感想、いっぱい貰えると意欲は上がる。
“歌姫”、“天使の生まれ変わり”などと称される国民的アイドル。初音ミク。
彼女の特徴の一つに“とても長い青緑髪”というのがある。
ただでさえ色が特異で傷みも浮かびやすそうな(多少、色彩良く見えるように染めているが)だけでなく、髪の長さは腰あたりまであるという普通では手入れがしにくそうな髪である。
ではそんな髪をミクはどうしているのか。
それは変わらず…アイだけが知っているのだった。
『………ふぃ……』
『………にゅ………』
また時間軸は幼少期に遡る。
日を重ねる事に親密に濃密に仲良くなっていく二人だがその距離は側から見れば些か近過ぎるのではないかと心配されるほど近いものになっていった。
それは現状の二人を切り抜いてもそう見える。
今…アイとミクは共に風呂に入っている。それも湯船にミクがアイをあすなろ抱きするという形で。勿論、同性であるからこそ特に問題は無いようにも見えなくはないがそれでも赤の他人。あくまで友人である事には変わりない。
『………お風呂か〜……アイも一緒に入る?』
『!?……………え、あ……うん』
ある日の事。もはや朝から夜までミクの隣に居るアイはいつの間にかミクの両親にもアイがいる事を当たり前のように受け入れる様になってきた頃の話だった。(ミク両親「うちの娘が気に入ってるのなら別にどんな子でも」)
もう夜も遅い。晩御飯を一緒に食べて部屋に戻って歌うにも、もう近所迷惑になりかね無いとミクは歌う事を止めてアイを風呂に誘う。
『じゃあ行こっか』
『…………え……でも、本当に……』
足踏みするアイにミクは首を傾げる。
『泊まるんでしょ?』
『………いい、の?』
『そのつもりだったんだけど………』
嫌なら…あれだけど…とミクは少し沈んだ声でアイに問う。
勿論ミクの提案はアイにとって渡り船どころか胸の中にどうしようもない歓喜が浮かび上がってくる。……だってミクのそれは私を家族と一緒ぐらいに見てくれているという事だから。
まあそんなこんなあって。
なんの恥じらいもなく着ていた服を洗濯機に投げ捨て全裸になったミクに、初めて女体を見たかの様な童の様に慌てながら赤面し両手で目を隠したアイがいた事は蛇足だろう。
『……そうだ!』
ジャンケンで先に身体を洗う順番でミクはパーを出して負けてしまった。
そういうわけでアイが先に湯船から出て身体を流している所でアイが声を上げる。
湯船から顔だけ出して鼻歌を歌っていたミクは何かを閃いたアイを片目で見る。
『♪〜………どうしたの?アイ』
『ミク!……洗いっこしよ!』
えぇ……とアイの意見にミクはたじたじと両目でアイの方向を見る。
アイはミクに手を伸ばしどうやら本気で洗いっこ、とやらをするらしい。
そんなキラキラした期待している目で見られると嫌だとはミクは言えない。一巡した後、アイの手を取ったのだった。
『………痒いところありませんか?』
身体を洗うという事でミクはアイの背中を擦っている。痛くない様にそれでもミクは力を込めてアイの背中を擦る。流石に前は自分で洗って欲しいけどと思いながら。
『無いよ!……じゃあ次はミクね!』
洗いやすい様にシャワーチェアに腰掛けていたアイは立ち上がり、ミクに座る様に譲る。泡が全身に付きっぱなしだがアイは後でミクと一緒に流すと言って聞かない。
『よろしく。アイ』
『はーい!じゃあごゆっくりー?』
アイの背中を摩る強さは正直にいうならそこまで。けどミクにとってそんな事気にならないほど上機嫌になった。……だってこうして身体のメンテナンス以上の価値が無かったお風呂にも楽しみは有ったのだから。
『………アイ?』
『……よいっしょ……うん?どしたのミク?』
そうしてふと微笑んでいるとタオルが当たる様な感覚は消えたのに、身体には何か擦る?……撫でる様な感覚がしているのが分かった。…………うん?とアイに声を掛けるとその声は自分が想像するより耳元で聞こえた。
『だって好きな人にはこうやって洗うんでしょ?』
『ちなみにどうやって……?』
『?……こう身体を使って』
いやそれソー……可愛いミクちゃんは何も知らないのだ。湯気で曇った鏡をみると後ろで腕と身体を器用に使ってミクの背中を擦っている姿が見え、ミクは何処かでアイの情操教育について話し合わないとなと覚悟を決めたという。
その後、両者とも泡まみれになった姿でアイがミクに抱きついたせいで一つの大きな泡の塊になったのはここだけの話。勿論、意地返しとばかりにミクはシャワーの水流をマックスで共に洗い流しながら水遊びしていたのだった。
「でもやっぱりミクの髪の毛ってサラサラで綺麗だよね〜」
髪を洗うという事も一緒に洗うと言ってほぼほぼ強引に席に座らせたアイ。そんなアイにミクはもう慣れたかの様に、もしくは諦めたかの様に座ってアイがシャンプーで頭皮を洗ってくれているのを感じる。
「……私は、アイの髪も好きだよ」
ミクである象徴の一つであるこの髪に誇りがないと言えば真っ赤な嘘になる。
けどそれと同じ様にアイの夜をそのまま映したかのような黒髪は意外とミクは気に入っていた。そんな想いを込めて呟かれたミクの言葉はアイにとってクリティカルヒットしたらしい。
「……………嬉しい」
アイの力加減が気に入ったのか目を閉じて鼻歌混じりでアイに全身を預けていたミクは気がつかなかったがその時アイは、恥ずかしそうに赤面しながらも満面の笑みでミクの身体に近づいた。
尚、この時からずっとアイとミクの距離が更に縮まったのは言うまでもない話だ。
「……痒いところありませんか〜?」
代わりばんこして、ミクはアイの髪を決して痛めない様にけど頭皮マッサージをするようにアイの頭を洗っていく。そんなミクの心に気がついたのかついていないのかアイは酷く安心した様な姿で脱力し、ミクに寄りかかっていた。
「ん〜……ないぃ……」
そんなアイの姿にミクは少し微笑み、そして一つこう呟いてしまう。
それがどれほどの衝撃になるか考えもせず。
「リンとかいればこんな感じだったのかな……」
「………ねえ。」
さっきまで寄りかかっていたはずのアイがミクの何気ない一言を聞いた瞬間、今までに見たことのない早さで後ろに振り返りミクを見る。瞬き一つもしないアイの姿といい、謎に感じるアイからの威圧感といいミクは困惑の最中にいた。
「えーっと……リンの事?」
「うん。」
どう答えようか。ミクは頭の中で考える。
勿論、リンという存在は初音ミクの後続機として作られたボーカロイドの一人。
……ただこの世界にはボカロは無くて、そしてミクという存在も生きている人間の一人だ。なら、こういうべきだろうと口を開く。
「……私の妹分でそしてライバルの1人!……かな」
「そっか………」
リンの歌声やミクとリンのデュエット曲。初めて聞いたミクとリンのラップ調の曲は凄い衝撃を受けたなぁ…といずれ再会したら歌ってみようと未来への夢を見ているミクの目の前で、ハイライトが完全に消え、髪の毛が逆立ち始めているアイの姿があった事にはミクは最後まで気が付かなかった。
「ミクの髪。」
「?」
「これから私がいる時は、絶対私が洗うから」
別に良いけれど…と謎に強まるアイからの威圧感にミクは首を縦に振るしかなかったのだった。ただ一つ…いうならミクは最後まで気が付かなかったがアイがミクの髪を洗うということはつまりその前の身体を洗うという所も含まれる可能性までは気がついていないのだった。
そういう事が有ってかミクとアイは次第に一緒にお風呂に入る事が当たり前になっていくのであった。外堀…しかもお風呂という毎日行う生活習慣にアイという存在がミクに深く刻まれた。その意味に気がつくにはまだアイもミクも幼かったらしい。
【近いかも遠いかも知れない未来】
「ミーク!お風呂入ろ!」
「ん……先入ってて……」
「だってミク放っておいたら遅くまで入らないでしょ」
「………………………………」
「それにミクこの前一人で入って………って聞いてる?」
「…………………………」
「……………………………む……」(ミクの生脇腹に触れる)
「っ!?ひゃぁん!?………ってアイ!」
「あはは…でもミク。無視はダメだよ」
「う…ごめん……今いい感じだったから」
「ほどほどにしなよ~…じゃあ先行ってるね?」
「うん…………………行った?良かった…後でゆっくり入ろ……」
「ミ~ク?聞こえたよ?」
「ひっ……やだ。お風呂でイキたくない…っ!!」
「でもミク……凄い期待してる顔、してるよ?」
「!?…そんなわけ」
「気持ち良いこと、好きになろうね?ミク」
「……………………」
初音未来(初音ミク)
この後お風呂で散々可愛がられた後、風呂上がりの水を口移しで飲まされた直後、二回戦目が始まったらしい。
星野アイ(アイ)
ミクに執着ガール。ついにはお風呂にまで参戦。将来、アイはこの時の行動をめちゃくちゃファインプレーと脳内で自分を褒め称えたらしい。
それはそれとして"リン"とやらの存在は気にくわない。