魔人族を倒したハジメはオルクスの大迷宮を脱出している。
ハジメを先頭にクラス一行、メルド達、ユエ達と並んで進む。
道中の魔物はハジメが瞬殺、その光景に天之河や檜山達は憎い顔をしていた。
「ほら、着いたぞ」
ハジメ達はオルクスの大迷宮を脱出、地上に戻ってきた。
クラスの面々は喜んでいるが、その反対側では
「おいおい。俺達は勇者一行を助けたんだぞ?」
騎士団に武器を向けられる。
「南雲ハジメ。貴様には異端者認定されている。
無駄な抵抗をせず拘束されろ!」
「…そうかい。なら「お待なさい!」」
兵士の間を抜けて現れたのはリリアーナ姫だった。
俺の顔を見るなり泣きそうな顔をしている。
「本当に…生きていたんですね」
「当たり前だ」
リリアーナは涙を拭いながら兵士たちを見つめる。
「全兵後退を」
「何故ですか!目の前には魔人族と行動をしている異端者がいるのですよ」
「彼は金ランクの冒険者として登録されてます。
そして今回勇者一行を魔人族から救出する依頼を彼らは受けてくれました。
それとも貴方達は魔人族を倒す程の力量がおありですか?」
リリアーナの言葉に返事が出来ず兵士達は撤退する。
そしてハジメの前に向かう。
「申し訳ございません、ハジメ様」
「別に構わん。それで街の方はどうだ?」
「それが…ハジメ様が消えたあの日から、街で王宮に対するクーデターが起き、ハジメ様の異端者認定も迷宮内で亡くなった事も誰一人と信用しないと」
おいおい、肝座りすぎだろ…
「そうか。なら今から詫びをしないとな。街まで送ってくれないか?」
「分かりました」
「という事だ幸利、恵里。ギルドにはお前が報告してくれ。それと出発は明日にするから今日は何処か適当な所で宿取ってくれ〜」
そう言いハジメはリリアーナと共に王都の方に向かった。
バルロスは人間の姿に戻り、シア達の元に戻った。
「さて、どうする?ハジメは明日まで帰ってこないだろうし、宿屋決めて飯にするか?」
「そうですね!ユエさんもティオさんもそれでいいですか?」
「…そうね」
「そうじゃの」
「待て!魔人族の男!」
そう言い止めたのは天之河だった。
「何の用だ勇者さん?…シア達は先に行っててくれ。幸利と恵理もだ」
「それで俺様に何の用だ?」
「今の姿といい魔人族の姿といい。
お前が南雲とグルになっている魔人族だな!」
はぁ?
何なんだコイツは?
「何言ってるかさっぱりわからん。
俺様はオルクスの大迷宮で封印されていた所をハジメに解いてもらって、勝負に負けアイツと一緒にいるだけだ」
「嘘をつくな!あの禍々しい姿。
お前もなれるのだろう!」
あぁ!ベリアルの姿の事か。
「なれたとしてどうする?」
「お前をここで倒す!」
天之河は聖剣を抜き構える。
「別に構わんが、あんな三下の魔人族を倒せないお前で俺様に勝てると?」
「そんなものやってみないと分からないだろ!」
そう言い天之河は聖剣構え突進してくる。
「単調だな」
チャンバラのように聖剣を振る天之河の攻撃を難なく避ける。
「何故だ!何故当たらない!くっ!」
「それはお前が俺様より弱いからだ」
「ふざけるなぁ!!」
速度は早くなったが、やはり単調だ。
技能で身体強化を使っているのだろう。
「つまらん!」
そう言い天之河の腹を一発殴り飛ばしその勢いで吹き飛び数メートル先にある木箱にぶつかった。
少しすると木箱の破片から起き上がる天之河。
ゆらゆらと体を揺らしながら聖剣を杖にして起き上がる。
「無駄な事を…」
「それでも俺は…お前達をここから行かせる訳にはいかない。
彼女達もきっと南雲に洗脳されてるに決まっている」
「あぁ?!」
バルロスから聞いたことも無い声を出す。
「おい…テメェの言い分はそれだけか?」
バルロスは徐々に天之河に近付き胸倉を掴む。
「テメェの脳はどれだけお花畑なんだ?」
「何を!」
天之河の襟元を離し腹に膝蹴りを入れる。
「ゲホッ……俺はみんなを帰す為なら、たとえ悪にだって……」
「ほう?それはいいが……だがテメェのそれは自己満足だろ?」
バルロスの言葉に天之河は下を向く。
「彼女達に洗脳されてるだと?そんな考えを持つ事自体どうかしている」
「……」
「フンッ!」
天之河を壁に投げ捨てバルロスはその場を去った。
「いいか!アイツらはハジメに恩を返すために共に旅をしている仲間だ!
ユエは俺様と同じで大迷宮で封印されていたのを助けてもらい、シアは帝国の兵から追われていた家族を助けてもらい、
ティアは魔人族からの洗脳を解除してもらった恩がある。
何も知らねぇ部外者共がハジメを馬鹿にするなぁ!」
バルロスはそう言い幸利達の向かった方にに行こうとする。
少し歩くと建物の角で覗き見しているシアとユエが
バルロスはため息しながら見つめる。
「お前ら見てたのか?」
「…ごめん」
「すみません」
バルロスは髪をかきながら 今度は呆れてため息を吐く。
シアとユエは申し訳なさそうな顔をしていた。
「今の事ハジメには言うなよ」
「…うん」
「はい!」
シアは嬉しそうにバルロスの腕を握り宿を案内し、ユエはその後ろを歩く。