1話でもしもカフカが入隊を断っていたら?   作:刀持ちの烏

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24:大怪獣8号の謎

 まあ、本当に捕えるつもりはないんやがな。保科はそう感じつつも体制を構える。彼は怪獣8号を本当にここで捕獲する気はない。だが、8号の戦闘能力を見極めようと考えていた。

「君たちは下がって待機してくれんか?こんなに小さいと遠距離じゃ同士打ちするかもしれんからな。君たちは付近の警戒を頼む」

 彼は部下に手短に命じた。彼の言った通り怪獣8号は識別怪獣ではかなり小型だ。遠距離でわちゃわちゃしているとなかなか命中しないどころか誤射が起こる可能性がある。結果彼が1人で戦うしかなかった。

「了解しました。もしもの事があったら加勢に参ります」

 他の命令を受けた部下はそう言って後方へと向かった。

 日々野はこれからどうしようと悩んでいた。幸いにも向こうは少し話をしているようで少しは時間はある。彼が悩んでいるのは何と言っても力加減だ。識別怪獣の力は少し力を加えただけでも手がミシッと言ってしまうほどだ。人間の姿に戻れば治るが、今戻るわけにはいかない。ならば、武器を叩き落とせば戦闘不能には出来るはずだ。

 話がついたと見え、短剣を持った隊長だろう人物が近づいてきた。 

「決まったか?まあ、見た感じやと断るように見えるが、それでええか?」

 さてどうくるか、保科は8号の方を向き、すぐに戦闘体制に入る。相手は識別怪獣だ。実力を試すだけと言っても手を抜く必要はない、全力で相手する。

 保科は、構えると瞬時に斬撃を繰り出した。が、すぐに腕で受け止められてしまう。彼は一旦離れると、今度は背後を取るために8号の頭上を飛び越え、脆そうなところにピンポイントで斬撃を浴びせる。

 7号ほど硬いわけではなかったため、紙で切ったぐらいの傷ができた。

 日々野は少し焦った。傷こそどうでもいいが、このままでは武器を叩き落とせずに時間が来てしまう。どうしたものか…

 彼はすぐに背後からの攻撃を避けると元の場所へと走る。不利な以上今の彼には逃げるしかない。

「おっと、どこ行くんやまだ戦いは終わっとらんで」

 保科は8号の前に陣取る。どうやら逃げるようだが彼としてみればまだ確かめるはずの実力がよくわかっていない。それに…確実にこいつは手加減している、人間相手だからか知らんが本当の実力を発揮していない。

 保科は8号にじりじりと迫る。日々野はどうしようかと周りを見渡しすが、森の中なので木の枝などはあるが、戦いで使えそうなものは特にこれといって何もない。

 やむを得ないか。日々野はスーツが頑丈なことを祈って保科の足首に蹴りを入れた。彼はすぐにそれを避けると両手を交差させて切り掛かる。

(チャンス、今だ)

 すぐに日々野は左手を上に突き上げて短剣を弾き飛ばし、地面を蹴って逃げ出した。地面が粉砕され土煙が舞う。

「副隊長‼︎大丈夫ですか」

 さっきのを見ていたのか、1人の隊員が8号に向かって射撃した。発射された弾丸は土煙によって見えないために命中せずに終わり、保科も見失っているようだった。

 隊員はすぐに保科に駆け寄る。

「副隊長、怪我は」

「いや、大丈夫。手が痺れただけやから」

 保科はそう言って手を押さえた。実際バリアも貼れたからそこそこ痛いぐらいですんでいるが、最終的にやつは本気を出さなかった。彼としてはそこが悔しい。

 だが、やつは本当に人間に危害を加えようとしていないのもわかった。今回はこれが分かっただけでよしとしよう。

 その後、保科は部下と一緒に帰還した。

 

 

 

「よし、これより会議を始める」

 鳴海はいつも通り会議机の奥に座ってそう言った。

 あれから1週間がたった。事後処理でみんな忙しいからみんな来ないと思われていたが…

 保科は周りを見渡した。彼も今回は仕事がある程度終わらせていたから来たが、なんと今回は全員が来ていた。もちろん前に入ると言っていた野火も加えてだ。

「さて、先週の戦闘で怪獣7号は倒され、我々特殊怪獣対策委員会の仕事は8号に縛られた。そこで、今回は8号についての話を進めていこうと考えている」

 鳴海は保科の方を向く。

「そこで、このおかっぱ頭が怪獣8号と戦闘を行った。そのためどのような感じだったのかを話してもらおうと思う」

「おかっぱやなくて名前で呼んでくださいよ」

 保科はそう言いつつ立ち上がった。

「怪獣8号と戦闘した時の感触ですが、人間相手やと力を発揮しないようですね。現に本気を出せば副隊長である僕ぐらいなら簡単に倒せるはずですけど、やつは直接殴らず、あまつさえ武器を叩き落としただけで僕にほとんど傷を負わさんかったですからね」

「あの〜、ちょっと質問いいですか」

「あ、どうぞ」

 白衣の男性、藤沢が手を挙げた。

「怪獣8号は遠距離の武装とかはもっていませんでした。人間大とはいえ識別怪獣ですからそんなことも可能かなと思いまして」

「僕が戦った限りやと持っていませんでしたね。もっとも人間大だと小さいですから、大勢で遠距離から銃で攻撃しても当たりにくいでしょうし同士討ちの危険性がありますからね」

「つまりは怪獣8号を相手にするならば大勢での戦闘は難しいということですか。どれぐらいの人数ならば対抗できそうですか?」

「まあそうですねぇ…多くても一体につきNo.sを付けた隊長4人ぐらいですかね。それ以上では先程言った同士討ちの危険が高まりますし」

 周りが顔を押さえ始めた。物量に物を言わせての戦闘が難しいとなると先程彼が言ったようにNo.sを付けた隊長格4人で対抗すれば良いのだが、そう簡単にはいかない。第1No.s自体生産数に限りがあるし、それを操れる人物を育成するのも時間がかかる。もう一つの手として誘導弾などの大量投射という手もあるが、それでもやはり有効性は薄い。

 最終的に、怪獣8号に対する対策は、可動していないNo.sの早期実戦投入と、近接武器の生産数増加ということになった。

 

 

 

「近接武器はやはりこれから必要不可欠ですわよ」

 会議が終わった後、そんな声が聞こえて保科は聞こえた方を向く。どうやら本岩と出雲が話していたようだ。

「まあ、それはそうなんでしょうね。ですけど、うちのメーカーも銃火器が主体ですからね。いきなり近接武器の生産レーンを増やすのは難しいですよ」

「なにも量産しなくても一点物を増やせば解決できることですわ。全部の怪獣が人型なわけではないのでしょう?」

「あ、ちょっと会話に入ってもええですか」

 保科は2人の会話に割って入る。2人は一瞬彼の方を見つめたが。すぐにokを出した。彼は話始める。

「まあ、でも量産武器を改良しても専用武器としても使えますし、生産レーンを増やしてもらうとありがたいですね。いくら一点物を増やしても整備などが難しくなりますし」

「そうですけど、そのレーンを増やすのが難しいのでしょう?それにどのような武器が最適解かにもよりますし」

 出雲は彼女の発言に頷く。

「そうですね。やはりどの武器が人型怪獣に効果があるのかによっても対策が変わってきますよね」

 それから歩きながら3人はどのような兵器にするかについて話していた。

 ふと出雲が思い出したかのようにこう言った。

「そういえば、話変わって悪いんですけど、前にLINEのグループに飲み会の誘い出したの、気づきました?」

「ああ、そういやありましたね。そんなの」

 確か先月ぐらいにそんな話があった。すっかり忘れていたが、たしか保科も行く慰労会は再来週だったからほどほどならいけるはずだ。

「僕はいけますね。ついでに他の人も呼びましょうか」

 時間はもうすぐ夜。飲む時間帯としては好都合だった。

 

 

 




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