『一番星』は『天使』の手を掴んで離さない   作:ネマ

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本編
愛スル@ミク


 

「みなさーん!!」

 

その少女は世にも珍しい緑かかった髪を持つ。

その髪の長さは腰近くまである非常に長いツインテールである。

 

「初音ミクだよー!!」

 

その少女の名前は“初音 ミク”……まるで天使の生まれ変わりとも言われるそのアイドルは世界全てを魅了する絶世の美少女である。

 

「さぁ今日も!!!」

 

この世の大抵全てがフィクションだとするならば、彼女の歌声の前では

 

「みんな、みっくみくになっていきましょー!!」

 

どんな欺瞞も、嘘もみっくみくにしてしまうのだ。

 

 

 

 

 

 

転生した。どうも前世は性自認が男だった美少女です。

しかし来世というものがあるとは考えてもいなかったのですが…

 

「みくちゃんじゃん……」

 

自分の姿というものを知ったのは確か3歳に満たない頃だろうか。

鏡を見た自分の姿にふと全てを思い出した。そう緑かかったの髪(光の当たり様で緑にも抹茶色にも見える不思議だ)に緑色の瞳。更には喉から出てくるソプラノボイス。そして何処か人間離れした抑揚…だったのが前世を思い出した影響で全力で調教された“初音ミク”の声のまま人間らしい声。

 

そう俺……ふさわしくないな。私は“初音ミク”という存在に転生したのだった。

初音ミク…それは“電子の歌姫”と呼ぶのに相応しい存在。最初は音楽ソフトという一つの物に過ぎなかった彼女は、多くのクリエイターの手によって“ボーカロイド”という音楽ジャンルを築き時代を造った人の心に永遠に宿る歌姫だ。

 

「………本当にみくだ……あーあー」

 

かく言う私も前世では重度のボカロ廃でありミクのフェスにはよく行っていたし、グッズなんて祭壇が2、3個出来上がるほどいっぱい家にあった。

そんな自分がミクになれた?……息子が消えたという哀愁の前に私の心は雄叫びのような歓喜の声を上げた。

新しい玩具を手に入れた赤子の様に自分は鏡の前でターンをしてみたり、腕を振ってみたり、自分が好きだった歌のフレーズを口ずさむ。

 

「…ミクダヨー?…………!?」

 

……まさか、自分がミクならミクの全ての声が出せるだなんて。

そうなれば話は簡単だ。“初音ミク”というなら(今世の実の名前も初音未来らしい)自分は電子の歌姫を目指すべきでは無いのか。そしてゆくゆくは……

 

「つまり…リン、レン、KAITO、MEIKO、ルカ達もいるって……コト!?」

 

自分“初音ミク”という存在がいると言うのならきっとミクと同じ、ボカロの時代を築いたリン、レン、KAITO、MEIKO、ルカ…etcもこの世界にいると言うことだ。

そう。ならば一緒に歌いたい。3Dとして現実で私たちは歌いたい。そう考えたら話は早い。私は……“初音ミク”だ。

 

「えーっと…まずはお肌にも気をつけて」

 

この身体はミクのものだ……決して傷一つ付けてはならない……っ!!

 

 

 

小学生になる頃。まだ声が安定しないのか低音域にあるボカロ曲だけが安定しない自分にはやく成長しないかなーと思っていた時だった。

当時の自分は、精神年齢的に周りに合わせるのがあまり得意じゃなく…正直一人で歌っている方が性に合っていたというのもあってか、友人と呼べるのは一人しか居なかった。

 

「la〜la la la la〜」

 

「ミク、また歌ってるの??」

 

その友人は自分とはまるで別の純黒のような黒目黒髪で両目に星が宿っている特徴的な少女だった。……まあ友人になった経緯はあまり良いとは言えないが。

 

『………!?……あなたの名前は?』

 

『私……?……私の名前、はアイ。』

 

小学生になりたてのころの隣の席が今の友人。“アイ”だった。

どうやらこの家庭は想像以上にヤバかったらしく、周囲では噂になっていたらしいのだが当時すでに“ミク”になるというのに忙しかった自分はそんなの関係なかった。

 

アイ。綺麗な瞳と、美しい髪色。ミクの友人に相応しいとそれだけだ。

自分のエゴで助けてしまった少女。勝手にミクではなく…未来として円滑に世界に馴染むためだけに造った“友人”それだけだったと言うのに。

 

『私、未来の歌大好きだよ!!』

 

だからもっと歌ってよ!ミク。

そんなアイの笑顔に私は初めて“ミク”という存在になれた。

……そうだ。ミクは確かに電子の歌姫。現実には居ないのにその歌には多くの喜びがあった。悲しみがあった。共感があった。寄り添いがあった。

自分の歌は、ただミクをなぞっているだけの紛い物だ。そんなのがミクとは言いたく無い。

 

『そっか………そう言うことか』

 

『ど、どうしたの?未来……?』

 

多分自分はその時、初めてアイを見た。

“歌姫”のための友人ではなく、初音 未来としての友人を。

その友人は──────幸せそうだった。曇りひとつもない満面の笑み。そうだ。私もミクにそうしてくれたのだ。ミクが活力だったのだ。

 

『私も、アイが大好きだよ──────』

 

照れくさそうに笑うアイ。

その時だった。私が“ミク”だからという理由で歌姫になりたいんじゃなくて、世界を笑顔にしたいと、世界に寄り添いたいとミクになったのは。

 

 

 

 

『そうだよ!それが私なんだから!』

 

 

 

 

そして現在。私“初音未来”改め、“初音ミク”はアイドルとして日々を過ごしています。いつものように街中で音楽を奏でて(ギターは練習しましたよ?)一定以上の人気ができてきて、ミクちゃーんと愛称で呼ばれる様なった頃。私は一つ事務所にスカウトされた。

 

そこで私は次第に人気が出る様になり、そして遂に───────

 

 

『ミク!ミク!ミク!ミク!!!』

 

“歌姫”の愛称と共に、国民的アイドルとして日々過ごしています。

……最近、なんかその“歌姫”の愛称が“天使の生まれ変わり”になりそうなのはミクとしてありえないし。

自分の後ろ姿を見てきたアイがいつの間にか同じようにアイドルとなって“一番星の生まれ変わり”として国民的アイドルとなり似たような名称にしてユニット組みたいからって“天使の生まれ変わり”を流行らそうと主導しているのがアイだとか色々とありますが…

 

『リン〜……レン〜……メイコォ……ルカァ……KAITO兄貴ィ……』

 

『また言ってる……』

 

今日も一日、アイドル片手にリン達を探しています。

尚、今日まで全くの手がかりなし!そう言うわけで机に崩れ落ち呻き声と共にみんなの名前を呼んでいたら、いつの間にか目の前に座っていたアイがため息と共にミクに聞いてくる。

 

『その人たちって……誰なの?』

 

『………リン達?』

 

アイの聞き方にはどうやら棘が混ざっているが、まあ無理もない。アイドル…しかも国民的アイドルとして醜聞はあってはならない物ではある。

……でも自分はやっぱり

 

『ミクの……言うなら()()()かなぁ……』

 

『……………っ………』

 

リンとレンの元気溌剌なツインボーカル。MEIKOの大人の色気が滲み出ている声。ルカ姉の少女のあどけなさと共に魅せる女の魅力。KAITO兄貴の男としてのカッコ良い歌声。

ミクの歌声の良さを語らせるのなら無限に語れはするが、それでもやっぱりMEIKOやルカ。KAITOと共に歌う歌声も語り尽くせないほど素晴らしい。

 

まあそんなの今は居ないけど。

 

『………一番星……』

 

『?……うん。届かない、絶対に届かない標の星。輝ける星』

 

一番星と含みに言うアイの前でミクは半分眠気眼で呟き続ける。

そう。“一番星の生まれ変わり”と称されるアイの目の前で違う人が一番星だと言う幼馴染のミクはアイにとってどう映るだろうか。

 

『それ……私、じゃ、ダメ……なの?』

 

『アイ…………?うーん』

 

弁解するが決してミクに悪気は無かった。

…ただ、まあミクの目には写っている一番星がただ一人の友人だと言っているアイの姿ではない、という事だけだ。

 

『………合わない、かな。』

 

『………………そっか』

 

ミクは実は半分以上寝ていた。最後になんて呟いたかさえ定かじゃない。

ただ、意識が落ちる間際ミクの目には、目の前でハイライトが消えた眼差しでこっちを見ているアイの姿があったのだった。

 

(…アイどうしたんだろう?)

 

そして残念な事にミクには女心が分からなかったらしい。

勿論、そんなことを続けていたので────────

 

 

 

「……ミク、暴れないでね」

 

「えっ?…えっ!?……ちょっアイ?!?」

 

「暴れてもいいよ?噛んでもいいよ?強く噛んで良いよミク……まあいただきます」

 

「………や、やめろぉぉぉぉぉぉ!!」

 

となる日もそう遠くない……かも知れない……?

 

 






To be continued……?


キャラクター紹介

初音ミク(初音ミク)

まんまミクの姿。前世はミク廃だったこともありミクの姿になれてご満悦。
前世男だったと言うのはほぼほぼ忘れている。ああ。そう言う過去もあったね…程度。
今世ではまんま“歌姫”の名称で世界的な大人気アイドルとして毎日を過ごしている。
ただ……ミクである事に頑なになっているせいで人の心が分からない事も……

ちなみに今世にリン以下は存在してません。というかボカロも無かった。




星野アイ(アイ)

異常ミク愛者として、自身のファンとミクのファンからお墨付きを頂いているアイドル。
幼少期にミクに救われてからミクに異常とも取れる執着心を持っている。
依存……?失礼だな。純愛だよ。

ただ、残念ながらミクに対してのアプローチは一才効いていない所か一番見てほしい人は全然違う人たち()にお熱なせいで……いずれ手を出す未来は近いのかも知れない。


ここのアイがアクアとルビーを産む理由…?それこそミクのいう“リンとレン”にさせるためかも知れない。
まあそれもこれもミクの膜をいただいてからでしょうが。



好評なら次を書きます。

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