完璧ママな霊に憑かれてる完璧美少女です   作:ぷらーね

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他の筆者の推しの子に夢中になり自分の小説のことを忘れていました。どうもぷらーねです。
更新遅れて申し訳ございませーーん!!
しかし、その方の描写力が素晴らしく何だか今書いているのを世に出していいのか不安で上げるか正直迷っていましたが、断腸の思いで投稿しました。
他の小説を見たことで自分の中の敷居が若干上がったので毎日投稿では無く2日に一回の投稿になると思われますがご了承下さい…
 


完璧ママな霊の独白 破

 

 (待っててねあい)

 

 私は触れている首に回した手に力を入れ、息の根を絶とうとした。

 しかしそれは叶わなかった。

 首に回した手は数秒も持たずに空を切り、入れた力は行き場を無くしそのまま空を抱きしめる体制へ移行してしまったのだ。

 

 (やっぱりまだ駄目かー)

 

 内心解っていた事だがいざそれが実際に起きると否が応でも事実だと確認させられる。

 私は体制を戻しながら女の方をチラ見した。

 

 女は何者かが触れた事は感じたのか、さっきまで目線は2階と火の調節のためだけに使われていたが、今は自分の首を擦りながら四方八方を見渡していた。

 この動作を何度か繰り返すと安心したのかまた目線は火の元に移り調理を再開した。

 

 気にも留めない態度に私はつい、恨みがましい視線を送ったが直ぐにやめ、作成途中のおかゆに目を留めた。

 蓋がしているからどの位できているかは解らないが匂いとそれに伴う蒸気から察するにもうじき出来上がる所だろう。

 私のママとしての勘が当たったのか女は火を止め、食器棚の方へ歩いて行った。

 棚を開けると木製のお盆を取り出していた私はそこでいいことを思いつき此方へ戻ってくる女を尻目に笑った。

 見てる人がいるなら絶対に正の笑いではなく、負の笑いと受け取るだろう。

江戸時代における賄賂を受け取る悪代官にも負けないだろう。

 

 私の心の中の越後屋と悪代官が毀笑してくるのを感じながら今から鍋をお盆に移すであろう女の横に立った。

 

 女はお盆を一旦置くと、近くにあった鍋掴みを嵌めながら鍋へと手を伸ばした。

 私は両端を持って鍋をコンロからお盆に移している女の右手に自分の手を添え、力を入れた。

 先ほど同じように一瞬だけしか触れられなかったがしかし、鍋掴みを使っているのと熱い鍋を掴んでいる若干の恐怖心という事もあってか、少しの力を加えただけでそのバランスは簡単に崩れた。まるで砂上の楼閣のように。

 

 バランスを崩した女は危機を感じ咄嗟に手を放したがそれが私の狙い。

 歪な体制で空に放り投げられた鍋はそのまま自由落下を始め、直ぐに地面に到達しその中身を晒した。

 

 白に染められたおかゆに一粒の梅干をみて私は爽快な達成感を覚えた。

 

 (ほらやっぱり)

 

 この女は知らないのだろう。あいは梅干が嫌いなのが。

 

 この女は知らないのだろう。あいはおかゆが嫌いなのが。

 

 この女は知らないのだろう。私の方がママに相応しいのが。

 

 (だから今は許してあげる)

 

 貴方があいのママでいる事に。

 元々代理出産してくれたのだ。ある程度の恩義は感じている。しかし、

 

 (最後にママになるのは私)

 

 そう、それまでは貴方がママでいい。

 

 (だけど邪魔しないとは言ってないからね?)

 

 子供達の邪魔になるのならば私は悪鬼にも、悪魔にも、悪霊にでもなるだろう。

 

 女が不思議そうな顔で鍋と自分の手を見比べ、思い出したように拭きもの取りに別の部屋に足早に去って行ったのを見送りながら私は、2階へと足を進めた。

 

 

 

 

 

 2階へ足を進めながら、今日起きたことを改めて整理する。

 生きていた頃は整理なんてやったこと無いから死んだ後にできた習慣だ。

 

 

 私は元々あい以外は人物、物も含めて触れられなかった。

 それに加えるならばあいと一定時間離れると強制的にあいの元に戻されるおまけつきだ。

 しかしそれは時が経つにつれて、あいを介して物に触れられ、意識のない人間になら憑依することも可能になり、今ではあいを介さなくても一瞬だけだが物体にも触れられる。

 私の計画に着実に近いづいている事を嬉しく思いながら、今日の出来事に思いを馳せた。

 

 

 

 

 

 あいが気絶した後、あいが2人に圧し潰されそうな現状に私はいてもたっても居れずあいに憑依した。

 二人はあいが気絶したのを気づかず、まだ縋るように抱き着き泣き続けていた。

 私は取り敢えず二人に落ち着きを取り戻してもらうように努めた。

 

 奥さんの年の割には手入れが行き届いている髪を片方の手で優しく撫で、ルビーの綺麗な蜂蜜色の髪をもう片方の手で優しく撫で続けた。

 そうして時間にしては10分もたったであろうタイミングで奥さんは上げてた嗚咽交じりの鳴き声を辞め、此方へ顔を向けた。

 

 顔中水分だらけに目が真っ赤になっている顔を数秒向けると、徐々に羞恥心に染まっていき、脱兎の如く私から離れると、

 

 「あ、あ、ご、ごめんなさい!?貴方が余りにも私の知り合いに似ててね、つい勘違いしちゃったわ」

 

 言葉尻が窄み、視覚でも聴覚でも羞恥心を表している言動で謝罪してきた。

 どうやら私の事を、唯の他人の空似だと思っているようだ。

 

 奥さんは自分が離れた離れた隙に私の胸元まで移動したルビーの肩を掴むと、

 

 「こらルビー!この子はアイじゃないから離れなさい!」

 「嫌だ!!絶対ママだもん!!」

 「ならこの子の背丈をちゃんと見なさい!?」

 

 奥さんはルビーを引き離そうとしたが、ルビーは万力であいの体に力を加え絶対離れない意思を体で表現してきた。

 

 「背丈?」

 

 そして奥さんの言葉でつられ、伏せていた顔をルビーが上げあいの体を見定めるように確認してきた。

 

 あぁ、ルビー大きくなったなぁ

 

 昔に比べて伸びた髪、顔の造形は何処となく私に似てきている。随所変わっていたが変わっていない所もある。

 綺麗なルビー色の瞳だ。

 

 その瞳は夢を追いかけている瞳。

 

 その瞳は私をママと認識してくれる瞳。

 

 その瞳は純粋無垢な瞳。

 

 変わっているようで変わっていない。そんなルビーを心の底から愛おしく思う。

 ルビーはあいの背丈が生前の私より大分違うことがわかり、その瞳を不安そうに揺らし、

 

 「ママ?ママだよね?」

 「うん、私はアクアとルビーのママの星野 アイだよ」

 

 私はルビーの前髪を上げ、その額にキスをし、安心させるように投げかけた。

 その言葉に安心したのか、ルビーは目尻に涙を浮かべ、顔をまたお腹に摺り寄せてきた。

 少し離れていた奥さんは私とルビーのやり取りを聞き、信じられない顔を浮かべている。

 

 「え?本当にアイさんなの?」

 「そーですよ奥さん。正真正銘星野アイです!」

 

 安心させるために返答したのだが、その顔は徐々に懐疑的なものを見る目に変わっっていった。

 

 「星野アイの所属事務所は?」

 「苺プロダクション!」

 「アクアとルビーが生まれた場所は?」

 「宮崎県の田舎!」

 「社長の名前は?」

 「佐藤さん!」

 

 一連の問答で私が本物の星野アイだと分かったのか、安堵した表情に変え、腰が抜けたのかへなへなと力なく座り込んでしまった。

 

 それから数分後、泣き止んだのかルビーは顔に埋めていた顔を上げると、あいの体に回していた手を顔に回し、確かめるように触り始めた。

 

 「ママ…ママ...!」

 「うん、ルビーのママだよ。遅れてごめんね?」

 「…いいの、今ママがいるなら私は大丈夫...」

 「もうどこにも行かないから安心してね」

 

 私は頬まできたルビーの手にあいの手を重ねた。

 

 「…は!本物アイならアクアにも教えないと!」

 

 奥さんは呆然自失状態から回復すると思い出したように叫びだしアクアに電話しようとしていた。

 その声はルビーにも聞こえていたのかそれに反応すると

 

 「そうだ!お兄ちゃんって役者さんの道歩んでるんだよ、勿論苺プロに所属でね!」

 「そうなんだ、アクアはやっぱり役者さんか~」

 「私はアイドルを目指してるんだよ!でも私はまだ苺プロに入ってはないけど」

 

 アクアの話をしている時のルビーは眩しくなる位の笑みを浮かべていたが、アクアと自分の現状を比べたのか言葉尻がどんどん窄んでいき、それに伴い先ほどの眩しいくらいの笑みを曇らせていった。

 私は俯きだしたルビーの両頬に手を置きこれ以上下げないようにし、目を合わせた。

 

 「でもルビーは私と同じアイドルの道を選んだでしょ?すっごく嬉しいよ!」

 「ママ...うん...うん!私ママと同じアイドルなりたい!」

 

 お互い何かの琴線に触れたのか、同じ体制のまま2人で笑ってしまった。

 目尻に笑い涙を浮かべるくらい笑いあっていると、アクアに電話したであろう奥さんがまだ抜けている腰に鞭を打ち、ハイハイの体制で此方まで近寄って来た。

 手にはアクアに電話をし、通話中の状態で待機しているであろうスマホを私に差し出してきた。

 

 「今、アクアに繋がっているから出てくれないかしら?」

 

 その言葉と共に差し出されたスマホを受け取り、耳に当てがった。

 

 「もしもし~?アクアとルビーのママのアイですよ~」

 『...本当に...アイなのか...?』

 「勿論!信じられないと思うけどママは生まれ変わったのです♪」

 『いや...でも...そうか...そうだったんだ...』

 

 電話越しのアクアがどんどん嗚咽交じりの喋り方になり、最後には何も喋れなくなった。

 一時の間アクアの声が愛おしくて耳を傾け続けていたが、ルビーが嫉妬したのか、泣き虫の兄に業を煮やしたのか私からスマホを奪い捲し立てるように

 

 「お兄ちゃん、いつまでめそめそ泣いてるの!早くこっちに来てママに顔見せて!」

 『ルビー...そうだな、直ぐにそっちに行く!場所は家の前でいいんだな?』

 「そうだから!早く来て!」

 『了解、あ、でも最後にアイの声を』

 

 プツ...ツーツーツー

 

 アクアが最後に何か言っていたが、ルビーはそれを無視し強引に電話を切った。

 その後ルビーはスマホの画面を見て大きく鼻息を出しいい仕事したみたいな笑みを浮かべた。

 そしてスマホを奥さんに返すとまた私に甘えてきた。

 

 「…このままの状態でアクアを待つのもいいけど流石にご近所さんの目もあるのでアイもルビーも一先ず家に戻らない?」

 「そうだね、私もあんまり長居できないから事情を早く説明しないと」

 「え、ママまた何処か行っちゃうの!?」

 

 私が時間があまりない事を奥さんに告げると、ルビーが絶望した表情で問い詰めてきた。

 

 「ごめんね?家に居るお母さんとかが心配するからあんまり長居できないの」

 「えー!」

 

 いやだいやだー!とルビーがごねていると腰が抜けた状態から復帰したのか、立ち上がった奥さんに拳骨を落とされて

 

 「こら、いい加減にしなさい!」

 「いっだぁ!うえーんママ助けてー!」

 「はいはい、ルビーは変わらず甘えん坊でちゅね~」

 

 此方に助けを求めてくるルビーあやしながら私たちも立ち上がり苺プロ事務所へと足を運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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