機動戦士ガンダム 水星の魔女 グエルの背中を押す者 作:セサミストリート
グエルと俺はMSのコックピットに乗り込み、タブレットを差し込むと同時にディスプレイの明かりが灯る。まるで眠りから覚めたようにゆっくりとコックピットの灯りがついていく。
『お二人とも、聞こえますか?』
「あぁ、聞こえるぞ」
「問題ない」
通信音声から学生デッキにいるペトラの声が聞こえ、素直に答える。この行動も何度目になるだろうか。
『では、模擬戦闘を開始します。戦闘形式は決闘と同じブレードアンテナを折った方が勝者です』
この模擬戦場は元々はジェターク寮の学生がMSの操縦練成のためにあったのだが、使われていないときはグエルと俺の模擬戦に使われている。ジェターク寮ではこの模擬戦を賭け事に使われていたり、参考として見ているものが多い。ジェターク寮の学生達はこの模擬戦を今か今かと待機室で待っていた。
「今回もアレは使わねぇのか?」
グエルの言うアレとは、俺がジェターク社に来る前に地球で見つけたMSのことだ。学生専用のMSは自社のPRのためや性能テストとして学園に持ち込まれているが、俺の場合は出したら最悪ベネリットグループに狙われる可能性があり、またCEOからの使用許可がないと使えない。
「あれはまだ調整中だ。使うことはできない」
「そうかよ…にしてもお前のディランザ、いつ見てもゴツいな」
グエルはディスプレイ越しで俺のディランザを見る。俺が乗っているディランザは量産型のディランザの一部を改造した機体で、グエルのジェターク社のシンボルである赤色に染まっているディランザとは違い、俺のディランザは真逆の紺色。肩はシールドではなく、右肩にはスラスターを備えた装甲で、左肩はスパイクがついた装甲をつけている。また使用武器はビームライフルではなく、ジェターク社の試作型ショットガンを使っている。このショットガンは実弾とビーム拡散弾のどちらも使える。脚部には大型スラスターにマイクロミサイルを装着し、背中のバックパックは大型化されている。背中側には試作混成型バスターソードがマウントしている。これは一本の大型バスターソードだが、中に細い実体剣が隠されており、残った部分はソードトンファーになり、二刀流として扱える。またビームライフルにも変形可能だ。見た目こそディランザだが、高機動で対象を撹乱させ、隙をついて攻撃するといったピーキーな機体だ。まともに扱えるとしたら俺かグエルぐらいだろう。
「どれもCEOから次世代MSの情報収集として渡されたものだ。ゴツいのはそのせいだろ」
「それもそうだが、それ全部を扱えるのはお前ぐらいしかいねぇよ」
「慣れればグエルも扱えるさ」
グエルと話しながら俺はディランザの状態を確認し、グエルも同じく自身のディランザの最終確認をしている。
「よし、問題はねぇな」
「こちらも異常なし、何時でもいいぞ」
俺は静かに操縦レバーを握り、深呼吸で落ち着かせる。コックピットの狭さが心地よく、いつもより意識を集中できる。
「KP001、グエル·ジェターク、ディランザ」
「KP100、フルミ·セザ、ディランザ·コリーダ」
『『
模擬戦闘の開始を宣言し、お互いのディランザがスラスターを吹かせて吶喊する。
「今日こそ勝つ!」
「勝てるものならな!」
グエルはビームパルチザンを振り回しながら吶喊し、俺は背中にマウントしているバスターソードを左手で取りだして構える。そしてお互いの武器が鍔迫り合い、大きい火花が当たり一面に散る。その光景はまるで夜空に散る花火の様だ。
「綺麗…」
待機室で見ていたフェルシーが呟き、見ている生徒達も同じ感想を抱いていた。決闘仕様のビーム同士の鍔迫り合いならあまり火花は散らないが、俺が使っているソードは出力が決闘仕様より高めに設定しているため、火花が出やすくなっている。本来なら危険ではあるが、グエルから面白いからそのままでいいと言われているため、出力は変えていない。
「うぉぉぉぉ!!」
「くっ…!」
グエルはビームパルチザンで押切り、俺は後ろに後退していくが、ディランザ·コリーダを左側に反らして鍔迫り合い状態を消し、至近距離から右手に持っているショットガンをグエルのディランザの横腹に撃ち込む。しかし重装甲のディランザでは決定打にはならず、装甲が少し凹んだ程度だった。
「ぐっ…やるな、セザ!」
「パルチザンだけじゃ俺を倒せないぞ」
俺は後退し、右左にホバー移動しながらショットガンを撃ち、同時にスラスターについているマイクロミサイルで攻撃する。ビームの散弾とミサイルの雨がグエルを襲うが、グエルは最小限の動きで躱し、ビームライフルでミサイルを撃ち落とす。
「そんな攻撃で俺は止まらねぇぞ!」
お互いの装甲に掠りながらも射撃は止まらず、時に近接攻撃で鍔迫り合いになり、離れては射撃に戻る。こんな状態が数分間続いている。その姿はまるで闘牛士と闘牛の戦いのようだ。
「すげぇ…!すごすぎて何やってんのか分かんねぇ!」
「いっけー!グエルせんぱーい!」
「そこだ!セザ先輩!」
「んぁ〜おしい!」
「もうどっちを応援すればいいかわかんないよー!」
「だったらどっちも応援すればいいだろ!」
「あぁ…ディランザがどんどんボロボロになっていく…いい…すごくいい…!!」
一方待機室では歓声が湧き、学生たちは盛り上がっていた。この模擬戦はジェターク寮では1つの恒例行事であり、いつ見ても飽きないと評判になっている。ほぼスポーツ観戦みたいなものだ。
「ははは!やっぱりお前との戦いはおもしれぇな!」
「余裕そうでなりよりだ」
ビームパルチザンが怒涛の突きで猛攻を繰り返し、俺は最小限の動きとバスターソードで防御する。以前のグエルならこんな大胆な攻撃はしてこない。数しれない決闘と俺との模擬戦で成長しているのを感じる。ショットガンで10発打ち終わると、弾が出なくなった。
「…弾切れか」
「どうした、もう終わりか?」
俺はショットガンを投げ捨て、バスターソードを変形させ、右手には細身のソード、左手にはソードトンファーを持つ。
「いいや、ここからが本番だ」
俺はスラスターを最大出力吹かせてグエルに向かい、対してグエルはビームライフルを捨ててパルチザンを構えた。お互いを武器が交差し、衝撃波で周りの地面が少し割れる。グエルはパルチザンの柄を横薙ぎに振り回しながら攻め、俺は両手のソードで受け流し、互いに距離を取る。そして右手のソードでグエルを叩き切ろうとするが、ビームパルチザンで防がれる。ビームパルチザンで下に受け流した勢いで柄で攻撃するが、俺は後退し、互いに距離を取る。
「ハァ…ハァ…やっぱりお前は強いな…!」
「いいや、グエルも十分強い。だがゴリ押しの攻撃は見破られるぞ」
「見破られる前に倒すまでだ!」
グエルはスラスターを最大出力で吹かせて俺を押し切ろうとする。グエルは俺を押し倒してその隙にアンテナを斬るつもりだ。
「…甘いな」
「んなっ!?」
俺は機体を倒し、グエルに押し倒された勢いで胴体を足で蹴り、後ろに転ばせる。スラスターで体勢を立て直し、仰向けで倒れているグエルのディランザのアンテナを斬った。
『そこまで!勝者、フルミ先輩!』
アンテナを斬ったタイミングでアナウンスが流れ、模擬戦は俺の勝利で終わった。
「おっしゃぁ!フルミ先輩の勝ちだ!」
「あちゃ〜今回もフルミ先輩かぁ」
「いや、グエル先輩も十分フルミ先輩を追い込んでたぞ!」
「すごかった…あんな戦い方があるんだな…」
「あれだけ戦ったのにフルミ先輩全然疲れない…あの人すごいよ」
「っかぁ〜俺もあんなふうに戦いてぇ〜!」
「無理無理、まずはグエル先輩に勝たないと」
待機室で見ていた学生達はそれぞれを感想を言い合いながら待機室を出ていき、模擬戦に向かった。
「…私も、あんなふうに戦えるかな」
一人残ったフェルシーはポツリと呟き、グエル達のもとに向かった。
ジェターク社のディランザは防御力が高いイメージがあり、スピードはそんなにないかなと私は思っています。
今回のフルミ専用ディランザ·コリーダはダリルバリデの武装や装備の試験機としての位置付けで、ステータスは量産型ディランザと変わりません。
主人公とグエルとの関係は親友みたいな関係ですが、皆さんはどう思いますか?
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そう思う
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少し思う
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あまり思わない
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全く思わない