ありふれた職業で世界最強 ~魔王と雷帝~   作:さまようトト

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お久しぶりです……。(小声)

まさか半年も放置するとは思いませんでした。
本当に申し訳ない……。

今日から投稿再開していこうと思いますので、よろしくお願い致します。


LEVEL.22 迷宮の最奥

 

「――二人共、いつもより慎重……?」

 

 

ユエが、コテンと首を傾げて疑問を口にする。

 

現在オレ達は、第百階層へと続く階段の近くに拠点を作成し、体を休めながらも装備と能力の最終確認を行っていた。

 

 

「ああ、次で百階層目だからな。強力な魔物が存在するかもしれん。準備は入念にした方が良いだろう」

 

「ま、こんなキリの良い階層、何かあるのがお決まりだよな。一般的に認識されてるオルクス大迷宮も百階までって言われてるし」

 

 

オレとハジメはユエの疑問に答えながらも、装備の手入れを開始する。

 

オレは直剣、ハジメは銃。

お互いに慣れた手付きで武器の状態を確認し、異常がないかを調べていく。

 

ハジメがドンナーをバラして清掃している横で、オレは直剣を研ぎ、磨いていった。

 

 

この奈落の底に落とされてから、己と共にここまで戦い続けてくれた相棒である。

 

オレとハジメはそんな思いから、武器の整備に手を抜いたりはしない。

 

 

数分後、直剣の手入れが終わった。

武器の種類や数の違いから、オレの方がハジメより早く作業が終わるのも、いつもの事だ。

 

現在ハジメは、ドンナーの整備が終わり、シュラーゲンを分解している最中だ。

 

 

ユエは、そんなハジメの横顔を見て嬉しそうにしている。

 

作業の邪魔をしないようにと配慮しているのか、武器の整備が始まってからユエが話し掛けてくることはなかった。

 

 

ハジメの整備はあと数分程かかると判断したオレは、ステータスの確認を始める。

 

 

まずは、ハジメのステータスから見ていこう。

 

 

 

======================

南雲ハジメ 17歳 男 レベル:77

 

天職:錬成師

筋力:2100

体力:2200

耐性:2100

敏捷:2800

魔力:1950

魔耐:1950

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・熱源感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・威圧・念話・言語理解

 

======================

 

 

 

――強い。

第五十階層の時からステータスは倍以上に成長し、技能数も増えている。

 

普段の戦闘では中衛でサポートに回ることが多いが、高い身体能力に状態異常耐性を持ち、《縮地》や《金剛》等の技能もあることから、前衛としても非常に優秀な能力である。

 

 

以前それをハジメにも伝えた所、『……嫌味か?』と拗ねられてしまった。

 

どうやらオレのステータスと比較しての発言らしいが、気にする必要はないと思う。

 

恐らくは、既にこの世界で最強の前衛になれるだけの強さになっているのだから。

 

という訳で、ハジメは順調に強くなっているのだ。

 

 

 

さて、次はオレのステータスだが――。

 

オレはステータスプレートを取り出して眺める。

 

 

 

======================

ゼオン・ベル 17歳 男 レベル:50

 

天職:雷帝

筋力:3500

体力:3500

耐性:3500

敏捷:3000

魔力:7000

魔耐:5000

技能:雷属性耐性・物理耐性[+金剛][+物理耐性強化]・毒耐性[+治癒速度上昇]・麻痺耐性[+治癒速度上昇]・剣術[+斬撃速度上昇]・体術[+縮地][+重縮地]・槍術・杖術・魔力操作[+遠隔操作][+精密操作][+部位強化][+付与強化]・先読・高速魔力回復・気配感知[+特定感知][+広域感知]・魔力感知[+特定感知][+広域感知]・気配遮断・威圧・言語理解

 

《使用可能呪文》

第一の術 ザケル

第二の術 ラシルド

第三の術 ジケルド

第四の術 ラージア・ザケル

第五の術 ザケルガ

第六の術 ラウザルク

第七の術 ザグルゼム

第八の術 ガンレイズ・ザケル

第九の術 テオザケル

 

======================

 

 

 

オレのステータスも、第五十階層の時から成長し、かなり伸びている。

 

レベルは九十階層を過ぎた辺りで50に達していたが、それからピタリと上がらなくなった。

やはり、レベルは高くなるにつれて上がリ難くなっていくのだろう。

 

ただでさえレベルが上がり難かったというのに、最近は全く上がる気がしないのだ。

 

 

だがそれよりも、オレが今気になっているのは別の事だ。

 

 

(――やはり、呪文は増えていないか)

 

 

そう、これだけレベルを上げたにも関わらず、新しい呪文が増えなかったのだ。

 

今までであれば、レベルが5も上がれば新しい呪文が発現していたものだが。

 

 

(レベルを上げるだけでは足りない、ということか……?)

 

 

オレは最近、呪文が発現しない理由について考えることが増えた。

 

これまでに取り戻した記憶から、『魔界の王を決める戦い』の出来事も断片的にだが思い出している。

 

だが、呪文が発現する条件についてはまだ思い出せていない。

 

 

記憶の中のオレは、新しい呪文が出なくて困った様子など無さそうだった。

 

恐らくだが、戦いに参加した早い段階でほとんどの術を使えていた可能性が高い。

 

それが過去のオレ自身が持っていた才覚によるものなのか、パートナーの協力によるものなのか。

今のオレには分からない。

 

 

だが、これだけは分かる。

 

今のオレには、足りていないのだ。

呪文が発現するために必要な、大切な『何か』が。

 

 

それは、オレ自身の過去に関わるものなのだろうか。

 

 

(……王を決める戦い、100人の魔物の子、魔本、そして――『パートナー』)

 

 

オレは、いまだに自分のパートナーだった人物に関する記憶を取り戻せていない。

 

取り戻した断片的な記憶の中でも、その人物の顔は塗りつぶされたかのようにモヤが掛かっていた。

 

名前すらも、思い出すことができない。

 

 

ただ、恐らくオレは――。

 

 

 

『――生きてくれ、■■■■■。オレの願いだ』

 

 

 

――少なくとも、オレにとってその人物は、大切な存在なのだと確信していた。

 

 

 

「――よし、これで終わりっと。悪いなゼオン、待たせちまって」

 

 

そこまで考えたタイミングで、ハジメが声をかけてきた。どうやら、武器の整備が終わったようだ。

 

 

「……あぁ、気にするな。じゃあ、皆でステータスの最終確認をするか」

 

 

気を取り直し、オレは今やるべきことに集中する。

 

そうして、オレ達は第百階層の攻略に向けて準備を進めていくのだった。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

あの後、全ての準備を終えたオレ達は、百階層へ向かう階段を降りていた。

 

これまで何度も階層を移動してきたが、今回の階段はそれらよりも明らかに長い。

 

 

相変わらず先の見えない暗闇の中、オレ達は階段を降りていく。

 

もう十分以上は降り続けているだろうか。

 

延々と続く階段に辟易していたが、ようやく階段の終わりが見えた。

 

 

「――これは……」

 

 

暗く長い階段を抜けた先には、広大な空間が広がっていた。

 

まるで巨大な通路のような空間に魔物の姿は確認できず、感知系の技能にも引っかかる存在はいない。

 

通路には、宝石で作られたかのような柱が等間隔に並び、淡く発光して周囲を照らしている。

 

 

明らかに今までとは違う雰囲気に、オレ達は少しの間その光景から目を離せなかった。

 

 

「……先に進もう。二人共、慎重に行くぞ」

 

 

一足先に気を取り直したオレは、ハジメとユエに声をかけ、歩き出す。

 

オレ達が警戒しながら進んで行くと、通路の先に巨大な扉が見えてきた。扉には美しい彫刻が施されており、細部までこだわって作られたのが分かる。

 

 

「――こいつはまた凄いな……。もしかしてここが……」

 

「……反逆者の住処?」

 

 

ハジメとユエは立派な扉を見て、ここが迷宮の終着点であると思ったようだ。

 

 

「…………」

 

 

オレは二人の声を聞きながらも、扉の上に視線を向ける。

 

そこには、文様が刻まれていた。

巨大な正七角形があり、その頂点にはそれぞれ何かのシンボルのようなものが刻まれている。

 

そして、正七角形に囲まれるようにして存在する『見覚えのある紋章』。

 

 

「――なぜ、ここに?」

 

 

 

それは、円が等間隔に五つ並び、それぞれを直線で結んだような紋章。

 

オレにとってはあまりに縁深い、『魔本の紋章』だった。

 

 

 

「……ゼオン? どうかしたのか?」

 

 

思わず足を止めたオレに気付いたのか、ハジメとユエは振り返ってこちらを見ていた。

 

オレは頭を振り、答える。

 

 

「……いいや、何でも無い。……行こう」

 

 

 

――キィィン

 

 

気を取り直して進もうとした時、頭の中に甲高い音が響く。さらに間髪入れず、誰かの声が響いた。

 

 

『――分かっているさ。可能性は絶望的だ』

 

『――それでも、僕は未来に賭けたい。希望はまだあるんだって信じていたい』

 

『――どうか、この声が彼女の仲間に届きますように』

 

 

 

その言葉を最後に、声は聞こえなくなった。

 

 

「……今の声は、一体……?」

 

 

思わず疑問を口にするオレに、ハジメが声をかけてきた。

 

 

「おい、ゼオン。大丈夫か?ようやくゴールに辿り着いたってのに、浮かない顔してるぞ」

 

 

ハジメは不思議そうにオレに話しかける。

ユエも同じ様子であることから、先程の声は自分にしか聞こえていなかったのだと理解する。

 

 

「すまない。実は――」

 

 

オレが先程の声について説明しようとした時、魔力感知に強い反応が現れる。

 

オレ達と扉の中間辺りの地面に、巨大な赤黒い魔法陣が出現したのだ。

 

 

「チッ!! やっぱりそう簡単には通してくれないってか!!」

 

「一旦下がるぞ!!」

 

 

オレ達は一斉に飛び退き、魔法陣から距離を取る。

その間にも魔法陣はどんどん巨大化し、かなり広い通路の横幅を埋める程にまで広がった。

 

 

「……おいおい、何だこの大きさは? ……マジでラスボスかよ」

 

「……大きさだけのハッタリじゃないな。とんでもなく強いのが出てくるぞ」

 

 

魔法陣から感じる威圧感に、冷や汗が流れる。

今まで戦った魔物とは比べ物にならない強さの化け物が出てくるだろう。

 

 

「……大丈夫。……私達なら、負けない」

 

 

緊張感が高まるオレとハジメに、ユエの声が届く。

彼女は決然とした表情を崩さずオレ達を真っ直ぐ見つめている。

 

ユエの言葉にオレとハジメは顔を見合わせる。

どちらからともなく、オレ達はニヤリと笑みを浮かべた。

 

 

「「――ああ、そうだな」」

 

 

同時に全く同じ返事をしながら、オレ達は戦闘態勢を整え、魔法陣を睨みつける。

 

魔法陣は輝きを増し、ズズズ、と徐々にその姿が露になってくる。

 

 

現れたのは、七つの頭と長い首を揺らし、それぞれの頭に鋭い牙と赤黒い眼を持つ化け物だった。

神話の怪物ヒュドラのような見た目をしたその魔物は、十四の瞳でオレ達を睨み付け、威嚇する。

 

 

「「「「「「「クルゥァァアアン!!」」」」」」」

 

 

 

不思議な音色の咆哮が辺りに響き、仮称ヒュドラの放つ威圧感が膨れ上がる。

どうやら向こうも準備万端らしい。

 

赤、青、緑、黄、紫、白、黒の七つの頭がこちらに狙いを定めている。

 

 

「――いくぞ、ハジメ、ユエ!!」

 

「ああ!」

 

「んっ!」

 

 

オレ達の掛け声とほぼ同時に、赤色の頭が大きく口を開く。

 

瞬間、口から大量の炎が吐き出され、炎の壁となってオレ達に向かってきた。

 

 

オレは左、ハジメとユエは右側に飛び退いて回避する。

 

 

 

こうして、奈落の底における最後の番人との戦闘が開始された。

 

 

 




読んで頂いてありがとうございます。

改めて、半年近く更新できずすみません。
めちゃくちゃサボってました。

前回の投稿から1ヶ月程クソ忙しい時期が続きまして、執筆作業する気力がなくなってました。

まぁそれも7月末には落ち着いてたので、それ以降の4ヶ月間に関しては言い訳できないんですが。


ともかく、また少しずつ投稿していきますので、気が向いたら読んでやって下さい。

では、次話もよろしくお願いします。
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