1話でもしもカフカが入隊を断っていたら?   作:刀持ちの烏

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37:蟹の怪獣が伊勢原を襲った!

「現在、伊勢原市の産業能率大学第二グラウンド付近に現れた個体はそのまま市街地へ向かって進行中、現在避難は完了、司令部はこれより本怪獣を地虫2023型と呼称するとのことです」

「現在使える兵力は?」

「現在は第3部隊の第1中隊、第2中隊、第5中隊。そして付近の航空隊が対処にあたるとのことです」

「なるほどな。了解した」

 会議室の大机に座っていた鳴海はそう言って頷いた。室内には彼と小此木以外に本岩と藤沢がいる。保科は前回の戦闘の治療で病院だし、矢沼と神楽木は自衛隊の都合で欠席している。

 彼は一度送られてきた地虫2023型の姿を見て何か考えていた。そういえばと言う顔で小此木が聞く。

「ところで、鳴海さんは大丈夫なのですか?第1部隊だと忙しそうな気がするんですけど…」

 鳴海は少し写真から目を離した。

「ああ、副隊長やってるハゲにそこら辺は任せてある。まあ僕がいたとしても部下だけで並大抵の怪獣は事足りるからな。手こずってたりF7より上のやつが出てこない限り僕の出番はないね」

 鳴海はそういえばと言う顔で聞く。

「ところで藤沢君、この怪獣、蟹みたいな見た目をしてるが、蟹の怪獣と考えていいのか?」

「まあ、川にいるサワガニに似ている怪獣ですし、そのまま蟹の怪獣でいいと思いますよ。だけど…」

 藤沢は少し首を傾げた。

「この見た目、サワガニと言っても日本にいない黄金サワガニににてるんですよねぇ。見てわかるように黄金ってゆうか黄色っぽい体色してるでしょう」

 確かにそうだな。と言って鳴海は頷いた。確かに彼の言うとおりこの怪獣は黄色っぽい色をしていた。体型はまんま蟹で、この怪獣独自の点を挙げるとすれば背中の甲羅の中央にコブのような器官がついてることだろうか。

「まあ、とにかくこの背中についてるやつが、この怪獣のユニ器官なんでしょうね。能力などは分かりませんが、おそらくここを破壊すれば敵の戦闘能力をかなり奪えるでしょう」

「そうですね。私は場所的に航空攻撃で破壊するのがベストだろうと考えています」

「いや」

 鳴海は首を振った。

「いくら航空攻撃があろうと、敵のユニ器官があるのは甲羅の下だ。貫徹力の高い誘導弾でも破壊は難しい。それよりも僕としては、ユニ器官にこだわるのではなく、敵の体内に小型の誘導弾、欲を言えば口部から攻撃することにかるから、貫徹力の高い誘導弾などの攻撃を集中すべきだと思うな。たぶんそっちの方が手っ取り早い」

「なるほど。まあ確かに周囲に無駄な被害を出さないと考えても、そちらの作戦の方がいいですな」

「でしたら…」

 小此木がなにか思いついたような顔をする。

「それだと、亜白隊長のピンポイント射撃で口部を攻撃するのはどうでしょうか?それだったら下手に近距離に近づいてからの誘導弾でやるよりも効果はあるでしょうし」

「たしかにそうだな」

 鳴海はそう言って口を押さえた。

「では、敵の口部にアーチャー1による遠距離攻撃を集中しろ、と情報を送ればいいですか?」

 小此木がそう鳴海に聞く。

「うん、それでいい。すぐに現場に伝えておけ」

 彼は頷きながらそう言った。

 

 

 

 現在目標、地虫2023型の対処のために普通科や機甲部隊が集結していた。

 四ノ宮は第3中隊第3小隊を任せられたが、新人のため役割としては援護が主体で、重要な役割となる口部への攻撃はアーチャー1、亜白隊長率いる第1中隊の射撃で、近距離で引き止める役を第3中隊と斑鳩率いる第5中隊が、後方援護として誘導弾攻撃を中之島率いる第2中隊および機甲中隊の攻撃で行うという手筈になっていた。

 目標は、可能な限り対象を出現地点である、産業能率大学第2グラウンド付近からなるべく進行を食い止め、作戦本部である伊勢原市総合運動公園にいる亜白隊長による攻撃を行いやすくすることだ。そのためには目標の進行をなるべく早く食い止めなければならない。

 第3部隊はすぐに行動を開始した。敵の進行速度は遅く現在は上粕屋付近にいる。

 中隊は敵の攻撃を喰らわないようにするために、散開してそれぞれで攻撃することにした。

 四ノ宮はすぐさま指示を出して、小隊を山王中学校付近に配置した。これなら十分安全なほどには距離を離しているし攻撃ができないというほどではないはずだ。

 彼女は部下に命じた。

「小隊はしばらく敵から距離を引いて行動して、後ろからの援護に巻き込まれないようにね。もうすぐ攻撃が始まるから」

 それから数秒後、敵を無数の爆炎が包んだ。遠距離からの攻撃だった。

「何発当たったかな?」

 中之島は双眼鏡を目に当て、自分が撃った誘導弾が当たったか確かめるため敵を眺めた。見た感じ効果は多少あるようだ。目立った外傷みたいなものはないが背中の一部が少し焦げているように見える。周囲の被害の少なさから見ても全弾命中だろう。

「よーし、見た感じいい具合に命中してるね。中路くん、付近の機甲中隊にも同じ場所に射撃してもらえる?」

「了解です。そう伝えておきます」

 中路という彼女の部下がすぐに機甲中隊に伝える。そして、すぐに砲音が響く。14式装輪装甲車による射撃だ。それ以外にも展開していた

4式短距離地対獣誘導弾発射機、97式多目的誘導弾発射機、中距離多目的誘導弾発射機から無数の鉄の矢が発射され、目標へと誘導される。

 まさに圧巻だった。流石に怪獣7号に向かってやった時よりかは見劣りはするだろうが、足止めと考えれば少し過剰とも思えるぐらいに見える。

 だが、その程度の攻撃で参る怪獣ではなかった。誘導弾自体は全弾命中したが、地虫2023型はユニ器官の能力で背中に粘着性の粘液を発生させる。こうすることで、粘液が誘導弾を滑らせ、防御力をさらに増強されるのだ。結果、命中こそしたが敵にそれほどのダメージを与えられなかった。

「敵に全弾命中、されど効果は少ないようです」

「中々ね」

 四ノ宮はウームと唸りながら敵のいる方向を眺めた。確かに損害はあることにはあるのだが、見た感じそれほどではないように見える。

「他の小隊の様子は?」

「現在第5、第3中隊所属の小隊たちはそれぞれバラけていますが、ほとんどが場所的には東名高速道路付近に待機していますね。今の所被害はないようです」

「なるほどね」

 航空攻撃にはまだ少し時間がかかるだろうし、遠距離攻撃も一度大量に撃つと二度目をすぐにやるのは難しい。ならば自分たちがやるしかないだろう。

 彼女は命じた。

「付近の小隊と共同で怪獣を叩ける?」

「一応伝えておきます」

 部下の1人がすぐに送話器を耳につけた。

「了解、だそうです。すぐにいけると」

「よし、本部にも伝えておいて。付近の小隊と共同で怪獣を足止めするとね」

 戦闘はまだ始まったばかりだった。

 

 

 




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