金色のガッシュ!!を久しぶりに読んで、つい書いてしまいました。
かっこいいゼオンお兄ちゃんを書けるように頑張ります。
――何か大切なことを忘れている。
オレは、幼い頃からそんな強迫観念に駆られていた。
それは、恐らくとても大切なモノ。
何としても思い出せ、とオレの心に強く訴えかけてくる。
オレ――ゼオンには、幼い頃の記憶が無い。
おおよそ6歳から以前の記憶がまるで穴でも空いたかの様に無くなっていた。
ある雨の日、衰弱し、道端に倒れ込んでいたオレはとある家族に保護されることで一命を取り留めた。
しかし、目が覚めたオレは自分が何者であるかさえ分からない有様だった。
唯一覚えていたのは、自身が『ゼオン』という名前であることだけ。
――あれから10年。
何とか思い出そうと努力してきたが、今のところ記憶が戻る兆候はない。
どれだけ求めても、手に入らない。
月日が経つ程、失った記憶への渇望と、焦燥感が募っていく。
だからこそ、今この瞬間、オレの目の前に広がっている光景は、長年オレが追い求めていた自身の記憶の一部なのだと、そう確信していた。
広い空間に、銀髪紫眼の少年が地面に這いつくばっていた。着ている服はボロボロで、所々血が滲んでいる。
『ぐ……、がはっ、はぁ……はぁ……』
血反吐を吐き、もがいているのは間違いなく幼き自分、ゼオンであった。
『――立て。まだ訓練は終わっておらんぞ』
何処からともなく、重苦しい声が響いた。
それを聞いた少年は、ふらつきながらもなんとか立ち上がった。
『ちち……う、え』
少年は天を向き、先程の声に向かって話しかけた。
その声は、何処か嬉しそうで、期待が含まれていた。
『父上、わたしは……必ず、次の■になって……みせます。父上の、期待に応えられる程……強くなります。わたしが父上の『■■■』を受け継いで、最強の、■に』
それは、宣誓だった。
必ずや、親の期待に応えるのだという誓い。
幼い少年が辛い訓練に耐えられていたのは、父親が自身へ期待してくれているという思いがあったからだった。
だからこそ、少年はその『証』が欲しかった。
厳しいところしか見たことのない父親から、『愛されている証明』が。
――しかし、父親からの少年に対する返答は、冷たかった。
『――ならぬ。お前に『■■■』は与えん』
『……え?』
少年は唖然とした。
なぜ? 父が自分に厳しい訓練を課しているいるのは、『■■■』を受け継がせるためではなかったのか? 自分を、父の後継者として育ててくれているからではないのか?
『な、なぜですか!? なぜ……』
『――あれは持ってはならぬ力。大きすぎる力なのだ』
続けて響いた父からの声は、尚も冷たかった。
『そ、そんな、ちちう……』
『――話は終わりだ。訓練を続けろ。ラジン中将』
『はっ』
少年の言葉を遮り、話を打ち切った父の声はそれきり聞こえなくなった。唖然とする少年の傍に、少年の数十倍はあろうかという体躯の人物が武器を構えて立っている。
恐らく、この後も少年は厳しい訓練を続けることになるのだろう。
そこで景色が暗転し、違う場所が映し出された。
先程よりも一回り大きくなった銀髪の少年が、紙の束を握りしめて震えている。
『なぜ、この■を決める戦いに、■■■■の名前がある……!?』
『父は、オレを■にするために厳しい特訓をしたのではないのか!?』
『やはり父上は、『■■■』を持つ■■■■を■にしたかったのか……!?』
『オレは……!! やはり憎まれているだけの子だったのか!?』
少年の眼からは涙が溢れていた。
今までの厳しい特訓は何だったのか。何のためにあんなに辛い思いをしたのか。様々な疑問が次から次へと湧いてくる。
だが、その疑問に答えるものは存在しなかった。
『おのれ……!! おのれぇ!!』
顔を怒りに染めて、怨嗟の声を繰り返す少年の姿を最後に、再び場面が暗転する。
今度は、何も見えない。
目の前には真っ暗な闇が広がっており、自分以外が存在しない空間で孤独感に苛まれる。
次第に意識が遠のいていき、『ああ、目覚めるのだ』と自覚した。
『――ゼオン』
意識が落ちる直前、懐かしい声が聞こえると共に、銀色の光が見えた気がした。
読んで頂いてありがとうございます。
如何でしたでしょうか?
初めての投稿なので、まだ勝手が良く分からない……。
見辛かったらすみません。
ゼオンくんと言ったら壮絶な過去ですよね。
私も原作を読んでいたときに胸を締め付けられる思いになりました。
原作を読んだこと無い方は、ぜひ読んでみてください。
では、次話もよろしくお願いします。