼の指揮下の第1中隊は、全ての準備を完了している。
すぐに小此木が通話に出た。
「先程フォルティチュードが演習場内で発見されたことを考えると、おそらくロボットの内部に怪獣が侵入して動かしている可能性が高いてます。となると、そんな高度なことが出来る怪獣がいたら最低でもF7より上となりますね。正直かなり厄介だと思います」
「なるほど、機械に干渉しとるんやな」
保科は、そんな怪獣もおるんやなと感心した。
「現在、増援として亜白隊長の指揮下の第3普通科中隊が10分後、そして2分後にヘリ中隊が来ることになっています。なのでそこまで持ち堪えてくれれば…」
オペレーター室にいる彼女は、冷や汗をかきながら息を飲む。彼女は、一つの市町村が大損害を被るレベルの、少なくともF7ぐらいの怪獣に一個中隊で挑めというのはかなり無謀だ。時間稼ぎにはなるだろうが、損害はかなり大きくなるだろう。
そして、そんな彼女の考えは、6号討伐作戦で識別怪獣が如何なるものか知っている保科にも理解できた。
「…仕方ないな。そこまでは持ち堪えたるわ」
彼は本当に仕方ないと言った顔で頷いた。いくら喚いたところで、F7クラスの怪獣と戦わなくてはならない状況は変わらない。ならば自分で未来を良い方向に持っていくしかない。
保科は周りをグルッと見た。全員いつでもいけそうだった。彼は全員に頷く。
「これから、うちら第1中隊は怪獣の撃退のため戦闘に移る。全員生きて帰れるように努めろよ」
ドアは再び開けられた。
日々野と古金の2人は、まだ強化ガラス越しに演習場を見ていた。しかし、その様子は応援している時よりも深刻だ。ビルの上をロボットが駆け回り、明らかに異質にな光景になっていると言えた。
「なるほど、こいつはまずいな」
日比野は舌打ちをする。
「え、何がまずいんです?いまいち何が起きてるのか分からなくて・・・」
古金は心配そうな顔をしながら彼に聞く。彼女は、まだ状況を飲み込めずに慌てているようだった。
「何が起きてるのかってのは、おそらくちっこい怪獣がロボットの機械に入り込んで操ってるってことだろう。そのせいかそこら辺のビルにロボットが這い回ってやがる。こんな動きはインプットしただけじゃ再現しきれない。まさに獣でしかこんな動き方はできない」
「つまり内部から荒らされたとかで暴走してるってことですか?もしそうだったら・・・市川さん大丈夫でしょうか」
彼女は、さらに心配になったらしく少しソワソワしている。日比野も顔をしかめていた。
「う〜ん、今のところはなんとも言えんが、少なくとも防衛隊が守備についている限りは、ある程度はやれるはずだろう」
「なんですか、日比野さんは参加しないんすか?」
彼は首を振る。
「できれば参加したくない。俺だって、正体がバレたりするとたまったもんじゃないからむやみやたらに動きたくないんだよ」
その時、非常ベルがけたたましく鳴った。
「どうやら、ここまでのようだな。まずは避難するとするか」
2人は、一目散に階段へ向かう。その時だった。壁が急に吹き飛ばされた。
次は月曜日に出します‼︎