機動戦士ガンダム 水星の魔女 グエルの背中を押す者 作:セサミストリート
校内のあちこちでスレッタを探したが、一向に見つからない。もしかしたら、また迷子になっているのだろうか?支給されたマップを見たらすぐに行けるだろうが、恐らくまだ使い慣れていないのだろう。
「…どこにいるんだ?」
とりあえず俺はジェターク寮生がよく使うプラットフォームに向かった。
「いるとしたらここか…ん?」
プラットフォームの入り口に近付くと、そこには体育座りで顔を埋めたスレッタの姿を見つけた。もしかしたらどこかで怪我でもしたのかと思い、ゆっくり近づいた。
「くぅ……くぅ……」
寝ていた。いやまて、寝ているだと?よくこんなところで眠れるな、なかなかにタフなのかもしれない。
「…起きろ、スレッタ·マーキュリー」
「むにゃ……まだ食べるよ…お母さん…」
夢の中で何を食っているのかは知らないが、流石に起こさないとまずい。あと数分でジェターク寮の門限が迫っている。
「起きろ!スレッタ·マーキュリー!」
「ひゃ、ひゃいぃ!!あだぁ!?」
大声でスレッタを起こし、スレッタは驚きのあまり壁に頭を打った。落ち着きのない女だ。
「いったたた…えと、あなたは…?」
「フルミ·セザだ。今朝ミオリネのプラントで会っただろ」
「…あ!グエルさんの狂戦士さん!!」
「は?」
「ごっごめんなさい!!」
スレッタは土下座で謝り、俺は困惑してしまった。何だ狂戦士って。グエルが言ったのか?
「…すまない、怖がらせるつもりはなかった」
「い、いえ!私が悪いんです!」
お互いに謝ったが、埒が明かなかったので話題を変えることにした。
「それより、どうしてここで寝ていた?」
「えと、ここについた途端タブレットのバッテリーになくなって…」
スレッタは手を合わせながら申し訳無さそうに話す。タブレットが不調になり、まだここに来て間もないのであれば、ここで立ち往生するのは致し方ない。
「…事情はわかった。とりあえず移動するぞ。もう時間がない」
「はっはい!でも、どうやって…?」
「少し待て」
俺はタブレットを起動させ、ある番号を打ち込む。打ち終わったあと、数秒で俺の乗り物が来た。
「オマタセ!オマタセ!」
「いや、ナイスなタイミングだ」
バイク型のハンドルの中心に、黒く塗装されたハロが埋め込まれていた。
「うわわ?!な…なんですかこれ?!」
「俺がカスタムした乗り物だ。フルスロットルでいけばまだ間に合う。乗れ」
「こ、これバイ…」
「いいから乗れ」
「はっはい!」
俺はすぐさま乗り物に乗り、タブレットを差し込む。
「飛ばすぞ。舌噛むなよ」
「え、それって…」
俺はスレッタの言葉が出る前に、アクセル全開でジェターク寮へ飛ばした。
後ろから聞こえるスレッタの悲鳴はうるさかったが、時間がないので無視することにした。
ーーーーーーー………
「…大丈夫か?」
「ば…ばい…だいじょびです…ウプ」
(…少しやりすぎたか)
なんとか時間に間に合い、ジェターク寮の入口についた。速度を上げすぎてスレッタがグロッキー状態になり、介抱しながらジェターク寮に入る。
歩くことも難しくなっているスレッタを支えながら寮に入った途端、ラウンジに集まっていたジェターク寮生から熱烈の歓迎を受けた。
「わぁ…!こっこれって…!」
「みんな、お前を待ってたんだ」
「わ…私を…えへへ…嬉しいです!」
スレッタは驚きながらも、目を輝かせながら周りを見渡す。集まっている寮生のど真ん中に、グエルが歩いてきた。
「…よく来たな、スレッタ·マーキュリー。ジェターク寮の訪問、ジェターク寮の寮長として心から歓迎する」
いつもの勝ち気なグエルとは違い、寮長としての威厳あるグエルがスレッタの前に立つ。
「あ…えと…ご、ごめんなさい。急に…」
「助けを求められたなら答えるまでだ。ジェターク寮は誰も見捨てない。そうだろ!お前ら!」
「はい!自分たちは誰も見捨てません!」
グエルの咆哮にジェターク寮全員が不動の姿勢で答える。その光景はさながら教官に全力で返事をする新人兵士だった。ただ、弟のラウダだけは不機嫌そうに前髪を整えていた。
「ここの施設は好きに使え。部屋はフェルシーが案内する」
「はい!こっちッス!スレッタさん!」
「はっはい!お邪魔します!」
フェルシーの案内のもと、スレッタはフェルシーについて行った。残ったのは俺とグエル、寮生のみだ。
「…もう消灯時間だ。お前らも部屋に戻れ」
「はい!お疲れ様でした!おやすみなさい!」
(後でフェルシーのとこで
(当たり前でしょ!これを気にグエル先輩とくっつけるわよ!)
(善は急げ〜!)
寮生は垂れ幕を片付け、すぐさま部屋に戻る。女子寮の寮生はおそらくスレッタのあれやこれやを聞きにこっそりフェルシーの部屋に行くのだろう。
「はぁ…なんとか終わったか」
「お疲れ様、兄さん。明日も早いし、僕たちも寝よう」
「だな、行くぞ。セザ」
「あぁ」
ラウダは自室に向かい、俺とグエル寝る準備を始める。消灯時間はとっくに過ぎてるので、多分寮長であるグエルは指導されるだろう。
「…なぁ、セザ」
「…ん?」
グエルは寝る準備を整え、毛布に身を包んだ状態で俺に話しかけてきた。
「…俺、変じゃなかったか?」
ホルダーであり、ジェタークの御曹司であり、アスティカシア学園のパイロット科の生徒では憧れるやつはいないと言われたグエルが、弱々しく俺に話す。
「何言ってるんだ。最高だったぜ?」
「…フッ、そうだろうな。おやすみ、セザ」
俺の言葉にグエルは納得したのか、反対方向を向いて静かになった。
「…あぁ、おやすみ。グエル」
俺は部屋の明かりを消し、そのまま明日を待つことにした。この先どんなことがあろうとも、グエルを見守っていこう。
主人公とグエルとの関係は親友みたいな関係ですが、皆さんはどう思いますか?
-
そう思う
-
少し思う
-
あまり思わない
-
全く思わない