機動戦士ガンダム 水星の魔女 グエルの背中を押す者   作:セサミストリート

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遅くなって申しわけないです…


準備

「そこ!もうちょっと右に動かして!」

「こうかな〜?」

「誰だ机の上にペットボトル置いたの?!」

「ごめん!それ俺!」

「きれいなシーツってどこだったっけ?」

「南倉庫にある!」

「いつも以上にきれいにしろよ!ジェタークの素晴らしさを編入生に教えるんだからな!!」

「「おぅ!!」」

 

ジェターク寮内ではいつも以上に慌ただしく、グエルと俺ははただ立っているしかなかった。

 

「…なぁ、セザ」

「何だ」

「どうしてこうなったんだ?」

「…さぁな」

 

周りが騒がしく動いている中、グエルはため息をついた。

 

ーーーーーーー………

 

遡ること1時間前、俺とグエルは模擬戦を終えて、ノーマルスーツから制服に着替えてロビーに向かっている途中、グエルのタブレットから着信音がなった。

 

『ごご…ごきげんうるわしゅるる…』

 

通話相手はスレッタからだ。どこで覚えた言葉かはわからないが、たどたどしく話すスレッタに、グエルは少しだけ笑った。だが、俺に見られたのかグエルはすぐ顔をいつもの凛々しい顔つきに戻った。

 

「…そんなに固くならなくていい、要件を言え」

『はっはい!グエルさんに…お願いがあるんです…』

「何だ」

『えと…その…』

 

なかなか要件を言わないスレッタにグエルは少し苛立つが、御曹司としての立場を考え、スレッタが答えるまで待った。

 

『ぐ…グエルさんの寮に泊めてください!!』

 

この時に丁度ロビーに到着し、この言葉が他の生徒の耳に入った。ちなみにグエルはスレッタとの会話に集中していたため、聞かれていることに気付いていない。

 

「…今の聞いた?」

「聞いた聞いた!あの編入生がここに来るんだよね!?」

「しかもあのグエル先輩が自分から連絡先を渡したって子でしょ?」

「わーお…大胆だね…」

「何の話?」

「さっきね…」

 

周りはヒソヒソと話し出し、ロビーに来たばかりのジェターク寮生も騒ぎ始めた。

 

「はぁ?!俺の寮だと?!」

『ごっごめんなさい!!でも、他に頼れるのはグエルさんしかいなくて…』

「ミオリネは?!あいつなら泊めてくれるだろう?!」

『えと…そのミオリネさんから「グエルならなんとかしてくれるわよ」と…』

「あいつ…!」

『だ…だめ…ですか…?』

 

画面越しでもわかるくらい泣きそうなスレッタにグエルは困惑しながらも、内心では頼ってくれたことにとても喜んでいる。覚悟を決めたのか、一つため息をついてからタブレットをまっすぐ見つめる。

 

「…来るなら早く来い」

『…え?』

「あと少しで門限で閉まるからな、そこからは知らないぞ」

『はっはい!ありがとうございます!すぐに行きます!』

 

グエルはタブレットをポケットに戻し、ため息を深くついた。その直後に周りが人でいっぱいになることに気づいた。

 

「なっ!?お前ら何時からいた?!」

「最初からいたぞ」

「何で言わなかったんだ!?セザ!?」

 

グエルは俺に詰め寄るが、時既に遅し。周りはもはやお祭り状態になっていた。

 

「グエル先輩!今の水星から来た編入生ですよね!?」

「こっちに来るんですよね!?」

「こうしちゃいられねぇ!おい準備するぞ!」

「先輩の為だ!なんだってやらぁ!」

「おいまて…」

「お迎えの時間だァァ!!!」

「お〜〜!!」

 

グエルの言葉を一切聞かず、全員がスレッタを迎えるための準備に取り掛かる。あの会話が聞かれた今、彼らを止めるすべはない。

 

「あ、グエル先輩は手続きの方をお願いしますね?」

「お、おぅ…」

 

一人の女子生徒がグエルに近づき、捨て台詞のように言う。その雰囲気には

 

「に げ な い で く だ さ い ね ? 」

 

と言わんばかりのオーラを感じ、さすがの俺も怖かった…

 

ーーーーーーー………

 

そして今に至る。

作業が30分ほどで終わり、全員が息を切らしながらグエルの前に立った。彼らの目にはなにか決意を固めたような意思を感じ、つくづくグエルは愛されているのだと俺は感じた。

 

「グエル先輩!全フロアの清掃及び準備が終わりました!これで何時でも編入生を迎えれます!」

「部屋はフェルシーと同室にしました!」

「楽しみだなぁ〜!」

「あ…あぁ…お疲れ様、みんな」

「それにしてもグエル先輩が惚れた人か…なんか妬けるな~」

「惚れてねぇよ!?」

「え〜?ほんとで御座るか〜?」

「なんかムカつく言い方だな…」

 

グエルは必死に惚れたことを否定しているが、周りはそんなこと知ったことではないと言わないばかりに話しかける。

 

「あ、もう少しで門限ですね」

「そろそろ来てもおかしくないんだけどなぁ」

 

時計を見れば門限まであと10分となっており、一向にスレッタからの連絡はない。お願いしておいて遅れるのは流石にないと俺は思うが、少し心配になってきた。

 

「グエル、迎えにいかなくていいのか?」

「…もしかしたら迷子になってるかもしれねぇし、見に行くか」

「待って兄さん。兄さんがいったらだめだ」

 

俺とグエルは立ち上がり、入口にいこうとするが、ラウダに止められた。

 

「兄さんはジェターク寮の寮長なんだ。ここで待っていたほうがいい」

「いや、流石に見に行ったほうがいいだろ。お…俺を頼ってるんだからな!これはしょうがないことなんだ!」

「それでもだめだ、兄さんに何かあったら僕たちでは対応ができなくなる」

「じゃぁどうするんだよ?このまま放っておくのか?」

「フルミに行かせればいいじゃないか。そのためにいるんだから」

 

ラウダの提案に俺の名前が出たことに、俺は驚いた。なぜ俺なんだ?

 

「…俺が迎えに行けばいいのか?」

「なっ!お前が行っても怖がらせるだけだろ!?俺が行くんだからここで待ってろ!」

「絶対に行かせない!兄さんは抑えておくから、早く行け!」

「そうですよグエル先輩!ここでセッティングしないといけないことがあるんですから、待っていてください!」

 

グエルは突き進もうとするも、ラウダを筆頭に数名がグエルを抑える。そうまでしないといけないことがあるのだろうか。

 

「わかった。行ってくる」

 

あの騒ぎに付き合うつもりもないので、俺は早足でスレッタを迎えにいった…

 

「待てセザ!俺をおいていくな!セザーーーー!」

 

…後ろから聞こえるグエルの悲鳴は聞かなかったことにしながら。

 

 

 




今回はここまで。さて、フルミはスレッタを無事に迎えに行けるでしょうか…

ではまた…

主人公とグエルとの関係は親友みたいな関係ですが、皆さんはどう思いますか?

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