現在防衛隊東方方面隊の第1部隊、第3部隊はそれぞれ横浜市、三浦市に防衛線を張っていた。第1部隊はあくまで第3部隊に引っ掛からなかったと時の予備のため、実質戦闘そのものは第3部隊が主役になるわけだ。
今現在のところ、水竜2025型の対処については、地上発射型の誘導弾でおびき寄せた後に、隊長たちの攻撃で弱らせた後に無弾頭の噴進弾を首に打ち込んで仕留める。そのような作戦になっていた。無論この作戦の元はSSSCの発案らしく首を仕留めて、尚且つ爆破させずに倒せなければ大惨事になることを考慮して爆破させずに倒す方法で固まった。
そして現在、水竜2025型への誘導弾攻撃が始まった。最初の攻撃は特科の1式対獣誘導弾による攻撃だ。1式は発射されて目標へと向かっていき、着弾した。あくまで引き寄せる目的のため、発射数事態は少なめにしていた。
海面に爆発が起き、時間をおいて音が響いた。亜白はすぐに近くにいる観測ヘリに通信を繋いだ。
「こちらアーチャー1よりバーバーバー3へ、現在の目標の様子を報告せよ。送レ」
すぐに通信が入った。
「こちらバーバーバー3、目標は現在進路を変更せずそのまま東京湾に向かって進行中。送レ」
「こちらアーチャー1引き続き警戒に当たれ。終ワリ」
通信が切れた。敵は誘導弾ぐらいでは釣れないか。亜白はそう考えて水竜2025型のいる方向を見つめた。
これで釣れないならこっちもやるしかないか、彼女はすぐさま自分の専用武器を構え、砲口を向ける。
「こちらアーチャー1よりオメガステーションへ、誘導弾による誘導が失敗した。目標に対しての威嚇射撃を求む。送レ」
「こちらオメガステーション。了解、射撃を許可する。終ワリ」
彼女は通信の音を聴き終えると。他の隊長たちに合図をし、標準を構えすぐさまトリガーを絞った。弾倉は一つにつき3発、無駄弾を減らすために少し時間をおいて発射した。
1発目は敵の前方付近に着弾した。水竜2025型は、避けようと進路を左へと変える。そして、今度は海老名中隊長の20式狙撃砲2発が対象の後方に着弾、大きな水柱を上げた。20式は亜白の試製狙撃砲とは違い、弾倉が7発連続発射が可能だった。そして続けるように中之島の誘導弾攻撃で覆い隠す。これである程度引き寄せたしある程度ダメージは入っただろう。彼女はそう確信した。
しかし、水竜2025型は驚くべき行動をとった。またも東京へ進路を変えたのだ。
「たった今防衛隊による攻撃が終わりました。今怪獣が見えます…」
ディレクターの声とともに爆炎が晴れ怪獣が出現する。
「このままだと流石にやられるな…」
日々野はテレビを見ながらそう言った。現在水竜2025型の動きを見るために生中継を見ているが、なぜか防衛隊の攻撃にあまり気を引かれておらず反応していない。このままだと確実に東京湾まで来てしまう。
なら、行くしかないか。彼は決心する。バレる心配に関しては正直心配だが、この際可能な限り身を隠すぐらいはやっとけば大丈夫だろう。とはいえ変身するとなると余波などを気にしないといけないので、ある程度離れた場所でやらないといけない。今回の場合、現場に可能な限り近い神社のあたりで変身すれば、森が多いからまだバレにくいし余波の心配も街中より目立たないはずだ、らはずだ。そう考えた彼はすぐに外に出て車でその方向まで向かった。
「現場に向かおうといているな」
穂高は小声でそう言うと日々野を尾行した。すでに彼の調査である程度のことはわかっている。諜報組織をやっている都合上プライバシーなんて言ってられない。
とはいえ、厄介なこともあった。というのも彼の属する対外情報部はLINEや通話ではバレる心配があるため基本的に直接その場に行って報告しなければならない。そのため緊急を要する場面でもすぐに仲間との情報共有が出来ないのだ。
そのため、彼はある程度大量の情報を集めようと車で行く道を追った。自分が言ったように日々野は水竜2025型のいる方向に向かっている。彼はそう確信した。
小此木はいつものように後方のテントにいた。今回の怪獣はどこかおかしい、そう彼女は感じていた。
「どうです、敵はこちらに反応しましたか?」
彼女の部下である羽柴は首を振って答える。
「いや、攻撃に反応はしていません。おかしいですね。ここまで攻撃すれば近寄ってくるとは思ったのですが…」
彼女は少し考える。隊長たちが直接戦闘に参加する都合上、実質的に現場の指揮権は彼女にある。この場合はもう誘導することは諦めてそのまま討伐するしかないだろう、彼女は決断し命令を出した。
「航空部隊および地上部隊に連絡してください、現在水竜2025型は誘導弾攻撃および砲撃による誘導に対して反応なし、やむなく攻撃せよと」
「しかし、それではピンポイントに当てづらいのではないでしょうか?もしかしたら潜られるかもしれませんし…」
小此木は再び黙った。難しいが、止めるためにはこれしかない。
「実質的に誘導ができなかった時点でこの作戦は詰んでいます。少しでも進行を止めるには、今ではこの方法しかありません」
「了解しました。連絡します」
羽柴は頷いて連絡を送る。その時、彼とは違うオペレーターが緊張した顔で言った。
「ん、待ってください。たった今川崎市に怪獣8号出現、横須賀に向かっています」
「怪獣8号‼︎」
川崎市の神社で彼はそう叫んだ。彼は先程日々野が神社の境内に急いで入っていくのを見て今度は降りて尾行しようとしたところ、なんと境内のあたりから怪獣8号が出現したのだ。
彼はもしや、と口は手を添えた。
「もしや、日々野さんが怪獣8号?」
どうだろうか?彼は改めて考える。まだわからないが、とりあえず追わなければなにもわからないだろう、穂高はそう思い再び車を走らせた。防衛隊上層部の関係者だと伝えればなんとかなる。しばらくして彼は横須賀に着いた。
横須賀に着いた怪獣8号は早速水竜2025型に飛び乗り、すぐに地上に引っ張り上げる。海竜2025型は体が爆弾みたいなもんだから何か大きくやらかせば大惨事になる。そう考えた日々野はなるべく慎重に戦おうとしていた。
なんせ思いっきり首だけ吹き飛ばそうにも余波で胴体に穴が空いてしまうかもしれない。そう考えれば迂闊に手は出せない。首への攻撃はもちろん防衛隊もわかっているだろうし、今回はサポートに転ずるとしよう。
彼は水竜2025型に飛びかかりなるべく被害を拡大しないよう押さえつけた。
しかし、攻撃を押さえつけても、やつには怪獣7号にはなかった飛び道具を持っている。水竜2025型は周囲に石油を固めた物体を撒き散らす。そして、不幸にもそのうちの一発は穂高のいる場所の近くに着弾してしまった。
「まさかここまで広範囲に飛ぶとはな…」
穂高はしくじったと言った顔になる。彼は自分の身体がどうなっているのか見た。足がなくなっている。
不味いな、彼は死を覚悟した。クソッこんな目に遭うんなら任務を優先してここまで来ずに少しでも危険について考えておけば良かった、彼はそう考えながら目を閉じた…
突如、穂高の身体が変形し出した、人型こそ保っているがその形は歪になっている。
ある程度変化を終えると、元々穂高だったものは空中に飛び上がり禍々しい羽を広げた。
「……………」
何も言わなければ何も喋らない。怪獣、いやまさしく異形の怪物の姿がそこにあった。
怪獣9号…のちにその怪物はそう呼ばれた。
日が短くなった気がする。