終末2 終末3
覇王色の威圧でルフィとウタ、後フランキーを気絶させた後、ルフィとウタを乗せたまま、ウォーターセブンを出て移動開始。目的地は革命軍本拠地、バルティゴ。
「着きましたか」
バルティゴに到着すると、早速と言わんばかりに兵士達に囲まれた。都合が良い。
「ドラゴンを出しなさい。直ぐにです」
「な、何だと!?」
「出さなければ貴方達を殺します」
「くっ、だ、だが……」
動揺する衛兵たち。そして、誰かが言った。
「成る程、貴様が赫鳥か。初めまして、私がドラゴンだ。ようこそバルティゴへ」
「ええ、初めまして、ドラゴン」
「なっ、き来てしまったのですか!?」
「ああ、どうやら急ぎとの事だからな」
ドラゴンの出現に、動揺する衛兵たち。私は言う。
「ドラゴン、貴方と革命軍に要求が有ります。私にはバスターコールの発動権限があります。もし要求を断った場合、今からバルティゴに対してバスターコールを開始します」
「なっ、ば、バスターコールだって!?」
混乱が広がった。慌ただしくなるバルティゴ。ドラゴンは、言う。
「良いだろう。客人を歓迎する、こちらへ」
「い、良いんですかぁっ。こんな奴を入れて」
「構わんよ。既に一触即発なんだ。ここは死中に活を求めよう」
「それで要件とは。やはり、その2人の事か?」
「分かりましたか。ええ、この2人、ルフィとウタを革命軍に預かって頂きます」
「成る程」
「2人の重要性は貴方にも分かるでしょう、メリットは十分にある筈です。それに、ルフィは貴方の息子なんでしょう? だから貴方が匿って下さい」
バルティゴ内の応接室に通された後、私はドラゴンと対面して言った。目的は簡単。ルフィとウタを革命軍に押し付ける。正直、2人を生かせる方法はもうこのくらいしか思いつか無い。
「2人のビブルカードは処分済みです。ビブルカードで足が付く心配は要りません」
「……分かった、確かにメリットは大きい。良いだろう、ルフィとウタは私と革命軍が預かろう」
「はぁ、上手く行きました」
安堵する。原作の主人公達を上手い事押し付けられた。これで心配は要らない。
「今から2年間、2人は死んだ事にして匿って頂きます。その間2人の行動を監視して下さい。外には決して存在が漏れないように」
「ああ、承知した」
「決起は2年後です」
「構わないのか?」
「ここまで来たら私も同罪です」
「成る程、それもそうだ」
「んっああ、ここは?」
ウタが、そしてルフィも、交渉が妥結した辺りで起き出した。私は言った。
「起きましたか、ウタ」
「お母あ、さん? ……何で、私、殺さない、の?」
「貴女は殺しませんよ。ですが、生かしておく事も出来ません」
「……それは」
「う、うう、ここ、どこで、居たのか、ウタぁっ」
「る、ルフィっ、起きたのね!」
「貴女達2人の身柄は革命軍に匿わせます。今から2年間、外部に存在が漏れないよう振る舞って下さい」
「か、革命軍だって、巫山戯んなよ!」
「巫山戯てなどいませんよ、もうこのくらいしか匿う方法が無いんです。分かりませんか?」
「そうだよ、どうして……。よりによって革命軍なんかに、私は海兵で」
「分からなくても構いません。貴方達が生き延びる方法は、もうこれくらいしか無いと言う話です」
「……クソッ」
ルフィは項垂れた。ウタはそんなルフィに寄り添っている。ドラゴンが言う。
「久しぶりだな、ルフィ」
「あんたは、まさかっ!」
「いかにも、モンキー・D・ドラゴンだ。宜しく頼む」
「そんな、ルフィの、お父さん?」
2人は絶句した。その辺りで、私は言った。
「では、私はもう帰ります。あまり長居していると誤魔化すのが難しいですから」
「あっ、待て、待てよおばさん!」
「待つメリットが有りません。では、また2年後に。今から2年間の間に、貴方達の存在が露呈したらもう庇えません。その時は殺します」
「……お母さん」
2年間の間、私は海軍大将として活動しつつ、密かに革命軍のスパイとしても行動し、革命軍側に情報を流した。ここまで来た以上、覚悟は出来ている。
「……四皇は未だ健在、元帥は赤犬。布石は十分です」
時計を確かめる。もうすぐ夜の6時だ。時間が来る。耳栓を確認した後、電々虫の前でその時間を待つ。
「……」
そして、ああ、来た。
「みんなー! 2年ぶりー! 皆んなの歌姫ウタだよー! 久しぶりのライブにようこそ! 私の事、死んだと思ってたー? 残念、私もルフィも生きてましたー!」
ウォーターセブンで死んだ事にされた後、私達は密かに革命軍に送られたんだ。そこで革命軍のドラゴンさんに匿われたの。それから2年間の間、私達は修行しながら皆んなとまた会える日を待ってたんだー! さあ、湿っぽい身の程話は程々にして、2年ぶり最初のライブ、行っくよー!
(さて、何処まで行けますかね)
「何やっとんじゃぁぁぁ! 早くこの放送を止めい、何でも良い、早く止めんかぁ!」
やがて、元帥執務室から赤犬の怒声が聞こえて来る。私は言った。
「分かりました。直ぐにライブの停止工作をしましょう」
間も無く、世界中の7割がウタワールドに飲み込まれるだろう。私は耳栓を付けたまま、ド派手なウタライブの様子を眺めていた。
「ルフィが天竜人を殴る未来……。さて、何日後でしょうか」
私は机の上で必死に占いを弾いていた。もうすぐ、ルフィが天竜人を殴る時が来るらしい。非常に、非常に気が気でない。
「……はぁ、面倒ですが。私が原作を歪めたんです。多少の責任くらいは取りましょう」
シャボンディ諸島でのライブの日時は分かっている。目標は恐らくその時間だ。最悪の場合に備えて、シュガーにも待機させる。
「主人公の相手は面倒です」
ライブそのものはいつも通りだった。シャボンディ諸島は人が沢山居て、ライブも大盛況。数時間のライブを終えた後、ウタは歓声を浴びながらステージを降り、一休みしていた。だが、その日だけは違った。
「お前、見たことあるえ〜? 分かったえ、こいつがウタだえ〜。こいつを妻にするえ〜!」
「えっそんな、天竜人!?」
ウタは、絶望そのものの様な顔を浮かべている。チャルロス聖は言う。
「早く連れて行くえ〜」
「分かりました、おい、さっさと来い」
「えっ、い、嫌だ、た、助けてルフィ、お母さんっ」
(そろそろ、ですね)
(そんなっ、お姉ちゃんが、天竜人のクズの奴隷に!? わ、私がなんとかしなきゃっ)
(シュガー、まだ策が有ります。貴女は少し待っていて下さい)
(は、はい、お母さん)
慌てるシュガーを宥める。少しだけ待つと、やはり、来た。接近して来る影に合わせて私も表に出る。
「当たり前だぁ! 『何が当たり前ですか!』ゔぉげぁッッッ」
チャルロス聖を殴りつけようとしたルフィを、ギリギリの所で締めて踏み潰した。成功、内心密かに安堵する。
「な、何しやが『貴方こそ何してるんですか?』ぶごゔぇぇっ」
必死に立ち上がろうとしたルフィをまた踏みつけて黙らせる。そして言う。
「申し訳有りません、チャルロス聖。ルフィ大尉がこの様な真似を」
「わちしに手を向けるとは気に入らないんだえ〜、決めたえ、こいつもさっさと殺すえ〜」
「分かりました。死ぬが良い」
「お待ち下さい」
「何のつもりだ赫鳥」
ルフィに向けられた海楼石の銃弾を指先で弾き飛ばす。そのままチャルロス聖に向けて私は喋った。
「ルフィ大尉は海兵です。海兵と海軍は御身を守る為に存在します。その海兵を殺していては、海兵のなり手も居なくなります。チャルロス聖、ご自身の身柄も危うくなります」
「ごちゃごちゃ鬱陶しいえ〜、決めたえ、こいつも殺すえ〜」
「死ね、赫鳥『お待ち下さいと言いました』クソッ」
何十発も放ってきた海楼石の弾丸を、全て指先で弾き飛ばした。そして言う。
「どうか、御身を思うならご自重下さい。もし死にたくないなら海兵を殺さず、妻に娶らないで下さい。それとも死にたいのですか?」
密かに覇王色の圧力も使った。外部には気付かれない程度に。チャルロス聖は完全に怯えて震え上がった。
「ひゃ、ひゃえぇっ、怖いえぇ、こいつ何だかやたら怖いえぇ、も、もういいえ、早く行くえぇ!」
「はっ、分かりました。貴様がしでかした事、覚悟しろよ赫鳥」
「覚悟なら出来ていますよ、腰巾着」
チャルロス聖と一団は退いて行った。私は安心する。改めてウタの方を見る。
「大丈夫ですか? ウタ」
「お、お母さん、私を助けてくれたの?」
「当たり前です。貴女は私の娘ですから」
「ありがとう……あ、あと、その、ルフィを解放してあげて?」
「ぐぇぇっくそぉぉ、ぐぉぉっぅぅ……」
ルフィは苦渋を舐めたような酷い表情で、私の足の下を這いずり回っている。私は言った。
「それは出来ませんね。今回、ルフィは流石にやり過ぎました」
「お姉ちゃぁぁん! ああ怖かったぁ、大丈夫だった? 天竜人のクズのお嫁さんにされかけて」
「あっシュガーっ、シュガーも居たの? うん、正直今回は本当に駄目だと思った。はぁ、助けてくれたお母さん、凄く格好良かったよぉ」
「そうだよねそうだよね! お母さん超カッコいいの! 残酷な所すら格好良いんだから!」
「それは、流石にちょっと無くない?」
「有る有る、超有るって。私はね、お母さんでもお姉ちゃんを助けられなかった場合に備えて、最後の切り札として隠れて待機してたの。つまりサブプランなんだよ、凄いでしょ」
「えーっ、ていうかお母さん、なら私が天竜人に狙われる事知ってたの!? 酷くないそれぇ!」
「すみません、あくまで確率ですから。必ず当たる訳では無かったので」
「ぐぇぇっ痛い……」
「では早く帰りますよ」
「うん、お母さん。今日はありがとう。後、お願いだからルフィを助けてあげて?」
「そうですね、恐らくルフィは当面食事抜きでしょうし」
「えええっ、飯抜きは嫌だぁっ」
「受け入れて下さい、それくらい」
結果としては、ルフィは一週間飯抜きの上、反省文まで書かされた。逆に言えば、それだけで済んだ。
「はぁ、そう言えばこんな事も有りましたね……」
それからずっと、三兄弟が何か問題を起こす度私はリカバリーに追われた。今までの人生でこれが一番大変だった。三兄弟は世界中何処でも問題を起こした。その中で海兵としての地位を根本的に脅かす問題を抽出して、後は起こす前に只管対処を繰り返す。過酷な日々は、いつ終わるとも知れなかった。でも、やっと終わる日が来たらしい。
「……」
正装するのは久しぶりだった。その状態でパーティに出席する。その会場の中心には、大人びたルフィと、ウタが居る。会場から聞こえてくる拍手を、私は聞き流す。
(結婚式、ですか……)
ここまで来ると、少しは感慨があった。あのシャボンディ諸島での出来事の後、ルフィは新世界に出て強豪を次々と下した。遂にワノ国では、兄弟達と、ワノ国の赤鞘、更には海賊、そしてSWORDの部隊と連携してカイドウを、更にシャーロット・リンリンを撃破する活躍を見せた。大冒険が過ぎ、それから更に何年も経った。
そうしてルフィ達が冒険を続ける間、私は只管兄弟達が起こす問題のリカバリーに追われて時間が無かった。自分で言うのも何だけど途轍もなく大変だった。
(モネはもう家を出ましたし……。シュガーも、もうすぐでしょうか)
モネは既に独立している。シュガーも、未来予知通りならもうすぐだろうか。後は私と、そうだ、ブルックだけだろうか。私は結婚の予定なんて無いし、どうでも良い。男の相手なんか絶対に嫌ですから。ブルックは、どうなんでしょうね。
「……まぁ良いでしょう」
「良かったなぁルフィ」
「にへへ、ありがとよエース」
エース大将は、現在イスカ中佐との恋仲が噂されているとか何とか。まあ私にはどうでも良い話。
「ねえお母さん、どうですか?」
「立派ですよウタ、ですが貴女のその姿は、ルフィ大将にこそ見せる物です」
「はい……、では行って来ます」
最後の控え室でウェディングドレスを着た彼女を見送った、その時間を思い出した。
「ルフィも、最近少しは大人しくなって来ました。世界政府の体制改革のお陰でしょうか」
世界政府では、近年ずっと体制改革が続いている。海賊の減少と世界の安定化に伴って、世界政府は自らの内側に目を向ける様になっていた。
「結婚するなら、少しは自立して下さいよ。もう、子供の面倒は御免ですから」
「ああ、大変でしたね」
「ヨホホ、そうですねぇ」
墓の前で、私はそんな事を思っている。ルフィとウタの2人が眠る海兵墓地。2人は最後まで海兵として生き、そして引退した。悪魔の実を用いた若返りも、オペオペの実を用いた不老手術も拒絶し、やがて人間の寿命を全うして死んだ。ブルックと、20歳のままの私だけが、2人の事を覚えている。2人だけじゃ無い。エースも、サボも死んだ。今はみんな墓の中。
「私も元帥を引退して気が楽になりました。これで、誰のお守りもしなくて済みます」
「おや、そうですか? 私の目にはまた新しい厄介者を囲い込みそうに見えるのですが」
「それ冗談でしょう? ……全く、花を供えたら帰りましょう」
「あっもう供えました」
「はぁ、では帰りますよブルック」
「はいお嬢さん。後パンツ見せて下さい」
「死ね」
ブルックと帰りの道を歩く。私は思う。
「ねぇ、ブルック。貴方には、私の全部を話しておきます。ウタとルフィを必死になって守ったのは、アレは私なりの贖罪のつもりなんです」
「おや、贖罪なのですか? お嬢さん」
「ええ、贖罪。この作品を歪めた罪の」
「ヨホホホ、成る程。作品ですか」
「そう言う訳です。まあ兎に角、次の目標は月への到達です。ロケットの開発がひと段落着いたら、この事も改めて話しましょう」
「ヨホホ、ええ分かりました。では楽しみにしておきましょう」
主人公:アルメリア・ファイス
ランチャー:正式名はフレームランチャー。メインウェポンとなる大火力の大砲。射程が長く高火力だが、構造が複雑でやや壊れやすい。年代が進むに応じて改良されているらしい。
放射熱線(ソーラーレイ):核砲撃。使用後は深刻な核汚染が残るバスターコール専用技。
グレネードストライク:覇気と高熱を纏わせたランチャーで直接打撃。緊急時の迎撃用。
終末放射:超高出力の熱線砲。核反応は不使用で汚染の心配は無し。
絶滅放射:絶滅レベルの放射。超高出力の熱線、或いは火炎放射。汚染の心配は無い。
パイルバンカー:ランチャーの弾頭換装で使用可能な特殊兵装。圧巻の破壊力、連写可能。
誘導放射:八咫烏の翼から乱射するホーミングレーザー。見聞色でロックオンして発射。核熱型と非核型がある。
ナイフ:ランチャーの脆さを補うサブウェポン。二振り装備。業物級の刀剣に比べると切れ味は今ひとつ、リーチも短いが、核熱にも耐える頑強さと高耐熱性が売り。基本は手で抜くが翼でも抜ける。
死ね死ねのラッシュ:主人公本当の必殺技。死ねと叫びながら必死になってナイフで滅多刺しにするだけ、以上。