イカれた幼馴染を紹介するぜ!!   作:俺の両手は幼馴染

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終わり時が分からなくて気がつけばものすごく長くなってしまった。




 

 夕焼けが空を焦がす頃。

 草原は風に揺れ、空を飛ぶ怪鳥の鳴き声が聞こえてくる平和な道に、アルハァナへと向かう2つの影があった。

 1つは魔法使い。もう1つは大きな袋である。その袋は魔法で浮いており、魔法使いに追従していた。

 

 「眠らせたのは悪手だったかなぁ…」

 

 魔法使い――私は溜め息をついて言った。

 これを聞く者はいない。いや、いるにはいるのだが、彼らは大袋の中でグッスリ寝ている。

 ふと立ち止まってその中身を見てみれば、人間と獣人が絡まるように入っていた。そうなるようにこちらがした訳では無いのだが、まるで抱き合っているようだった。

 

 「ロニィ……」

 

 「イリくん……」

 

 「寝言でもイチャつくんだ…。相変わらずだなぁこの子達は」

 

 ここまで相思相愛だともはや呆れる。

 嗚呼、紅茶が欲しい。この甘さを紅茶で中和したい。でも今から用意して充分に堪能してしまえば日が暮れてしまう。

 野宿なんて御免だ。前に魔人の冒険者と野営をしていた時に、私なりに頑張って作ったテントをあの魔人に吹き飛ばされたのを覚えている。

 あの時が初めての野営だったから、初めて作ったテントの残骸の前で膝から崩れ落ちたものだ。あの後やり返してやったけど。

 それからも獣人やら鬼人やらにテントを破壊されたせいで、私には野営に対する軽いトラウマがある。

 ああ、駄目だ。さっさと街に行ってしまおう。この子らのイチャつきを見るのはその後だ。

 

 私は袋を緩く締め、先程よりも少し速歩きでアルハァナに向かった。

 暫く歩くとアルハァナの出入り口である無駄にデカい門が見えてきた。

 

 「1人で」

 

 「あいよ」

 

 門番にお金を渡す。相変わらずセキュリティがガバガバだ。

 それにしても、先程自分の懐を確認してみたが、思った以上にお金が無かった。紅茶ばかり飲んであまり依頼に行けていなかったからだろうか。

 まぁ、この子らを冒険者にするついでにいくつか依頼を受ければいいか。

 

 そんなことを考えながら、門を抜け、街中を歩いていく。

 相変わらず門の周りは人が少ない。それもそうだろう。この門からどんな種族が顔を出すのか分からないからだ。

 もし、例えば、獣人と人間のような犬猿の仲である異種族同士が鉢合わせてしまったら争い事が起こるのは必至。この街では下手な争いは処罰対象の為、皆その処罰を避けるために門から離れて暮らすのだ。

 また、門の周辺にいる数少ない人々は情報屋であり、どんな種族が何人来たのかを情報として売る。

 イリベくんなら「個人情報ズル剥け」と言うだろう。前にロニセラちゃんの喫血を覗いていたのがバレた時に言われた言葉だ。

 

 しばらく歩いていると、見知った家が目に入った。どうやら目的地に着いたらしい。

 ノックをする。すると、家の中から物音が聞こえ始め、すぐにこの家の住人が顔を出した。

 

 「やっ、久しぶり」

 

 「…サリーナか。久しぶりだな。何か用か?」

 

 「とりあえず上がらせてくれる?」

 

 「おお」

 

 男は私の頼みに一切嫌な顔をせず、軽く承諾して背を向けて家の奥へと消えて行った。

 私はそれに追従するように家に上がった。袋が大きくてすこし玄関扉でつっかえたが何とか通ることが出来た。

 短い通路を渡り、窓一つ無い閉鎖的な部屋に着く。そこには1つの大きな机といくつかの椅子があり、1つは彼が座っていて、もう一つは座りやすいように下げられていた。

 軽くお礼を言いながら席に座る。そして、話を聞く気満々の彼に向かって訪れた要件を話した。

 

 「しばらくゼ―くんのところで暮らしていい?」

 

 「……」

 

 目の前の男は沈黙した。もともと黙っていたが、聞く姿勢ゆえではなく、返答に困っているからこその沈黙だった。

 彼のそんな様子に私は困惑する。いつもの彼なら二つ返事で了承するのに、今日に限って何故だろうか。

 

 私がゼ―くんと呼んだ男の名はゼイルス。私の数少ない友人であり、幼馴染でもある。昔、何度か彼のお世話になったことがある。主に金欠の時に。

 あの時の私は家を持っていなかったので宿で暮らしていたのだが、毎日そこそこの金額を宿代で取られてしまうため、収入が安定しない時期だと金が払えず追い出されることが良くあった。

 そんな時に助けてくれたのが、幼馴染であるゼーくんだ。それで、しばらくの間泊めてくれたのである。それ以降も何度も泊めてくれた。

 だから、今回も問題ないと思っていたのだが、何か事情でも変わったのだろうか。

 

 「ゼーくん?」

 

 「サリーナ。お前今”暮らす”と言ったのか?”泊めて”ではなく?」

 

 「え?うん。しばらく、もしかしたら一生この街に居るかもしれないからね」

 

 「……だからそんなに大きな荷物を持ってきたのか」

 

 「え?ああ!違うよゼーくん。ほら!」

 

 彼に袋の中身を見せる。うん。相変わらず抱き合っている。暑苦しくないのだろうか。

 

 「え?なんだこれ新しい生贄か?」

 

 「違うよ。まったく黒魔術馬鹿なんだから。これは今私が大切にしてる子たちだよ」

 

 「攫ったのか」

 

 「まぁね。でも珍しくない?獣人と人間のカップルだよ?」

 

 「カップルなのか…それは確かに珍しいな。…待て、まさか、こいつらも住まわせろとは言わないよな?」

 

 「言うよ」

 

 「……はぁ」

 

 ゼーくんは大きく溜息を吐いた。そして頭を抱えながら私に言い聞かせるように言った。

 

 「あのなぁサリーナ。お前だけならともかく、ガキ二人も世話できるほど俺の家は広くねぇんだ。寝床もねぇし、片や獣人で色々めんどくせぇし、好奇心旺盛なガキから黒魔術を使ってるってことを隠す暇もねぇよ」

 

 「ああ、黒魔術に関しては心配しなくて良いよ。君が書いた本を読ませてるからね」

 

 『赤子でも分かる!黒魔術シリーズ』はゼーくんが書いた本だ。

 あれは昔、私が黒魔術に興味を持った時に彼にお願いして書いてもらったもので、黒魔術を習得するのにとてもお世話になった。

 そして、全編読んで黒魔術を理解した後、本棚の奥で埃を被っていたのだが、イリベくんらが強くなりたいと願うので、それを叶えるべく久々の出番が来たのである。

 

 「……マジ?」

 

 「まじ」

 

 「おまっ、犯罪者増やしてんじゃねぇか…」

 

 「それ君が言う?」

 

 「あれは……まぁいい。で、寝床はどうすんだ?さっきも言ったが、そんなスペースはねぇぞ」

 

 「そうだねー…」

 

 袋の中の未だに目覚める気がしないイリベくんとロニセラちゃんを見る。

 ゼーくんの家には2つのベッドがある。1つは彼用で、1つは来客用だ。それ以外に眠れそうな場所は無いだろう。床と言う選択肢もあるが、枕も掛け布団も無い睡眠は地獄に等しい。私は絶対に御免だ。

 この子らは一緒のベッドでいいだろう。むしろ、そうしないとどちらかが、なんならどちらもゴネてきそうだ。

 となると悩むべきは私とゼーくんの寝床。出来ることなら私がベッドで寝たいが、事前に何も言わずに訪れた私を優先して、親切なゼーくんを床で寝させるというのは流石に心が痛む。

 でも床で寝るなんて論外だ。どうしたものか…。

 

 あれこれ考えながら、とりあえずこの子らを袋から出しておく。もちろん、傷つけないように丁寧に。

 しかし、抱き付き合っているせいか少しやりずらかった。離して1人1人取り出そうとしてみたが、お互いがっちりホールドしており力を入れてみても離れなかったのだ。

 なんなら、ロニセラちゃんが爪で引っ掻いて来たし。避け損なって人差し指と中指が取れかけた。

 回復のポーションが近くにあって良かったと思う。ゼーくんが慌ててかけてきたおかげで服がびしょびしょになったけど。

 

 「ちっ、これだから獣人はッ…!」

 

 「そう怒らないの。この子だって大事な人を守ろうとしただけなんだから」

 

 まぁ、実際は抱き合っているこの状況が名残惜しいあまりに本能的に邪魔者を追っ払ったんだろうけど。

 嗚呼、甘い甘い。砂糖でも頬張ったようだ。さっさと紅茶を飲んで中和してしまいたい。

 そうだ、もう目的地に着いたのだから紅茶を飲んでもいいんだ。失念していた。しかも、今紅茶を飲めばこの甘さを中和することが出来る上に一息つくことも出来る。

 寝床問題は飲んでから考えよう。そうするべきだ。

 そうと決まればさっそく紅茶を飲むとしよう。 

 

 私は近くの食器棚を開けそこにあるはずの茶葉を取り出そうとするが、そこに茶葉は存在しなかった。

 

 「あれ?ここにあった紅茶は?」

 

 「あぁ、無いぞ。俺は普段から紅茶飲まねぇし」

 

 「えっ!?………そっかぁ、そうだよねぇ…。はぁ、買いに行こ」

 

 とぼとぼと部屋を出ようとする私をゼーくんが「おい待て」と引き留める。

 

 「おい、寝床の問題はどうすんだよ」

 

 「それよりも紅茶を…」

 

 「それは後だ。まず寝床をどうするのか決めろ」

 

 「えぇー」

 

 私は早急にこの甘ったるい口を何とかしたいのに、それは困る。

 私かゼーくん、どちらが床で寝るか。人としてゼーくんをベッドで寝かせるべきなのだろうが、床で寝たくないという我儘も捨てがたい。

 人道か、我儘か。私はどちらを選べばいいというのだ。

 いや、待てよ。イリベくんとロニセラちゃんは同じベッドで寝るんだし、もういっそのこと。

 

 「私たちも同じベッドで寝ればいいんじゃない?」

 

 「………は?」

 

 「じゃ、私は紅茶買ってくるから。ゼーくんはこの子らをベッドに寝かせといて」

 

 そう言って私は部屋を離れる。

 背後から「なんで俺がやんなきゃいけねぇんだよ…」という愚痴が聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 目が覚めた。ロニセラの寝顔が目と鼻の先に写る。いつもの光景だ。

 なんだかよく寝た気がする。それはもう、深い深い夢から目覚めた気分だ。

 ちなみに夢の内容はロニセラとの楽しい結婚生活だった。子供もいて楽しそうだった。続きがめちゃめちゃ見たい。

 

 さて、起きて早々なんだか体に違和感を感じる。俺にかかる重力がおかしいような、いや、俺を支えているものがいつもと違うのだ。

 先ほどまで眠っていたことから察するに、この違和感はベッドが原因だろう。サリーナが何かしたのだろうか。

 とりあえず、体を起こして状況を確認しなければ。しかし、ロニセラに抱き枕にされているせいで身動きが取れなかった。仕方ないので俺は可能な限り首を動かして周りを見てみるが、ロニセラを除く目に映るもの全てが見慣れないものだった。

 

 「……どこだここ」

 

 目が覚めたら知らない部屋だった。もし目覚めた角度が仰向けであれば、俺は未知の天井に向かって例の台詞を言っていただろう。

 なんて、ふざけている場合ではない。知らない内に知らない場所に居るなど、危機的状況もいいところだ。

 

 「ロニィ、ロニィ」

 

 「…ん…………なに」

 

 「俺たち、知らない場所に居るみたいだ」

 

 ロニセラは半開きの目を動かし、部屋の様子を見る。そして今の状況を理解したのか目を見開き、飛び起きて周りを警戒し始めた。

 

 「グルルルルル……!」

 

 「……何か匂う?」

 

 「…うん。知らない人と、あいつの匂いもする」

 

 「あいつって……まさかサリーナか!?」

 

 ロニセラが頷く。

 まさか、俺たちは騙されたのか?いや待て、いくら何でもそれは飛躍しすぎか。思い出せ、最後に俺たちはサリーナに何をされた。

 確か、お金を稼ぐためにアルハァナという街に行って、いや行く前にロニセラがサリーナと勝負することを提案してきて、俺はそれに乗って、それで、どうなったんだっけ。

 ああ、そうだ。真面目に戦う気はないとか言って眠らされたんだ。その後、おそらく彼女は俺たちが眠っている間にアルハァナへと向かい、そして寝床を確保した。そんなところだろう。

 ベッドの近くにある窓から外を覗いてみると、これまでとは毛色が違う風景が広がっていた。このことはその予想の裏付けとなるだろう。

 

 そう一人納得していると、ロニセラが扉を切り破いた。

 え、何してんの。

 

 「あいつらを殺す」

 

 「待って!多分この状況はサリーナとその見知らぬ人の善意だ!早まるな!?」

 

 「むぅ」

 

 俺の説得でロニセラはとりあえず矛を収めることにしたらしい。

 怒ってくれているのは嬉しいが、手が出るのはいただけない。まずは話してみて、それでダメだったら出すべきだ。

 しかし、この切り刻まれた扉はどうするんだ。バラバラで修復は不可能だ。どうみても買い替える必要があることが分かる。

 この光景をもしこの家の所有者に見られてしまったらと思うと、冷や汗が背を伝う思いだ。

 

 突然、横から声が聞こえてきた。

 

 「おいおいおいおいおい…!!」

 

 確かな怒気を孕んだ声を発しながら、ゆっくりと重々しくこちらに近づいてきたのは長身の男。

 黒髪黒目のこの男が、ロニセラの言っていた知らない人なのだろう。その後ろにはサリーナがおり、困ったような笑顔を浮かべていた。

 

 「来て早々人のもんをぶっ壊すとは良いご身分だなぁ!」

 

 返す言葉もありません。

 こういった場合は下手に言い訳せず、すぐに謝るのが最適だろう。

 

 「すいませ―――」

 

 「グルルルルル!!」

 

 男に謝ろうとする俺の前に突然ロニセラが割り込み、男を威嚇した。

 まずい、それも非常に。怒り心頭の相手に威嚇するのはディスコミュニケーションの極みだ。

 

 「ほう?悪びれることもなく威嚇してくるとはいい度胸じゃねぇか。ご丁寧に濃い殺意まで当ててきやがる」

 

 「ああ、殺意に関してはロニセラちゃんはいつも出してるよ」

  

 「はぁ?どういう神経してんだこいつ」

 

 くそっ、さっきから正論ばかり言ってくる。

 流石の俺でもフォローしきれないぞ、俺は一体どうすればいいんだ。

 

 一触即発の雰囲気。双方どちらも何かしら行動を起こせばそれが火種となり大事へ発展するだろう。

 そんな中、助け舟を出したのはサリーナだった。

 

 「ゼーくん。こんなことになっちゃったのはこの子らを連れてきた私にも責任がある。私にも償わせてくれない?」

 

 「……どう償うつもりだ?」

 

 「お金でね。修理代の10倍でどう?」

 

 「当たり前だろ。で、このガキ共は払えるのか?」

 

 「いや?所持金0だよこの子達は。だから冒険者になって働いてもらう。あそこなら死ぬほど働けば弁償代なんてあっという間だからね」

 

 そこまで言うと、サリーナはこちらを見て微笑んだ。

 

 「!…サリーナさんのおっしゃる通り、僕たちは冒険者として一生懸命働き、必ず弁償して見せます!ですのでどうか、少しばかりお時間をください!!」

 

 お願いします!そう言って俺は頭を下げた。

 サリーナにゼーくんと呼ばれた男は腰を90度に曲げた俺を黙って見ている。しかし、俺の誠意が伝わったのか、心なしか、彼から発せられていた怒気が薄くなった気がする。

 大の男に少年が頭を下げ、それを背後から見つめる女性はいつの間にか持ってきていた紅茶を啜っているこの状況。

 

 「??」

 

 すぐ近くにいるロニセラは何故こうなっているのか分からない様子だった。

 

 

 

 

 

 「許してもらえてよかったねー。私、イリベくん達が追い出されるんじゃないかってヒヤヒヤしたよ」

 

 街中を歩きながら、サリーナがほっとした様子で言った。

 俺もそう思う。あの人が人格者でなければ危なかった。普通、つい先日来たばかりの者に部屋の扉を見るも無残に破壊されたら、怒って追い出すどころか裁判ものだろう。

 弁償だけで済ましてくれたのは本当に感謝しかない。

 

 「…」

 

 ロニセラはあれ以降黙り込んでいる。

 困惑と反省が入り混じったような顔を見るに、おそらく、穏便に事を済ます必要性を理解できないが、話の流れ的に自分が悪いとは理解できたので彼女なりに申し訳なく思っているのだろう。

 耳が垂れているのが何よりの証拠だ。ポジティブ思考な彼女が落ち込むことはそうそう無いので、この垂れ下がった耳と尻尾を見るのは久方ぶりである。

 よしよしと頭を撫でてみる。垂れた尻尾は瞬く間に活力を取り戻した。

 

 「甘いなぁ」

 

 「彼女のためにも多少は厳しくするべきなんでしょうけど…どうしても」

 

 サリーナの意見はごもっともだ。

 下手に甘やかしまうのは彼女のためにならない。少なくとも、すぐに手が出てしまうところは矯正しなければいつの日か大事になる。なんならさっき大事になりかけた。

 けれど、可愛い子はどうしても甘やかしたくなる。耳が垂れているおかげで撫でやすかったのも相まって、俺の脳内に撫でないという選択肢が浮かばなかったのだ。

 

 サリーナが思い出したかのように聞いてくる。

 

 「ああ、そういえばこれから冒険者協会に着くけど、何か聞きたい事とかある?」

 

 「そうですね…」

 

 冒険者協会。創作で耳に胼胝ができるほど聞いた名だ。

 もしも創作で見た通りのものであれば、彼女に聞くまでもなく何もかも知り尽くしていると言っても過言ではないだろう。その逆であっても、自分の想像を超えることは無いだろう。

 となると俺が聞くべきことは、冒険者協会そのものではなく、そこに所属している者に関することだろう。例えば、注意すべき種族とか。

 

 「危険な種族とかいますか?こう、関わると碌な目に遭わないようなやつとか」

 

 「魔人だね。ろくでもないよあいつらは。愉悦大好きのクズの集まりだよ。で、次点で鬼人かな。勝負馬鹿で事あるごとに勝負事を仕掛けてくるからうんざりするよ。後は獣人かな?プライド高くてめんどくさいね。まぁでも、ドワーフは酒臭いうえにダル絡みしてくるし、エルフは懐古厨だしで、結局同種と関わるのが安泰だよ」

 

 「あ、はい」

 

 そこそこ早口で回答が返ってきた。どうやら彼女も苦労しているらしい。

 

 そうこうしている内に目的地に着いたようだ。

 冒険者協会の見た目はただの少し大きい建物だった。何か変わった装飾がされていることは無く、ただの酒場だと言われても何の違和感も抱かないであろう外見だった。

 そういえば、冒険者協会といえば酒場とセットになっているイメージが強い。もしかしたら、俺の予想通りのものなのかもしれない。

 となると、次に起こるのは酔っ払いによる嫌がらせだろう。

 

 サリーナが扉を開ける。

 中を覗いてみると、外見から予想した通り冒険者協会は酒場と合体していた。しかし、突如として現れた若者を見る者は殆どいなかった。

 酒場の客が全くいない。一応数人はいるのだが、静かな場所で騒ぐ気はないのか、俺たちを一瞥した後、水と軽食をつまみながら小声で何かを話し合っていた。

 サリーナはそんな彼らを無視し、受付に挨拶をする。

 

 「こんにちは」

 

 「こんにちは!サリーナさん!今日はどのようなご用件でしょうか?」

 

 「今日はこの子達の登録を―――」

 

 俺たちは受付の案内をもとに登録の手続きをした。名前を書くときにファミリーネームを書くか迷ったが、受付曰く、そこは任意のようなので空白にしておいた。ロニセラも同じのようだ。

 手続きが完了してすぐに、受付からプレートを渡された。彼女の説明を聞く限り、ありがちな階級制度のようだ。

 俺たちは最下位の銅プレートから始まるようだ。ロニセラ曰く、このプレートはまずいらしい。

 銅プレートが受けられる依頼は街の清掃から凶暴でない魔物の討伐までと、命に関わらない安全な依頼が多い。階級を上げるためには一定の依頼を受けなければならないそうなので、早くお金を稼ぐためにもさっさと依頼を受けるのがいいだろう。

 

 そう思い早速依頼を受けようとした瞬間、近くの席からガタッと音がした。

 振り返って見てみると、そこには俺たちとそう歳の変わらない少女がいた。

 

 「おい!そこの新人たち!私と勝負しろ!!」

 

 「は?」

 

 見れば、彼女の額には、勝負馬鹿の象徴である鬼の角が生えていた。

 

 

 

 




落ちが弱くて申し訳ない。

感想・評価貰えると果てしなく嬉しいです。

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