新スーパーグレイトウォーズ   作:一芽

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第2話 黒き力と白き因果

米軍基地に響き渡る咆哮は、大地を震わせ、海を揺らした。

 

「ゴジラだと?………しかも、俺の知っている個体とは違う?」

 

自分の機体のコックピットの中にいるグラドは、メインカメラに映るゴジラを見てあることに気づく。

過去に写真でゴジラを見たことがあるグラドだが、今自分の目に映るゴジラは戦場で見た個体よりも少し緑がかっていて容姿の違いも多い。

彼の見たゴジラは初代の個体などとは姿形が似てるというより、全体的に身軽な体つきであった。

どちらかと言えばあのゴジラは、前述の初代ゴジラに似ていて、彼の知っているゴジラよりも、腕や足が太く、力強さが伝わってくる。

そしてグラドは、先ほどの通信で聞こえた進の言葉を思い出す。

 

「まさか、あれは進なのか?」

 

そんな確証はなかった。

だがグラドは、もしかしたら、あのゴジラは進ではないのかと考えている。

しかしそれならば、進と会ったときに気づく筈だろうとも思う。

 

「……くそっ、考えたって何も分からねぇ、ちょうどこいつの調整が終わったことだし」

 

そう言ってグラドは自分の愛機を動かし、格納庫から出る。

 

(この目で確かめてやる、あのゴジラの正体を)

 

 

 

 

 

 

「………………」

 

身長50m近くある巨体は、黙ったままギャオスを睨みつける。

 

「「「ギャ…ギャルア……」」」

 

ギャオス達は、自分達を睨みつけるゴジラに恐怖を感じているようにレイピアに見えた。

 

(この感じは何?あのゴジラから感じられる……これは怒り?)

 

レイピアはゴジラの気持ちが感じれた気がした。

 

「ギャワアアアア!」

 

我を忘れた1匹のギャオスがゴジラに向けて超音波メスを放つ。

……だが。

 

「……………」

 

超音波メスはゴジラの体に当たると、拡散して消えた。

 

(嘘!?なんて防御力なの!?)

 

レイピアはゴジラの頑丈さに驚愕した。

 

「ギュエエエエエ!!」

 

ギャオスはやけになり、ゴジラに体当たりを試みる。

 

(………ガシッ)

 

だが、ギャオスの頭がゴジラの左手に掴まれる。ゴジラの二分の一ほどの大きさしかないないギャオスは、悶え苦しむ。

 

「…ガッ!」

 

ゴジラの左手が蒼く輝くと、ギャオスの頭、そして体は膨張し、最後には爆散した。

 

(!あの怪獣がいとも簡単に倒されるなんて!)

 

レイピアはもはや口から言葉が出ないほど驚いていた。

 

「ギィ!ギャワアア!」

 

目の前で、同族が一撃で殺されて、逃げるように1匹ギャオスは空へと羽ばたく。

 

「ギギィ!ギャオワアアアア!」

 

翼が切り裂かれたギャオスも、なんとか空へと逃げれた。

……………………しかし、怪獣王から逃げれるはずはなかった。

 

「グルアアアアアア!!」

 

ゴジラの口から、青白い放射熱線が翼を切り裂かれてうまく飛べないギャオスへと放たれる。

 

「ギャ、ギャオワアアア!!」

 

ギャオスは断末魔と共に、放射熱線によって爆散する。

 

「ギッ、ギィ!」

 

唯一生き残ったギャオスは、ゴジラから逃れるために最大速度で逃げようとした。

 

「ギャワアアア!?」

 

突如、黄色い光の一撃が、ギャオスへと当たり、ギャオスは跡形もなく消滅した。

 

「あの攻撃はさっきの…」

 

レイピアは攻撃が放たれた方を見るとそこには、巨大な銃を持つ30mぐらいの大きさの人型ロボットがいた。

そのロボットは、全身が赤茶色でマント纏っていて、ボディには傷が多く、明らかに他の機体のパーツを使っている箇所が多かった。その頭部には二つの角があるが、一本は折れていた。左腕は普通の腕だが、右腕には巨大な銃が握られており、その銃を持つ為なのか、右腕にはバランサーがあり、左腕よりも大きく、並みの戦術機なら殴られただけでひとたまりもないだろう。

 

『おい嬢ちゃん、無事か?』

 

ロボットに乗るグラドは、ロボットのスコープに映るレイピアにスピーカーで無事を確認した。

 

「はい、大丈夫です…ですが………」

 

レイピアは、ロボットをじっと観るゴジラの方を見た。

 

『おい、俺の言葉が分かるかどうか知らないが一応言っておく…………………お前は進なのか?』

 

グラドはゴジラに向かって、自分の声を飛ばした。

 

「………………グルルゥ…」

 

ゴジラは一度、グラドの機体とレイピアを見る。

 

「ガアァッ!」

 

ゴジラは空に吠え、レイピア達のいる地面を大きく揺らす

 

『チィ…!』

 

グラドはとっさに大銃をゴジラに向ける。

ゴジラが進でも、ちょっとした甘さで面倒な事になるかもしれないからだ。

 

「ガアァァァァァ」

 

グラドが大銃を向けると、ゴジラは右手で首を押さえて力が抜けるように鳴く。

すると、ゴジラの体は蒼い光に包まれる。

 

「これは……さっきと同じ光?」

 

レイピアは不思議そうに見る。

青い光は、人間サイズまで小さくなると光は消え、そこには先ほどと同じ姿の進が立っていた。

 

『………進』

 

「………」

 

二人は、目の前の人物が進だと分かっていたが近寄ることはしなかった。だが、先ほどのゴジラが進の姿になったと考えると進は人間の姿をした怪獣と考えられたのだ。

 

「…すいません、僕が化け物だと思われてもかまいません、ですが、一度話を聞いてもらえないでしょうか」

 

進は難しい表情でグラド達へと言った。

 

『……………………』

 

グラドは答えない

 

(やっぱり駄目かな、あんなの見たら誰だって……)

 

進も内心不安だった

 

『よし、解った』

 

「「えっ?」」

 

進とレイピアは簡単にグラドが答えたのでびっくりする。

グラドは機体の胸部にあるコックピットのハッチを開き、外に出てきて進の前に立つ。

 

「じゃあ聞かせてくれよ、お前が誰なのかを」

 

「いいんですか…?僕が化け物かもしれないのに?…先ほどの姿を見たでしょう…」

 

進は真剣な顔でグラドを見る。

 

「ああ~面倒くせえな、たとえ化け物でも、お前はそこにいる女の子を守ったろ、それだけでお前は優しい化け物って奴さ?」

 

それでもなお、グラドは笑顔であった。

 

「………」

 

進は何も言わないが、この人なら安心して話せると思った。

 

「それで嬢ちゃん、身体の方は大丈夫なのかい?」

 

グラドは、自分に続いて進の元へと歩いてきたレイピアに身体の状態を確かめる。

 

「まあ、ひとまずは大丈夫です」

 

「それならいいけどよ、その鎧は脱がないのかい?」

 

グラドは安心した様子だった。

 

「…………」

 

レイピアは急に黙った。

 

「ん?どうしたんだ?」

 

するとレイピアは恥ずかしそうに言う。

 

「私、人の姿に戻ると…裸なんです…」

 

「「へっ?」」

 

2人は間の抜けた声を上げた。

 

「私これでも女の子なんですよ、いくら何でも男の人の前で脱ぐなんて…」

 

「お、おぉ、すまねえな、そういえば基地ん中に女物の服があったと思うからちょっと取ってきてやるよ」

 

グラドは冷や汗かきながら着替えを取りに行った。

 

十分後、グラドが基地に保管してあった緑の軍服を持ってきて、レイピアは変身を解き、その服に着替えた。

 

「お待たせしました」

 

「おう、終わったか………?」

 

グラドは、レイピアの姿を見て正直驚いていた。なぜなら、あの鎧の下はある程度鍛えた軍人でも入ってると思っていたが、実際は年も若い少女だったからだ。

 

「そういえば名前を聞いていなかったな、俺達に教えてくれないか?」

 

レイピアは名前を言ってなかったのを思い出した。

 

「あっ、そうでしたね、すいません、私の名前はミユキで名字の方は事情があって言えませんが、年齢は16で日本人です」

 

「16だと!?」

 

グラドはさらに驚いた。16の少女があんな鎧を纏って怪獣と戦っていたことが普通では考えられないからだ。

 

「そんな事より進さんの事について早く教えてもらいましょう」

 

レイピアは話題を変えようとした。

 

「お、おぉ、そうだな進、話してくれよ」

 

グラドも慌てながら話を変える。

 

「では、始めに言っておきます、僕はあなた方が思っているとおり別世界の怪獣ゴジラです」

 

「いきなり言ったか…」

 

進がいきなり、自分の正体を明かしたのに驚いていた。

 

「正確には、ゴジラが人間の細胞を体内で培養して生み出した肉体に意識を移した存在ですがね、この世界に来たときはどういうわけかこの肉体の状態でいました」

 

進は2人に言う。

 

「え…?進さんは別世界から来たんですか…?」

 

ミユキはグラドに遅れリアクションをとった。

 

「すいませんね、言い忘れていました、まあ、あなた方の様な優しい方々なら僕がゴジラだということを話しても大丈夫でしょう、じゃあまずは、ゴジラについて説明しますね、この世界のゴジラはどうか知りませんが、僕達の世界では、ゴジラザウルスという恐竜の生き残りが人間の生み出した核の力によって変貌した姿です」

 

「皮肉な話だ、自分達が生み出した力が怪獣を生むなんてな」

 

グラドは進の話をちゃんと受け止める。

 

「……………」

 

「ん?どうしたんだミユキちゃん?」

 

暗い顔になったミユキを見たグラドは、彼女に声をかける。

 

「あっ、何でもありませんよ、それよりも進さん、続きをお願いします」

 

進は続きを話し始める。

 

「分かりました、では次は僕について説明しましょう。まず、僕は元々、アドノア島という島にあった卵から誕生したただのゴジラザウルスでしたが、僕は生まれた頃は人間の手で育てられました。ですが、その中にも優しい方々はいましたが、僕はゴジラを誘き出すための餌として利用されました」

 

「よくそんな目に遭って俺達を信用できたな」

 

グラドはそういう人間の行動が嫌いであった。

 

「大丈夫です、僕は人類と敵対するのが目的ではありませんから、それに、その事があったから僕は父さんと出逢えたんですから」

 

「お前の親父がゴジラのことだったのか……」

 

ある意味、大きな事である。

 

「まあ、そうですね、あの世界では僕と父さんしか同種族はいませんでしたから、他にも、父さんに力を託して死んでいったラドン兄さんがいますね、あの方のおかげで父さんと僕は出逢えたんで」

 

そして、進は語った。

彼と彼の育ての親であるゴジラとのバース島での暮らしを、彼はとても成長の速度が早く、一年ぐらいで父の三分の一近くまで成長した。

彼は、その頃に宇宙から飛来した最凶最悪の怪獣『スペースゴジラ』を仲間だと思ったが、スペースゴジラによって結晶体に封じ込められた。

しかし、ゴジラがスペースゴジラを倒したことにより彼は解放された。

彼はまた父との暮らしが戻ったことに喜んだ。

…………しかし、悲劇は起きた。

彼らが住むバース島が消滅し、その時に起きたウランの核分裂で彼は不完全なゴジラ『ゴジラジュニア』となり、ゴジラは、最悪なことに体内の温度が上昇し、メルトダウンが迫っていた。

ゴジラジュニアは、父が見つからず、帰巣本能でアドノア島へと帰ろうとしていたが、彼を慕っていた超能力者の女性ともう一人の超能力者のテレパシーによって、東京へ向かい、そして破壊の限りを尽くす怪獣『デストロイア』と戦った。

デストロイアをなんとか倒したゴジラジュニアは、東京へ向かっていたゴジラと再開するも、ゴジラの目の前でゴジラジュニアは上空から地面に叩きつけられる。

ゴジラは、この時に自分の生命力をゴジラジュニアに与えるも、意識は戻らず、目の前で唯一の仲間であり息子であるゴジラジュニアを奪ったデストロイアに容赦なく攻撃した。

だが、戦いの中でゴジラの体の限界が迫り、デストロイアは最終的に日本軍の兵器と日本のスーパーロボットによって倒された。ゴジラはメルトダウンを止めようと冷凍兵器で何とか抑えようとした。

そして、長年、最強と呼ばれた怪獣王ゴジラはその生涯に幕を閉じた。メルトダウンは抑えられたが、東京中に散布された高濃度の放射能で、東京は死の都と化すと思われた。

だが、奇跡は起きた。

 

「父さんが与えてくれた生命力でなんとか生きていた僕は、東京中の放射能を全て体内に吸収して完全なゴジラになりまし。そして、僕は姿をくらまし、僕と同じ様に行く当てもない怪獣を仲間にして世界中を見て回り、地球へ襲来した宇宙人が残した怪獣を人間へと変える装置で、この姿になれるようになったんです」

 

「最後の当たりは、もうめちゃくちゃだな」

 

グラドはあえて突っ込まなかった。

 

「まあ、運が良かっただけですよ、ただ僕がこの世界にいることを仲間に何とかして伝えないといけません、彼らは、仲間のためなら無茶する馬鹿ばかりですから」

 

進は笑顔で言った。

 

「お前の話を聞いてたら、怪獣もいい連中ばかりだな」

 

グラドは興味深そうに言った。

 

「別にそうでもないですよ、僕達みたいな人間との共存を望む怪獣なんて下手したら同種族からも命を狙われかねないですから」

 

進は難しそうに言う。

 

「でも、あなたみたいな怪獣がたくさんいれば、この世界の人類もここまで衰退しなかったかもしれないのに」

 

ミユキは真っ直ぐに意見を言った。

 

「それは分かりませんよ、人間も悪魔になれるんですから」

 

「……」

 

ミユキは黙り込んだ。

 

「すいませんミユキさん、ただ僕はそうなるように努力はします、仲間や世界のために」

 

「そういえば、さっきも言っていたが、お前の仲間はどんな奴らなんだ」

 

グラドは進の仲間が気になっていた。

 

「一言で言うなら、怪獣なんですが、僕のように人間の肉体を使い分けてる者達です」

 

「ほう」

 

グラドは興味深そうに反応する。

 

「ちなみに、ゴジラの体は実態を隠しているだけですので、ゴジラに戻る際はその体を出現させて一つに融合しますのを覚えておいてください」

 

二人には見えないが、どうやらゴジラとしての体と進の体が融合してゴジラになるようだ

 

「そうか、とりあえずばこれからどうするか決めようぜ、まあ、進は分かっているが、ミユキちゃんはあまり人には話せないことが多そうだから、ひとまずミユキちゃんは、俺の知り合いの所へ連れて行こう」

 

グラドはミユキの安全を確保しなければと考えていた。

 

「その人は信頼できるんですか?」

 

ミユキは正直心配だった。自分の正体がばれるといろいろ危険だからだ。

 

「大丈夫だって、良い奴だから」

 

そう言ってグラドは、自分の機体のコックピットに乗る。

 

「そういえば、さっきから気になっていましたが、そのロボットは何なんですか?」

 

進はグラドの機体が気になっていた。

 

「ああ、こいつのことか、こいつはな『ブラストホーク』って名前で、スーパーロボットの技術を取り入れた機体で射撃や砲撃とかが主な戦い方だ」

 

そう言ってグラドは、西洋の兜にゴーグルを被せたようなブラストホークの顔を進達の方へと向かせる。

 

「まあ、触ってもいいが、勝手に壊すなよ、パーツを揃えんのだるいんだから」

 

グラドはそう2人に忠告して、コックピットの中にある通信機で連絡を取る。

 

「電波悪いな……おっ、繋がった、おいモトコ!俺だよグラド!ちょっとお願いがあってさ」

 

 

 

グラドは通信で会話すること十五分が経過した。

 

「おいミユキちゃん!俺の知り合いの香月モトコって医者がよ、ひとまず面倒観てくれるってよ!」

 

「本当に大丈夫なんでしょうか?」

 

ミユキは不安そうな目だった。

 

「大丈夫大丈夫、あいつの妹は危険だけど、モトコなら信頼できるって!」

 

グラドは自慢げに言う。

 

「それならいいんですけど、進さんはどうするんですか?」

 

確かに進のこれからも決めなくてはならない。

 

「確かに、僕が別世界から来たって信じてくれる人がいるんですか?」

 

「それだけど、進は今言ったモトコの妹の所へと連れて行く」 

 

グラドは爆弾発言をした。

 

「ちょっと待ってください!今さっき、その妹さんは危険だって言ってたじゃないですか!」

 

進は慌てふためく。

そりゃあそうだ。

危険な人間の所なんて知っていて行けるわけがない。

 

「大丈夫だろお前なら、怪獣だし」

 

「そういう問題じゃありません!」

 

グラドの発言に進は突っ込みを入れた。

 

なんだかんだいって、3人のこれからは決まろうとしていた。

 

 

 

場所は変わって、とある島。

 

「ここはどこだああああぁぁ!!」

 

青年、白銀武は叫んでいた。何処かもわからない離島にたった1人で半日もいるせいで、彼は叫ぶことしかできなかった。

 

「まったく、なんでこんな島にいるんだよ!」

 

武は本来違う平行世界の人間だ。

だがある日、BETAによって滅茶苦茶にされた違う並行世界の地球で目覚めた。

いろんなことがあり、仲間と共に頑張っていたが、オルタネイティヴ5の発動で人類の一部は他星系へと移住することになったが、大多数の人類が地上へと残されて戦っていたが、G弾の影響で地球の環境は変わり果ててしまった。

そんな地球で戦っていた彼は先ほど、自分の部屋で目覚めたが、外に出てみると、かつて人が住んでいただろう島の小さな村にいたのだ。

家は奇跡的に綺麗な状態で残っていたが、中はゴミ屋敷そのものになっていたため外に出たが、今度は船が無く、島中を見て回ったが、船などどこにも無かった。

そんなこんなで彼は、陸一つ見えない海の方を眺めていた。

 

それから一時間ほど経ち、彼は浜辺に行くと小さな船が見えた。

 

「やった!これで助かる!」

 

だが、船が在るところへ行くが、周辺には人影は無く、武は、砂浜にあった足跡を追って走った。

 

「あっ!」

 

武は遂に人間を見つけた。白いシャツを着ただらしなさそうな男が港の近くに立っていたのだ。

 

「おーい!あの船は貴方の物ですか!」

 

武は男に近づき話しかける。

だが、男は返事しない。

 

「?どうしたんですか?」

 

「……キッ……キキッ」

 

男の様子が明らかにおかしい。

 

「えっ?」

 

突如、目の前の男が緑色の虫のような怪物に姿を変えた。

 

「うわぁ!」

 

武は反射的に怪物と距離を取る。だが、怪物は武に狙いを定めてゆっくりと近づいてくる。

 

「何なんだよお前は、うおおおぉ!」

 

武は、近くにあった鉄パイプを掴み、怪物の体へと振り下ろす。

 

「ギィ?」

 

「なっ!?」

 

鉄パイプは折れ曲がり、怪物も大した反応をとらなかった。武はそれに驚愕する、なぜなら、彼の体は常人以上に鍛え上げられていて、普通の人間なら一発殴るだけで気絶させるぐらいつよくなった筈だからだ。

 

「くそ!どうすれば…」

 

「ギシャアア!」

 

怪物が武に迫る。

 

「うわあああ!」

 

その時だった!

 

「ハアァ!」

 

何者かが武と怪物の間に割って入ってきて、怪物にパンチを決めた。

 

「!?」

 

武は何がなんだか分からなかった。

 

「おい…大丈夫か?」

 

「は、はい」

 

武は、自分を助けた者を見た。

それは蜂を模したような黄色いパワードスーツを全身に纏った男だった。

 

「貴方はいったい?」

 

武は男に問う。

 

「俺の名はザビー…『仮面ライダーザビー』…時間が無いから話ならあいつを倒してからにしろ…」

 

そう言ってザビーは、怪物の方を見る。

 

「ギュワアアア!」

 

怪物は虫のように脱皮し、蜘蛛のような怪物へと姿を変えた。

 

「チッ…脱皮しやがったか、まあこっちは最初からライダーフォームだからワーム一体ぐらい問題ないがな」

 

「ギシャア!」

 

蜘蛛の怪物『アラクネアワーム』は突如として姿が見えなくなる。

 

「なら此方も、クロックアップ…!」

 

《Clock Up》

 

その瞬間、武の目の前からザビーの姿も消える。いや、正確にはザビーとワームの動きが速すぎて武には見えないだけなのだ。

 

《Clock Over》

 

そして、武の目の前にはいつの間にか、ザビーの猛攻でダメージを負ったアラクネアワームと余裕のザビーが立っていた。

 

「これでとどめだ、ライダースティング…!」

 

《Rider Sting》

 

「ハアッ!」

 

「ギュシャアアアア!!」

 

ザビーの必殺技『ライダースティング』を食らったアラクネアワームは爆散する。

 

「(す、凄い!)」

 

武はザビーの強さに興奮していた。

 

「…ふぅ」

 

ザビーは変身を解くと、二十歳ぐらいの男が出てきた。

 

「俺の名は『影山瞬』、対ワーム撃滅組織『ZECT』のチーム『シャドウ』の副隊長で、階級は中尉だ」

 

(ZECTなんて組織は聞いたこと無いぞ、この世界はいったい?)

 

武は聞き覚えのない組織の名前に困惑する。

 

「その反応を見る限りでは、お前が白銀武だな?」

 

「どうして俺の名を!」

 

武は影山が自分の名を知ってることに驚く。

 

「お前のことを知っている女からこの島で白銀武の反応があったと報告があって、俺が派遣された…わざわざ兄貴から、ザビーゼクターを借りてきてよかった…まさか、ワームに襲われているとはな」

 

影山は疲れ顔で答える。

 

「そのザビーゼクターとワームっていったい?」

 

武は聞き覚えのないことをできるだけ知りたかった。

 

「そんな事は、横浜基地に着いてからにしろ…あの魔女は五月蝿いんだ」

 

「横浜基地!?」

 

武は聞き覚えのある横浜基地に反応した。

 

「うるさい…早く行くぞ!」

 

そして武は、浜辺にあった影山の船へ乗り日本帝国の横浜基地へと行くことになった。

 

 

 

 

そして場所は変わる。

 

横浜基地の中にある『香月夕呼』の研究室、そこには香月夕呼と日本のスーパーロボット『ゲッターロボ號』の開発者の1人でもある神隼人がいた。

 

「先ほどの話は本当か?」

 

隼人は夕呼の方を見る。

 

「はい、別世界から来た人の姿を持つ怪獣王の息子と因果に導かれた男がこの基地へと来ます」

 

夕呼の言葉は到底信じれないもののはずだが、隼人は過去の経験上そういうの信じることにしている。

 

「こっちは、アラスカにゲッターチームを送ってから、毎日、新兵器の開発で忙しかったからな、彼らの存在が我々にとってプラスになるのか?」

 

隼人が指導した新ゲッターチームはとある事情でアラスカにいる。

 

「それは分かりませんが、前者は、こちらの戦力になれば我々人類にとってはとても役に立ちましょう」

 

そういう夕呼に対して、隼人は難しい顔をした。

 

「ゴジラは、ゲッター線で死ぬどころか活性化する奴だからあまり刺激を与えるなよ」

 

ゴジラにゲッター線はプラスでしかない。

過去に実証済みだ。

 

「分かっています神大佐、話は変わりますけどDr.ヘルの方は最近行動を動きませんね」

 

強大な力を持つDr.ヘル、そんなDr.ヘルは、なぜか近頃目立って動いていなかった。

 

「Dr.ヘルは物量よりも機械獣と金属獣、一体一体の性能が計り知れないから危険だ…」

 

単体の機械獣、または金属獣を倒すのには、数で攻めても意味をなさない事がある。

それは2人の悩みの種の一つであった。

 

「まったくです、BETAやラダムの対策で戦力が減る一方で、貴重なスーパーロボットが減るとまずいですからね、それで例の男もこの基地へと召集します」

 

隼人はその男のことをよく知っていた。

 

「彼をか?大丈夫なのか?」

 

彼は心身ともに強い。

だからこそ心配なところがあった。

 

「大丈夫に決まってますよ、あの大戦を生き抜いた英雄なのですから『兜甲児』は」

 

マジンガーZのパイロット兜甲児、日本でその名を知らぬ者はいないと言えるほどの英雄だ。

 

「まったく、俺達は何処へ行こうとしているのだろうな…」

 

隼人は疲れた顔をした。

 

「そうですね、少なからず、明るい未来でも目指しますか?」

 

夕呼は怪しい笑みを見せた。

 

「お前が言うと変な感じだな」

 

隼人は軽く冷や汗をかく。

 

「ふふっ、貴方だって昔はそんな性格じゃなかったじゃないですか」

 

夕呼が小馬鹿にするように微笑む。

 

「うるさい、昔の話はするなと言っただろ」

 

隼人はあまり過去の話をしたがらない男だ。

それがどんな話でも。

 

「はいはい、まあ、これからはさらに忙しくなりますから、今ぐらいは楽にしたいですよ」

 

「まったくだ」

 

2人は研究室を後にした。

 

 

 

「……」

 

 

2人が出て行くのを、多くのことが謎に包まれた少女『社霞』が見ていた。

 

 

 

この横浜基地で、怪獣王の息子と因果に導かれし青年が出逢う日も近い…………。

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