「あれは」
「ムオォォォッッッ‼︎」
甲虫が集まることで体を形成し、完了とともに雄叫びを上げる。
ヘリの操縦士は窓から地面を見た。下には5m程度の、盾の形をした金色の怪獣と2mくらいの黒い人型の怪獣がいた。操縦士はそれに見覚えがあった。間違いない。こいつらは怪獣7号と8号だ。彼はオペレーターに連絡する。
「こちらスペリオル1、甲虫型が集合した、見た目から恐らく怪獣7号、また、もう1体は怪獣8号だと思われる。スペリオルはカムイステーションに支持を求む。送レ」
そう言った時、2体の怪獣は取っ組み合い格闘を行っていた。その凄まじさに、操縦士は心の底で恐怖した。
この戦闘は、史上初の識別怪獣同士の戦いとなった。
「怪獣8号、現れましたか・・・」
小此木は息を飲む。彼女は委員会でこの怪獣については知っているが、どれほどの戦闘能力かは未知数だ。大きさは人間と同じぐらいの2m、大型である7号と戦うには普通は不利に見えるけど。まだどうか分からない。
「羽柴さんは全周波数に伝えてください。私は怪獣8号と7号の解析を行います」
「了解です」
部下の1人は、すぐに現場に支持した。
「こちらカムイステーションより全周波数へ、現在怪獣7号と8号が確認され、交戦状態に入った。カムイステーションは周辺からの撤退を指示する、スペリオルは怪獣の分析を行うため偵察機を残してください。送レ」
「こちらルナリエ1、了解や」
「こちらスペリオル、こちらも了解した。偵察機のコールサインはスペリオル13だ」
戦況表示板を見ると、一部のヘリを残して、全体的に中央から遠のいてる。
「こちらカムイステーションよりスペリオル13、そちらからの怪獣の映像を送ってください。送レ」
「こちらスペリオル13、了解した。そちらに送る」
彼女は瞬時に命じる。
「茂加さん、赤外線解析をお願いします」
「わかりました」
彼女の部下である茂加はそう言うと、パソコンで処理を行う。モニターいっぱいに、サーモグラフィーで処理された赤外線映像が映し出された。
「おら、このッ」
日々野、いや怪獣8号は7号に組み敷かれて、地面に叩きつけられついた。7号には腕が存在しないが、その大型で重量のある金色の胴体を使って8号を押しつぶそうとしているらしかった。8号は必死に引き剥がそうと表面に手を押し付ける。
「どけぇ‼︎このデカブツが」
彼は、膝を曲げてから思いっきり突き出して7号を押し返し、ビルへと叩きつけた。しかし、それでも傷一つついていない。
それを見た8号は、まだまだと言わんばかりに、ジャンプして表面に飛び乗ると何度も殴りつける。頭に血が登ってるため、次第に殴る力が強くなってくる。彼は最後に思いっきり蹴ろうと足を振り上げる。
「こいつを喰らえ‼︎」
「ンムォォッ‼︎」
危機を感じたのか、7号はビルを突き抜けて上空へと退避しようとする。ビルが崩れた反動により、8号は顔を手で覆ってしまう。
だが8号はそれをみすみす逃がすわけではなかった。彼は、ビルを蹴って飛び上がると、7号の下から伸びた尻尾を掴んで地面に引きずり下ろした。
そして、地面に叩きつけて再び殴り続けた。
「これは酷い」
中央から離れていた市川は、引きながら8号の戦い方をそう評した。どうやら怪獣7号は防御力を高めるあまり他が疎かになっているらしく、無傷ではあるのだが8号にフルボッコにされていた。
「まあ、いいんじゃねえの。怪獣同士で潰しあってくれればこっちも安泰だろ」
「まあ同感ね。それに怪獣なんだし人間が戦いにケチつける訳にはいかないでしょ」
市川以外の2人は平然としていた。こいつらは討伐学校のエリートらしいから、こういう事に慣れてるのかは分からないが、別に驚いたりしていなかった。
「そういえば、そろそろ亜白隊長がつく頃だっけか?」
市川は腕につけたデジタル時計を見て頷いた。
「だな、あと2分ぐらいで着くことになっている。そこまで待ってからだね。動くのは」
「なるほどな、そこまでここで援軍が来るまで動くなと」
はあ〜と全員がため息をついた。
「何なんだよ・・・こいつ、硬すぎだろ」
8号は、現在7号の尻尾で首を絞められていた。
理由としては、最初に体力を使いすぎた事が挙げられる。彼はまだ戦いに慣れていなかった為に力押しで倒そうとしていた。
確かに防御力が高ければ全力をぶつける事は理にかなっているが、ある程度スタミナを無駄に消耗しないように動きを洗練しなければならないのだが、彼は、それができていなかったのだ。
7号は、一旦首を解放すると、尻尾を一思いに振って8号をビルに叩きつけた。8号の体は、ビルを貫通してそのまま遠くへ吹き飛ばされてしまう。だが、7号と同じように彼の体もまだ傷はついていない。
8号はまだ諦めていなかった。彼は防衛隊員の通話を少し聞いたのだが、あともうすぐで普通科連隊の援軍が来るらしい。だから彼は、到着する時間までになんとか持ち堪えようとしていた。援軍とはいえ人間だが、流石の怪獣でも大勢が加勢すれば分が悪いと判断するだろう。
だから、もう少しの辛抱なのだ。
「この、負けてたまるか‼︎」
「ムオッ?」
彼は頬を叩いて自分に喝を入れて、再び力を振り絞る。そして、そのまま7号に向けて飛びかかった。図体のでかい7号は、攻撃が当たるとキツイが、その分体がでかいので飛び乗ればある程度翻弄できる。そう考えた彼は7号を殴ったり蹴ったりと攻撃を続ける。
だが、彼はすぐに振り払われる。しかしここで攻撃の手を緩めるわけにはいかない。と、また体制を立て直し7号に向かっていった。
7号も、尻尾で攻撃してくるが、彼はそれをくぐり抜けたりジャンプをしたりと回避しながら、顔面に強烈な拳をお見舞する。いくら体表の硬い怪獣7号でも、顔面を狙われてはひとたまりもなかった。ヨレヨレとノックダウンする。
彼はその隙を逃さずに間髪入れず追撃する。まずは7号の体を蹴って飛び上がり、強烈な踵落としを食らわせて、そして、続け様に顔面を再び殴りつける。7号もたまらずに後退りした。
だが、8号も全力を出し切ったために後もう3分ぐらいしか体力は持ちそうになかった。
「カムイステーションより全域、現在怪獣8号が7号に対して優勢、なお、アーチャー1は初弾を発射、弾着まで後30秒」
一方、オペレーターから戦況を聞いていた市川は、今度は心配していた。先輩がピンチなのだ。今はまた優勢になったが、初戦闘だから戦いに慣れずあと数分しか持たないかもしれない。
「どうした、なんかあったか?」
古橋が心配そうな感じで聞く。
「いや、そろそろ被害も大きいから俺たちは攻撃できないのかなぁって思ってね」
市川はバレるとまずいので適当に誤魔化す。
四ノ宮はクスッと笑った。
「さっきの放送聞かなかったの?もうそろそろ出番は来るわよ」
「何が・・・」
市川がそう言おうとした時だった。
砲弾の爆発音が聞こえた。
なんとか書けました。次は明明後日あたりですかね。