新スーパーグレイトウォーズ   作:一芽

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第4話 巨人の戦いとメチャクチャAI

「ズィアッ!」

 

銀色と橙色の巨人ウルトラマンイグニスは、3匹のGモンスターに対して攻撃の構えをとる。

 

「ギキィィイイイイ!!」

 

1匹の海蛇型はイグニスへと突撃しそのまま絡みついた。

 

「あっ!巨人が!」

 

アキトは叫ぶ。

 

「ギキキッ!」

 

そして、もう一匹の海蛇型もイグニスに絡みついて締め付ける。

 

「どうするんだ!あの巨人やられるぞ!援護しなくてーー」

 

「いいや!あれを見な!」

 

焦りながら喋るアキトをガイの言葉が遮る。

 

「「キギィアアア!!?」」

 

巨人に絡みついていた海蛇型Gモンスター二匹が突然体に火が点き燃えだしたのだ。

 

「ズォオオオアア……!」

 

体内の温度を急上昇させて体外へと解放し、そのエネルギーで体にまとわりつく物体を燃やすイグニスの能力『ヒートボディ』だ。

 

「「ギシャァアアア………!」」

 

2匹の蛇型は燃え尽き、蚊取り線香の燃え尽きた灰のようになって散った…。

 

「す…凄い…!一気に2匹も倒すなんて…」

 

アキトは巨大な存在同士の戦いに驚きの声を上げる。

 

「ジャワァアア!」

 

2匹が倒されたのを観た鮫型はイグニスに向かって体当たりを仕掛ける。

 

「ズォアッ!」

 

しかし、鮫型の体当たりはイグニスの左手で受け止められた。

 

「「「「!!?」」」」

 

一同はイグニスの実力に言葉が出なかった。

 

「ジャワァッ!」

 

鮫型は巨大な口でイグニスの右手に食らいつき鋸のように鋭利な歯で右手を食いちぎろうとした。

 

「……ズィァアア!」

 

「ジャウィッ!!?」

 

イグニスが力強い声を上げると鮫型の体が赤く輝く。

鮫型は突如イグニスの右手から口を離した。

 

「悠真、何があったんだ?あとホムラさんは?」

 

ワッ太はイグニスから少し距離を取り、一息ついていた悠真と通信を取る。

 

「…どうやら、内側から溶かされかけたそうですね、あとホムラさんなんですが、少し離れたところにガッツウイングの反応がありますので大丈夫でしょう…」

 

「そうかホムラさんは大丈夫そうだな……って内側から…!?」

 

悠真の発言にワッ太は驚く。

 

「あのGMの歯を観てください、明らかに先ほどと形状が違いますから…」

 

悠真がそう言うと、ワッ太達は機体のカメラに鮫型の歯をズームして映す。

 

「………なっ!?」

 

アキトは驚きの声を上げた。

なぜなら、イグニスを食いちぎろうとした歯が蝋燭のように溶けていたのだ。

 

「ジャジィィイ!」

 

鮫型は苦しみの声を上げる。

触れた物を体内の超高熱を放出して溶かすイグニスの能力『ヒートソニック』である。

 

「ズォオオアッ!」

 

イグニスの右手から放たれた炎が蛇のような形状をとり鮫型を拘束する。

 

「ジィジャア!?」

 

鮫型は混乱しながらも、炎から抜け出そうとする。

 

「ズォォォオオオオオ……」

 

炎の巨人は両手を┫に構えて両手にエネルギーを集中させる。

 

『皆さん、巨人から発せられるエネルギーが急上昇してきます、その場から退避してください』

 

ルリがワッ太達に通信で警告する。

 

「尾形!早くその巨人から離れるんだ!」 

 

ワッ太は通信を通して悠真に叫ぶ。

だが、悠真に聞こえてはいたが、悠真自身は放心状態で反応が鈍り、身動きがとれなかった。

 

(安心しろ、その場にいれば吹き飛ばされはしない)

 

その時、炎の巨人イグニスの声が悠真の頭の中に伝わる。

 

(!!?今、巨人の声が頭の中に!?)

 

悠真はメインカメラに映るイグニスを観た。

イグニスは、両手にエネルギーを集中させていた。

 

「ズォオオアアアア、ズィア!」

 

イグニスの必殺光線『バニシウムシュート』が鮫型めがけて放たれる。

 

「ジジャァァアアアアアア!?」

 

鮫型はバニシウムシュートの直撃を受けて爆散する。

 

「……………」

 

イグニスは鮫型の最後を見て、ただ宇宙空間に立っていた。

 

「あの化け者共を一人で倒したのか……ん?」

 

ワッ太は何かに気づく。

 

「……あ、ああ」

 

悠真に倭の目の前に立つイグニスの姿を見て言葉を失う。

 

「……」

 

イグニスは黙って倭の姿を確認する。

その時だった!

 

「危ないぞ悠真!再生したGMがー」 

 

「ズィオアッ!?」

 

突如として、ツギハギのようでもはや何型なのか分からないGMがイグニスを突き飛ばす。

 

「な!?」

 

悠真は驚く。

 

「鮫のやつの破片の細胞がアンノウン達の残骸を取り込んだんだ!悠真も離れろ!」

 

ワッ太は悠真に向かって叫ぶ。

悠真は今の状態で再生型(再生したGM)の近くにいるのは危険と判断し距離を取った。

 

「ズォォォアッ!」

 

イグニスは地球の重力に飲まれる前になんとか体勢を立て直した。

 

「……」

 

すると、イグニスの胸のランプのようなものが赤く点滅し始めた。

 

「…点滅している…?」

 

悠真はイグニスの胸の点滅が何を現すか分からなかった。

 

『皆さん、巨人の体内から確認されるエネルギーの量が急速に減少し始めてます』

 

「「なんだって…!?」」

 

悠真とワッ太は、ルリの発言に驚く。

先ほどまでエネルギー消費など気にしないように戦っていた巨人が急にエネルギー減少の速度が速くなったのだから。

 

「ズォオオ!」

 

「ギッシャアアア!」

 

再生型の攻撃に対して、なんとか耐えるイグニスであったが、徐々に押されていた。

 

「このままじゃマズいぞ…どうするか…」

 

ワッ太はどう行動するか悩む。

その時、ワッ太達にとある回線から通信が入る。

 

「こちらガルーダⅢ!どうやら大変なことになってるな、このガルーダで援護するぜ!」

 

ガルーダⅢのパイロットの青木一馬は、ガルーダⅢからの援護攻撃をワッ太達に言った。

 

「あんたがホムラさんの言っていた青木さんか…」

 

「そうだ」

 

ワッ太の言葉に、青木は反応する。

 

「よし…それなら、トライダーとガルーダの攻撃であのGMにダメージを与える、トドメはトライダーで刺す…それでどうかな…?」

 

ワッ太の言葉を聞いた青木は、十秒ほど考えて口を開く。

 

「OK、巨人様に俺達人間の頑張りを見せてやろうぜ!」

 

青木は元気よく言う

 

「よし!じゃあいくぞ!」

 

トライダーとガルーダⅢは再生型に突っ込む。

 

「「いっけぇ!」」

 

トライダーのトライダービームキャノン、ガルーダⅢのダブルメーサーキャノンが、再生型へと放たれる。

 

「ギィ!?ギシィィイ!」

 

再生型は二機による同時攻撃をモロに喰らい、苦しみの叫びを上げる。

 

「……」

 

イグニスは、悔しそうな感じなかまらも、一度再生型と距離を取った。

 

「よし、トライダージャベリン!りゃあっ!」

 

トライダーの持つ槍『トライダージャベリン』が、再生型の体を何度も突き刺す。

 

「キッシイイイ!?」

 

「トドメだ!」

 

悲鳴を上げる再生型に、トドメのキックを決めた。

 

「ギシィアア!?」

 

再生型は体内の温度が急上昇し、どろどろに溶けた。

 

「やったぜ…ん…?」

 

ワッ太はイグニスの方を見る。

イグニスの体は赤く輝いていた。

 

「…どうしたんだ?」

 

「さぁ…ただ、エネルギー切れですかね?」

 

ワッ太の一言に悠真が応える。

 

「ズォォアァ…」

 

イグニスは赤い光を放ち、自分の体をその光で包みこむ。

 

「おい、今度は一体なんだよ!?」

 

アキトはそう言いながら、反射的に武器を構えたが、イグニスの放った光は自然と消えた。

 

そして、そこにイグニスの姿は無かった。

 

「………!…あの巨人何処に行ったんだ…!?」

 

ガイはイグニスが消えたことに驚く。

 

「ルリちゃん巨人は!?」

 

ワッ太は、冷静さを保ちながらルリに聞く。

 

『巨人の反応は消失しました、近辺にも確認できません』

 

「なんだって!?一体何処に…!?」

 

ルリが巨人の反応消失について言うと、悠真は落ち着きを無くしながら喋り、その悠真を一人の男の怒声が落ち着かせた。

 

「落ち着け尾形!今は無事に帰艦することを考えろ!」

 

ガッツウイングを飛ばして倭達の近くまで来たホムラだ。

 

「ホムラさん大丈夫で?」

 

ワッ太声をかける。

 

「なんとかな、それにしても青木が駆けつけたくれたおかげで俺達はなんとかGMを退けれた…青木、そして竹尾、感謝する」

 

ホムラは感謝の念を込めて二人に礼を言った。

 

「俺はやれることをやったまでさ」

 

ワッ太は自信ありげに言う

 

「そうだな、それに助け合いに理由はいらないだろ?それよりも、ガッツウイングの方はどうなんだ?見たところスピードや動きが不安定なようだが」

 

青木はガルーダのパイロットをやってたためか、宇宙空間でも飛んでる戦闘機の動きの違和感に気づけるのだ。

 

「機体の損傷などは観ただけではわからないが、機器の一部がかなり壊れているため動かさない方がいいだろう…尾形にはすまないが、倭猛に一時的なドッキングをしてから尾形と共にナデシコへと帰艦する、青木達は先に戻っていてくれ」

 

「了解、みんな戻るぞ」

 

青木がホムラに返答する。

そして、青木達はホムラの言うとおり先にナデシコへと戻っていった。

そしてホムラは彼らの機体がナデシコへと帰艦するのを確認して通信回線を切る。

 

「……さあ、今のうちに説明してもらおうか、この機体がGMに突っ込んでいったわけを」

 

倭猛にガッツウイングをドッキングさせたホムラが通信で悠真に言う

 

「そ、それはなんと説明していいやら……」

 

悠真は説明に困った様子だったその時だった。

 

『それは俺が説明してやるよ!』

 

 

「「!?」」

 

倭の機内に第三者の声が響きわたった。

 

 

 

 

数分後、ガッツウイングとドッキングした倭猛もに無事にナデシコへと帰艦した。

ナデシコには、既に着艦していたエステバリス隊の3人もいた。

 

そして、それぞれの機体から降りてきた二人は、何かに対して不満げな表情でその場にいたプロスペクターに詰め寄った。

 

「おいプロスペクターさん、なんなんだあの機体は、あんなのが搭載されてるなんて聞いてないぞ!」

 

ホムラは眉間にしわを寄せながら言う。

 

「おやそういえば説明をしてませんでしたね」

 

対するプロスペクターは、うっかりとした表情で応えた。

 

「おや?じゃないですよ!こっちは危うく死にそうになったのに!」

 

悠真は興奮気味にプロスペクターに言う。

 

「おいおい、どうしちまったんだお前ら?」

 

ガイが割って入り、悠真達に聞く。

 

「今この機体に何か搭載されている言ったよね、もしかしてさっき映像で観た倭の動きと関連があるの?…あ、私はアマノ・ヒカルだよ、紹介遅れちゃったけどよろしく頼むね」

 

ヒカルは遅くなりながらも2人に名乗った。

 

「こちらこそよろしく頼みます……で、まったくあいつのせいで機体が自由に動かせなかったんですが、説明していただけませんか?」

 

悠真はなんとか落ち着きを取り戻し、プロスペクターに聞く。

 

「あいつ?お前の機体は一人乗りの筈だろ、何を言って…」

 

「そこからは私から説明いたしましょう」

 

アキトが喋ってるのをプロスペクターが遮った。

 

「やっと言う気になったか」

 

ホムラは呆れ顔で言う。

 

「まさか、あのような事になるとは思いませんでしたからね」

 

プロスペクターはそう言うと、一息をついて再び口を開く。

 

「ではまず、倭猛零式について話す前に『超鋼装機計画』について話しましょう」

 

「「「「超鋼装機計画?」」」」

 

その場にいた者達は、超鋼装機計画という聞いたことのない単語に反応が困った。

 

「はい、超鋼装機計画とは、未知の異星人が来襲しても対抗でき、戦争などの様々な戦場での戦いに特化した機体を生み出す計画です。こちらの倭猛を合わせて5体の機体が存在してたのですが……」

 

プロスペクターは難しい顔をする。

 

「してた?まさか倭以外の機体はもう存在しないのか?」

 

ウリバタケが不思議そうに聞く。

 

「いえいえ、そんな事はありません。ただ、倭以外の機体はパイロットの方々と共に行方不明でありまして…」

 

プロスペクターは冷や汗を垂らしながら答えた。

 

「行方不明…!?…どういうことですか!?」

 

悠真は不安げに聞く。

 

「私もあまり詳しくは知らされてないのですが、超鋼装機のパイロット達の部隊のうち隊長一名と隊員二名が任務中に突如の失踪、それを追って残された隊員二名も彼らの行方を追ったのですが、彼らも消失したのですよ。そして尾形さんより前の倭猛のパイロットの方も不完全な倭を残して別の機体で彼らを追って、彼までもが行方知れずになりました。そして、倭猛も彼らを追って単独で彼らを捜索しに……」

 

そこでワッ太がプロスペクターの話の一部に、おかしな箇所を見つけた。

 

「ちょっとまってくれよ、単独って、そん時にこいつに乗ってたパイロットはどうなったんだ…?悠真が見つけたときも誰もいなかったってさっき聴いたぞ」

 

プロスペクターの話からすると、倭猛はパイロット無しで行動したことになるのだ。

 

「…いやワッ太さん、そもそもこいつには人が乗ってなかったんだ、こいつ自体が単独で行動してたんだ」

 

「「「「…?」」」」

 

この場にいるほとんどのクルー達は悠真の言っていることを理解していなかったが、ホムラとウリバタケ、そしてプロスペクターは気づいているようだった。

すると、ホムラが倭猛の方を観る。

 

「ったく、いい加減に貴様から喋ったらどうだヤマト!」

 

「「「「ヤマト!?」」」」

 

ホムラが大声で呼んだ名前に、ナデシコクルーは困惑していた。

なぜなら『ヤマト』という人間はクルーの中にはいないし、誰も聞いたことのない名前だからだ。

 

「おい!ヤマトって誰だよ!このロボットに誰か乗ってるのか!?」

 

そんなアキトの問に対して、ホムラは気難しそうに答える。

 

「あぁ…なんと言えばいいんだろうな…乗ってるというより積んで…」

 

その時、倭猛のスピーカーが起動し、ノイズに混じりながらも声らしきものが聞こえてきた。

 

『……あああああ!もう長ったらしいな!解ったよ話しゃあいいんだろ!』

 

「「「「!!!?」」」」

 

ナデシコクルーの面々は、突如として倭のスピーカーから聞こえてくる声に大きく驚いた。

 

「うるさいぞ、ポンコツAI!静かに喋れないのか!」

 

『誰がポンコツだ!俺が助けてやらなけりゃ宇宙空間に残されてたくせに!』

 

「「「「…………………」」」」

 

…凄くシュールな光景であった。

ナデシコクルー達にとっては、スピーカーから聞こえる声と、その声に対して怒鳴るホムラはとても不思議な光景であり、なんとも言えないものであった。

 

ふと、ワッ太はホムラの発言の中からあることに気が付いた。

 

「あんた今、AIって言わなかったか?じゃあさ、今喋ってるのって……」

 

「そうだ、倭に積んである自称『超高性能AIヤマト』だ、凄く五月蝿くて耳に触る」

 

ホムラは倭猛の方を指差しながら、ワッ太にヤマトについて教えた。

 

『自称じゃないって言っただろ!……ま、まあそんなことよりも……そうさ!この俺こそがヤマトの機能を支えるハイパーアルティメットAIヤマト様だ!どうだ驚いたか!」

 

「「「「………………………………………」」」」

 

全員無反応だった。

いつも騒がしいガイですらだ…。

そしてクルー達は納得した。

確かにこんな馬鹿AIならGモンスターに突っ込んでもおかしくないからだ。

 

「こいつはパイロットのサポートと機体の制御などの様々な役割があるんだが、肝心の中身がこれだから、消息不明の仲間を自分だけで探しに出たら、エネルギー切れで洞窟に身を隠すことになり、パイロットから操縦権を奪い、明らかに勝ち目のない敵に突っ込んだりする馬鹿だからな、まったく情けないな」

 

ホムラはAIヤマトの暴走っぷりをクルー達に軽く説明する。

 

『………すいませんでした』

 

自分の暴走っぷりについて聞いたヤマトは、倭猛を動かしてその鋼の巨大で土下座した。

 

「「(何だこの光景は…)」」

 

一部の者は、さらにシュールな光景を見せられて、反応に困る。

 

「…と、とりあえずこの話はこれで終わりだ。それよりも、とっとと火星へと向かわないとまたGモンスターみたいな連中に襲われるぞ」

 

そう言ってホムラが格納庫を後にしようとしたときだった。

 

「ちょっと待ってください、倭の事もだけど、それよりもあの赤い巨人については何も話さないのですか?」

 

悠真のその言葉で、一同は先ほどの巨人について思い出す。

 

「そうですね、倭についてはある程度の事は解りましたが、あの巨人については味方なのかも解りませんでしたからね。もしかしたらまた我々と遭遇かもしれませんし、巨人について話をした方が良いかもしれませんね」

 

プロスペクターも巨人について話をしようと思っているらしい。

 

「あの巨人なら大丈夫だ、俺達に危害を及ぼすことは無いだろう」

 

ホムラは面倒くさそうながら、さらっと答えた。

 

「は…!?何言ってんだよあんた!?そんな簡単に解るわけねえだろ、真面目に考えろよ!」

 

アキトはホムラに対して怒っていた。

先ほどまで真面目に話していたのに、急に面倒くさそうに答えるという態度の変わりようからだろう。

 

「じゃあ聞くが、貴様はあの巨人がどう見えた?俺達を殺そうとする悪魔にでも見えたのか?」

 

ホムラは、アキトの目を見て言う。

 

「!……悪魔なわけないだろ!だってあの巨人は尾形を助けてくれたろ…」

 

アキトの目は真剣そのものであった。

 

「ならそれでいい、巨人が尾形を助けたことには変わりないしな。…俺は巨人を信じるさ、ここにいる者達が信じなくてもそれは個人の自由だ」

 

「「………………」」

 

そう言ってホムラは格納庫から出ていった。

一同はホムラに対して、何も言えなかった。

 

 

 

 

その後、ナデシコの艦長ユリカは地上にいる父『御統 コウイチロウ(ミスマル・コウイチロウ)』司令と連絡を取るも、コウイチロウは世界中に出現したGモンスターを討伐の指揮を執るため自ら前線に出ているらしい。

 

 

ナデシコは月近くの軌道に留まっていた。

 

「それでは皆さん!30分後にナデシコは火星へと向かいますので、それまでに少しでも皆さんで交友を深めてください!」

 

「(どうせ、いつでもクルーと交友深めるだろこの艦は…)」

 

ワッ太は、どことなく抜けた感じのあるユリカの発言に苦笑いをする。

 

「…それにしても、カオスな面子…」

 

エステバリス隊のマキ・イズミは、クルー達を観て言う。

 

「アハハハ…」

 

悠真はワッ太のように苦笑いをするしかなかった。

 

 

 

その頃、ホムラは自分の部屋で、思い悩んでいた。

 

「……ふぅ…(火星と地球、どちらにも奴らの手がかりがある…火星に行くことになって一番苛ついてるのは俺なのかもな…火星の手がかりをいち早く目にしたくて…テンカワのことは言えんな…)」

ホムラは、グラスに入ったワインを口にする。

 

ホムラは、右手に銀色のペンダントを持ち、ペンダントの中を開いた。

 

「…父さん…母さん……フレイア…俺は馬鹿だよな、すぐに感情的になって怒鳴ったりして…大人になりきれない子どもだな俺は…」

 

ペンダントの中から、ライターのように炎が出現し、そこにはホムラの亡き家族である両親と妹のフレイアが映し出されていた。

 

「…だけど…今度こそ多くの命を守るから…!…二人の仇を取って、フレイアを取り戻してやるからな……!」

 

ホムラの瞳は深紅に輝いていた。

 

「……………」

 

そんなホムラの言葉を聞いていた男がいた。

偶然、ホムラの部屋の前に来ていたアキトであった。

ホムラの言葉を聞き、彼が亡き家族のために戦っていることにホムラの覚悟の大きさを感じ、ホムラに苛ついてた自分が許せなかった。

アキトも火星で両親を亡くしている。

だから、大切な家族を失う気持ちは解るのだ。

 

「(そうだ、俺達は行かなければならない火星へ!そのためにも!俺は、自分ができることをやるんだ!)」

 

そして30分後

ナデシコはやっと火星へ向けて発進した。

 

 

 

 

それから、二日が過ぎた。

 

 

 

悠真の駆る倭猛は、荒れ果てた大地に立っていた。

目の前の蜥蜴型GMの群れに対して、倭猛の肩部にある二門の光粒子機関砲の照準を向けていた。

 

「ヤマト機関砲を使う!目の前の敵に向かって撃つぞ!」

 

悠真は、倭猛の操縦レバーを強く握る。

 

『おらぁ!任せろ!全部もってけぇえええええ!!』

 

二つの機関砲から、ありったけの光弾がGMへと放たれる。

 

「ギシャァアアアアア!?」

 

大量の光弾を喰らったGMは爆散する。

 

『よっしゃあ!俺に任せれーーー「馬鹿野郎!なにやってんだ!」ーーへっ?』

 

ヤマトがビシッと決めようとするのを、悠真の怒鳴り声が遮った。

 

「敵はまだいるんだぞ!それなのに貴重な弾をこんなに消費する奴があるか!」

 

今の攻撃で、倭が機体内で生成できる光弾の残数はほとんど無くなっていた。

 

『ゲッ!?どうすりゃあいいんだよ!』

 

ヤマトは高性能なのかも疑わしくなるほど慌てる。

 

「お前のせいだろ!…っと言っても無駄か…まったく!」

 

悠真は残るGM達の動きを観察する。

 

『こうなったらやけだ!あんな連中俺だけでぶっ倒してやるぜ!』

 

だが、悠真の観察を妨害するように、ヤマトは強引に悠真から操縦権を奪い、倭猛の両手に刀を持たせて敵に特攻する。

 

「おい!ヤマト!やめろ!ってうわぁぁああああああ!!?」

 

『ストップ!ここまでだ!』

 

悠真の叫び声が消えると共に、ホムラの声がコックピットを模したシュミレーターに響き渡る。

トレーニングルームにいるホムラの声が聞こえたとともに目の前の敵が突如消え、悠真の乗るシュミレーターの画面は真っ暗になる。

 

「はあ……疲れた」

 

悠真はタオルで汗を拭きながら、シュミレーターから出てきた。

 

「だてにパイロット目指してないな貴様は。戦闘中の判断力はとても良い」

 

ホムラはそう言いながら、悠真にスポーツドリンクを渡す。

 

「「問題は……」」

 

2人は呆れ顔をする。

 

『おいホムラ!何で止めたんだよ!もう少しで倒せたのによ!』

 

トレーニングルームの巨大スピーカーからヤマトは怒鳴り散らかす。

 

「黙れ、貴様はあの時の特攻からなにも学んでないらしいなを貴様一機が自爆するならいいかもしれんが、尾形が乗っていることを忘れるなよ。そのままで戦場に出たら敵のいい的だ、試しに俺のガッツウイングと戦ってみるか?貴様一機倒すぐらい、一分もいらんだろう」

 

ホムラは容赦なくヤマトへと言った。

 

『なんだと~!俺があんたに負けるわけないだろ!』

 

スピーカーから聞こえるヤマトの騒ぎ声は、とてもうるさかった。

2人はため息を漏らした。

 

「あーあ、またかよ、いつも五月蠅いな」

 

トレーニングルームにエステバリス隊の3人が入ってくる。

隊長のリョーコはヤマトの様子を見て呆れる。

 

「よく来たなお前ら、シュミレーターならちょうど空いたぞ。尾形がこの馬鹿AIのせいでひどい戦いをするから俺が止めたんだ」

 

ヤマトはさらにギャアギャア騒いでいるが、五人はそれを無視する。

 

「パイロットの方は安心なんだがな、倭は、それと比べてAIの方は…」

 

リョーコは情けないものを見る目で、ヤマトの声が聞こえる巨大スピーカーを見る。

 

「うんうん、悠真君は頑張ってるよ本当に、それはいいけどヤマト君は」

 

ヒカルはぎこちない笑顔で巨大スピーカーの方を見る。

 

「パイロットをサポートするはずのAIが、足を引っ張ってる……笑えない」

 

イズミは冷たい目でヤマトを見る。

 

『ちくしょお!どいつもこいつも俺のことを馬鹿にしやがって!』

 

「「「だって、本当の事だから」」」

 

5人はキッパリと言う。

 

『うわぁああああああ!!』

 

ヤマトは、泣きながら(?)スピーカーの電源を切り、倭の中へと戻っていった。

 

「実際の話、ケーブルさえ繋がっていれば、様々な機器へと移動できたりする時点で、普通ではあり得ない性能なのに、そのAI(ヤマト)がもう少し頭を使ってくれたら…」

 

機能だけは優秀なヤマトについて悠真は愚痴る。

 

「お前の機体って、パイロットとAIのシンクロ率で引き出せる能力が変わるんだったっけ?じゃあ、下手したら今のまま戦場に出ても…」

 

リョーコが引きつった顔をしながら悠真に聞く。

 

「初心者のパイロットが操縦する旧式の機体にすら勝てないかもしれんな。だが、シンクロ率さえ高ければ、コンバトラーなどに続く性能を発揮できるらしいから、俺達は、尾形とヤマトが火星に行くまでの間に、一人前になれるように指導するしかない」

 

ホムラの言うとおりで倭猛は、パイロットとAIのシンクロ率で発揮できる性能の高さが極端に変わり、低ければ旧式の機体以下、高ければスーパーロボット並みととても極端な差が出るのだ。

 

「頑張ってるなホムラの兄貴は」

 

リョーコは彼のパイロットとしての技量に憧れていて、敬意を表して兄貴と呼んでる。

ホムラ本人はあまり嬉しくないようだ。

 

「そういえば、さっきウリピーが倭の武装があらかた完成したって言ってよ」

 

ヒカルが思い出した事を悠真に伝える。

 

「やっと、できたんですか!さすがに機関砲と太刀だけじゃこれからの戦いで生き残れませんからね、安心しましたよ」

 

悠真は嬉しさのあまり、ついガッツポーズをした。

 

「これで、残された問題はヤマトだけだな、それにしても、火星は今頃どうなっているんだか……」

 

ホムラは難しい顔をしながら言う。

火星の情報はほとんど入ってこないために、万が一のためにもこれだけの戦力がナデシコに集められたのは、この場の人間も知っていることだ。

だが、それでも安心できないのは確かである。

 

「火星に着いても問題ないように、今日は俺がお前らの練習相手になってやろう、手加減無しでいくつもりだから、全力でこい!」

 

ホムラは気合いの入った声で4人に言った。

 

「よっしゃあ!今日こそ兄貴に一泡ふかしてやるぜ!」

 

 

 

その後、4人はシュミレーターで一対一でホムラに挑むも、ホムラの駆るガッツウィングと良い勝負をするも、誰一人もホムラから勝利を奪えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

様々な人間を乗せたナデシコは、火星へと向かう。

だが、彼らはこの先起きる予期せぬ出来事について知る由もなかった…

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