いい感じに長くなって来たから分割。
アイの心情どうすっぺ……まじどうするべ??
Angel’s☆“歌姫”ミク(20)
ストーカーによる殺傷
本日11時頃、アイドルの初音ミクさんが自宅にてファンと見られる男性に殺傷される事件が発生しました。尚、容疑者の男性は数時間後に自殺を図り、病院で死亡が確認されました。警視庁は今回の事件は簡単に侵入できない構造となっているマンションでの殺傷事件として協力者がいるのではないかと調査を進めています。
天使が、死んだ。
そのニュースは一時間も経たぬ間に日本のSNSのトレンドの一位を奪い、多くの追悼などの投稿によって一時SNSが落ちてしまうといった反響があった。
勿論それだけでは無くテレビはその時放送していた番組を止めてまで緊急ニュースとして報道されるほどその死は急であり得ないモノだったのだろう。
それはそうだ。ミク…初音ミクという存在は日本国内だけで無く世界各国にファンが存在している日本が誇る“歌姫”。近い将来、海外での大々的なライブ開催でさえ見込まれていた本当に多くの人に愛された“天使”だった。
「………………………………」
雨が降る。涙さえも覆い隠す様な大雨が降る。
天が、神が、世界が天使の死に泣いているかのような大雨の中、ミクの両親の意向でとても小さな葬式が開かれることになった。
「……………………………ミ、ク姉……」
棺の中で眠るミクはあの日の惨劇とはまるで無縁のような、寝ていると言わんばかりの穏やかな笑みだった。死化粧で彩られたミクの姿は本当に死んでしまったのだと会場の中1人ミクの棺の前であの日の続きを思い出してしまう。
『ね?…ミク?……おきてよミク』
1人1人に送られた遺言のような言葉の後にミクは意識を完全に失った。
それも瞳孔が完全に開いているという形で。もう脈が振れるとかそういう次元じゃ無いこれはほぼほぼ死んでいるという状態だ。
瞳孔が開くということは脳の機能が止まっているということ。
それはつまりいずれ心臓が止まり、肺が止まり完全な死になってしまう。
だけど今のアクアには出来る手段も器具もない上に救急車のサイレンの音はまだ聞こえないという完全な詰み。
『…………………………』
アクアの…いや吾郎の医者としての冷静な部分が告げる。手の施しようの無い事態だと。数分も経たぬ内にミクは失血死するだろうという事を。指先から冷えていくミクの身体。子どもと見間違えるほど暖かったミクの身体からは少しずつ熱が奪われていく感覚をアクアは明確に分かっていた。
その隣で、呆然とミクの肩を揺らすアイと血に浸した手を見つめるルビーに正気を問えるほど自分はマトモでない事。知っているから。
その後の事はあまり覚えていない。
ただ本当に冷たくなったミクにアイが半狂乱で縋り付いていたのは覚えている。
『ミクは死んで無い!!ミクは…ミクは……そう!ただ寝てるだけなの!!昔から寝相が悪かったからね。きっと今日も少しへんなねかたを──────────』
ミクを担架で運ぼうとする警察の前でアイは充血した目を限界まで吊り上げて涙を隠す事もせず両手を広げてミクを守る。その姿はまるで外敵を前にした母親みたいな敵意を隠さない姿に警察官は痛ましいモノを見るかのように説得を続ける。
そこに2人の大人が姿を現す。斉藤夫妻だ。2人は泣き崩れながらもミクがもうどうしようも無いことに気がついたのだろう。口から犬歯を剥き出しにしながらも息を吐き続けるアイの前に立ち、小さく首を振る。それが合図だった。
『…………ぁ……ぁぁぁぁああああああああぁぁあああああああ!!??』
悲壮、絶望、憤怒、失望、諦観…自棄。全ての負の感情を込めたような、まるで絹を裂くようなアイの悲鳴と共に崩れ落ち気絶するアイ。俺が知っているのはそこまでだ。俺も直後ルビーと共に警察と斉藤夫妻に連れられ、病院に送られる事になった。
俺とルビーはそのまま病院で合流したミクの両親と斉藤夫妻に囲まれてただ無言の時を過ごした。俺たちに配慮してくれたのか1人1人立ち上がって物陰で啜り泣く声が脳裏に今も覚えている。
ああ。何処で聞いたんだったけ?気絶したアイが目を覚ましたという事で病室に入るとそこにはベットで身を横にしたまま微動だず滂沱の涙を流すアイの姿。ただ、一言呟かれたそれはアイの本音だったのだろう。
『……………………しにたい』
いつもの元気溌剌としたアイドルとしての声でも、ミクとイチャイチャしている時の弾んでいる声とも全然違う。平坦に呟かれたその四文字こそアイの偽りない本心だったのだろう。
そこからアイと夫妻、そしてミクの両親の間に一体どんな会話があったのかは知らない。何故なら自分たちもそこから数日間の記憶を失っているから。…いや。失うというよりあまりの衝撃に呆然と自我喪失状態になっていたからだろうか。
次に意識を取り戻したのはミクの葬式の前だったという話だ。
「ミク姉……」
もう一度、ミクの呼び名を口にする。転生という不思議な現象の先で出会ったルビーとはまた別の同族。親愛を込めて言ったミク姉という呼び方はミクにとって気に入ったらしい。……今となっては聞くに聞けないが。
「……………ああ。」
そっと指先で触れるミクは無機質な冷たさのまま眠っていた。
これではまるで“歌姫”というより“眠り姫”みたいだった。
「アクア………………ミクママ」
その後ろから涙を流しながらルビーが近づいてくる。
足取りもどこか覚束ないそのルビーの様子はまさに自分と同じだと今ふと感じてしまった。俺の隣に座ったルビーは何かするわけでも無くただ棺の中をじっと見ていた。
「ね。アクアは……ミクママの最期の言葉。覚えてる?」
「…………ああ。」
ポツリとルビーが呟く。それはミクが残した最期の言葉。
「“幸せになってね?”………か。ねえアクア」
「なに?」
ふとルビーはアクアに尋ねる。たった2人ぼっちになってしまった同族の片割れに。
「ミクママはアイドルをしてて幸せだったと思う?」
「……わからない。」
前世、ファンだった頃から知っている。ミクはただ自分の歌を多くの人に寄り添うモノだとして路上シンガーをしていたところでアイドルにならないかとスカウトがあった事を。ミクの願いに沿うならばアイドルなんてしなくても良かった筈だ。ミクがもう一つ活動の場にしていた動画サイトだけの活動に絞っておけば良かった。
「でもアイと歌ってる姿は幸せそうだった。」
それでもとアクアは言葉を続ける。
路上シンガーミクのデュエット役。それが最初アイが出て来た所。
その後2人は別の事務所に入りながらも互いを強く意識し続け、次第に時代の双璧とまで呼ばれるようになりそしてつい数年前。念願のツインボーカルユニットの結成が叶った。
それより前から何度かデュエットしている2人の姿はいつも1人だとかグループで歌っている時より輝いて見えたのは事実だ。2人の子どもになって互いが互いを一番に、もしかしなくともそれ以上に想っている事なんて丸分かりだった。
「だよね……ミクママはキラキラしてた」
ルビーがアイとミクの2人にアイドルの基礎を教えられているのは知っていた。
トップアイドル2人に直接教育してもらえるだなんてなんと贅沢な事だと言いたいが自分もミクから演技の方法やら表情の作り方など教えてもらっている手前、なにも言えない。
ルビーの顔を盗み見る。ルビーが良くも悪くも純真無垢であることはここ数年、双子として過ごして来たから分かっている。きっと少しずつ少しずつ立ち直っていくのだろう。………でも俺は。
一度もう死んでいるのだから。二回目も大差無いはずd──────────
『天使を裏切った芥に鉄槌を!!」』
あの時も。
『その身で罪を贖え。塵芥』
あの時も。
吾郎を襲った男と、ミクを殺した男は同一人物だった。
何故?襲った?
どうやってアイが妊娠している事を、そしてその病院まで突き止めた?
何故、あれほど厳重な守りだったマンションに1人来れた?
犯人の男は何のスキルもない学生だった。ただミクを殺した直後自らの腹を捌いた後、喉を掻きって自殺したという猟奇的な結末を迎えたぐらい。
国民的アイドルの裏を調査しようと探偵に金を積んだとしてもその金は莫大な量が必要だ。だからと言って男自身が探偵が出来るような奴ではないことが分かる。
…………1つ。1つだけ思いつく事がある。
このミクが襲われた事件には、この事件の裏には
共犯者がいる
一体誰だ?一体誰が共犯者だ?
分かることは1つ。ミクとアイに相当近い所にいたという事だけ。
病院を知っていたのは社長とミクだけだ。ミクが亡くなった今、知っているのは社長だけ。だがあの社長の溺愛具合を見てそんな事するはずが無い。それ以上にアイの件がバレたら社長諸共破滅の道しか残ってないのにそんな事するはずが無い。
同僚?……いや。ミクもアイも互いにしか興味が無かった上に俺たちが産まれる前までは休止の後にツインボーカルユニットを組んでいる以上関わりようが無いし、アイも元同僚の名前はあやふやみたいだと首を傾げていた所を見ている。
ミクの両親??……あり得なくは無いが可能性が低い。
あの2人はアイがいうには結婚を最後には認めてくれた理解ある人らしい。アイとミクがそれほど親愛を示す人間たちだ。アイドルで子を持つという危険に真っ先に指摘するようなお人好しでありながら、あの天才のミクをミクのまま育て上げた傑物だ。
────────ああ。居るじゃないか。
俺たちの本当の父親が
アイが完全に沈黙した父親。曰く、提供者以上の価値はないという俺たちの本当の父親。アイのミクへの愛情を元に考えたら『同業者』、もしくはミクの血縁か。
俺たちの仇はまだ死んでいない。それどころかまだ何処かに隠れて今も尚、笑っているかもしれない。ミクを殺した真犯人がアイを害そうとした真犯人がまだこの世界に存在している。殺す。殺してやる。必ずこの手で全ての罪を贖わせてやる。
そうだ。これが俺の生きる意味。俺のふくしゅ──────
2人を支えてあげてね?
「────────ぁ。」
耳元でふと声が聞こえた。死んだ筈のミクの声が。
そう。それはミクの最期の言葉。愛の遺言。
ミクはこうなると見越して俺にこの言葉を残したのだろうか?俺が復讐の道に走ると分かっているから俺に楔を打ったのだろう。ミクの愛は何とも強い物だと脱力する。
(まあでも、打つ手が無いわけではない。)
簡単な事だ。これは復讐では無いと考えてしまえばいい。
これはミクを殺されたことの報復である。自分の親を殺されて報復しないなど道理に背くという物だ。これは怒りであり、天誅であり、罰であるという事を強く念じる。……するとその時まであったミクの声は聞こえなくなった。
(ごめん……ミク姉)
ミク姉が言いたいことは、分かる。ミク姉が残してしまった俺たちを心配して愛してくれている事も十分に理解している。でも、それでも俺は『納得』出来ないんだ。
アクアの片目の星が黒く、暗く堕ちていく。
ミクを殺したその真犯人に然るべき報いを。
「ねえ。おじさん。……俺を使ってみない?」
僅かに違いはあれど運命の車輪は冷徹に回る。
星野 アクア
原作と大きく違うところは復讐ではなく報復であるという事。だからこそアクアは悩む事なくその道を進んでいけるという点。
それとミクに演技指導してもらっているお陰で芸能デビューが早くなるかも数年ぐらい。そしてアクアの仏頂面は消えていつも笑みを浮かべているかも。外面は完璧王子様。
それのお陰で重曹を舐める女優とは付き合いが長くなるがアクアの目的が目的であるが故にそれ以上にはならない様にアクア側が調整を掛けている。
歌姫の物真似をする同業者の女は正直きっしょと思ってるけどその模倣精度は賞賛に値するし利用価値も高いからそこの関係は変わらず。
原作の引き金を引くストーカー役はここのアクアに必要ないモノだがいっそストーカーの思考もトレースしてみたら何か分かるだろうかという突発的な発想で参加。勿論全員喰い尽くした。恋リア編?言うまでもなく変わらず。ただ同じ共演者との仲は取り持っておくと便利な方々が多かったから原作より親密になる様に動くかも。
舞台編では擬似的にトリップするせいでミクの死に様とアイが狂っていくまでの経緯を見せられることになるが瞳の星はとっくに堕天しているから覚醒イベントと化す。
その後のアクアの演技では絶好調の時に天使の翼と輪を背負った腰まで伸びる長髪と誰かの装いに似たスタンドを顕現させるかもしれない。
ミクが残した“あれ”の事は正直気に入らないがミクが残した形見だしなんとなくは認めている。だけどそれらの歌は絶対に聞かない。死んでも聞いてやらない。
星野 ルビー
原作とは特に変化なし。ただ家族関係が完璧に破綻している事以外は。後はミクに歌を教えてもらっていたから音痴さは多少マシになってるかも。一般アイドル並には。
アクアが復讐‥ならびに報復に燃えていることは気がついているし、アイが狂い果ててしまったことも明確に分かっている。けど何もしない。それはミクの“死に悲しまないで”という遺言を無視するという矛盾が起きてしまうから。
アイが捨てて斉藤夫妻が無かったことにした“B小町”を原作通りに復活させた辺りは原作と同じ感じ。ただ原作と違いアイが生存していたり、B小町自体とっくに落ち目のグループだったりとマイナス要因が働き、重曹ちゃんがアクアとの早い会合で演技力が上がってたりルビーの歌唱力に補正でプラスが効いている。良い感じにプラマイゼロ。
ただアイドル活動の最中、前世の最愛の人の死体を見てしまったが故に覚醒。いつぞやかのアクアの発想と同じ様なことを連想してしまい覚醒。さらにはミクの愛の遺言とアイが狂っていった様をその身で自覚したが故にすぐさま覚醒。
二連続で坂を駆け上がるかの様に覚醒(堕天)したルビーの背にももしかしたら天使の翼と輪を背負った腰まで伸びる長髪と誰かの装いに似たスタンドを顕現させるかもしれない。
ミクの残した“あれ”はルビーにとって超えるべき壁であるという認識。若い頃、しかも残された音源だけであれ程の魅力と恐ろしいほどのカリスマを孕んだ歌声はルビーにとって目指す星である。
2人の共通点が分かる人は感想でどうぞ
中身は違うのに双子なお陰で結構似てるんだよなこの2人。
RE。START??
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