古ビルの会議室、長机には救済団の幹部と思わしき男女が20人ほど座っていた。机の奥にいるまとめ役らしい黒スーツの男性が重々しく口を開ける。
「突然集まってもらってすまんな。それぞれに予定があるというのに」
彼は、そう言ってチラリと部屋を眺めた。救済団自体は西アジアで生まれたからか、全体的にアラブ系の割合が多く感じる。
「大丈夫ですよ支部長。私たちはあなたの同士なんですから」
1人の幹部がとんでもないという感じに言った。他の幹部も彼に同意を示すような感じで頷く。
「悪いな。さて、本題に入ろう。今回の話題は最近日本に出現した怪獣7号についてだ。みんなもこれは知ってるな?」
再び支部長以外の全員が頷く。
「そして、これからそのことについては日本人の同志である小野寺君が担当している、防衛隊の現在の戦力配置について話してもらう。小野寺君」
「はい」
そう言ってメガネをかけた青年が立ち上がる。
「現在、防衛隊は7号の進行ルートと予想されている。相模原に戦力を集中する予定でいます。そして、投入される戦力は2個普通科連隊および2個機甲連隊、そこに、特科部隊や航空部隊を含んだ編成となっています。これは平時の防衛隊としては最大とも言えるほどの戦力で、さすがの怪獣7号でも多少のダメージは与えられると思われます」
「敵も小田原での経験が生きているというわけか」
「そのようですね。さて、話を戻しますと、まず我々として怪獣7号を目一杯暴れさせるには、防衛隊にどう妨害するかが一番重要になってくるでしょう。特に今回虎の子と思われるのは特化部隊は間違いなく現場に行かせない方がいいと思われます。この部隊は誘導弾やロケットなどを中心とした火力支援部隊で、その強大な火力を持ってすれば怪獣7号を撃破することも可能と思われます」
彼は一旦言葉を切る
「ですから、まず特科部隊が移動に使う橋を破壊し、時間を稼げば妨害としては十分成功します。一見パッとしませんが、相手の邪魔をすることが今回の目的ですから、この程度で十分でしょう」
なるほどとでもいうように彼以外の全員は頷いた。
「よし、ありがとう小野寺君。次の議題は怪獣兵器についてだな、現在の進捗率はどうだ」
小野寺とは別の男性が立ち上がった。
「はい、現在のところ生体怪獣兵器開発の進捗率はコントロール装置の設計図の完成段階まできております。ですが、ベースとなる怪獣がいまのところないため、これ以上進めるとなれば…
それから、会議は4時間ほど続いた。
「こんなことやっていて私大丈夫ですかねぇ」
その次の日、立川基地で野火は頭をかきながら小声でそう言った。彼は、前回命ぜられた任務を完遂させるためにここで待ってるのだ。
彼は再びSSSCのメンバーを確認する。やはりどいつもこいつもアクの強すぎるやつばかりだ。唯一話せそうなやつは4人ぐらいしかおらず防衛隊にいるのは2人しかいない。保科ソウシロウと小此木コノミだった。この2人のうち保科は普段からなかなか食えなさそうな顔をしているので少し心配はあるが、少なくとも本岩や鳴海よりはましだろう。それに、この2人でよかったことは、どちらも第3部隊、それも同じ立川基地だからであった。
そんなわけで、野火は立川基地でiPhoneを見ながらどちらが来るか待っていたのだ。時間は11時45分過ぎ、昼飯時だからそろそろ移動するはずだがどうだろうか。そう感じた彼は改めて廊下を見つめた。
彼が思った通り、ほとんどの人は昼食のために移動していた。その中には彼の言っていた2人もいる。まず最初は小此木コノミから聞く予定だ。彼は彼女の肩を叩く。
「あの〜、すいません?」
「はい」
なんだろう、と感じた彼女は振り向いて野火の方を見た。彼は今回のために偽っておいた名刺を手渡す。
「申し遅れました。広報部の野火キビマロといいます。少し聞いておきたいことがありまして」
「なんです」
「その、最近噂されているSSSCって委員会、今からでも入ることってできます?」
小此木は驚いた顔になった。後ろから特徴的なマッシュルームヘアの男性が来る。
「どうしたん、小此木ちゃん?そんな顔して」
「ああ、副隊長ですか、今委員会に入りたいってその人が言ってまして」
「へえ、君、SSSCに行きたいんか?」
「ですね。あ、申し遅れました。私、広報部の野火と言います」
「野火君か、僕はここの副隊長やっとる保科やよろしゅうたのむ」
2人は軽くあいさつする。
「あ、電話してくるんでちょっと待っててくださいね」
そう言って彼女はトイレの方へ向かった。彼女も、さすがに自分個人で入れたりできないため、まとめ役である鳴海に繋げる。
「もしもし、鳴海さん。小此木なんですけど、今なんか委員会に入りたいって言ってる人がいるんですけど、入れていいですか?」
電話越しからあくびの音が聞こえる。
「なんだっけ、なんか新しく入りたいと言った人が出てきたの、大丈夫別に入れていいよ。入れた方が賑やかになっていいし、なんかあっても僕がなんとかするから」
「はあ…でもいいんですか」
「まあ、僕がいればなんとかなるだろうよ。さいなら」
電話が切れた。彼女は少し心配ながらもトイレから出る。
「あの〜野火さんでしたっけ」
「はい」
彼はほとんど表情を変えないまま振り向いた。しかし、ここで入れないとほとんど潜入調査のチャンスを無くしてしまうため、内心ではかなり緊張している。
「一応、委員長からも許可もらったんで、SSSC入れますよ」
野火は心の底でガッツポーズを決めた。ここまで来ればこっちのものだ。あとの問題とかはどうとでもなるだろう。
保科が少し気になるように聞いてきた。
「でも本当にええんか、かなりクセ強いやつおるけど」
「かえってその方が楽しそうですし、別にこれで大丈夫ですよ」
「まあ、ここに自分から入ろうとしたんやからな。入れて当たり前ってわけか」
保科は少し笑うとスマホで時間を確認した。
「そういや、もう12時なるんやったな。もしよかったら、ここの3人で飯でも食いに行っとくか」
「いいですね。行きましょう3人で」
「一応どこの店に行くんですか」
野火はこの仕事の結果がどうであれ、面白いことになるんだろうなと感じた。
最近筆が乗らなくなってきているので頑張ります。