前回までの先生
知的好奇心に駆られてペロロの着ぐるみを着た先生はなんとか脱ごうと右往左往していたらペロロガチファンの阿慈谷ヒフミに持ち帰られる。なぜこうなってるのかって?
先生(そんなもの、こっちが聞きたい)
トリニティ総合学園の門を潜り抜け、道行く人の奇異の目を一身に受けながら、とある部屋まで運びこまれ置かれる。
ヒフミ「よいしょっと、疲れました…でも生き物みたいにふわふわな羽毛、いったい何処から来たペロロ様なのでしょう…」
自室なのか、辺りを見渡すとモモフレンズのグッズでいっぱいだ。
ヒフミ「大丈夫ですか?今タオルで体を拭きますからね」
ヒフミがタオルを取りにタンスを開けるのと同時にある物を見つける。太めのサインペンとスケッチブックだ。
先生(…よし、この手で行こう)
そう思うとすぐにスケッチブックとペンを拝借する。今現状外見にそぐわぬ声、脱げない着ぐるみである以上はもうそういうなりきりの体で行こう。先生はペロロだ、誰が何と言おうとペロロなんだ。先生ではない…問題は先生がペロロエアプなんだけども…!
ヒフミ「タオルとってきました」
ペロロ【さーせん、自分で拭くからかーしてペロ】
ヒフミ「えっ、はい」
タオルを借りてペロロ外装を拭く。やばい、今なんかすごい顔しなかったか?コレジャナイ感を感じたぞ、落ち着け大人。半端な子供心だとやけどするぞ。恥を捨ててやりきれじゃないと社会的に死にかねない。というかこれで合っているのか?チャイルドハートを信じろ。
ペロロ【助かったペロ、あのままだと暗黒連邦生徒会に身柄を拘束されてたペロ】
ヒフミ「暗黒連邦生徒会!?なんですかそれは!?」
ペロロ【悪い奴らペロ】
シャーレの先生は頑張った。持ちうる知識をフル動員し、いままでの事柄を自身の情報を伏せながら誇張して話した。
ヒフミ「なるほど…ミレニアムから来たんですね…」
ネタにした連邦生徒会に心の中で謝りながらも自分の理想のペロロを追いかけた。途中興が乗って口が回り…それはもはや悪ノリとも呼べるほどであった…結果。
ヒフミ「なるほど!つまり貴方はミレニアムサイエンスサイエンススクール協力の元!ペロロ様と合体されたペロロ人間というわけですね!!」
ペロロ【そういうことペロ】
とんでもないバケモノが生まれた。どうしてこうなった?
ヒフミ「学園都市の運営に従事する中央組織が…なんて羨ましい!!」
ペロロ【この身体のおかげで道を歩くと子供に蹴られるペロ】
ヒフミ「なんと…!かわいそうに…!わかりました!元の身体に戻るために!私がミレニアムにペロロ様をお連れすればいいんですね!!」
人としての尊厳が無くなったがなんとか帰れそうだ。エンジニア部にさえたどり着いてどこかで時間つぶせば…
ヒフミ「でももう遅いんで明日にしましょう、お風呂入ってくるんで先にベッドで寝ててください!」
ペロロ【ペロ?】
…一時間後一つのベッドで風呂上りの少女と、自分をペロロと言い張る不審な先生が抱き合って寝ていた。
先生(オイオイオイオイヒフミさん!?何考えてるのかナ!?オジサン心配しちゃうゾ!?)
ヒフミ「すぅ……すぅ…」
先生(…寝てるネ!!?)
モモフレンズ好きに悪い人は居ないという根拠なのか、ヒフミは安心しきった顔でこちらにしがみついて寝ている。キグルミ越しとはいえ緊張で寝られない。
しかもこのままミレニアムまで面倒を見てくれるというのだ…天使か?
先生(いい子だな本当に…ん?)
物音がしそちらを見る。扉が開いていることから賊なのか、確かめるために凝視する。あっ、アレティーパーティーの桐藤ナギサでは?シャーレにある生徒の名簿で見たことがある。
ナギサ「ヒフミさんが見慣れない奇妙なぬいぐるみを外から持ち込んできたと知らせを受けて来て見れば…うわなんですかこの白いモノは」
目が合うもののぬいぐるみだと思われていているせいか気にされない。
先生(ペロロ)「人ん部屋来て何してんだオマエェェェェェェエエエエエエエエエエエエエ!!」
ナギサ「ぴゃぁっ!?」
大声を上げるとナギサは驚いたのか一目散に逃げて行った。多分不法侵入だろうし多分間違いは無いだろう…
…後日、トリニティの空きテラスにヒフミと先生は呼ばれた。
ナギサ「ヒフミさん、貴女が正体不明の生物を匿っているのは分かっています。こちらに引き渡していただいてもよろしいでしょうか」
ヒフミ「嫌です!ペロロ様をどうするんですか!!」
ナギサ「然るべき機関に引き渡します」
ヒフミ「こんないい子なのに!?」
ナギサ「いい子はミレニアムから脱走したりしません。ソレはミレニアムから排出されしモンスターなのですよ…先日ミレニアムのエンジニア部から声明がありました」
ペロロ【ペロペロー】
護衛の為、またはここで闖入者を確保するためなのか背後に複数名、出入り口にも正義実現委員会の生徒が見える。気分はツチノコだ…ははっ、誰がモンスターだ。吐くならもっとマシな嘘を吐けエンジニア部お前らのせいだぞ?実験動物扱いで帰還は流石に嫌だ。
外が見えるテラスで対面している。すぐそばの腰ほどの高さの柵を乗り越えて脱走…はちょっと無い。ここ五階だし流石に防弾と多少のアシストが効いても無事にはすまないだろう。
ペロロ【でも夜分に不法侵入するのはいかがなものかと】
ナギサ「そのカンペを取り上げなさい!一刻も早くミレニアムに引き渡します!!その生き物は喋れるので問題は無い筈です!猫を被っています!」
両脇を取り押さえられスケッチブックを取り上げられる。
ヒフミ「ペロロ様!今助けます!」
守衛を引き剥がそうとするヒフミ、好きなものの為に頑張れるタイプなのか結構アクティブだ。だが今回、ソレが裏目に出た。
抵抗するヒフミは突き飛ばされる、そして飛ばされた先は…
ナギサ「何してるのですか貴方達は!ヒフミさん!」
ヒフミは押された衝撃で柵に乗り上がり、今にも落ちていく…!
ペロロ「バッカヤロウ…!」
守衛を引き剝がしすぐさま駆け寄るもヒフミは落ちて行ってしまう。迷っている暇はない、すぐに柵を飛び越えて縁に足をつける。後から跳んで間に合わせるにはそれ以上の力で跳ぶしか…!
このスーツは機能解放のための変身がある。「この装備はラブ&ピースの為に使われるべきだよ。間違いなく」そう自信ありげに言った白石ウタハの発言が事実であるならば凡人を本当に超人に出来るだろう。
足に力を溜め、狙いを定める…このスーツが平和の為に作られたというのならば…!
ペロロ「今!その時だろ!」
屋上から真下に向けて跳んだ。その時、ペロロスーツの装甲が光り輝いて弾け、中から白のアンダースーツを身に、頭にペロロのマスクを被った成人男性が射出された!
ヒフミ「ペロロ様…!?」
ペロロ「じっとしてて!」
そのまま落下しているヒフミに追い付き抱え、ドゴンと轟音と地面に亀裂を刻み着地した!
ペロロ「…大丈夫?」
ヒフミ「は、はい。大丈夫です」
先生(…スッゴ、今音速でなかった?五階からだよ?どんだけリソース与えたらこうなるの)
困惑するヒフミを降ろし、そのまま去る。今が逃げるチャンスだ。
ヒフミ「…待ってください!ペロロ様!!」
その言葉に止まりはするが、振り向きはしない。
ペロロ「…これが正体だ、本当の俺はペロロなんかじゃない。ふわふわでやわらかな足なんて無い、筋肉質の肉体で羽もない…こんなのは君が思うペロロじゃないだろ」
ヒフミ「…いえ、ペロロ様です。モモフレンズは…個性豊かなキャラクターが居るんですから。誰かを助けるヒーローペロロが居ても良い筈です」
上が騒がしくなってきた。狙いはこちらだからヒフミには害はないから飛び去ってしまおう。
ペロロ「そっか、それじゃここでお別れだ。また会おう!」
強化されたスーツはそのまま弾けるように飛び上がる。そして白い鳥はビルの谷間を抜けて遠くなっていく…
…少女は、それを見送った。
先生「かくして、少女を救ったペロロはそのまま何処かに飛んで行ってしまったとさ。めでたしめでたし」
モモイ「いや、何その展開…ヒーローコミックのシナリオ?」
先生「本当だよモモイ、信じて…あっ、モンスターに轢かれた」
ミドリ「確かに変な白いのは来たけどちょっと信じられないな…あ、先生粉塵あるよ」
先生「サンキューミドリ、アリス角を折りに行くよ」
アリス「わかりました!」
その後、ミレニアムに付いた先生を待っていたのは大変興奮したエンジニア部だった。
リアルタイムで出されるデータと語られるトリニティでの立ち回りを聞いて「後はビジュアルさえちゃんとしたやつにすれば完璧で究極の変身ヒーロー出来るじゃないか!合体機能付けようか!!先生っ!!」と言ってきた。先生は先生だし、結局の所こうしてゲームをしてた方が楽しい。
ユズ「せ、先生、先生のお客さんが玄関口に見えてます」
先生「え、先生に?来客の予定ないんだけど」
モモイ「どんな子なの?」
ユズ「トリニティの生徒だよ」
ミドリ「珍しいね」
先生「ユズ変わって、今行くよ」
コントローラーをユズに渡して玄関で待っている生徒に会いに行く。トリニティ生にはあれから交流は無いんだけど誰が来たのだろうか。
ヒフミ「先生お久し振りです!ちょっとお時間よろしいですかっ!」
……しっかり、バレていたようだ。