闇の戦士達は神殺し   作:紙の子

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19話:それぞれの動き

ハジメが奈落に落ちてから幸利は前線から離れ、愛子の護衛部隊に入った。

 

そして今はウルという泉の街に滞在している。

 

 

「…そうか。ありがとう」

 

幸利は北の山中で小動物を操りこの周辺を見てもらっていた。

 

幸利の天職は闇魔法使い。

基本的には魔物や動物を使役や幻影魔法を得意とする。

そして今は宿屋の店主が北の山で魔物が凶暴化していると噂していたので訓練ついでに見に行こうと散策している。

 

 

「さて、そろそろ街に戻ろう」

 

幸利は山を降りようとした時だった。

背後から枯葉や細えだを踏みしめる足音が聞こえてくる。

 

「ん?」

 

幸利が振り返ると、黒いローブを顔まで掛けた人物がいた。

 

「…なぁお前。魔人族に来ないか?」

 

「…はぁ?」

 

この人物は幸利を魔人族側に勧誘してくる。

彼は少し前から幸利がここで訓練や探索していることを知っており、幸利が魔物を操る能力に目を光らせその力を使い近場に見えるウルを壊滅させようと企んでいる。

 

「どうだ?お前がウルを壊滅させた暁には魔人族の勇者にしてやる」

 

「…」

 

勇者というワードに幸利は反応する。

確かに過去の自分ならその言葉に乗せられていただろう。

だが、幸利は過去の自分と決別したのだ。

 

「断る」

 

「そうか。なら死ね」

 

そう言いながら魔人族の男は幸利に接近してナイフで切り裂こうとする。

 

 

 

ガサッ!

 

しかし落とされたのは魔人族の右腕だった。

幸利の手には銃の形をした黒に紫色のラインが入った武器が握られていた。

 

「ぐぁああああ!」

 

ナイフを持っていた魔人族の右腕は、幸利の武器によって切り落とされる。

トドメを刺してやろうと銃口を心臓部分に構えるが、そこに黒い竜がブレスを吐き幸利は危ないと躱し、振り返ると黒竜は魔人族を連れて逃げて行った。

 

 

「…ふぅ…とりあえず先生に伝えないと」

 

幸利は武器をしまいすぐさま山を降りていった。

 

(それにしてもこのアイテムはなんなんだ?

ハジメが作った…って訳でもないな。

それにこのUSBメモリーみたいなのに書かれている顔、ハジメが変身した闇の巨人に似ている)

 

 

 

 

 

 

ウルに到着すると宿の前に愛子先生が待っており幸利を見るとすぐさま駆けつけてきた。

 

「清水君!どうしたんですか?!」

 

服のあちこちが汚れていたので何かあったのではないかと愛子先生は心配していた。

 

「大丈夫ですよ先生…ただ、面倒な事がありましたが」

 

「面倒な事?」

 

 

 

 

「魔人族から勧誘が…」

 

幸利は宿で服を着替えてから園部達を呼んで今朝あった出来事を話した。

 

「確証はないですけど、北の山での魔物の凶暴化はその魔人族が裏で何かをしている可能性があります」

 

「そうですか。でしたら騎士団の皆さんにもお伝えしないといけないですね」

 

「はい。最悪の場合この街に奇襲を仕掛てくるのでは?と」

 

「しかしもしそれが本当なら、その魔人族も相当な手練れではありませんか?」

 

「先生、俺もそう思います。だから他のみんなにも警戒態勢を取らせるように言ってもらえませんか?」

 

幸利は愛子先生に忠告をする。

愛子先生はそれに頷き生徒達に知らせる為に宿を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

勇者メンバーから離れた恵里はオルクスの大迷宮を抜けて旅をしていた。

結論を言うと6つの証がないので諦めて引き返した。

 

「さて、僕はこれからどうしようかな〜

お兄ちゃんを見つけるって行ったはいいけど」

 

”でしたらエリセンにでも行きますか?

海の街で海産物で有名ですよ”

 

「いいねぇ〜エリセンに行こう」

 

恵里はトレギアの案に乗りエリセンに向かうことにした。

 

 

エリセンに到着に1週間かかった。

途中、中立商業都市フューレンでギルドで魔物の素材や魔石を買い取りをしてもらったり買い物をしていた。

 

エリセンの街に入ると海人族が沢山住んでいる。

中には普通の人間も少なからずいた。

 

「ん?」

 

歩いている先で女性が叫んでいた。

女性は足に怪我をしている。

 

”どうしますか?どうやらあの馬車に子供がいるみたいですが”

 

「…」

 

恵里は女性の前に歩き男達を避けて近付く。

 

「お母さん。その娘さんはあの馬車に乗っているの?」

 

「は、はい!お願いです!娘を・・・ミュウを助けて下さい!!」

 

「いいよ。僕に任して」

 

(ごめんねトレギア。僕は助ける事にするよ)

 

”甘い…と言いたいですが、少々私も同じ気持ちでしたよ”

 

恵里はトレギアアイを使いトレギアに変身。

拉致犯の馬車まで飛んでいく。

 

「はーい1人目!」

 

青黒い電撃で1人の男を感電死させる。

ついでに馬車の車輪を片方破壊して停止させた。

 

すると、荷台がゴトゴトと揺り動いて拉致犯の仲間であろう男性がナイフを片手に海人族の子供を人質に出てきた

 

 

「お前近づくんじゃねえ!一歩でも近付いたらこいつをぶっ殺すぞ!!」

 

「そう言うネタはいいよ」

 

正面に立ち、男が握っていたナイフの刃を握りつぶし子供を奪い返してから顔面を全力で殴り飛ばし母親の元に子供を返した。

 

 

 

「何?彼女の子供を助けたのは僕だよ。

なのに何で武器を構えるのかな?」

 

変身を解除して母親の元に子供を帰した恵里だが、兵士達は恵里に向けて武器を構えている。

 

「武器を収めてください!彼女は私の恩人です!」

 

彼女の一声に兵士達は武器を収めた。

 

(あっ、この人たちこの人に惚れてるんだ…大変だな〜)

 

 

 

 

 

「この度は本当にありがとうございました!」

 

レミアのおかげで恵里への警戒は無くなり、今はレミアのお家にお邪魔している。

助けてくれたお礼に報酬にとお金を机に出す。

 

「少ないお金ですが、どうぞお受け取りください」

 

「いやいや、受け取れません!これはミュウちゃんの為に使ってください。僕は当然の事をしたまでです」

 

部屋の奥から子供が覗いていた。見た目からして四~五歳程だろう。何があったのかも少なからず理解出来るお年頃だ。そんな子が恵里の前に近付いて

 

「おねえちゃん、おかあさんとミュウを助けてくれてありがとうなの!」

 

「どういたしまして!」

 

母親に似てとても可愛らしい女の子だった。

 

「このお金は受け取れません。

お礼でしたら宿を案内してくれませんか?」

 

「でしたら今晩だけでも泊まって行ってください。

ミュウも貴女と一緒に居たいみたいですので」

 

「分かりました」

 

その日恵里はレミアの家でお世話になった。

数日後、恵里はレミアの家を出て次の街に向けて出発する。

 

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