ミクとアイとミクの両親中心。ようやくミクが妊娠アイに会います。
感想嬉しい…嬉しい……
初音ミクの全国ライブツアーは大盛況にて幕を閉じた。
近年稀に見る、歴史に残るほどのライブには多くの人が参加し、人によっては全国だというのにその全国に自腹で追いかける狂信…熱烈なファンも数多く出現していた。
「………………………」
そんなライブの熱が引かないまま幕は下ろされ、ミクは事務所の車に揺られ帰路についていた。揺れる車の中は静寂が満ち道路を走る車の音だけが響く。ミクは基本的に微睡むように外を眺めるだけだし、それを知っている運転手(プロデューサー)もそういうものだと知っている。
……ここだけの話だが、たまにミクから聞こえる鼻歌は運転手にとって聞こえたら一日ラッキーみたいな扱いをしているのは運転手の中の秘密だ。
「初音さん。着きましたよ」
「ん。ありがとう。」
地下の駐車場まで送る。このご時世何があるかも分からない。
ミクが住むこのマンションは芸能人やそういう人目に付く職業をしている人御用達のマンションだ。セキュリティ管理も並大抵のものでは無い。
「……明日は、特に何もなかったよね」
「はい。社長からゆっくり休むように。と」
分かったありがとう。と言いミクはもう用が無くなったと言わんばかりに自動ドアの向こう側に消えていく。決してこちらを振り向くことなどなく。
「…………………………」
マンションのエレベーターに揺られながらミクは1人考える。
ここ数ヶ月。アイを放置してしまったという事を。アイは活動を休止をしていたが未だにそれが撤回されていないのを見ると何か有ったのだろうか?
はやる心を沈め、ミクは上へと上がっていくエレベーターを1人佇む。
ほぼほぼ毎日アイと連絡を取っていたからかアイの声に異常もなかった。そう考えていると部屋のある階層で止まった。どうやら誰も乗ってこなかったみたいだ。
「……………ただいまー」
家の鍵を素早く使い扉を開ける。
するとリビングからライトが付いている辺り、まだアイは起きているようだ。
そう思ったら扉の向こうからアイが姿を現す……!
アイのお腹を妊婦のように膨らませて
「───────────えっ?」
しばらくして困惑に揺れるミクもある程度現実が掴めてきたのか、とりあえず立ち上がってミクにじゃれつくアイを椅子に座らせる。その真正面にミクは腰を下ろしアイの顔を見つめる。……ここからは面談の時間だ。
「……さてと。まずはアイ。」
「ん?……あっ。そうそう双子だよ!」
そう覚悟を決めたミクにアイは見せつけるようにお腹を指差す。
どうやら肥満や腹水などでは無くマジで妊娠したらしいとミクは頭を抱える。
ただでさえ、ミクより身長が低いというのに(アイは151cm、ミクの公式設定では158cm。実はミクの方が身長が高いのだ)その上、双子?
「………本気で産む気なの?」
「うん!4人家族になるね!ミク!」
色々と言いたいことはあるがとりあえず飲み込んでミクはアイに問う。
ただでさえ小柄で身体が出来上がりきっているとは言い難いアイが双子を産めるのかというミクの心配にアイは嬉しそうに将来の展望を語る。…違うそうじゃない。
「とりあえず父親は誰か…とかは?」
差し当たりのないようにミクはアイに質問する。アイに子供が出来たということは現実として受け入れよう。ただ問題はその父親が誰かということだ。子どもができるということは逆説的に父親がいるということ。……まあ順当にアイの彼氏だろうか?とミクは考えてた矢先だった。
「父親はミクだよ?」
「えっ」
アイは真顔でミクが父親だと言った。
アイの様子に嘘はついていない。至って真面目にアイはアイの子の父親をミクだと言っているのだ。変な薬でもやっているのか…と本格的に頭の心配をし始めたミクに一点攻勢とアイが畳みかける。
「それともミクがお乳出す?」
今からお胸育成しよっか?とワキワキとミクの胸元に伸ばしてきたアイの手をミクは素早くはたき落とす。……どうやらアイのいう父親というのは“父親役”という意味らしい。
「………すけべ」
「あっ……今のミクめちゃくちゃエロかった!」
胸元を腕で隠して、アイを半目で見上げるミクの姿はどうやらアイの癖に刺さったらしい。もう一回!もう一回して!と騒ぐアイに軽いチョップを落とし、話題を戻す。
「この事実は…斉藤さんと────」
「勿論、ミクのお父さんとお母さんも知ってるよ?」
そう言い切ったアイの脳裏にはいつかのミクの両親との会話が思い浮かんだ。
それは、アイが病院を受診した翌日の事。お腹の中に双子がいると言う高揚感のままアイはミクの両親の家に向かっていった。親が捕まった時も養子として、それ以前からミクと同じぐらい愛を注いでくれたのがミクの両親だ。……だからこそアイも実の親と言わんばかりに懐いているが。
『…………………』『……………………』
勿論あんなアイからみても破天荒、天然極まりないミクを育てたミクの両親だ。
明らかに妊婦と分かる大きなお腹をしたアイに一瞬瞠目したがすぐさま部屋の奥に通し、外に音が漏れないようにドアを完全に閉め切った。
『……とりあえずはおかえりなさい。アイちゃん』
『うん。ありがとう。おばさん』
人数分のお茶とお茶菓子を持ってきたミクの母親…おばさんはとりあえず。と前置きしてアイの帰りを喜んだ。今、ミクが全国ツアー中だと知っているからこそアイだけでもこうして顔見せに来てくれるのは嬉しいのだろう。
『早速だが……そのお腹は…』
『双子だよ。おじさん』
重い口を開いたのはミクのお父さん…おじさんだった。
早速本題に進めるところ、ミクそっくりだとアイはなんとなくふと思った。
『……父親は“いない”事にしたのね?』
『うん。私とミクで育てる。』
暗に妊娠していると言うとおばさんは直ぐ様理解したのか“いない”と強調して言う。
文字通りなんだろう。父親は完全に居ないものとして育てる。それが理解できない人間ではないし、それと同じようにアイドルという職で妊娠することがどう言うことかよく分かっていた。
『………ワシらは何も言わん』
決めたようにおじさんが声を出す。
今やミクもアイも時の人。テレビをつけたらその2人の名前を聞かない日の方が少ない。そんな2人だ。子どもを育てるという金の面での心配は要らない。
『ただ聞かせてくれ。』
黙認するというおじさんにアイは瞬間、笑みをこぼしそうになったがその次のおじさんの一言で笑みを引っ込める事になるとは考えていなかったのだろう。
『
『………………………………』
バカ娘…それはミクの事を言っているのだろうか。そしてそれを言うということはつまりおじさんはアイの妊娠についての理由をなんとなく理解しているということになる。そんなおじさんの確信じみた問いに無言で黙るしかない。
『………ちょっと。あなた』
『いや。言わねばならん。』
黙って下に顔を背けるアイを目についにおばさんが声を上げる。
だが、それでもおじさんは頑なにアイに視線を強く飛ばす。
『アイ。君は実の娘のように思っている。』
『それは………嬉しいです。』
『だからこそ、だからこそ。問わねばならん』
どれだけ娘の親友であろうと服から食べ物。更には寝床まで与える必要なんてないことぐらいアイには分かる。……それを娘の友人だからと黙認して娘のように扱ってきてくれた2人がアイを娘同然と見做していた事も。
『
『はい。……ミクにはきっと迷惑をかけちゃいますが』
嘘を許さないと問いにアイは真正面から誠意を見せる。
いつかのミクのような強い眼差しにこれなら大丈夫だろうとミクの両親はようやく胸を撫で下ろす。……うちの娘だ。迷惑ぐらいなら笑って許すだろうと、迷惑をいっぱい掛けてやれと思ってしまったのは内緒だ。
『………また今度、親子4人で来なさい』
『!!!………はいっ!!』
「…………分かった。でも最後に一つだけ聞かせて。」
そんなアイにミクは渋々納得したのかただ一つ聞きたいことがあるとアイに向き合う。これだけは聞きたかった。確かに全国ツアーライブの準備で忙しかったのはあるけど。
「アイは、後悔してない?」
「…………………………ねぇ。ミク。逆に言うけどね?」
ミクの問いに、アイはニンマリと笑ってミクに言う。
「今の私はこれ以上ない幸せだよ」
そうだ。これでミクの視線はアイが占領出来る。これで愛してる人がずっと私だけを見てくれる…これ以上の悦びがあるというのかいやない。だって今もミクは私だけを見ている。私を心配そうに見ている。
胸の奥から湧き上がるこのゾクゾクする悦びはなんだろうか。これを人は仮に独占欲というのなら……
独占欲とはなんて甘くて気持ちがいい感情なんだろうか。
初音未来(初音ミク)
アイが妊娠!?
星野アイ(アイ)
ミクの両親鋭いなぁ…ミク相変わらず鈍いなぁ…
でもそんなミクが一番可愛いよ❤️
ミクの両親
善人。ミクの親という事もあってか勘が効く。