先生「えーっと…エア吹いたし、接続問題ない…組むか」
ゲーム開発部で一人アーケードコントローラーをメンテナンスする。年季が入った工具や手慣れた手付きを見るに初めてではない様子だ。
先生「皆はゲーセンでスティックがおかしくなったら遠慮なく店員に言って戻して貰おうねっと…はい、できた」
アーケードコントローラーを組み立て終わると立ち上がってロッカーをノックする。
先生「ユズー、なおったよー」
ユズ「せ、先生!?なんでロッカーにいるって!?」
先生「匂い、はいこれアケコン。パーツ安く入ったから今度オヤツちょうだい」
ユズ「ににににおい!?そんなにしますか!?」
先生「あっ、モモイのスイッチ直さなきゃ」
ユズ「先生!?逃げるようにスルーしないでください!?臭いですか!?私臭いんですか!?」
時々壊れる備品は先生がメンテナンスをしている。先生が直せる類のであれば先生が、無理なレベルであればエンジニア部にお願いをしに行く。
先生「部費がもう少しあればなー、いっそユウカにストライキする?」
ユズ「野蛮です、ストじゃなくお願いじゃ…」
先生「部費欲しいなら実績出せって躱されない?絶対言われるじゃん。金出す=実績にしてやるから先に金出せって強く言うんだ。倍にして返すからよぅ」
ユズ「ゲーム開発部は荒くれ集団じゃありません!パチンコ行くみたいなノリで言わないでください!」
先生「え、でもアビドスじゃ銀行強盗が盛んだよ」
ユズ「名産品みたいに言わないで下さい…」
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某日、とあるアビドス
シロコ「先生、一生徒としてじゃなく仲間としてのお願い。先生も銀行を襲おう」
先生「検索によると…マジに言ってるのかシロコ。いくら汚職まみれのカイザーコーポレーションだからって盗みは良くないぞ。他の手を打とう」
シロコ「貴重すぎるお金…奴らはひとつもくれない。暴利を取り返すだけ」
先生「オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ、借金きついからって盗りに行こうって誘ってるのか?それって違法だろうッ!?」
シロコ「盗るのはわたし…夜行くので先生は道行く障害を排除し、照らしてくれるだけでいい」
先生「ナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナア…排除して照らすだけだって……抽象的に言ってるけど割とガッツリ働いてって言ってない?先生は健全な少女のために働いている人間だよ…社会的に少しは有名なんだ。しかも! 二人だけでやるなんて馬鹿げてる!」
シロコ「正義の「銀行強盗」をします」
先生「だから気に入った、面子の補充は先生が引き受けたよ」
シロコ「ん、先生大好き」
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先生「…アビドスじゃ、普通だよ」
ユズ「せ、世紀末…」
そんな雑談をしながらスイッチを起動し設定画面を開きスティックを調べる。
ユズ「真ん中に行かないですね、端っこ寄っちゃいます」
先生「ホントだ、モモイが泣きながら発狂して台パンするのも納得。こりゃスティック丸ごと交換した方がいいね」
ユズ「先生が煽るから…」
先生「悪いと思ってるから今直してるよ。というかユズも成敗という名目で格ゲー申し込んできて先生泣くまでボコったよね」
ユズ「予備のスティックは棚にしまってましたね、私取ってきます」
先生「ユズゥ?」
持って来て貰った箱からスティックとY字ドライバーと+ドライバーを取り出す。そして左側コントローラーだけ分離させると裏側のネジを外しにかかる。
先生「スイッチって案外簡単な構造してんのよ。このフタ外してバッテリー退かせば後はケーブルに気を付けて…ドライバー使って外して取り換えるんだよ。断線、コードだけ切らないようにだけ気をつけて。銃のメンテと同じ、慣れだよ。これ結構壊れやすいから覚えたら自己責任だけど自分で安く直るよ。今度ユズもやろうね」
ユズ「け、結構スラスラいいますね…先生、いつも思うんですがどうしてゲーム開発部に居てくれるんですか?こういうの出来るならエンジニア部に…」
先生「好きだから」
ユズ「えっ!?」
先生「あ、違う違う。ゲームがってことだよ。だってこれに電源を入れればドキドキわくわくするようなゲームが出来る。素晴らしいことじゃない。そういうのが好きだから先生はここに手を貸すんだ」
ユズ「先生…」
先生「それに先生自身ゲーム好きだしね」
コントローラーのスティックを取り付けて配線を繋いで元に有った所に戻していく。
そしてドライバーでネジ締めした所でスマホに電話がかかる。
先生「…あっ、電話だ。ユズ、ちょっと試しにチェックしといて」
ユズ「あっ、はい」
先生「もしもし、あぁうん。今手が空いたよ…どうしたの?」
ユズ「わぁ…本当に治ってる…今度私のもなったら頼もう」
先生「えっ、今から?欠員出た?ちょっとキツくない?あー、わかったアテあるから今から連れて行くよ…多分平気だよ、ちょっと変わってるけど優秀な生徒だから」
電話を切ると目を輝かせたユズが話しかける。
ユズ「先生!コントローラー直っていました!先生は凄いです!」
先生「あー、ユズ?」
ユズ「はい!」
先生「これから銀行を襲うから準備して」
ユズ「はい!…えっ」
…数時間後、PM20:00
シロコ「全員その場に伏せなさい!」
先生「全員動くな!逆らった順に穴開くぞ!新入り!外を見張ってろ!不審な奴いたら報告して!」
ユズ「は、はいぃ…!」
ユズから返事をもらってすぐ。カイザーコーポレーション傘下の銀行に拉致されたユズは今、ダンボールを被って半ば強制的に銀行強盗に参加した。ちなみに先生はレジ袋だ。
先生「オラ!テメェ!ウチからせしめた金をバックに詰めろ!早くしないと一生ガチャで青封筒しか出ない呪いにかけるぞ!」
数時間前の先生とは打って変わって鬼気迫る勢いで係員に要求する。やっぱり先生は各学校を巡っているからこういうのは慣れているのだろうか。
シロコ「先生、身元がバレる発言を控えて」
ユズ「せ、先生!逃走手段はどうするんですか!」
先生「んなもんカイザーさんところの車をせしめてるからそれ乗ってトンズラするんだよ!あと先生言わないで!!身元バレる!」
ユズ「あっ!はい!!ごめんなさい!」
シロコ「ティーチャー、警備の増援が来るかも、さっき係員の一人に通報されたみたい」
先生「地味に変えても意味同じだよ!」
金を詰めたバックを持つとジェスチャーで生徒二人に外に出ると合図を送る。
シロコ「了解、乗ったら追手を払えばいいね」
ユズ「せ、先生!私は!?」
追いかけながら先生に問うといつもの感じな、陽気な声で答える。
先生「シロコと一緒に後部座席で撃ってて。大丈夫、先生を信じて。ゲームと一緒、さっさとクリアしよう」
単純だろうか、目の前の大人にそう言われると、どんなに状況が最悪でもやる気が出てくる。
ユズ「…はいっ!!がんばります!」
「速報ニュースです、昨晩アビドス本町三番街で銃撃戦がありました。犯人はカイザーローンで強盗をしその逃走中に追手の警備の者と戦闘になり町の建造物に被害が出ました。目撃者によると犯人は三人組で首謀者と思われるものは先生と呼ばれ…」
ミドリ「へぇ」
アリス「物騒ですね…」
先生「やっぱタンク車爆破はやりすぎだったね」
ユズ「がんばり過ぎました…」
モモイ「…えっ」
この後しっかりと先生は注意を受けた。