1話でもしもカフカが入隊を断っていたら?   作:刀持ちの烏

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3:保科入隊の日

 保科ソウシロウの朝は早い。

 現在は4時30分、空も明るくなっていない。

 もっとも、いつもの彼がそんなに早く起きるわけではない。ましてや今は12月の下旬、できるなら極力寝ていたい。

 だが、今日は我慢しなくてはならない。なぜならここ、大阪から東京へと引っ越すからである。

 ここ一か月で、彼は新しい住居を買い、家具一式備えれるほどの金をもっていた。もっとも防衛隊は普段、寮で暮らすため。常に家にいるわけではない。

 彼は、今までお世話になった寮と家に別れを告げ。自宅を後にする。

 朝食はコンビニで買ったいろいろ挟まったホットドッグと、コーヒーであった。 

 彼は、駅で新幹線に乗り、品川へと向かった。

 

 

「次は〜立川、立川」

 狭い電車内にアナウンスが響く。保科は先程読んでいた新聞を閉じた。ため息をつく。なんでも社会面をみた感じだと、中国の工作員が防衛隊内に忍び込んでいたのが発覚し、その四日後には中ソの空母が演習を開始したことをうけ、米中対立が本格化、日米は空母<すおう>や<フランクリン・ルーズベルト>を中心とした合同訓練を行うらしい。正直、防衛隊としては迷惑でしかなかった。防衛隊は自衛隊に普段から予算を取られており、周りが思っているほど装備が潤沢ではなく、海上部隊などは自衛隊の中古品が多い。だいたい、自衛隊と同じぐらいだが、専用武器の製造を含めればそんなにない。戦車ではなく防衛隊のスーツを配備した理由だって、都市部の被害を考慮したと言うのが公表されているが、機動戦闘車を配備している、というところからみると、根本は予算が絡んでいるのだ。ましてや訓練のときに出されてはさらに減らされるかもしれない。

 彼がそう思っている時、電車が止まった。駅に着いたようだった。

 電車から降りた。駅には用事はないので、すぐに出口へ行き、バスに揺られながら、新しい自宅に向かった。

 

 

 

 新しい自宅は、一人暮らしのためアパートにした。

 家具などの用意、レイアウトは終わったから、やること今日の時点で終わらせていた。

 そして現在12月28日、彼は夕ご飯を食べていた。そんなに自慢することではないが、保科は料理がが好きで、特に包丁捌きが得意である。今回は和食で、ご飯と肉じゃが、ほうれん草の胡麻和えや冷奴であった。

 自分で言うのもなんだが、美味しいなぁと感じる。引っ越し初日で疲れた体に栄養を与えてくれる。

「やっぱ、疲れたときの飯ってのはええなぁ」

保科はそう言いながら食事を終えた。

 

 

 次の日、保科は朝早く起きて、バスで立川基地へと向かった。とはいえ、今回は30分も早く来てしまったため、周りは心なしか静かに思えた。

 保科は気の抜けた声で呟く。

「でっかい基地やなあ。前の左京基地とは大違いや」

 確かにそうであった。

 第3部隊の根拠地である立川基地は、元々が日本軍や米軍の航空基地の跡地だけあってかなりの敷地面積をもっていた。主な施設は、寮などの生活施設や見学スペースなども含めた広い構造物たち、そして900mの滑走路を持つ大型飛行場。さらには、約165ヘクタールにもなる都市を忠実に模した、広大な演習場も完備していた。

 なお、彼のいた左京基地も中々の広さだったものの、広さは15万6千平方メートルと、立川基地よりは小さかった。

 保科は、早く来たことで受け付けの人に面食らわれてしまったものの、なるべく早く通してもらった。

 彼は着任を伝えるため、隊長のいる執務室へと歩を進める。訓練をしている声や航空機が離陸する音が聞こえる。彼はちらりと訓練の様子を見てみたが、実力は、前にいた基地よりもうまく動けているやつが多い印象で、とても良いものだ。特に銃火器だけではなく、もしものためだろうが体術の練習にも力を入れているようだった。

 隊長の居る執務室に着いた。保科はドアを3回ノックする。

 冷静そうな女性の声が聞こえた。

「入っていいぞ」

 お邪魔します、と言い彼は執務室に入る。どこもよく見る典型的な執務室といった感じだ。その中に。第3部隊隊長の亜白ミナは立っていた。

 彼女は最近隊長になったばかりで、現在は27歳だ。見た目は広告などでも見たことがあるが、まあクールビューティーと言えば良いのだろう。印象は言葉から感じた印象のように冷静そうだった。

「第6部隊から来ました、保科ソウイチロウです。これより第3部隊の副隊長として着任します」

「よく来てくれた。保科"副隊長"」

「そう言ってくれてありがとうございます」

 保科は真顔のまま感謝を伝える。亜白は少し微笑みながら

「あまり固くならなくても大丈夫だ。どうせ私も君に助けてもらうことになる」と、言った。

 保科はゆっくりと肩の力を抜いて、鼻から息を吐いた。そして亜白に負けないようににっこりと微笑む。そして、彼は堅苦しくない、いつものように生き生きとした言葉でこう言った。

「そうですな、僕も副隊長として、キチっとサポートしますよ」

 亜白も、笑い返しながらこれから頼むぞ、と言った。

 保科は、この隊長と一緒になれるならばこれから上手くやっていける。なんとなくだが、そんな気がした。

 

 

 




長かった。これでゴールデンなウィークもおしまいですね。ちなみに作者は特に何処にも行きませんでした。あと来週からテスト期間ですので更新が遅くなるかもしれないので、そこのところご理解していただけると幸いです。
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