ありふれた職業で世界最強 ~魔王と雷帝~   作:さまようトト

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いつも読んで頂きありがとうございます。

今回から本編のお話に戻ります。


LEVEL.42 冒険者ギルドからの依頼

 

 

ライセン大峡谷の迷宮を攻略した後、オレ達は一度ブルックの町へと戻り、次の七大迷宮へと向かう準備を行っていた。

 

 

次の目的地は、この町からずっと西へと向かった先にある『グリューエン大砂漠』だ。

 

 

そこに、七大迷宮の一つである『グリューエン大火山』があるため、その攻略を目指している。

 

 

『グリューエン大火山』は大陸の最西端に存在する迷宮なので、今居るブルックからだと、大陸を横断するほどの距離を移動することになる。

 

 

そのため、オレ達は少しの間この町へと留まり、旅に必要な路銀と食料を調達しておくことにしたのだ。

 

 

 

そうしてブルックの町へと滞在して一週間程が過ぎた頃、オレ達は遂にこの町を出発しようとしていた。

 

 

「――そうかい、行っちまうのかい。……そりゃあ、寂しくなるねぇ」

 

 

そう言うのは、ブルックの町で冒険者ギルドの受付をしている女性――キャサリンである。

 

 

彼女はオレ達がこの町に来た当初、宿屋を紹介してくれた人であり、それからも何かと気を使ってくれていた恩人だ。

 

彼女には色々と世話になったため、オレ達は出発する前に挨拶をしに来たのである。

 

 

「あぁ。短い間だったが、色々教えてくれて助かった。ありがとう」

 

 

「良いんだよ、アタシが好きでやったことさ。……それで、次はどこに行くんだい?」

 

 

優しく微笑みながら、キャサリンが尋ねてくる。

 

 

「フューレンに行こうと思っている」

 

 

オレがそう答えると、彼女は成程と頷く。

 

 

「あぁ、あそこは活気のあるいい都市だよ。……ただ、アンタ達はちょっと目立つかもねぇ」

 

 

キャサリンはそう言って、オレの背後にいるユエとシアを見た。

 

……成程、そういうことか。

 

 

フューレンは、中立商業都市である。

 

様々な物流が集まる都市であり、そこには当然多くの商人も集まるのだ。

 

 

ユエやシアの様に見目麗しい女性を連れていれば、トラブルの元になる可能性が高いということだ。

 

 

「まぁ、あんた達は色々と厄介な事情を抱えてそうだからね。……これを持っていきな」

 

 

そう言うと、彼女は一通の手紙を取り出した。

 

 

「……これは?」

 

 

オレが尋ねると、彼女は微笑んで答えた。

 

 

「もしも他の町でギルドと揉めた時は、その手紙をお偉いさんに見せな。……少しは役に立つかもしれないからね」

 

 

……そんな手紙をギルドの上層部に出せる彼女は、一体何者なのだろうか。

 

一瞬浮かんだ考えを振り払い、オレはキャサリンに改めて礼を言った。

 

 

「……わざわざすまないな。ありがたく受け取っておく」

 

 

「そうしな。……アンタ達は色々事情があるんだろうけど、死ぬんじゃないよ」

 

 

 

最後にそう激励され、オレ達はブルックを後にするのだった。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

魔力駆動二輪を走らせ、西へ移動すること丸一日。

 

 

途中で一泊野宿を挟んだが、オレ達は中立商業都市フューレンへと辿り着いた。

 

 

 

「……これが中立商業都市か。思っていたよりも大きいな」

 

 

巨大な都市を、高さ二十メートルはありそうな外壁が囲んでいる。

 

 

今までこの異世界で見てきた都市としては、王都に続いて二番目の規模だろう。

 

 

都市へと続く人々の長蛇の列に紛れ、オレ達はフューレンへと足を踏み入れるのだった。

 

 

 

フューレンに入ると、オレ達はまず宿を確保するべく、以前の様に冒険者ギルドで紹介してもらうことにした。

 

 

すると、どうやらこの都市には案内人という職業の人々がいるらしく、そちらに聞いた方が良いと言われた。

 

 

そして現在、オレ達はその案内人であるという少女、リシーにおすすめの宿屋を紹介してもらっていた。

 

 

「――ということで、とりあえず宿をお取りになりたいということでしたら、やはり観光区へ行くことをおすすめ致します」

 

 

オレ達の要望を伝えると、リシーはスラスラと候補の宿を挙げていく。どうやら案内人という職業の名前通り、彼女はかなりこの都市に詳しいらしい。

 

 

「……そうだな、今教えてもらった中だと――」

 

 

時折四人で相談しながら、オレ達がリシーに泊まりたい宿を伝えようとすると、突如甲高い声が響き渡った。

 

 

一体何だとそちらに視線を向けてみると、何やら身なりの良い太った男がこちらに歩いて来ていた。

 

 

「お、おい、そこのガキ。ひゃ、百万ルタやるから……その兎を、渡せ」

 

 

「…………」

 

 

所々どもりながら言葉を発する男は、どうやらオレ達の中でシアに目を付けたようだ。

 

現在シアの首には首輪が付いているので、彼女を奴隷だと思ったこいつは金を積んでシアを手に入れようとしている、ということらしい。

 

 

(まったく、面倒な輩に絡まれたな……)

 

 

心の中でそう悪態をついていると、突然男がシアに向かって腕を伸ばしてきた。

 

 

「――汚い手で触るな、下郎」

 

 

オレは咄嗟にシアを背中に庇い、目の前の男に《威圧》を発動する。

 

 

「ひっ、ひいぃぃ!?」

 

 

男は突然感じた圧迫感に、息も絶え絶えとなってへたり込んだ。

 

 

「ゼ、ゼオンさん……今、私を庇って……。『オレの女に手を出すな』ってことですかぁ? い、いやだなぁ、照れちゃいますよぉ……!!」

 

 

……何やらオレの後ろで悶えているアホウサギがいるが、オレは無視することにした。

 

 

オレは一つため息を吐くと、ハジメ達にここから移動することを提案する。

 

 

「……場所を変えよう。リシー、さっき言っていた宿へ案内してくれ」

 

 

「――は、はいっ!!」

 

 

こうして、オレ達はリシーに案内されてこの場を離れ――ようとしたのだが……。

 

 

「レ、レガニドぉ!! そのガキを殺せ!! い、今、私を殺そうとしたのだぞ!!」

 

 

その言葉に振り替えると、先程の太った男が立ち上がり、喚いていた。

 

 

……少し《威圧》を手加減しすぎたか。思いの他、元気そうである。

 

 

すると、太った男の背後から筋肉質な体つきをした男が現れる。

 

 

「――坊ちゃん、流石に殺すのはヤバイですぜ。せめて……半殺し位にしとかねぇと」

 

 

「い、いいからやれぇ!! 連れてる女達は、傷付けるなよ!! あれは私のだぁ!!」

 

 

レガニドと呼ばれた男はやれやれ、と呟きながらも、オレ達に近付いてきた。

 

 

「了解しましたが……報酬は弾んで下さいよ?」

 

 

「い、いくらでもやるから、早くしろぉ!!」

 

 

レガニドはその言葉を聞いて、ニヤリと笑う。

 

そしてオレ達に向き直ると、口を開いた。

 

 

「坊主共、悪いな。金のためにちょっと半殺しになってくれや。別に殺しはしねぇから、安心しな。まぁ、嬢ちゃん達の方は……諦めてくれや」

 

 

よほど自分の実力に自信があるのか、余裕そうな表情で話しかけてくるレガニド。

 

 

……というか、太った男はいつの間にかユエも標的にしていたらしい。

 

 

オレとハジメは顔を見合わせると、一緒にため息を吐いた。

 

 

「……どっちがやる?」

 

 

「……面倒だが、オレがやろう。ハジメの戦い方では、何が起こったか理解され難いだろうからな」

 

 

毎度こんな輩に絡まれては面倒極まりないので、オレは周囲の人間を含めてある程度の力を見せることにした。

 

 

ハジメがやる場合、ゴム弾一発で終わってしまうので、他の者達への牽制にならないかもしれないからな。

 

 

オレがレガニドの相手をしようとすると、珍しいことにユエがオレの袖を引っ張り、止めてきた。

 

 

「……ゼオン、ちょっと待って」

 

 

話を聞いてみると、今後絡まれない様にするためにも、ユエたち自身の手で叩きのめした方が良いとのことだった。

 

 

……まぁ確かに、ユエとシアは見た目だけなら非力な少女である。

 

今回オレとハジメが解決しても、二人が単独の時に絡まれるかもしれない、ということだ。

 

 

「……分かった。ちゃんと手加減はしろよ?」

 

 

「……ん、当然」

 

 

何だか妙にやる気に満ちているユエに不安を感じながら、オレは二人を送り出す。

 

 

「あぁ……? 嬢ちゃん達が俺の相手をするだと?」

 

 

訝し気に呟くレガニドは、これから自分に降りかかる災厄に気が付いていないだろう。

 

 

こうして、ユエとシア対レガニドの戦いが幕を開けるのだった。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

結果としては、言うまでもなく圧勝であった。

 

 

舐めてかかっていたレガニドがシアに重い一撃をもらい、動けなくなったところをユエの手加減した魔法で滅多打ちにされていた。

 

 

今は、ボロボロになって気絶したレガニドと太った男を拘束しているところである。

 

 

すると、揉め事を聞いて駆け付けたのか、冒険者ギルドの職員がオレ達に事情を確認してきた。

 

 

周りの人々の証言もあり、オレ達の正当防衛が証明されたのだが、レガニド達にも話を聞かなければならないとのことで、オレ達はそれまでの間フューレンに滞在することを余儀なくされた。

 

 

何だか面倒なことになってしまった、と考えていたところに、キャサリンから渡された手紙のことを思い出した。

 

 

試しにギルド職員に渡してみたところ、内容を見た職員は顔色を変え、オレ達はギルドの応接室へと連れて行かれることになった。

 

 

するとそこには、金髪をオールバックにした鋭い目付きの男性が待っており、挨拶をしてきた。

 

 

「――初めまして。冒険者ギルド、フューレン支部支部長のイルワ・チャングだ。突然呼び出してすまないね」

 

 

イルワの机にはキャサリンから渡された手紙が広げられていた。

 

 

話を聞いてみると、彼はキャサリンの元教え子なのだという。

 

どうやら、キャサリンはその昔王都のギルド本部でギルドマスターの秘書長をしていたらしい。

 

その時の教え子達が、今の支部長などの役職についているとのことで、彼もキャサリンには頭が上がらないのだとか。

 

 

そんな彼女からの推薦ということで、イルワはオレ達に対応してほしい依頼があるようだった。

 

 

内容は、行方不明者の捜索。

 

北の山脈地帯の調査依頼を受けたとある冒険者一行が予定を過ぎても戻ってこなかったことから、捜索依頼が出されたらしい。

 

 

オレ達は最初断ろうとしていたのだが、ハジメがユエ達のステータスプレートを作成する良い機会だと判断し、幾つかの条件付きで依頼を受けることになった。

 

 

一つ、ユエ達のステータスについて、他言無用とすること。

 

一つ、今後何があっても、オレ達の要望に応え便宜を図ること。

 

 

以上の二つの条件をイルワは承知したため、オレ達はこの依頼を受けることとなった。

 

因みに、二つ目の条件は当然、犯罪行為等は除いた要求が前提となっている。

 

 

 

 

こうして、オレ達は『グリューエン大砂漠』へと向かう前に、北の山脈地帯に寄ることになったのだった。

 

 

 

 




読んで頂いてありがとうございます。

あんまり原作から変更する余地がない話だと、中々筆が進まない……。
個人的には、オリジナル展開を書いている時の方が早く仕上がる気がしてます。


では、次話もよろしくお願いします。
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