「早急な死刑を執行しろと?彼はまだ15歳の子供ですよ?」
「だが"あれ"は速やかに処分しなければならない!」
「15歳の子供だからと生かしておけば一体どれくらいの人間が死ぬか分からないのだぞ!」
「確実に処分出来る確証はあるんですか?
1級術師10名、準1級術師16名、2級術師21名、準2級術師23名、計70名が返り討ちにあい、過半数は殺されているんですよ?
生き残った術師も、もう二度と非術師レベルの日常生活すらも送れなくなっている状態です」
包帯で目を覆い隠している長身の男性、
五条悟はこの10分以上続くこの状況に辟易していた。今回、五条悟が呼び出された理由は先日、捕縛された少年の処遇をどうするか話し合っていた。話し合いというがほぼ上層部が「速やかに死刑を執行するべき」と騒ぎ立てているだけであり話し合いになっていない。五条悟はなんとしてでも死刑を迫られている少年を助け出したかった。
今回の話し合いの議題に上がった少年は
「伊地知、あの子の様子は?」
「はい、今の所暴れる様子はありません。しかし、彼に少しでも危害を加えようとすると即座に呪いが襲い掛かってきます。かなり神経質になっているようです」
「そう、ありがとう」
補助監督である
(術式や呪力を封じ込める呪具をこうも簡単に破壊するのか。しかもこの部屋に閉じ込められても呪力、術式を問題なく扱える...いいね!)
五条は嬉々としていた。自身の夢である「現呪術界の革命」のために強く聡い呪術師を育てていた五条から見た无月は将来、特級にまで上り詰めるほどの才能を有している。だからこそ腐敗しきった上層部に囲い込まれるより先に自身の夢の協力者になってほしかった。それだけじゃない五条は1人の大人として窮地に陥っている少年を助け出したかった。
「気分はどうかな、狂餓彌无月くん?」
「暇、なんか本とかないの?これにも飽きてきたし」
そう言うと无月はルービックキューブを投げ飛ばしてきた。難なくキャッチしたルービックキューブを自身の持つ特異体質である
(凄いな...3級くらいの呪霊だったらこれ投げ付けるだけで祓えちゃうよ)
无月の所持していたルービックキューブは呪物と化しており、无月の呪力が籠められていた。そしてこのルービックキューブは无月が生み出したものだ。材料は恐らく部屋の壁と拘束に使われていた呪具。呪具で芯を作り、部屋の壁でキューブを作り出した。
(なるほどね、上層部は術式を狙っていたのか。確かに无月の術式なら材料さえあればいくらでも呪具を作ることが可能だしやろうと思えば特級相当の呪具をいくつも作れるだろう)
五条の推察は的中している。今回の騒動は上層部が狂餓彌无月の術式、【
五条悟が狂餓夜无月の捕縛に向かった時には辺りは血の海と化し生きていた呪術師のほとんどは四肢の一部が欠損し、戦意喪失していた。
五条は彼の説得を試みた時、彼は今までの行動が嘘のように従順で大人しくされるがままに拘束され呪符が張り巡らされる部屋に監禁された。
「さて、无月くん。少しお兄さんとお話ししようか?」
「まず名前言ってよ」
「別にお兄さんと呼んでくれれば「そう言うのいらないから」...」
可愛くない、五条は率直にそう思った。このお札が張り巡らされた部屋で監禁されているのに精神異常を来さず平然としている。五条も
(だからこそこの少年は異常だ。特級に分類される呪いに取り憑かれているから慣れてしまっているのか。はたまた人間としての倫理観が壊れて...壊れているな。人間を殺したっていうのに涼しい顔してるからな)
どうやってこの少年を説得するか五条は再び思考を巡らせた。
1級呪術師計10名 死者数8名
準1級呪術師計16名 死者数13名
2級呪術師計21名 死者数10名
準2級呪術師23名 死者数8名
死者数計39名
上記の死者数が特級被呪者、狂餓夜无月によって死亡。生存した31名の呪術師は片腕または片足を欠損しており、9名の者は両腕を欠損し、日常生活を送るのが不可能となった。