1話でもしもカフカが入隊を断っていたら?   作:刀持ちの烏

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28:二体怪獣出現-海上の第決闘-

「怪獣が現れたって‼︎」

 日々野は自宅で素っ頓狂な声をあげた。

「先輩、あまり声大きくしないでください。俺一応寮暮らしなんですし、先輩だってアパートなんだから近所迷惑になるんですから」

 市川は小声で彼に注意する。

「悪かった。で、どんなやつなんだ」

「今わかっている情報ですと、この怪獣はタンカーを襲ったあとそのまま消息を絶っていて、防衛隊海上部隊が捜索しているみたいです」

「じゃあ俺の出番はまだってことだな。だが念のため用意はしとくわ」

「では、おやすみなさい」

 電話が切れると日々野は明日の予定で何かあったかと考えを巡らす。そういえば明後日だが穂高と一緒になんか食いにいく予定があったな。

 罪悪感を感じながらも彼は明後日行けないと連絡した。

 

 

 

「総員配置につきました」

 山中は眉ひとつ動かさずに命じた。

「対潜戦闘用意」

 艦内部にカンカンカンと警報音が響く。

「対潜戦闘用意‼︎対潜戦闘用意‼︎」

「目標は現在こちらに向かって約30ノットで接近中、本艦までの距離あと10km」

「対潜ヘリに連絡、目標は本艦から左斜め前、10kmの位置にいる。対潜弾による攻撃を開始せよ」

「了解、対潜ヘリに伝えます」

 ヘリによる対潜攻撃が行われ、海中に爆発音が響く。

「どうだ?」

 しばらくして水測員が苦虫を噛み潰したような顔をした。どうやら失敗したようだ。

「対潜弾避けられました。なおも接近します」

「アスロックで攻撃しろ」

「武装ロック解除。アスロック1番2番攻撃始め」

 砲雷長がコンソールを叩き武装のロックを解除する。水雷士が発射用のボタンを押した。

「1番2番発射用意、てぇ‼︎」

 前甲板に搭載された、4つの箱を束ねたのようなものが回転して、その一つがシーソーのように傾く。

 閃光と煙が走った。傾いた箱から細長いロケットが発射され目標の上空へと飛び立つ。同じ情景が[はなゆき]の甲板上でも起こっており、それぞれ2発づつ発射する。

 彼らが打った対潜誘導弾、正確に言えばアスロック対潜誘導弾は、目標上空まで飛んでくると、パラシュートを開いて魚雷を降下させる。パラシュートが海面に落ちると、コンソール盤には魚雷のマークが出現し対象に向かって突進する。

 怪獣である水竜2025型は真正面を見つめ魚雷が近づいていることを理解した。避けようと回避軌道をとる。だがこいつにかかっては無意味だ。なんせ短魚雷は誘導能力があるのだ。

 水竜2025型は避けれないことを確信すると、今度は口から何かを吐いて逃走する。これは体内にある石油の粘度を上げて発射したものだ。当たれば粘度によって身動きが取れなくなる。

 案の定短魚雷のうちの二つが絡め取られて爆発した。残りの2発も誘爆してしまい、致命傷を負わせることはできず、実質的にもうひとつの手であった誘導弾によって仕留める攻撃も失敗した。

「海中に爆発音、どうやら全弾爆発した模様です」

「ヘリを向かわせろ、漂流物がないか確かめる」

 水測員がまた顔を歪めた。

「ん、いやまだ音が聞こえます。以前としてこちらに接近」

「短魚雷で攻撃しろ。艦を立てて被弾面積を減らすんだ。[はなゆき]にも援護させろ」

 地面が揺れた。艦が急速に回頭することを感じ、妙な感覚になる。

「短魚雷全弾発射‼︎」

 怪獣を正面に捉えた[もりゆき]は両舷から魚雷を一斉に発射した。[はなゆき]も[もりゆき]の右舷に回りこみ魚雷を発射する。目標との距離はあと5kmを切っているためすぐに仕留めなければまずい。 

 魚雷のうち6発は誘爆や石油を発射したものにより迎撃されたが、距離が近かったことや弾数が多かったため全てを潰すことはできなかった。

 海上に再び大きな爆発が起こった。山中は再び捜索を行わせた。

「ヘリより[もりゆき]へ、海面上に内蔵などの浮遊物あり、怪獣のものと思われます」

「反応なし、水竜2025型の反応消失しました」

 CIC内は歓喜に包まれる。これで対象は撃破、あとは帰投するのみだ。彼は心の底で安堵しながら命じた。

「総員用具納め」

 艦内の空気が少し柔らかくなり少し落ち着いた。それでもまだ配置は継続しており、不意打ちをされないようにしてる。

 水測長が妙な顔をした。

「待ってください。ヘリから連絡あり、ソノヴイの反応によれば本艦から25km先の地点に怪獣のような反応があるとのことです」

「なんだと、すぐに攻撃だ」

 副長が止めに入った。

「どうした?」

「本艦がこれ以上誘導兵器を消費すれば足りなくなってしまいます。海上部隊はあまり予算がないのに、無闇に消費させてしまっては…。それに、あと対潜戦に使えるのはアスロックしかありません」

 山中はうーんと唸った。たしかにアスロックのみでは怪獣と正面勝負するには不十分だ。万全な状態であれば。

「わかった。本艦と[はなゆき]はやむを得ず母港へと帰港する。ただし引き続き警戒は行わせろ」

 [もりゆき]と[はなゆき]は反転した。

 

 

 

 次の日、穂高は目が覚めた。時間は5時00分。いつも彼はこの時間に起きる。なんというか朝を直に感じれる時間な気がするのだ。

 彼はスマホを見つめた。日々野からは明後日行けないことが書かれている。怪しいなと思った。実際普通に考えればそんなには気にならんのだろうが空が不審な行動を取ることやたびたび言動がおかしいことを考えれば少しは怪しく感じる。それに、この日は怪獣、 竜2025型が東京湾に近づく日だ。彼としてみればさらに怪しい。

 だが、当日は明日だ。今日はそこまで急ぐ必要はないだろう。

 そう思った彼は朝食の準備を始めた。彼は最近栄養にも気を遣っていたため、シリアルや果実、ヨーグルトなどが多い。今日はグラノーラとバナナ、スムージーだ。

 彼はゆっくりとグラノーラを口に運ぶ。別に不味くはないがなんとなく違和感がする。

 前に事故った時は特に怪我がなかったため警察に事情聴取されたぐらいで終わったが、前よりかはマシになってるとは言え、やはりまだ自分の中に何かある気がするのだ。

 スムージーを啜りながらテレビを見た。当然と言うべきか朝なので報道番組がやっており、これもまあ当然なのか水竜2025型の話題が出てきている。

 彼はふうんと思いながら画面を見つめた。石油を食べるとな、確かにやばいやつだな。彼はそう思いながら朝食を食べ終えた。

 

 

 

 

 




護衛艦の戦闘ってどうやればいいのかわからん。
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