1話でもしもカフカが入隊を断っていたら?   作:刀持ちの烏

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31:怪獣9号襲来!

「なんだあれは…」

 日々野は唖然としながら海面を見つめた。その方向には怪人、いや正確に言うならば彼と同じ人型怪獣なんだろうものが浮いていた。

 見た目は彼、いや怪獣8号とは異なっていて獣人とも言えるぐらいには外観を持っていた8号に対して、目の前にいる人型怪獣は全体的に四肢が少し細く、背中には禍々しい羽が生え、そして頭部はキノコの用な笠が広がった形をしていて、どちらかといえばエイリアンと言った方がよい。体色も、心なしか8号の色であるドス黒い程の黒とは対照的に透き通るほど白い色をしている。

「こりゃまた凄いのが出てきたな」

 彼は未だに現実を本心から理解することができなかった。

 その怪獣は戦っている彼らに飛びかかった。

 

 

 

「ヘリからの映像をスクリーンに回します」

 周りのオペレーターたちがおおと驚く。

 現場は乱戦状態だった。怪獣8号の出現により誘導弾攻撃を中止した後、何が起こったのかいきなり白い化け物が出現して水竜2025型に飛びつこうとし、それを怪獣8号が止めている。どうやら怪獣8号は水竜2025型のことをある程度わかっているようだ。すでに後方に待機していた保科や斑鳩率いる普通科中隊は現場におり、行動は可能だが、今のところ現在の状況を完全に整理できていないため迂闊に命令を出さない。

 羽柴は冷や汗をかきながら言った。

「白い怪獣からファルティチュード9.5の数値を計測しました。識別怪獣です」

「また出てきたってこと?」

 羽柴は力無く頷き返す。どうしようと彼女は頭を抱える。さっきまで海竜2025型の対処に躍起になっていたのにすぐに識別怪獣に対応できるわけがない。

 通信が入った。

「こちらマキュリア1よりオメガステーションより、聞こえるか?送レ」

 この声、そしてコールサイン、もしや。

「鳴海さん、こっちに来てたんですか?」

「ああ、横浜で待っているとちと退屈だったんでな。識別怪獣がもう一体現れたって聞くから急いで部隊を横須賀に移動させている」

 小此木は内心助かったと感じた。こんな時に増援は心強い。彼女は鳴海に聞く。

「鳴海さんは怪獣9号と戦うつもりですか?」

「ああ、そのつもりだ。なんせ水竜2025型も確かに厄介だが識別怪獣ならこちらにとって尚更厄介だ。そういやその怪獣9号とやらはどんなやつなんだ?」

 彼女はある程度わかる範囲で怪獣9号について伝える。

「見た感じですと、怪獣8号とおなじぐらいの大きさで怪獣って言うよりかはなんかエイリアンみたいな見た目をしてますね。あと、羽も生えてるみたいなので空も飛べますね。人型で尚且つ小型なので集団で戦うより1人2人ぐらいで対処する方がいいかと思われます」

「また怪人ってわけか、増援は呼べるのか?」

「現在ルナリエ1および3が予備兵力にいますが、海竜2025型対処の指揮もあるので完全ではないですが…」

「人が来るなら大丈夫だ。こちらもすぐに戦闘に入る」

 通信はすぐに切れた。

 

 

 

「さて、新しい怪人と戦うとしますか」

 鳴海はそう言って手を叩くと、合図を送り乗っていたC-130輸送機からパラシュートで降下した。手には専用武器である試製対獣型大型銃剣が握られており、顔にはバイザー型のNo.s、Rt-0001が装着されている。戦闘において万全の状態だ。部下たちも問題なく付いてきている。

 地上はかなり激しい戦いになっていた。エイのような体型をしているため水竜2025型はあまり戦闘に関わっていなかったものの、識別怪獣同士の戦いは人間からして別次元のような戦いになっていた。怪獣8号、9号どちらも小型のため被害そのものは巨大な奴と比べれば少ないように思われるが、それでもどこかの戦闘民族を思わせるほどぶっ飛んでおり、ビルに穴が空いて崩れるわ道路に巨大なヒビが入ったりそこそこの被害を出していた。

 彼は、地上に降りると早速ルナリエ1、3に連絡する。

「こちらマキュリア1よりルナリエ1、3へ、可能であれば返事をしてくれ。送レ」

「こちらルナリエ1、ルナリエ3は1と共同で行動しとります。マキュリア1は現在何処にいますか?送レ」

 よし、ルナリエ1は確かあのキノコ頭の中隊だったな。近接重視なら心強い。

「こちらマキュリア1、現在マキュリア1は金沢区に降下した。ルナリエ1、3は何処にいる?送レ」

「こちらルナリエ1、ルナリエ1、3は現在釜利谷東にいる。すぐにマキュリア1に合流する。送レ」

「こちらマキュリア1、了解した。終ワリ」

 鳴海は通信を切り戦闘に向かった。

 

 

 その頃、日々野はキノコのような怪獣と殴り合っていた。それぞれ敵の攻撃をガードし、受け流しながら戦闘を続ける。敵は飛行能力を持っていたものの、日々野がほとんど遠距離攻撃を避け戦いにかまっていられないとばかりに逃げようとするのでそれを阻もうとした結果、必然的に近接戦闘が行われていた。

 こいつはヤバいな。日々野は戦いながらそう感じた。あのキノコみたいな怪獣、おそらく7号より強い。

 キノコみたいな怪獣は、翼を使い飛び上がると日々野に対して急降下して打撃を加える。

 彼は腕を組んで攻撃をガードし、攻撃を受け止める。反動により後ろのビルまで吹き飛び、そしてめり込んだ。疲弊しておらず、ある程度受け身を取っていたため外傷はなかった。

 日々野は体勢を立て直すとすぐに水竜2025型に向かう。今回の相手はこのキノコみたいなやつではなくあくまでやつだ。

 だが、キノコみたいな怪獣は彼を阻む。どうやら敵とみなしたやつは徹底的に戦うようだな。そう思った彼はすぐに構えた。

 

 

 まもなくして、鳴海は保科、斑鳩らと合流した。とりあえず人型識別怪獣という都合上、鳴海と保科、あとは援護できる者のみ怪獣9号に対処して残りは斑鳩の指揮の元、水竜2025型への対処にあたることになった。

 やることが決まるとすぐに行動を開始した。鳴海と保科の2人は、部下を連れて8号と9号のいる金沢区役所付近まで73式大型トラックで移動する。保科はトラックに揺られながら口を開いた。

「なんか、悪いですね。こっちの管轄なのに手伝ってもろて」

「いいってことよ、こっちも第3部隊にみすみす手柄を取られてしまっては最強部隊の名が腐る」

 保科はニヤリと笑った。

「そうですね。なら僕も可能な限り一緒に戦えるよに頑張りますよ」

「有難いな」

 近くに来たようですぐに全員が降りて援護のため散開した。2人は武器を整えて戦闘に臨んだ。

 

 

 

 防衛隊が来たのか?日々野はそう思いながら軍用トラックのいる方向を見つめた。間違いない、防衛隊だ。彼は攻撃を捌きつつも内心助かったと感じる。ここで防衛隊が来てくれればこのキノコ頭との戦いを任せることができる。

 彼は逃げるため前に逃げた時のように地面を破壊して砂埃を発生させた。今回はダメ押しとばかりに顔のような部分に砂をぶっかけて逃走した。

 9号はすぐに追いかける体勢に入る。しかし、彼の頬を砲弾が掠る。9号は後ろを振り向いた。砲弾が放たれた方向の砂埃は晴れ2人の男性の姿が写っていた。

「よお、怪人サン」

 2人は戦闘に突入した。

 

 

 




本編であまり共闘してなかった2人
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