1話でもしもカフカが入隊を断っていたら?   作:刀持ちの烏

21 / 45
17:SSSC調査指令

「潜入捜査、でありますか?」

 日本防衛隊捜査本部捜査官の野火キビマロは、おっとりとした口調で、本部長である乃木坂に聞いた。

「いくら、怪しいとはいえど身内ですよ。わざわざ諜報活動する意味もないでしょう?」

 彼は頭に疑問符を浮かべる。乃木坂もまだ納得しているわけではないらしく不審の眉を寄せながら答える。

「うん、私も心の底では君と同意見だ。本当なら同じ身内同士探り合いなんかしたくない。だがな、この依頼は長官が直々に命令してきたやつなんだ。断るなんてできない」

「だいたい、そんな怪しいものなのであれば解散させれば万事解決でしょう。我々が動かなくてもいい気がしますが」

 野火はさらに怪訝そうな顔になる。乃木坂は首を横に振りながら言った。

「それは、私も気になったから長官に聞いてみたんだが認めてもらえなかった。今はとりあえず証拠を集めるのが大切だと言ってな。だが、あの何考えているかわからない四ノ宮長官だからな。それ以外になにかあるんだろう」

「あと、なんで私にその仕事をやらせることにしたんです?他に適任の人はいたでしょう」

「少し話しにくいのだが、君は同僚達から見ても優秀な調査員と気づかれないような顔をしているんだ。だからこそ、今回のような身内の潜入調査にはうってつけだと思ったわけだ」

「はあ…」

 たしかにそうだった。中学生の時野火は、同級生達から平安時代の貴族みたいだとか、窓際で俳句詠んでそうなんて言われるほどのお公家顔で、まるで英国から伝来した国家の裏仕事をやっているとはまるで気づかれないような顔つきだった。

 だが、先ほど乃木坂が優秀な調査員と言ったように、彼は調査部でもなかなかの成績を残しており、なによりも平安貴族とは無縁と言って良いほど洋物を好む性格と、周囲のイメージとは真逆な人物だった。

「一応、やれることはやりますが、まずどうやってその委員会に入れば良いんですかね。まず入らねばどうしようもないでしょう」

「入り方は君の自由だ。まあ、入るのは委員会のメンバーと関わるのが手っ取り早い気がするから、ここに委員会の名簿を置いておくぞ」

 乃木坂はそう言って手に持っていた書類を手渡す。

 野火は、その名簿を一通り見ると途端に顔をしかめた。アクの強い人物や関わりにくそうな人が多すぎて、どうやって接触すればいいかわからなくなってしまった。

 

 

 

 ところ変わって、ここは中華民国仁愛市、ここではとある古ビルに数十人の人々が集まっていた。国籍は性別はアラブ系もいればアジア系もおり男女の割合も半々ほどだった。ビルの入り口には看板があり、そこには墨で大きく「救済団」と書かれてあった。

 この古ビルに集まった人々が所属している救済団は、今や米ソの代理戦争が行われている中東で広まった宗教団体だ。教えはキリスト教に準じているが、独自の目的として「全ての生物の救済」を掲げており、また、キリスト教の行事であるクリスマスやイースターなども無くなっていたりと、文化の面では大きく異なっていた。

 他にも、この団体は並のテロ組織、いや小さな国家よりも武器を保有しており、その勢力範囲も中東はおろか、もはやアジア全域までと行って良いほど広がっていた。

 何故彼らがそこまでの武器を保有できたのかは、中東という土地が大きく関わっていた。

 先ほども言ったように、現在の中東は米ソの関係が悪化してしまったため、大西洋と太平洋、ユーラシア大陸の真ん中で睨み合いを続けていた。だが、両国とも自ら手を出すことは避けたかった。もし少しでも手を出してしまったら世界が崩壊してしまうからだ。軽率に兵を送ることはできなかった。

 そこで、両国は中東に目をつけた。中東ならば元々治安が悪くて武器の横流しがしやすいし、それで戦争になるリスクも少ない。

 結果的に、両国は中東のテロ組織に、仲間になってもらう代わりに裏取引で大量の武器を与えた。今や中東は数々の武装組織がそこらじゅうで争っている前以上に物騒な土地と化していた。

 救済団は、その対立を利用した。組織をあえて二分させて独自に活動させることにより米ソ両国から武器の供与を受けれるようにしたのである。元々治安が悪いんだし、分けておけばバレる恐れもなかった。

 ソ連は国家自体が低迷して、なおかつ大量の輸出用兵器が余っていたため、最新式のAK12やAN94アサルトライフル、T90戦車などをの陸上兵器はおろか、MiG29などの戦闘機も輸出していた。米国はしぶって旧式しか輸出しなかったが、それでもかなりの戦力は保有できた。

 そんな彼らには手に入れたいものがあった。日本で実用化されている怪獣技術である。

 いくら大量に戦車や戦闘機を持っていたとしても、M6以上の怪獣に勝つのは難しかった。ことにM9になると、反応兵器を1発くらっても死なないほどの強靭性を測っており、いくら小国ほどの戦力を持っている彼らにしても、勝てる気はしなかった。

 しかし、彼らはこうも考えた。もしかしたら、怪獣を兵器として利用すればかなり強くなるのではないだろうか?突飛な意見ではあったが、先程の話からも分かるように、可能であれば魅力的な意見でもあった。

 そして、それが完全に不可能というわけでもなかった。日本では、すでに防衛隊でNo.sというM9の怪獣を兵器化したものを利用していたため、防衛隊から情報を盗み出せばある程度の情報を得ることはできた。

 早速彼らは諜報員を防衛隊内に送り、No.sの資料を盗み出すことに成功した。

 もっとも、防衛隊のNo.sは技術不足によりM9並の怪獣の力をフルで再現することはできていなかった。せいぜい単体でM5ぐらいの怪獣と互角というぐらいだろう。

 次に、彼らは独自に怪獣の解析を始めた。団員の1人が怪獣の闇解体業者に接触して、さまざまな部位を購入したのである。救済団の資金は多く結果的に大量に集まったため、十分研究に使えた。

 苦戦こそしたものの、今では生体怪獣兵器、いわゆるロボット怪獣を製作する予定となっているぐらいに技術も進歩していた。

 そんな彼らが今回集まった理由は、怪獣7号および8号が出現したため、さらなる生体技術の進歩を進めるためであった。

 そして、その日の12時00分、会議は開始された。

 

 

 




復活しました‼︎来週また出します。明日のウルトラマンブレーザー楽しみですね‼︎
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。